ad:tech tokyo特集

ソーシャル時代のマーケティングが起こす「溜められる革命」という本質的な変化

モニプラファンアプリでおなじみアライドアーキテクツの中村 壮秀氏によるコラムをお届けする。
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ソーシャル時代のマーケティングが起こす本質的な変化とは? 「溜められる革命」としてのソーシャル革命について、モニプラファンアプリでおなじみアライドアーキテクツの中村 壮秀氏によるコラムをお届けする。

今年で日本での開催が3回目となるad:tech tokyoにて、私は「ソーシャルメディアの本質は?2011~マーケティング活用における成功と失敗~」というセッションを担当することになった。

そこで、このコラムでは、ソーシャル時代のマーケティングが起こす本質的な変化についてお話ししておきたい。

まず、ソーシャルというものは単なるトレンドではなく、根本的な「変化」だと捉えてもらいたい。特にマーケティングの観点では、インターネットの登場と同じか、もしくはそれ以上の大きな変化であると思っている。

ご存知のように、インターネットはサーバーとサーバーをネットワーク化することによって生まれた革命で、その登場以来、ネット上では多くの産業が誕生した。そして、成熟したインターネットにおいて、ネット上で個人にIDを与え人と人とをネットワーク化したことで生まれた新しいレイヤーが、ソーシャルネットワークである。

新たなレイヤーが誕生し、人がそこに向かってどんどん移動する、まさに「ソーシャル革命」が、これから本格化していく。

ソーシャル革命とは「溜められる革命」

インターネット時代にeコマース事業者たちは、ネット上における個人のデータベース(DB)化に成功し、効率的なダイレクトマーケティングを行った。これにより、一大市場が出来上がった。

そして昨今、この「個人」たちが繋がり合い会話することで人が人を呼び、今日のソーシャルメディアの成長へとつながったわけだが、eコマース事業者たちが持っていた「顧客をDB化し溜めていく」という感覚は、今後迎えるソーシャル時代においてはすべての企業が習得しなくてはならないものだと考えている。加えて、ユーザーと対話するソーシャルならではの手法を習得する必要がある。

なぜならソーシャル時代では、eコマースをはじめとしたネット事業のみならず、製造業、サービス業などほぼすべての業種において、ネット上でIDをもった個人たちと永続的な関係を持つ事が可能になったからだ。

以前は、何らかのプロモーションを行うたびに、さまざまな手段を講じて潜在顧客を集め、プロモーション終了後にはその顧客を資産として残すことなくネット上に“リリース”していた。IDの発行によってすでにソーシャル化の進んでいた個人のデータも、それを溜められる仕組みが無かったため、いわば毎回「掛け捨てていた」わけである。

ところが昨今、Facebookページという、企業がソーシャルユーザーを溜められる仕組みが日本でも普及し始め、さらに国内で2300万人のユーザーを擁するmixiもこの秋mixiページという仕組みの提供を開始した。「溜められる革命」の始まりである。

今、グリーやモバゲーなどのソーシャルゲーム事業者がなぜあれほど大量にテレビCMを打てるかというと、優れた収益性をもったビジネスであることはもちろんだが、それに加え、彼ら自体がソーシャルプラットフォームであり、ユーザーを溜められる仕組みを持っていたからである。溜めたユーザーは長期的に会社に収益をもたらす(Life Time Valueが高い)ので、CMで集めた顧客から長きに渡り収入を得ることができる。CMを有効活用することで、消費者の囲い込みに成功しているのだ。自社でユーザーを溜める仕組みを持たない、掛け捨て勝負の一般の企業とは考え方が異なるのである。

ただ、これからはこういったチャンスが、“溜められる手段”を手にした多くの企業に平等に訪れることとなる。今後、日本でもソーシャルユーザーが増え、Facebookページやmixiページがさらに普及を遂げた際には、一般企業によるテレビCMからの集客バブルが起きるのではないかと思っている。

ソーシャル時代を語るときには、とかく従来型の広告と相反して考えてしまいがちだ。しかし、決してそうではない。従来の広告とソーシャルネットのメディアミックスを図り、効率的に自社の顧客(=ファン)を溜めていくことが、これからの企業活動に有効であると考えている。

溜めたソーシャルユーザーと何をするか

これまでは、「(商品を)作る側」と「消費する側」には距離があり、その距離を広告という形で埋める事で消費活動を起こしてきた。

図1

しかしソーシャル時代では、この距離を埋めるための新たな手段が登場した。図2で「作る側」と「消費する側」の間にあるなだらかな三角形として示している、ソーシャルメディアを通じて企業の活動に参加する個人の存在だ。

図2

図2のように、「作る側」に近い位置に立つ個人は企業の活動に積極的に参加することになるだろうし、末端に近いユーザーも「いいね!」などを通じてライトな形で企業活動に参加するようになる。

ソーシャルの仕組みは、企業活動へ参加意欲のあるユーザーと関われば関わるほど、そのユーザーの友達へと活動の輪が広がっていく。これからは、このなだらかな三角形の面積を拡大し、積極的に参加するユーザーを増やしていく(図3)ことが重要な企業活動となる。

図3

ところが、企業はこの新しく生まれた環境にまだ慣れていない。お金を使うことで「消費する側」との距離を埋めることには慣れているものの、個人と“繋がる”という感覚がどうにもちんぷんかんぷんで、苦手意識を持ってしまうのだ。

マスメディアの隆盛からインターネットの発展まで、基本的にこの役割は広告枠が担うことが多かったが、ソーシャルの世界は親しい人と人とが繋がって会話している場であり、「枠」という概念だけでは説明しきれない。繋がり合うユーザーたちの輪の中に、うまいことお邪魔していく必要がある。

スマートフォンとソーシャルメディアの加速度的普及で、ユーザーは今後ますますネット上においてリアルタイムで繋がり合い、より簡単に情報をシェアできるよう、テクノロジーも進化し続けるであろう。

今は大きな変革期。“習うより、まずは慣れろ”の精神で、小規模でもソーシャルを使った取り組みを経験することをお勧めする。最初からうまく泳げる人がいないように、いきなり上手に活用できる企業などいるわけがない。ただ、消費者に対して真摯な心を持つ企業であれば、必ずこの「ソーシャルの波」を乗りこなせると信じている。

これからの世界は、“心は無くともお金がある企業”が成功できる時代ではない。優れたアイデアや真摯な姿勢を持っている企業が成功する時代だ。

さらに、ソーシャルは海外への事業展開も低コストかつスピード感をもって可能にすると考えられる。Facebookはアジア圏においても高い人口普及率を誇っている。国内の取り組みで使い慣れたプラットフォームを用いて、海外のマーケットのユーザーからインサイトを発掘し、マーケティングを展開することも可能になる。

今回のad:tech Tokyoにおけるセッションでは、メディア戦略にソーシャルを取り入れる事に成功しているブランドメーカー、ソーシャルな繋がりの場を提供しているメディア運営会社、ソーシャルメディアを活用して海外進出を果たしたアパレルメーカーという三様のトップランナーと共に、ソーシャルの世界で企業が実際に感じている本質的な話から、具体的に現場で生じている課題まで、こうした変革の波を乗り切るためのアイデアとマインドについて、さまざまな内容をディスカッションする予定である。

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