居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り

■世界一とおらが村で一番

■世界一とおらが村で一番

居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り in 北京

A氏「でも、それはあくまでシステムの話ですよね」

筆者

「うん。けれどもこれと同じことはコンテンツにも言えると思うんだ。」

A氏「うーん。たとえば?」

筆者

「たとえば、世の中にゲームがたった1つしかなかったら、どうだろうか」

A氏「その会社は凄く儲かるでしょうね」

筆者

「確かにね。でも、他の会社は?」

A氏「成り立たないんじゃないでしょうか」

筆者

「まあそういう前提の話だから自明だよね。他の会社だけじゃない。もし、1つしかなかったらそのジャンル自体が停滞してしまうだろうね。その会社自身も、新作が成り立たないんじゃやる気もなくなってくるしね」

A氏「ゲーム雑誌も広告も成り立たなくなりますね。競争がないんだから」

筆者

「もちろんそんな世界はこないだろうとわかってる。とりあえず現時点ではね」

A氏「そうですね」

筆者

「でも、北京に来て僕が感じたのは、中国といえど意外と日本と変わらないな、ということなんだよね」

A氏「あ、それは意外。どういうところが?」

筆者

「やっぱり、動画共有とSNSが流行ってるんだよ。人間の求めるものが似通ってるのかもしれないけど」

A氏「へえ!でも、中国はYouTube見られないんですよね」

筆者

「うん。その代わり、別の動画共有サービスがもっとずっと流行ってるわけだ。YouTubeどころかTumblrも見られないよ」

A氏「なんかやはり、“管理されてる”って感じですね」

筆者

「でもね、それはそれで意味のあることだとも思ったんだよね。そうすることによって、国内にスーパースターを作ることができるよね。そうしたら、真似する人たちも出てくる。“もっといいもの、もっとおもしろいものを”って感じに」

A氏「競争が生まれる」

筆者

「そう。そうやって国内の競争を勝ち上がった強いサービスが、今度は世界に翼を広げるという図式なんだなあ」

A氏「甲子園みたい」

筆者

「トーナメント式計画経済というか、それはそれで国の政策として意外とまっとうなんじゃないかと思うね。日本人的な意識としては統制されてる、自由がないっていう印象が強いかもしれないけど、結果として成功する人が国内にいたほうがいい

A氏「それはそうかも。GREEやモバゲータウンも、国内の需要があってこそ、海外展開に目がいくわけですからね」

筆者

「逆にメインストリームの検索エンジンに関しては、日本は完全に出遅れてしまって、海外勢に牛耳られてしまったしね。国際的な闘いが始まる前に、まず国内で勝たないといけない」

A氏「だから一見ひどいファシズムにも見られがちな保護政策にも、国益上のメリットはあるのではないかということですね」

筆者

「ただ、いまのところ日本は完全に米国の経済圏に飲み込まれているから、中国みたいな過激な法規制をしたら世論が黙ってないだろうしね。だからごく自然に生まれた、ケータイの文化圏は守って行くべきだと思う。外国企業を排除するのではなく、取り込んで行くようなやり方でね

■日本のITサービス企業の海外進出は?

居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り in 北京

A氏「なんか、ただ肉まん食べにいっただけかと思ったら、意外と考えてるんですねえ」

筆者

「ウルサイよ(笑)。肉まんは食べたけれども」

A氏「モバイルで言うと、海外進出しようという会社は多いけど、結構苦戦してるじゃないですか。うちもですけど。あれはなぜなんでしょう?」

筆者

「僕も昔、北米展開で失敗したことがあって、まあ、あれはもう失敗と言っていいと思うけど」

A氏「AT&Tですか?」

筆者

「そうね。それもあるし、いまの会社を作ってからも、韓国の会社と取引したり、北米向の会社の依頼でゲームを作ったりしてるんだよ。会社としてはリスクマネーを使ってないので損はしてないけど、事業としては正直上手く行ったとは言い難いね」

A氏「なぜなんでしょう?」

筆者

「理由は無数にある。けど1つ言えるのは、アメリカは日本じゃないってこと。当たり前だけど。」

A氏「禅問答みたいですね」

筆者

「アメリカは日本じゃない。日本人にとって便利なもの、魅力的なものがアメリカ人にとってもそうであるとは限らない。また、日本で上手くいってる会社がアメリカでもうまく行くとは限らない。」

A氏「そうなんでしょうね。苦戦してるんだから」

筆者

「日本はやっぱり自国のゲームだとかアニメだとかをね、過大に評価しすぎてると思う。宮崎駿ですらだよ、アメリカ人はほとんど知らない。」

A氏「えっ、“千と千尋の神隠し”はブレイクしたんじゃないですか?」

筆者

「したよ。だけど、君はマイケル・ベイを知ってる?」

A氏「え…すみません。存じ上げません」

筆者

「『アルマゲドン』『バッドボーイズ』などなど、彼が監督してヒットした映画は多いよ。だけど、日本人の認識だってその程度でしょ。ジョージ・ルーカスは?」

A氏「うーん、聞いたことある…かなあ」

筆者

「若い人はもはやそんなもんかもね。でも、ビル・ゲイツは知ってるわけだ」

A氏「スティーブ・ジョブズも!」

筆者

「彼らは自分で日本に映画を売り込みにきたわけじゃない。日本で信頼できるパートナーを見つけ、パートナーがその土地にあった売り出し方をして、初めてうまく行ってると思うんだよなあ」

A氏「うーん、そうなのかも」

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