現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

企業がFacebookを利用するときのルールを把握しよう/Facebookマーケティングの教科書#2-2前編

企業がFacebookをプロモーションに活用する際に、守らなければならないルールを学びます。
現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

企業などがFacebookを使ったプロモーションキャンペーンを行う際には、Facebookが定めるガイドラインに添って実施する必要があります。また、大前提として「法律、あるいは個人または団体の権利を侵害してはなりません」とプラットフォームポリシーに書かれているように、関連する法律を遵守することが必要です。このSectionでは、企業がFacebookをプロモーションに活用する際に、守らなければならないルールを学びます。

企業がFacebookを利用する際に守らなければいけないルール

Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグが新規株式公開(IPO)の際に、米証券取引委員会(SEC)に提出した申請書類に添えた手紙には、「世界をもっとオープンにし、つながりを強める」ことがFacebookのミッションであると書かれています。このミッションを実現するために、「Facebookの原則を定めており、さらにこの原則に基づいてさまざまな規約やポリシーが用意されています。これらは、個人だけでなく企業も含めた全てのユーザーを対象としていますので、企業もFacebookの利用を開始する際には、必ず目を通しておく必要があります。

※「Facebookの原則」では、以下の10項目を保証しています。
  • 情報を共有し、つながりになる自由
  • 情報の所有と管理
  • 情報の自由な流れ
  • 基本的平等
  • 社会的価値
  • オープンなプラットフォームと標準
  • 基本的サービス
  • 公共の福祉
  • 透明性のあるプロセス
  • 1つの世界
名称とURL内容
ブランド情報センターFacebookについて言及する際、テキストでの表記は「F」が大文字であること、Facebookとの関連やパートナーシップ、Facebookによる承認や後援、支持を暗示するような方法で名称を使用することはできないこと、Facebookロゴの使用は概して認められないことなど、Facebookロゴや商標の使用に関するガイドラインが説明されています。
利用規約Facebook利用規約は、ユーザーに対するFacebookの責任と、Facebookのサービスを利用する際のユーザーの責任について説明するものです。Facebookのプライバシーに関する考え方や、コンテンツと情報の共有について等、根本的な指標となるルールが記されています。
データの使用に関するポリシーユーザーがFacebookを利用する際にFacebookが受け取る情報についての透明性を高めるため、Facebookの運営、広告、ユーザーのセキュリティ保護の促進目的などでデータをどのように使用しているかという情報を記載しています。
プラットフォームポリシー誰もが安心して情報を共有できる、オープンでつながりのある世界を実現するためのプラットフォームであるFacebookでアプリを開発するために守るべきポリシーとして、Facebookで開発を行う際に守るべき点や注意すべき事項が記載されています。開発者は優れたユーザー体験を創出し、信頼を得られるように努める必要があるとされています。
プラットフォームポリシーとプロモーションチェックリストアプリのリリース前に機能や設定を確認するための補足ガイド。Facebookプラットフォームポリシーまたはプロモーションガイドラインを完全に網羅したものではないことに注意しなくていはいけません。
広告ガイドライン広告ガイドラインには、Facebook上で広告を行う際のガイドラインが表記されています。広告コンテンツの基準、コミュニティ規定、その他の適用条件が示されており、特に広告主が、広告がすべての準拠法、規定、ガイドラインを満たしていることに責任を負うことが明記されています。
表2-2-1 Facebookのさまざまな規約やポリシー

企業がFacebookで販促活動をするためのルール

表2-2-1の他に、企業のFacebook利用では次の2つにも気をつけなくてはいけません。

Facebookページ利用規約には一般規定、Facebookページの管理、Facebookページの機能の3項目に関してのルールが示されています。この規約に違反すると、Facebookページが削除される恐れもありますので、必ず遵守しなくてはなりません。また、その一部として記載されているプロモーションガイドラインは、コンテストや懸賞など、いわゆる「キャンペーン」を開催する際のルールが定められており、こちらも違反するとキャンペーンが閉鎖されたり、実施しているアプリが削除されたりする危険がありますので要注意です。

それではこの2つを詳しく見てみましょう。

Facebookページ利用規約

  1. 一般規定

    Facebookページの運営者は、公式代理人でなければならず、他者の権利を尊重しなければなりません。

  2. Facebookページの管理
    1. ページ名とFacebookウェブアドレス

      ページ名とFacebookウェブアドレス(ユーザーアカウント) は、Facebookページのコンテンツを正確に反映しなければなりません。

      ●ページ名として使えないもの
      • 「ビール」、「ピザ」といった一般名詞だけのもの
      • 略語以外で大文字だけを使ったもの
      • 過度の句読点や商標マークなどの記号
      • 「東京で一番美味しい○○」のように販促・広告表現を加えたもの
      • Facebookの名称(フェイスブックもダメ)
  3. Facebookページの機能
    1. カバー画像

      Facebookページのカバー画像は、虚偽やごまかし、誤解を与えてはなりません。また、第三者の知的所有権を侵害してはならないほか、次のような要素を含めることもできません。

