レスポンス(反応)を最適化する | DSP/RTB入門書特別公開 #3
受け手のレスポンス(反応)を見ながら広告を最適化し、パフォーマンスを向上していくのがDSP/RTBの特徴である。
このとき何を優先してどのように最適化するかは、DSP事業者によって違いがあるが、広告主側でも基本的な思考プロセスを覚えておこう。
レスポンスの中身と最適化の方法
レスポンスとは、広告に接触したユーザーが何らかの反応を示すことである。この反応の詳細なデータを取得して、「誰が」「いつ(年月日、時間、曜日など)」「どこの媒体で」「どのようなクリエイティブ(訴求内容)で」「どんな反応(クリックやコンバージョン)」をしたかを解析することで最適化を図る。
具体的な最適化方法はDSP各社で異なり、現在では高度になっているが、最適化の方法を簡単に分類すると以下のとおりとなる。
- 反応の良い媒体を探す
- 反応の良い時間帯を探す
- 反応の良いオーディエンスを探す
- 反応の良いクリエイティブを探す
- 反応の良い回数を探す
これらを組み合わせることで純広など単純に露出をする方法とは異なる方法で最適化を行うことが可能である。
CTR向上の目的で媒体を最適化
たとえばオプティマイズ(最適化)エンジンが反応の良い媒体を探すことを第一優先にした場合、以下のとおりとなる。
インターネット媒体への出稿を行う場合、必ずしもCTRにこだわって入札をすることはないと思うが、あくまでも一例として参考にしていただきたい。
図3-1-1の場合、最適化エンジンは3つの媒体の平均CTRを記憶しておくことで、どの媒体が最良の露出場所かの判断を行うことが可能である。
仮に1か月出稿して、その平均CTRを見て翌月の媒体出稿に役立てるという運用であれば、配信結果を見て継続の判定を行う純広出稿と同じである。
ではオプティマイズエンジンが媒体と時間帯を見た場合、どうなるか。前述の媒体ごとのCTRはあくまでも平均値であり、実際には時間帯ごとに波があるはずである。
このように各媒体の最高のタイミングで配信を行うことで全体のCTRを向上することができる。
またここに媒体別のパフォーマンスを結果を加味すると、「媒体・時間」の2次元から「媒体・時間・クリエイティブ」の3次元になり、さらにオーディエンスを組み合わせると、「媒体・時間・クリエイティブ・オーディエンス」の4次元となり、管理するデータ量は飛躍的に増えていく。しかしこの中から最適な箇所を選ぶことができれば、全体のパフォーマンスを向上していくことは可能である。
結果から因果関係を考える
ここで注意が必要なのは、データには因果関係が存在することだ。たとえば、図3-1-3を見てみよう。
ここでは20時~24時のCTRが最高になっているが、この結果をふまえ20時~24時のみの配信を行った場合、同じ結果になるかどうかはわからない。
なぜかというと、この結果が生まれた理由には
- 事前の時間に何回かそのクリエイティブが配信されていた
- 過去数日に渡って同じ媒体にそのクリエイティブが配信されていた
など、ユーザーが事前にこのバナーを見ていたからこそ反応が高まったのかもしれないのである。
これを解明するためには、20時~24時にクリックした対象者のフリークエンシーを知る必要がある。必ずしも初回のインプレッションだったわけではないので、その点も加味する必要がある。オプティマイズエンジンもオーディエンデータの一部としてフリークエンシーなどを含む配信データを持っているのである。
このように各社がパフォーマンスを最適化するためにさまざまなデータを用い、日々進歩をしている。
たとえばプラットフォーム・ワン社であれば、図3-1-4のように変数を管理しており、近似性や反応の良い場所を探し、配信を行っているのである。
DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門
ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命
マス広告だけで物やサービスが売れた時代は終わり、いまや企業はネット広告やソーシャルメディアなど多様なチャネルで顧客とのコミュニケーションを続けることが求められている。本書は「枠」(掲載面)ではなく、「人」を特定して配信するターゲティング広告の最新テクノロジーDSP/RTBの基本的な仕組みと、それを活用したオーディエンスターゲティングの実践方法を解説した初めての本。受け手の反応を見ながら1配信ずつ最適化するDSP/RTBを中核に、顧客の反応を最大限に活かすビッグデータ時代のマーケティングを学ぶことができる。
ソーシャルもやってます!