2. パブリシティのリターゲティング
広告ネットワークによる従来のリターゲティングは次のような過程をたどる。
君のサイトを訪れたユーザーのブラウザに、そのサイトを訪れたことを示すクッキーを広告ネットワークの仕組みが残す。
そのユーザーが、商品を購入することなくサイトを離れる。
同じユーザーが、そのネットワークからの広告を表示する別のサイトを訪問する。
広告ネットワークは、そのユーザーが君のサイトを訪れたことがあることを認識し、君の製品の広告を表示する。
うまくいけば、ユーザーは君のサイトを思い出し、再訪して購入する。
しかし、このようなリターゲティングは、サイトを訪問してくれた相手にクッキーを残せる場合にしか使えない。僕が提案したいのは、このテクニックを応用して、訪問者が君についてほかの場所でどんなことを目にしているかに応じて、サイトのキャッチコピーを変更することだ。
具体的にはこうだ。自分のブランドに関する新しい投稿を毎朝チェックする(いや、これはもうやっていることかな?)。今日はブログやニュースサイトで自分の会社の製品についてレビューが3件あったとしよう。そのページのURLを記録して、サイトの訪問者がレビューのうちどれかを読んでから来訪したのかを確認しよう。そうすれば、訪問者がレビューを見た製品に関する情報を載せた、目立つコンテンツボックスをトップページに表示し、製品ページへのリンクを掲載するといったことができる。
さらに、レビューを読んだことでの特典を提示してもいい。「『The Daily Bugle』を読んだ方に対して、Initech製品を10%ディスカウントいたします」といった具合に。
同じテクニックは評判管理にも利用できる。あなたに関する否定的な記事がどこかのサイトに掲載された場合、情報を求めてサイトに人が来ることが考えられる。「The Bluth Companyは背信行為などしていません――続きを読む」なんていうメッセージをそのままトップページに載せたいとは思わないだろう。その場合、問題の記事をすでに読んだ人にだけこの見出しを表示するという選択肢が使える。
3. 競合企業の顧客を見つけ出す
これは、コンバージョン率最適化(CRO)の取り組みの中でも、特に力を注いでいいところだ。
ついこの間、「ライバル銀行の口座を解約して自行に乗り換えるなら100ドルを提供する」という銀行があった。これなどは、サイトでそのキャンペーンを宣伝する相手を狙い定めるために、訪問者の閲覧履歴を調べる手法を活用する絶好の機会だろう。ライバル銀行のオンラインバンキングで使われるログインやログアウトのURLを訪問しているかを確認すれば、本当にその銀行の顧客なのかが判別できるから、その結果によって、あちこち見て回っている人(各銀行のウェブサイトを全部見て回っている人)には知らせないという選択もできる。
Eコマースサイトの場合は、訪問者が競合企業のサイトに行ったかどうかを確認できるし、競合製品をAmazonなどほかの小売り店で見てきたかも確認できる。見てきた人には、製品ページに2つの製品の比較を載せるのがいいかもしれない。そうすれば、コンバージョン率の向上につながる可能性がある。とはいえ、競合製品を見たことのない人にまで、自社製品と競合製品の比較を見せるのは避けたいところだ。
結論
訪問者が特定のページを訪問したかどうかを調べる行為は、一見、少し後ろ暗いものに思えるかもしれない。しかし、ウェブやウェブブラウザの設計がそうなっているのだし、ユーザーにはブラウザ履歴をブロックするという選択がある。
適切に実施すれば、コンバージョン率が高く効率のよいウェブサイトを作る強力な手法になるものだ。賢く利用しよう。
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