CMSとは――導入から構築まで

CMS導入後のコスト削減メリットを示して経営陣を説得

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CMS導入後のコスト削減メリットを示して経営陣を説得

●滝澤 そうだったんですね。ただ、必要であっても、複数の事業部門の情報を発信するオフィシャルサイトだけに、社内でリニューアル敢行を説得するのは大変だったのではないですか?

●寺西 筋道を立てて説明したうえで、熱い気持ちを示せば、Z会の経営陣は必ず理解してくれる。そう感じていました。私の個人的な私利私欲ではなく、先ほどお話した3つの目的を果たしたいという気持ちを素直に伝えれば、予算を獲得してプロジェクトを動かすことはできると確信していましたよ。

●滝澤 寺西さんの熱い気持ちは、私もプロジェクトを通じてすごく感じました。ただ、戦略家でコミュニケーション力に長けている寺西さんは、きっと緻密な資料を用意してわかりやすくリニューアルの必要性を訴えたのではないか、と推測しています。

●寺西 正確な資料をつくろうとすると、ページビュー、コンバージョン……横文字のオンパレード。ITやWebの専門知識がない経営陣に専門用語を並べても、真意が伝わらないどころか、「俺にはわからん」と片付けられ、逆効果ですよね。なので、資料づくりや経営会議での審議時においては、リニューアルすることが企業の利益にどれだけ貢献するか、わかりやすい指標での定量的効果をはっきりと明示することに主眼を置きました。

●滝澤 その定量的効果とは?

●寺西 コストです。システム課で弾きだしてもらった数字は、「CMS導入により1人月分削減できる」(たとえば1人月100万円で換算した場合)。大規模サイトのリニューアルコストは通常5年の減価償却で考えますから、リニューアル費用が60人月未満、つまり、おおよそ6,000万円未満なら、コスト削減に寄与します、と、わかりやすく説明しました。

5年間の運用コスト削減のイメージ(各比率はサンプル)

●滝澤 なるほど。説得力のある数値ですね。ただ、全社的な情報発信ツールで関わる人も多いだけに、突っ込まれた部分があるのでは?

●寺西 もちろん賛否両論はありましたよ。細かな部分ではいろいろな指摘をもらいましたが、「部分最適よりも全体最適を優先する」という強い姿勢を示し、デザインなど細かな部分では各事業部門の要望に柔軟対応できるような仕組みを事前に用意することで、大方の反対意見は取り除くことができました。

●滝澤 あがってくる意見を想定し事前に調整していた、ということですね。その一方で、自力だけでなく、外部のコンサルタントも活用されましたよね。社内を説得させるために、外部の力を借りたのはなぜですか?

●寺西 CMSの重要性を示すために、有識者の方から、Z会が運営していたWebサイトの問題点を指摘してもらいました。さまざまに助言していただき、その上で、Z会のWebサイトの弱みをハッキリと指摘してもらったことで、社内のムードはかなり変わったんです。リニューアルに向けての気運が一気に高まりました。

50倍違った見積もり金額。RFPを見直して7社から最適な企業を選定

●滝澤 実際に計画を立てたプロセス、そして制作会社の選定方法について教えてください。

●寺西 必要な情報ページを整理し、不要なページを削減してHTMLベースでまずはサイトをリニューアル。その後にCMS化という段取りを当初は踏むことにしていました。まず4社の制作会社に見積もりを依頼したのですが、見積もり金額が大幅に違っていました。最も高いところと最も安いところで50倍程度の開きがあったんです。

セミナーに出たり、関連書籍を読んだりして勉強したつもりですが、50倍の開きが出るのは、こちら側にも問題があると感じました。そこで、RFP(提案依頼書)を再度つくり直し、費用面を再考、デザインリニューアルとCMS導入を並行して進めることにし、CMSの管理は静的ページに限ることなどを再決定したうえで、改めて7社に見積もりを取りました。

第一次選考では、費用面で折り合いがつかない提案はまず外れました。次に、Z会専用CMSを独自開発する提案と、オープンソースソフトウェア(OSS)のCMSの提案は、その後の改修を予測すると追加発注時の費用が大きくなるリスクがあるとして外しました。また、高度な技術を要求されるCMSの提案も、当社では使いこなせない点を理由に選考から漏れました。

第二次選考に残った3社の中から、価格、(前回のリニューアル時に課題だった)デザインに強みを持つこと、CMS導入の豊富な構築実績、当社の運用体制にマッチした提案内容だった点を総合的に判断した結果、ロフトワークを選びました。

金額は最安値ではありませんでしたが、事前のオリエンの際に代表の林氏と直接と打ち合わせたできたことで、ロフトワークで通常見積もりに含めるというミスコミュニケーションに備えたリスクヘッジのコストをなくすことで、当初の見積もり金額よりさらに抑えてくれた点も好印象となりましたね。最終的には、10名のプロジェクトメンバー1人ひとりに対して、ロフトワークで良いかをヒアリングし、全員一致まで持ち込んで決定したんです。

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