      ●カバー画像として使えないもの
      • “40%オフ”や“私たちのHPでダウンロードを!”など、価格や購入に関する情報
      • ウェブサイトのアドレスやeメール、メールアドレスなどのコンタクト情報、“基本情報”に記載するべき情報
      • “いいね!”や“シェア”などFacebookでのアクションについての言及や、いいね!ボタンへの矢印
      • “今すぐGet!” “友人に紹介してください!”などのアクションを呼びかける表現

      カバー画像を設定しようとすると「テキスト」を使ってはいけないという表示が出ますが、企業・ブランドのキャッチコピーやスローガンを記載するのはOKです。また、キャンペーンの告知についても期間を表示したり参加を呼びかけるのはNGですが、現在開催中のキャンペーンタイトルだけを記載するのは問題ありません。ただし、テキスト量はカバー画像面積の20%以下に抑える必要があります。

      ※Web掲載版追記:

      カバー画像に関するガイドラインが以下の通りに修正されました。

      カバー

      すべてのカバーは公開情報です。つまり、カバーはFacebookページを訪問するすべてのユーザーに表示されます。虚偽的な、誤解を招くような、または 第三者の著作権を侵害するカバーは認められません。カバーを自分の個人タイムラインにアップロードするようユーザーに勧めることはできません。カバーにテ キストの分量が20%を超える画像を含めることはできません。

      従来制限されていた価格・購入情報や、連絡先情報、ユーザーのアクションを促す文言を記載してはならないという条文がガイドラインから除外となり、企業にとっては規制が緩くなったと言えます。

      一方で、「カバーを自分の個人タイムラインにアップロードするようユーザーに勧めることはできません」という条文が追加となっています。ユーザーが自分自身でタイムラインにアップロードする分には問題ありませんが、企業としてお勧めする文言をカバー画像内に記載することは禁止されていますので注意が必要です。

    2. Facebookページのアプリ

      Facebookページ上で利用するアプリは、Facebookプラットフォームポリシーに準拠したものでなければなりません。

    3. クーポン

      Facebookのクーポン作成ツールを使用してクーポンを作成した場合には、以下のルールが適用されます。

      1. 利用者は、本規約のほか、適用される法律、規則、および規制のすべてに準拠することを保証する責任を負います。クーポンには各種規制(アルコールの割引販売、未成年を対象にしたクーポンなど)が適用されます。
      2. クーポンに対して有効期限、引き換え制限などの制限を設ける場合は分かりやすくハッキリ明記しなければなりません。
      3. 自分のクーポンの配信や引き換えに起因する不適切な換金、不正行為、その他の問題について全責任を負うものとします。
      4. 自分が運営していない店舗においてクーポンの引き換えが行われる場合には、参加店舗との連絡について全責任を負うものとします。
      5. ギフトカード、商品券、プリペイドカードなど金券に相当するものの提供にFacebookのクーポン作成ツールを使用することはできません。

プロモーションガイドライン

企業やブランドがFacebook上でコンテストや懸賞など、いわゆる「キャンペーン」を開催することは、クチコミ生成、ファン獲得、エンゲージメント醸成、eメールリスト蓄積などに強力な施策です。そのため企業のモラルによっては、ユーザーへの迷惑行為が増える危険もあるため、Facebookはプロモーションに対して、かなり厳しいガイドラインを定めています。この「Facebookプロモーションガイドライン」を守らずにキャンペーンやアプリを公開してしまうと、Facebook側からプロモーションに関するコンテンツを削除されたり、Facebookページそのものまで削除されかねない、とても重要なルールです。実際に、キャンペーン開始から数時間で停止に追い込まれてしまったページもあります。

例えば、以下のキャンペーン例でガイドラインに違反しているのはどれだと思いますか? 

期間中に当Facebookページに「いいね!」をしていただいた方の中から、抽選で5名に○○をプレゼント!
期間中にFacebookページのタイムラインに写真を投稿してくれた方の中で、一番いいね!を獲得した方に○○をプレゼント!
Facebookページのアルバムの写真の中で、好きなものにいいね!をして投票してくれた方の中から、抽選で5名に○○をプレゼント!
キャンペーンの当選者にはFacebookメッセージでご連絡します。
キャンペーンの当選者は当Facebookページで発表します。

答えは……すべてガイドライン違反です。Facebook上でキャンペーンを開催する際には、次のポイントに特に注意してください。

  • Facebook上でのプロモーションは、Facebookプラットフォームに置かれるアプリケーション、または自社で作成したアプリ内で運営する必要があります。参加者の募集、抽選の実行、参加者の判定、当選者・受賞者の通知など、プロモーションのあらゆる要素の運営に、Facebookの機能を利用することはできません。また、プロモーションに関するデータはFacebook外のサーバーで管理してください。

  • Facebook上でのプロモーションはFacebookには責任・関係がないことを明記しなければなりません。プロモーションに関しての責任は全て主催者にあり、プロモーションで提供された情報は、Facebookではなく運営者やアプリ提供者が受け取ることを開示しなくてはいけません。

