ステップ1: 集客のチェック
ステップ1: 集客のチェック
まずステップ1から見ていこう。綾瀬さんのサイトには、“ペット用品を買いたい”と思うお客さんがたどり着いているかな?
それは大丈夫だと思います。キーワード「ペット用品」でユーザーが訪問していますから。
わかった。ではそのお客さんはペットを飼っていそうかな?
はい?
本当に、ペットを飼っていて、今すぐ何かのグッズが欲しいと思っているお客さんだろうか?
それは実際に会ったわけじゃないし、わからないですよ。インターネットのキーワードからじゃ想像できないです。
でもステップ1では、“誰”を集客しているか分析することがとても重要なんだ。
一概には言えないけど、ペットを飼っていない人ばかり集客しても意味がないからね。つまり商品を今すぐ本当に買ってくれそうな人を集めなくてはいけない。
つまり「『ペット用品』で集客できているからいいや」って単純に思わずに、「お客さん候補になりそうな人を集客できているか」を一歩踏み込んで分析するのが大切だということですか?
そう。自分のサイトで“本当に買ってくれそうな人は誰か?”と真剣に考えてから集客を分析しなおすんだ。こういったお客さん候補の人は一般的に「見込顧客」と呼ばれているよ。
どうすれば分析できますか?
厳密には難しいけど、まずは以下の3つの方法がお勧めだよ。
広告をクリックしたユーザーを分析する
「あなたの老犬もこれで元気に!無添加の健康食がでました」
この広告をクリックした人はペットを飼っている可能性が非常に高い。逆にいえば広告文はクリック率ばかりを追わず、見込顧客を呼ぶものでないといけない。
ゴールから分析する
たとえば過去に「犬 虫歯」と検索している人がコンバージョンしていたとする。
ということは、この「犬 虫歯」と検索している人は、見込顧客の可能性が高い。
直帰しなかったユーザーを分析する
直帰しなかったということは、サイトに何らかの興味があるということだから、やはりその人は見込顧客の可能性が高い。
ステップ2: 入り口&導線のチェック
次にステップ2だ。ユーザーは綾瀬さんのサイトを気に入って中に入ってくれているかな?
これはどうなんでしょう……? まず直帰率が高いのは、さっき言ったとおりです。全体で70%もあります。
目安は50%以下だから、確かに悪い値だね。
じゃあ私のサイトは、ステップ2の「入り口&導線」がダメなんですね!
ところがそうとも言い切れないんだ。店舗販売の例で考えてみよう。
たとえば犬を買おうと思っていた人は、綾瀬さんのペット用品店に入ってもすぐ自動ドアから出ていくよね? 間違えて入っちゃったわけだから。そこで、Webサイトでも見込顧客だと思う人を細かく見ていくんだ。Googleアナリティクスでは、「アドバンスセグメント」という機能を使って、条件を絞り込んで解析できるよ。
直帰率はどうなった?
あ、「ペット用品 格安」と検索しているユーザーに絞り込んだら直帰率は35%になりました。悪くないですね!
アクセス解析ツールが表示する「全体の平均値」は参考にはなるけど、さっきもいったように、全体で見てしまったら、どうしても玉石混淆になってしまうよ。次回から「ペット用品 格安」で絞り込んでみよう。
平均ページビューも7.8PVになりました!
しかもペットフード「ペテグリィ茶夢」の紹介ページが人気のようです。やった! サイトの看板商品ですよ!
じゃぁ、サイトの導線設計はちゃんと上手くいっていそうだね。ステップ2ではセグメントを絞り込んで見込顧客の動きを抑えることが大切だよ。
ステップ3: プレゼンテーションのチェック
さあ、いよいよステップ3だ。やはり店舗販売の例から考えよう。「ペテグリィ茶夢」のページを見た人というのは、つまりお店でその缶詰を手に取った人に似ているわけだけど、商品を必ず買うだろうか?
それはないと思います。値段が高ければ買わないし、気に入らなくても買わないし。むしろ、缶詰をまた元の棚に戻す人が多いでしょうね。
そのとおりだね。では、店舗ではどうやったら買ってもらえるだろうか?
「他店舗より安いよ!」とか「限定50個!」とかPOPを作りますかね。あとは店員さんについて説明してもらうとか……。
まったく同じことがWebでも言えるよ。つまり買ってもらいたければ、普通は商品のプレゼンテーションが必要なんだね。もしそれがなければ、ユーザーには買う理由がないからね。成約率が悪いときというのは、このプレゼンに失敗していることがとても多い。おそらく綾瀬さんのサイトもそうだろう。
じゃぁ「上手いプレゼンと下手なプレゼンの違い」はどうやって見分けたらよいだろう?
