みずほグループ全社の信頼性を確保したCMS導入による大規模リニューアル/みずほFG+TeamSite
ガバナンスを強化し、20%の制作コスト削減を実現
前述のように、みずほFGではニュースリリース、為替相場、レポートなど、即時性や更新頻度が高い情報については、社内で更新できるようにテンプレート化することで、CMSの操作に慣れていない社内の担当者でもHTMLを編集することなく情報公開できる仕組みを整えている。こうした掲載情報はグループ会社によって決裁などの方法が異なるため、社内承認済みのPDFをCMSとは分離して管理し、CMSの承認機能(ワークフロー)を簡素化した。さらに、制作会社や企画会社が扱う8つのテンプレートを標準テンプレート化することで、さまざまな導入効果があったという。
最も高い効果として目指していたのは、ガバナンスの強化だ。同じルールでWebサイトを運営するためには、HTMLソース、デザイン、ユーザビリティなどを標準化して、Webサイトの品質を一定水準以上にする必要があった。みずほFGでは、TeamSiteによって運営ルールを統一することで部署単位での部分最適化を避けることができ、HTMLソースやデザインを標準化することでユーザビリティやアクセシビリティを保つことができるようになったという。
「社内の担当者にはしっかりとしたマニュアルを用意し、タイトルと内容を入れるだけで更新できるようにしているため、担当者の異動などがあってもすぐに対応できます。独自の標準化ルールを立ててしまうと、属人的であったり、解釈にブレが出てきたりするため、標準化しているつもりでもしっかりとしたものにならない場合があります。そのため、W3C勧告のWCAG 2.0など、社外の標準化を取り入れることで実際の制作作業を行う人のブレを少なくしています。新たな制作会社に発注する場合でも、我々が作成した制作ガイドラインを渡せば、一定の範囲内にブレを抑えることができます」(村尾氏)
コスト面でも、テンプレートを修正してページを再生成するだけで済む場合が多くなり、制作コストを約20%削減できたという。Webサイトを管理するTeamSiteを基盤システムに組み込むことで、セキュリティを確保するための運用管理を基盤システム側で一元管理できるようになり、運用コストも下げることに成功した。
掲載までのタイムラグを解消し、業務効率化とリソースの有効活用を実現
スピードの向上というポイントについても、テンプレート化によって制作スピードが上がり、これまで郵送やメールなどで制作会社とやり取りしていた納品物の確認も、TeamSite上で行えるようになり簡便化された。ワークフローを簡略化することで決裁スピードも上がった。
また、コンテンツ配信管理システムのOpenDeployを導入することで、これまで掲載までに5~10分かかっていたのが数秒で公開できるようになったと村尾氏は言う。「適時開示のニュースリリースなどは、誤って早い時間に掲載されることを避けるため、5~10分のタイムラグを見越して早めに掲載することができず、掲載可能な時間が来てから公開することになります。決算時には複数のリリースを公開する必要があるため、すべて公開するまでには30分くらい時間がかかってしまい、いち早くリリースを求めているアナリストの方々にすばやく情報を提供できないことになります。お客様の情報を求めるスピードが早くなっているなかで、数分が数秒になったことは大きなメリットです。また、アップロード完了までの業務効率が向上し、その時間を他の作業に充てられるようにもなりました
」
さらに、今回の大規模プロジェクトを成功させることによって、ユニークユーザー数やアクセスユーザー数が10~20%増えているという。
マルチデバイスへの対応と、事前チェック機能が今後の課題
CMS導入でグループ全体でのWebサイト標準化を実現できたみずほFGだが、TeamSiteをベースにさらなるWebサイトの課題解決にも期待しているようだ。スマートフォンなどの需要が増えているなかで、マルチデバイスへの対応もその1つとなる。「スマートフォンやタブレット端末への対応はある程度できていますが、テンプレート化は行わず、ファイル単位での対応になっています。今後は“ワンソース・マルチユース”で各デバイス用のコンテンツを効率的に更新できるようにすることが課題です」(村尾氏)
また、リンク切れやアクセシビリティ、バリデーションのチェックは、他のツールを使ってコンテンツ公開後に行っているが、このツールとTeamSiteを連携させることで、制作時や公開後のチェックだけでなく、プレビュー段階でのチェックができるようになることも期待しているという。オートノミーでは、これらのお客様の声を傾聴し、さらに使いやすく効果の高いツールとなるよう製品に反映していく。それによって、基盤システムとともに稼働するTeamSiteとOpenDeployがメガバンクの大規模Webサイトを今後も支えていく。
CMS導入の効果
- サイトの信頼性を確保しつつガバナンスを強化
- 運営ルールの標準化によりWebサイトの品質が向上
- テンプレート化によって制作コストを20%削減
- ワークフロー改善によって掲載までのスピードが向上
- CMSを基盤システムに組み込み運用コストを削減
※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時のものです。
- 目的:銀行持株会社として、銀行・信託銀行・証券会社などのみずほグループ各社の情報、株主・投資家向け情報などを提供。みずほのブランドコンセプトや経営戦略のほか、CSRレポートなども提供する。
- オープン:2011年1月にCMSの全社導入を完了して運営開始
- コンテンツ数:約8,000ページ
- URL:http://www.mizuho-fg.co.jp/
提供事業者:オートノミー株式会社
概要:Autonomy Interwoven TeamSiteは、コンテンツの制作から配信までをトータルに管理し、企業サイトの最適化を実現できるエンタープライズCMS。グローバルで5,000社、国内150社の導入実績を誇る。パートナー企業と連携したAutonomy Interwoven TeamSiteの導入・サポートも行う。みずほFGでは、コニカミノルタビズコム株式会社が導入を行っている。
- Autonomy Interwoven TeamSiteの特徴
- 大規模サイトへ単一サーバーにて対応する特許ベースのアーキテクチャ
- 多数ユーザーでの編集を円滑にする共同作業環境
- コンプライアンス要求へ応えるサイト全体のバージョン管理
- ビジネスプロセス全体を自動化するワークフロー管理
- 外部制作コンテンツも含めた全コンテンツの管理プラットフォーム
- 出力形態:静的・動的コンテンツ生成
- URL:http://www.interwoven.co.jp/
- 概要:OpenDeployは、HTMLや画像などの静的コンテンツからCGI、PHP、JAVAなどのプログラムソースまでを、様々な配信元から本番Webの実行環境へと、自動かつ確実に配信するための基盤製品。単なるITコストの削減にとどまらず、Web上のサービスや情報提供のレベルを向上するためのプラットフォームとなる。
- OpenDeployの特徴
- スケジューリングやワークフロー連携による配信業務の自動化
- システム化による安全・確実な本番配信
- 複数の本番サーバーへの同期配信、エラー時のロールバック
- 暗号化によるセキュリティ強化
- 配信ログ出力、レポート
- システムや回線状況にあわせた柔軟な配信ルート構成
コメント
「2010年にウェブアク
「2010年にウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)が作成したアクセシビリティ規格の“JIS X 8341-3:2010”」というのは誤りです。訂正してください。
修正いたしました
お恥ずかしいミスが残っており、大変失礼いたしました。本文を修正いたしました。
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