  • 自社Facebookページへのいいね!やスポットのチェックインにより、キャンペーンに自動参加させることはできません。Facebook機能の「いいね!」を押すことにより、自動的にキャンペーンに参加するような仕組みはダメ。「いいね!」をクリックした上で(応募条件)、さらにアプリを使ってコンテストに参加する(応募の実行)ものはOKです。ただし、「いいね!をすること」ではなく、「いいね!をしている状態」を参加条件にしなくてはいけません。これは、既に「いいね!」をしているユーザーがプロモーションに参加できないという不平等を避けるためです。

    ※例1「アパレルブランド U
    Facebookページに「いいね!」すると、Webポイントサービスのポイントが自動的に貰えるキャンペーンを実施しましたが、開始して数時間後にFacebook日本法人から「利用ポリシーに反している可能性がある」という連絡があり、キャンペーンが停止してしまいました。これはFacebookプロモーションガイドラインの「3.Facebook機能をプロモーションの参加または応募手段として使用することはできません」という項目に抵触すると判断されたためです。「いいね!」をすると“自動的”にポイントが付与されたことが問題だったようです。
  • タイムラインの投稿への「いいね!」やコメントの投稿、写真へのタグ付けを応募条件とすることはできません。また、キャンペーンに自動参加させることもできません
    ※例2「雑貨ブランド R
    TwitterやFacebookでメッセージを投稿すると音楽ファイルがダウンロードできるキャンペーンを開催しましたが、Facebookへの投稿が応募の条件だったため、プロモーションガイドラインに反すると判断され、一時中断となりました。その後Facebookへの投稿の有無にかかわらず、ダウンロードできるように仕様変更してキャンペーンを再開しました。
  • 「いいね!」ボタンなどのFacebook機能をプロモーションの投票手段として使用することはできません。
  • Facebookのメッセージ、チャット、プロフィールまたはFacebookページへの投稿など、Facebookを通じて当選者に通知することはできません。また、同様に配送先情報などをFacebookの機能で取得することはできません。

Facebook社からは、個別のパターンについての公式見解は発表されていません。ですから、明らかな規約違反以外は、解釈の問題になってくる部分もあります。どのように解釈するかについては意見が分かれるところですが、ページ削除などのリスクを考えると、できるだけ慎重に解釈しておくほうがよいと考えられます。

できることできないこと
Facebookページに「いいね!」、スポットへのチェックイン、アプリ連携をキャンペーンの参加・応募条件にする(※ただし自動的に参加完了としてはいけない)ファンの中からランダムに選んで賞品を授与する
Facebookページに「いいね!」している人全員にクーポンをプレゼントする「いいね!」するだけで自動的に参加が完了し、抽選でプレゼントが当たる
Facebookページではコンテストの内容紹介や告知だけで、実際の応募や投稿、投票は外部サイトで実施する参加したことを友達にシェアしないと抽選対象にならない
外部サイトで実施したコンテスト結果をFacebookページで紹介し、それに対して「いいね!」を募るコンテストのエントリーを自分のタイムラインに投稿させ、友達からの「いいね!」数を競わせる
ファンの中から選んだ人をFacebookページで紹介するアプリで開催したキャンペーンの抽選結果をFacebookページのタイムラインで発表する
プロモーションへの参加を自社のFacebookページのファンだけに限定するタイムラインへの投稿や写真のアップロードを抽選や選考の条件にする
ファンになった人だけが見ることのできるタブで、全員が貰える割引コードを表示する
表2-2-2 プロモーションを行う場合に、できること、できないこと
現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 藤田 和重、小川 裕子 著
  • ISBNコード
    978-4839943608
  • マイナビ 発行

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

本書は、アライドアーキテクツで約2年間に渡りブログメディア「ソーシャルメディアマーケティングラボ」を運営しながら、実際にFacebookマーケティングに携わってきた担当者2名が、これまでに培った経験や知見を最大限に活かし「企業のFacebookページ運営担当者」に向けて執筆した、Facebookマーケティング指南書の決定版です。

ターゲットを法人利用に絞り、Facebook広告の効果的な運用やFacebookキャンペーンの実施といった実用的な情報に加え、「どんな投稿がファンの心を引きつけるのか」といったテクニックや国内企業約35社のFacebook活用事例など、実際の業務で役立つ豊富なノウハウや情報を惜しげなく公開しています。

本書は、マーケティングやデジタル、WEBは専門だがソーシャルメディアはよくわからないという方、全く違う領域からいきなりFacebookページの担当になられた方、そして「Facebookって何?」という方でも、読み進めながら実践していただける内容を目指しました。

企業のFacebook活用の本質的な意義から、実務面の手順を追った解説、実例紹介まで、即戦力として役立つことを願っています。

ナビゲーターは新人マーケター「あゆみ」ちゃんと、マーケティング部の先輩である「小田先輩」。

図解やイラストを多用し、親しみやすい文章と誌面で、Facebookやマーケティングに詳しくない人でも、ある程度知っていて「一歩先の」知識を手に入れたい人にも、役立つ内容となっています。

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