Web広告のコピーで勘違いorz - [マンガ]クライアントの耳はロバの耳#3
クライアントの耳はロバの耳
制作会社とトラブルを起こさない発注の心得
TEXT:益子 貴寛(サイバーガーデン) SCRIPT:加藤 さこ ILLUST:田中 斉
ウェブサイト制作会社にとって、クライアントはいわば王様的な存在。その要望を可能な限り叶えるのがウェブディレクタの使命なのだが、ときにはクライアントのトンデモナイ要求に対して、「クライアントの耳はロバの耳!」と叫びたくなることもあるのだ。
この連載では、ウェブサイト制作の現場で起きるさまざまなトラブルを紹介し、その原因を探り、解決法を紹介していく。
今回の登場人物
上辺さん(34歳)
ウェブ好きで、技術能力、コミュニケーション能力の高い、やり手ウェブディレクタ。ストレスを顔に出さないように気を付けている。路端くん(37歳)
勤めている会社でウェブサイト関連の仕事を担当しており、制作会社とのやりとりを任されている。上司に言われたことをそのまま伝えてしまう、ちょっぴり考えが足りないお調子者。片井さん(47歳)
コピーライター歴25年のベテラン。バブル時代に大手広告会社を退社してフリーになり、テレビCMや雑誌でバリバリに活躍してきた。
- 片井さん: どうです、「避夏パワーで快適生活!」
「避夏」って言葉が光ってるでしょう、ヒット間違いないですよ! - 上辺さん: いや…良いコピーですけどね、造語は検索に引っ掛からないんですよ。
Web広告としては、ちょっと…。
- 片井さん: でもね、このコピー、路端さんはすごく気に入ってましたよ。
- 上辺さん: では、路端さんが来たら、もう一度検討してみましょうよ。
今日は遅いな、路端さん……。
- 炉端くん: お待たせしました!
いや〜、ここに来る間に、すごくいいフレーズが浮かんじゃって。
ね、聞いてくれます? 「○△◇」、斬新でしょ?
- 上辺さん: だから、なんで検索にヒットしないコピーばっかり出すんだよーー!!!
ウェブプロモーションの前提として、マス広告を利用する(できる)のか、それともウェブでの集客に特化するのか、ということがある。
マス広告を利用するならば、コピーライターが考えた造語を使った自由な表現が可能である。しかし、ウェブでの集客は「検索エンジンでヒットしやすいかどうか」を最優先に考え、ユーザーが入力するであろうキーワードを中心にコピーを組み立てる必要がある。
たとえば、ユーザーが夏向けの商品情報に到達するためには、マンガに出てきたような「避夏」のような造語でキーワード検索することはほぼ皆無である。ここは「猛暑」「熱帯夜」「避暑」といったキーワードに、「対策」「快適」「グッズ」「セール」などを組み合わせたコピーを考えるべき。
コピーをページ内のどこに含めるかも重要になる。まず、一番気を付けたいのがタイトルである。検索エンジン対策上、タイトルに含まれるキーワードが最も重視される。さらに本文中の見出しなどにもコピーを含めたり、通常の文章にもキーワードを適度に含めるのがセオリーだ。
予算に多少の余裕があるならば、検索連動型広告(グーグルのアドワーズ広告やオーバーチュアのスポンサードサーチなど)を利用するのが短期的な成果アップに効果的。検索連動型広告とは、大手検索エンジンやポータルサイトの検索結果ページで表示される広告である。ユーザーの検索キーワードにもとづいて広告が表示されるので、非常に訴求力が高い。
検索連動型広告で、どの広告が優先的に表示されるかは、基本的にクリック単価による入札制で決まる。つまり、1クリック当たりの設定金額が高いほど、より上位に表示される可能性が高くなるというわけだ(実際にはクリック率など他の要素も順位に影響する)。
「旅行」などのビッグワード(意味の広いキーワード)は競合が多く、クリック単価も高めになりがちなので、それなりに予算がないと継続した広告配信はむずかしい。したがって、ニッチでユーザー訴求力の高いキーワードをいかに見つけ、低予算で高い効果が得られる広告を出稿するかが勝負となる。とっかかりとして、「Google Adwords: キーワードツール」で「検索ボリュームが多いにもかかわらず、競合する広告主が少ないキーワード」を調べるのがよいだろう。
- マス広告とウェブ媒体で求められるコピーの違いを認識する
- ユーザーの検索キーワードをイメージしつつコピーを決める
- コピーをページのどこに含めるかも重要
- 検索連動型広告の利用を検討するのも手
- マス広告のようにインパクト勝負でコピーを決めてしまう
- ユーザーの検索キーワードを考えないコピー
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