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オバマ氏の演説に学ぶ、読者とのコミュニケーションを変える5つの方法

オバマ大統領の就任演説を分析しながら、ウェブ上で(特にソーシャルメディアで)何かを書くときの5つの重要なポイントを解説する。
Distilled
SEOmozは英国Distilled社と提携し、検索エンジン市場のニュースと情報を提供している。この記事はDistilled.co.ukに勤務する協力者から提供されたもので、内容はすべて筆者自身の見解であり、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。
イメージ画像:オバマ

1月21日にバラク・オバマ大統領が就任演説を行った後、スピーチライターを務めるジョン・ファブロー氏が大いに注目を集めた。私はオバマ大統領の演説を聞き、大統領とファブロー氏のスピーチの書き方に関する記事を読んで、私たちがウェブに何か書くときの言葉の使い方について考えるようになった。少し時間を割いて、オバマ氏の語り口を分析したり、それについて書かれた記事を読んでみたりした。

もちろん、オンラインで情報を伝える手段はほかにもあるが、中でも文字で表した言葉は飛び抜けて重要だ。私はこれまで、ソーシャルメディア向けのアドバイスに注力してきたけれど、これから述べることの多くは、タイトルタグから企画書まで、さまざまなキャッチコピーの作成にも当てはまる

というわけで、読者のみんながウェブ上で、特にソーシャルメディアにおいて何かを書くときの参考になればと願いつつ、私がたどり着いた5つの重要なポイントを以下に挙げる。

#1 ヘッドラインの使い方

オバマ氏は勝利宣言で、自分の使う言葉と構文を利用して、次に期待すべき話の流れを聴衆に「示唆して」いる。私たちは次に来る言葉を予測できるようになり、実際にその言葉が語られたとき、期待が報われたという気持ちになる。たとえば、デビッド・クリスタル氏が「DCblog」で専門家として解説しているとおり、オバマ氏はこの演説を「もし~ならば」(if)という文節で始めている。

もし、アメリカが~だということをまだ疑っている人がいるならば
If there is anyone out there who still doubts that America ~

私たちは「もし~ならば」という条件節を聞くと、これに対する帰結を述べる節がどこかで必ず示されるはずだと判断する。オバマ氏は、この条件節に記録破りの41単語を費やして「もし」の部分を引っ張り、帰結を述べる節を先延ばしにしているのだ。(このDCblogでさらに詳しく述べられているトリックをいくつか使って)聴衆を自分に惹きつけておくことで、文章が完結したとき、聴衆に大きな満足感を与えられる。

こうやって相手の期待に応えれば、聴衆を自分の味方に付けることができる。

オンラインのコンテンツでは、ヘッドライン(見出しや冒頭の要約部分)がほぼ同じような働きをしてくれる。

  • ヘッドラインの目的は、読者に全文を知りたい、クリックしたいと思わせることだ。オバマ氏の「if」節のように、その場ですぐに帰結しないヘッドラインを書いてみよう。
  • ヘッドラインは読者に、これから読むものに対する準備をさせるものだ。読者に、期待すべき内容を「示唆する」ヘッドラインを書いてみよう。たとえば、「2009年サンダンス映画祭の最も技術オタク的なSF映画トップ5」のようなものだ。

ヘッドラインで示した約束を本文できちんと果たすのは、読者を喜ばせるうえで不可欠だ。もし自分のコンテンツがその約束をうまく果たせず、それでもなお人々の関心を集めたいなら、まずは読者がクリックするよう仕向け、内容がヘッドラインと違っていたとしても、読者の読みたがるものを提供することだ。

#2 会話の効用:「Oh yes we can! Oh no you can't!」

私が思うに、オバマ氏のスローガン「Yes, we can」のすばらしさは、誰かがどこかで「no, you can't」(そんなの無理だよ)と言ったかのように思わせる点にある。会話が進んでいる感じだ。すると自然な反応として、自分もその会話に加わりたいという気持ちが生まれてくる。

オンラインでは、このやり方が特に有効だ。人とコミュニケーケーションをとる方法はいくらでもあるが、大きな成功を収めているサイト(フォーラム、ブログ、ソーシャルメディア)は、会話をうまく引き出している。パーティーにたとえるなら、「会場に来たら自分しかおらず、緊張気味のホストと10分間ぎこちない会話をしなくてはならないよう状態」と、「パーティが始まって30分後に到着してみたら、映画の登場人物なら誰がMacで誰がPCかなんて話が盛り上がっていたところに参加する」ほどの違いがある。会話を引き出す要素をコンテンツに組み込むには、自分が何を求めるかに応じて、いくつかのやり方がある。

