ペルソナ、KPI設定後に約3,000ページを移行。移行作業には一苦労も
ペルソナ、KPI設定後に約3,000ページを移行。移行作業には一苦労も
●滝澤 具体的なプロジェクトとして、10サイト/205テンプレートの制作、約3,000ページの移行が始まりました。まず、CMS導入前にペルソナ作成とKPI(重要業績評価指標)の設定をされたんですね。
●寺西 どちらも初めてでしたので、経験できたことは非常に有意義でした。先ほどお話した通り、それまではWebサイトの有効性を客観的に評価する仕組みがなかったため、指標(KPI)ができたことは大きかったです。リニューアル前と後で、どう変わったかを計ることができなければ、プロジェクトの成果を知ることもできませんから。
ただ、ペルソナに関しては、次にどんなアクションを取ればよいかをもう少し指示してくれればと思いましたね。KPIについては、重要な指標をある程度絞り込んでもらった方が良かったかなと。
●滝澤 その後は、サイト構造設計とデザインを提案ですね。デザインについては、幼児から社会人までさまざまなターゲットがいるなかで、共通のフォーマットデザインを作られました。二案から一案を選んでブラッシュアップする形でしたが、社内の評価はいかがでしたか?
●寺西 構造設計は、事前に助言をもらっていた有識者の方とほぼ合致していましたので違和感なく把握することができました。デザインは、リニューアル前のWebサイトの評価があまりよくなかったものですから、多少慎重でしたね。デザインは主観の塊といいますか、人によって本当に感じ方がさまざまですから、当然案に対する賛否両論はあります。なので、全体の雰囲気は統一するものの、細かな部分で各事業部門の方が好きなようにできるよう調整しました。
●滝澤 なるほど。最終工程である移行作業については?
●寺西 実際にデータを移行する作業を担当したシステム課との調整不足で少し手こずってしまい、最後は大変でしたね。
●滝澤 システム課とのコミュニケーションと開発前の調整をもう少し緻密にやっておければと、私も反省しております。
プロジェクト成功に欠かせない発注者と受注者のコミュニケーション
●滝澤 全体を通じて、ロフトワークとプロジェクトを進めてみて、どのように感じていましたか?
●寺西 プロジェクトを完遂するには、プロジェクトマネージャーである私と、滝澤さんとのコミュニケーション次第だと思っていました。その点で、滝澤さんには任せられると最初の数か月で感じていたので、細かい点ではいろいろありましたが(笑)、全面的にお任せすることができましたよ。
●滝澤 私の感想としては、10人以上のメンバーの方々とやり取りをさせて頂きましたが、非常にやりやすかった印象が強いです。通常メンバーの数が増えれば増えるほど、合意を得ていくのが難しくなると思いますが、改めて、プロジェクトマネージャーにはどのような資質が求められるとお考えですか?
●寺西 いや、ほとんど何もしていないですよ(笑)。プロジェクトマネージャーは、調整役と最終決定者に徹することが大事です。社内では、メンバーが自分の仕事に専念できるようにして、制作会社にはやるべき仕事をしっかりとこなしてくれるようにマネジメントする。それが、無事に公開できた要因だと感じています。
●滝澤 ロフトワークにとってもかなり大規模なプロジェクトで、いろいろと迷惑をかけた点もあったかと思いますが、無事に公開することができました。寺西さんのリニューアルを終えての率直な感想や今後の展開を教えてください。
●寺西 データ・システムの移行の際、コミュニケーション不足でスケジュール通りに進まなかった点を除けばかなり評価は高いですよ。まだリニューアルして日が経っていないので、定量的な効果測定は今後ですが、さまざまな気づきを生んでいます。たとえば、新たに搭載した検索窓で入力されている項目を各事業部門に示してあげるだけで、「このようなワードで検索されているんだ」という気づきを与えられています。ある部門では、地図が見やすくなったとか。些細なことかもしれませんが、そうした新しい発見を明示することは大事で、プロジェクトメンバーの責任だと思っています。
●滝澤 今後寄せられる効果や要望などリニューアルの評価を引き続きお聞きできればと思います。改めて今回はありがとうございました。
※社名、肩書きなどは取材時点のものです。
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