残念ながらWebでは相手の顔を見ながら話せない。やはりアクセス解析のデータから推測するしかないんだ。
プレゼンテーションが成功しているか判断する方法は、次の3つだ。
ページ滞在時間
「ペテグリィ茶夢」のページを見た人の滞在時間。
この時間が長ければ、しっかり内容を読み込んでもらえている。ただし長い場合は迷っている場合もあるからそれは自分たちで判断しなくてはいけない。
コンバージョン率
「ペテグリィ茶夢」のページを見た人の、だいたい0.5%~2%が申し込んでくれていればOK。
もちろん、コンバージョン率は価格によって上下するし、品揃えによっては別商品のコンバージョンに流てしまうこともあるので、一概には言えない。しかしそれを言い出すときりがなく、基準値がなくて判断に迷うので、まずは目安として最低値の0.5%を据えてみる。もし0.5%を切っているならば、何かしらプレゼンが良くない可能性がある。
ユーザー導線
「ペテグリィ茶夢」のページを見た後のユーザー導線を確認する。
ユーザー導線で「申し込む」ボタンを押してくれていれば、プレゼンは成功している可能性がある。でも、会社概要やプライバシーポリシーなどを見られているのだとしたら、サイトや商品の信頼感に問題があるのかもしれない。
あとは「ヒートマップ」というツールでは、ユーザーがどこをクリックしたかがわかるようになっている。こういったツールを組み合わせていってもいいね。
なんとなくわかってきました。私はいろいろなデータを見て、商品プレゼンが上手くいっているかどうか判断するべきなのですね。
アクセス解析のデータからは、残念ながらユーザー像の推測しかできない。それでもわかることはたくさんあるんだ。何から手を付けていいかわからないときは、今回の3ステップで施策を考えてみよう。きっと何かが見つかるよ。
数値を見てもまずいところがない場合
ところで先生、僕の場合、数値を見てもまったく問題ないように見えるのですが、なぜか成約率が伸びなくなっています。どうしたらいいでしょうか?
「特に問題がないように見えるのに、なぜか申し込みが入らない」というのは、実はよくあることだね。それには大きく3つの理由があると思っていい。
- サイトに問題はないけどいまいち決定力に欠ける
- そのサイトの限界まで飽和している
- サイト外に問題がある
でもこれは長くなるし別の話なので、また別の機会にしたいと思う。まず今日は、ゆいさんのサイトの成約率をみんなで上げようじゃないか。
お悩みサイトの成約率を上げたいのですが、どこを見ればよいですか?
アドバイス「サイトの成約が少ない」ということは、一言でいうと「ユーザーがサイトで買う気にならなかった」ということです。そこで、まずは商売のイロハの視点で見るべき個所を、いくつかピックアップしてみます。以下のステップで順番に考えていきます。
- お客さんが店の前に来てくれたか?(集客)
- 入店し、店内をウロウロしてくれたか?(入り口&導線)
- グッズを欲しいと思って買ってくれるか?(プレゼンテーション)
※現在新しいGoogle Analyticsのベータ版が使用可能ですが、考え方は同じなので現状版の画面で説明します。
- 【3分】 ステップ1: 集客のチェック
まず「見込顧客はどんな人か?」を真剣に考えてみましょう。性別、年齢、困っていること……。見込顧客とは今まさに商品を買おうと思っている人のことです。
見込顧客が検索しそうなキーワードを洗い出してみましょう。複合語でもいいです。
Googleアナリティクスならば「トラフィック」→「キーワード」レポートを使ってそのキーワードで検索しているユーザーがいるか見てみましょう。
直帰していないユーザーに絞ってデータを見てみましょう。先ほどのキーワードデータはどう変化しましたか?
- 【1分】 ステップ2: 入り口&導線のチェック
アドバンスセグメントを使って、ステップ1で考えた特定キーワードを検索したユーザーだけに絞り込んでみましょう。
- 【1分】 ステップ3: プレゼンテーションのチェック
平均PVや離脱ページを見てみて気づくことはありますか?
先ほどのアドバンスセグメントを有効にしたままで、ユーザーが商品ページを見ているかチェックしましょう。コンテンツ→上位のコンテンツレポートで確認します。
ページ滞在時間は何分ですか?
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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