  • ヘッドラインかコンテンツの冒頭で、議論の的になりそうな発言をする。
  • 議論の的になりそうな発言をコメント欄で友人に書き込んでもらう。
  • 明らかな間違いを入れておく。そうすれば誰かがそれを訂正してくれるはずだ。

#3 内輪ネタで仲間意識を育てる

オバマ氏の演説は十分な事前リサーチの賜物であり、よく知られたテーマやフレーズを下敷きにした表現がたくさん盛り込まれていることも多い。「USA TODAY」紙が大統領の就任演説の中からそうした部分をいくつかピックアップしていた。

(オバマ氏の)「より良い歴史」という発言は、リンカーン大統領が1期目の就任演説の際に用いた「より良い天使」という表現を思い起こさせる。オバマ大統領が語った「完全な幸福」とは、リンカーン大統領がゲティスバーグ演説で用いた「最後の完全な献身」という言葉を受けたものだ。

これをオンラインで応用するのは難しくない。やり方はみんなも私も知っているとおりだ。内輪ネタのジョークが大体いつも有効なのは、それがわかった読者の優越感をくすぐり、「仲間」の一員だと強く感じさせるからだ。ただし、物事の常で、やり過ぎると馬鹿だと見られてしまう危険があるからご用心。

#4 読者を含める表現:「私にどんな関わりがある?」

デビッド・ミアマン・スコット氏が、オバマ大統領の就任演説で使われている言葉について見事な分析をしている。自分を指す言葉(me、I、my)と自分たちを指す言葉(our、we、us)に注目して、その比率をブッシュ大統領の1期目の就任演説のときのものと比較したのだ。結果は予想どおりで、オバマ氏の演説の方がすぐれている理由の1つを示している。

※Web担編注:ブッシュ氏の「自分表現 対 自分たち表現の比率」は9.1だったが、オバマ氏は47と、圧倒的に「自分たち」表現が多かった。

「私にどんな関わりがある?」というきわめて重要な問いかけに答えているのだ。

オバマ氏はすべての聴衆を含める(さらに性別を限定するような言葉も避ける)ことで、共有の過去、現在、未来について直接語りかけている。もちろん、あなたが投稿した「titleタグの書き方」を解説するブログ記事に、だれかの人生を変える力などはないかもしれない。でも、、それが私たちの業界にとって必要不可欠だと読者に思い込ませることができたら、半分成功したようなものだ。

#5 汝の読者を知れ

政治集会の聴衆は、最も扱いにくい部類に入る。なかなか相手を信用しないし、目の前にいる人、またはその人の政策がなぜ自分の生活を苦しめているのかについて、十人十色の理由づけをしている。政策に満足がいくまでは見向きもしてくれず、見捨てるときは、時代遅れで/策を弄し/口から出まかせの/発情した石ころ扱いだ。

というと、あなたがそんな聴衆を知っている気がするのも当然で、オンラインの読者の本性も実によく似ている。抜け目がなくて、気まぐれで、利口で、操られたり見下されることを嫌う。オバマ氏は、その場その場の聴衆にうまく調子を合わせている。したがって、あなたも同じことをすればいい。やはりクリスタル氏が例証しているが、オバマ氏の勝利宣言には修辞的技巧もふんだんに取り入れられていた。群衆が勝利に沸きかえっていて、一緒に喜びを分かち合いたいと思っているような場面には、こうした手法がぴったりだった。ちょっと無言劇に近い要素もある。演じる側も観る側も約束事を承知していて、一緒に盛り上がる感じだ。

しかし、就任演説は違った。勝利宣言で使っていたような、群衆を煽ってクライマックスを演出して押したり引いたりしながら聴衆の進みたがる方向へ導こうとするような、巧妙で刺激的なレトリックは影を潜めている。それに取って代わったのが、箇条書き形式の行動計画をちりばめた、思慮深く落ち着いたスピーチだ。

われわれは~を作る。われわれは~を再建する。われわれは~を利用する。われわれは~を変革する。
We will build... We will restore... We will harness... We will transform...

これについては、非常に興味深い資料がネット上でも見つかる。まずは従属構文(漸層的な表現)と並列構文(箇条書き)の違いから始めて、先に進むといいだろう。

みんなのコンテンツもこのやり方を見習うべきだ。コンテンツに説得力を持たせるにはレトリックが大きな働きを担うわけだが、必要もないのに読者を操作しようなどという気を起こしてはいけない。そうではなく、読者が将来いつでも気軽にアクセスできる有益な情報を提供すること。読者は愚かではないから、相手を馬鹿者扱いするなどという過ちを犯せば、悲惨な状況を招くことは間違いない。

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