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ビュースルーコンバージョンを加味した5つの評価ステップ

ビュースルーコンバージョンを加味した5つの評価ステップ

ビュースルーコンバージョンの評価手法は、様々である。ビュースルーコンバージョンにも課題はあり、万能ではない。広告が配信されたとしても、本当にその広告が見られたかどうかはわからないからだ。ページの最下部に広告が掲載された場合、何ページかスクロールしないと広告はユーザーの目には映らない。

そこで、我々Fringe81が、広告主向けのサービスとして、普段用いている評価手法の最もシンプルなパターンをいくつかのステップに分けて紹介する。この手法であれば上記課題をある程度解決でき、今までのメディアプランニングも大きく変えることが可能となる。

図ビュースルーコンバージョンを加味した媒体評価手法
図2 ビュースルーコンバージョンを加味した媒体評価手法

ステップ1媒体グループ別に比較を行う

正しくビュースルーコンバージョンを評価するには、媒体特性ごとにグルーピングして評価していく必要がある。ここでは、媒体にブラウザでアクセスした際に、1ページ目の目立つところに広告が掲載されているか、ファーストビューをポイントに2つの媒体グループに分類する。

  • グループA:タイアップ広告、純広告、ファーストビューの多いアドネットワーク
  • グループB:ファーストビューの少ないアドネットワーク

複数の媒体、ここでいうグループAとグループBは同一に比較してはならない。なぜなら、インプレッションが同じだとしても、グループAの方が「実際に広告を見た(ビューした)」ユーザーは多くなるためだ。一方で、ファーストビューが多い媒体は、インプレッション単価が高い場合が多く、メッセージが到達するユニークユーザー数が少ないという特性がある。

グループBは、インプレッション単価が安く、同じ広告費で多くのユニークユーザーに到達できるというメリットがある。ただし、ファーストビュー以外にも掲載されていることがある。よって、「必ず広告を見た」と言い切ることができない。ただし、間接コンバージョンの数の大小を比較することで媒体を評価できる。

ステップ2直接コンバージョン数の大小を評価

次に直接コンバージョン数の大小を評価する。CPAが割に合う場合は間接コンバージョン数に限らず、次も広告出稿すべし、と即断できる。

ステップ3ビュースルーコンバージョン数の大小を比較

この媒体は間接コンバージョンが多いのか、少ないのか、媒体特性を把握するにはビュースルーコンバージョン数の絶対値の大小を知ることが非常に重要だ。間接コンバージョンが何らか発生しているということは、その媒体社への広告出稿によって、ニーズや興味が喚起され、影響を受けたということに他ならない。絶対値が大きい場合は、その媒体は消費者に影響を与えやすいと判断できる。

ステップ4間接コンバージョンを評価指標に組み込む

おおよその媒体特性を判断できたら、次に媒体プランニングにも適応できるように間接コンバージョンを安心できる評価指標に組み込む。

具体的には、ビュースルーコンバージョン数を、広告の掲載期間中または掲載終了後10~15日間の間までに発生したもののみカウントし(つまり、1週間の掲載期間であれば、総期間17~22日間)、16日以降に発生したビュースルーコンバージョン数はいったん切り捨てる。切り捨てる理由は、「何か月も人間は覚えているものではない」という考えからだ。たとえば、2か月も後でコンバージョンした人が、ディスプレイ広告を覚えていてコンバージョンした、というのは少々乱暴だ。2か月も経つと、本当に広告の影響かどうかわからなくなってくる。この最適な切り捨て期間は、商材の購入検討期間にも大きな影響を与え、米国のBtoB商材の事例では、30日程度で切り捨てるのが適切とされている。

ステップ5トータルCPAを加味して媒体評価

最終のステップまで来れば、安心して媒体評価を行えるようになる。今まではコンバージョン数のみで評価してきたが、最後に直接コンバージョンと間接コンバージョン、さらに媒体コストを加味して、CPAで評価を行う。これをすべてのコンバージョンを得られるコスト、ということで、トータルCPAと呼ぶ。

トータルCPAは、媒体費÷(直接コンバージョン+10~15日以内のビュースルーコンバージョン数)で算出できる。この計算式であれば、検索エンジン経由などで訪れてコンバージョンしていた数値も含めた、真の媒体の効果測定が可能となる。次に媒体プランニングをする場合は、トータルCPAの安い媒体から優先的に購入していく。コンバージョンに貢献したすべてのパスを明らかにして評価するという、アトリビューションの考え方もあるが、ここまでは最低限やっておこう。

広告出稿のPDCAは、第三者配信と効果測定ツールを組み合わせて作る

以上5つのステップをやり続けることができれば、「純広告はリスクがあって怖い」ではなく、「この媒体、このアドネットワークの効果はこれぐらいだ」と判断できるようになるだろう。次回以降のメディアプランニングは今までよりも自信を持って、「この媒体はこういう特性でこういうトータルCPAだからやる」「この媒体は直接コンバージョン数は出にくいが、間接コンバージョン数が多く出るのでやる」と広告出稿媒体の役割分担も考慮しながら、納得して行うことができるはずだ。また、コンバージョンデータに加えて、フリークエンシー数やユーザー属性が近い媒体に、もっと広告出稿を集中することで新規ユーザーを多く獲得できるだろう。さらに改善していくには、コンバージョンやユニークユーザー数の重複率を見たり、サイズ別や期間別にチューニ ングしてくことが必要となる。

今まで使っていた広告効果測定ツールを捨てろということではない。従来の効果測定ツールはランディングページやサイト内導線、検索エンジン経由すべての効果測定を行うための、どちらかと言えばサイト内改善を果たすためのプラットフォームだ。米国でも組み合わせて使うのが一般的となっている。

「ディスプレイ広告はコンバージョンだけではない」という議論もあり、それはその通りだ。ブランディング効果もあるし、なにより検索エンジン経由での流入数増加にももちろん影響を与えている。ただし、現時点では直接のクリック数(流入数)や直接のコンバージョンしか評価していない。掲載期間中のバナーのクリック単価は、いくらだったか、直接コンバージョン数はいくらだったか、という指標のみで評価してしまうと、そもそもブランディング効果とは何だったのかということになりかねない。ぼんやりした「ブランディング効果」ほど危ないものはない。

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