安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

マンガ「困ったクライアントのダメな発注4つの実例」 ~こんなクライアントはもうイヤだ!

安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

[特集] 安く! 早く! を実現するサイト制作の発注マニュアル
賢い発注のやり方&失敗するやり方 制作会社とのうまい付き合い方教えます

賢い発注はウェブサイト制作の正しい理解から
こんなクライアントは嫌だ!
制作サイドのホンネから知る“成功する制作の進め方”

ユーザーを引き付ける魅力ある企業サイト、思わずため息がでるキャンペーンサイトなど、ウェブでは多くの成功事例を見ることができる。しかし、外から見ると美しく見えるプロジェクトも、紆余曲折を経て達成されることがほとんどだ。スムーズに進む案件の方が少ないといってもいい。なぜこうもスムーズに進まないのか? ネットビジネスの基本であるウェブサイトの制作は、どのように進むのか、うまく進めるためにはどうしたらよいのかを、成功例と失敗例から理解していこう。

こんなクライアントはイヤだ!トラブルの傾向と対策

ウェブサイト制作は、製造業とサービス業、両方の性質を備える仕事だ。クライアントの目的やニーズを実現するには、どちらの側面でもさまざまな工夫が必要だが、ここ数年は特にサービス業の色彩がより濃くなってきている。

しかし、制作会社にいくら熱意があっても、発注側がなあなあでは仕事はうまくいかない。以下、実際の制作現場にありがちな様子を、制作会社から見た「困ったクライアントの発注の事例」「うまく仕事が進む賢い発注」「困った事例に学ぶうまく進める秘訣」の3つの観点から紹介しよう。

まずは「困ったクライアント」からだ。

困ったクライアントのだめな発注4つの実例

BAD CASE (1)
目的があいまいだったりころころ変わったりする

困ったクライアント

ウェブサイトは「目的ありき」だ。明確な目的が設定されていなければ、企画も設計も制作も、日々の運用も、何を拠りどころとすべきかわからなくなる。にもかかわらず、発注側が明確な目的を設定できていないケースは意外と多く、「制作会社にすべてお任せ」という極端な依頼もある。

また、目的が朝令暮改でコロコロと変わる会社も少なくない。この場合、振り回されっぱなしの制作会社はモチベーションが下がってしまう。あれもこれもとコンテンツを無秩序に追加することで、妙な増築や屋上屋を架すがごとき状態になってしまっているサイトをよく見かけるのは、このようにコロコロ変わる目的を場当たり的に満足させてきた結果だろう。

一方で、制作側が「あれもできます、これもできます」「あれも必要、これも必要」と提案してしまう場合がある。予算が潤沢なクライアントならば二つ返事でコンテンツや機能の追加を決定し、結果としてプロジェクト内容が二転三転してしまう。

具体的なケースを考えてみよう。世間ではSNSがはやっているということで、「ユーザー専用のSNSをつくりたい」と制作会社に要望したとする。「顧客サービスの強化」「ユーザー同士の交流の促進」といった理由からだ。しかし、そのような美辞麗句の裏側には「ユーザーを囲い込みたい」「個人情報を深く取得したい」といったニーズがあるかもしれない。ビジネスとして考えれば、このようなニーズは当然あってしかるべきだ。

しかし、ウェブのプロである制作側から見れば、うまくいっているSNSは先行者利益という恩恵が大きく、そもそもある会社のサイトに縛りつける性格のものではないこと、システム運用がそう簡単ではないことなど、進言することは山ほどあるものだ。

そこで、依頼する際に「SNSをつくりたい」と言うのではなく、制作会社にはビジネス的な「目的」をしっかりと伝えたうえで、SNSはあくまで1つの案としてあげるに留めるのだ。そうすることで、フォーラムやブログなど別のシステムで目的が果たせないか、あるいは他の手段はないのかなど、制作会社が提案する余地を残すのだ。制作会社の仕事は、ウェブサイトを活用してクライアントのビジネスを成功へ導くことである。最初から手段を限定しては可能性をも限定してしまうことになる。

BAD CASE (2)
「やっぱりあれもこれも」あとから工数がどんどん増える

困ったクライアント

これは「作業範囲(スコープ)の追加・変更リスク」の問題である。このような無理な要求をした場合、制作会社は予算やスケジュールの観点で切り返してくるだろう。「あれもこれもと欲張ってみても、納期に間に合わないか予算をオーバーしますよ」ということである。

もう1つ、ウェブサイトの目的がブレる恐れがあることを知っておくべきだ。コンテンツの充実や機能強化がサイトの目的の達成可能性を高めると単純に考えてしまいがちだが、実はそうではない。すべての努力が必ず成果に結びつくとは限らないのだ。まずは目的達成までの最短距離を描き、そのために必要なモノを考え、次にサイトの体裁として最低限必要なモノを考える。プラスアルファのコンテンツは、優先度が低いばかりか、限りあるリソースをそれらに割くことによって、核となるコンテンツの質を下げることにもつながるのである。

ただし、「あれもこれも」と要求するのが必ずしも悪いわけではない。どうしても作業に含めたほうがいいもの、後の課題として残しておくべきものがあるかもしれない。そして、そのニーズの一部は、もしかしたらユーザーのニーズと重なる部分があるかもしれないからだ。

BAD CASE (3)
スケジュールが決まっていなくて作業が伸び伸びに

困ったクライアント

制作会社と発注側で、ウェブサイト制作への情熱に温度差があるケースは珍しくない。こうした状況で、各作業の時間的な「お尻」を決めずにプロジェクトをスタートさせると、必要な素材の手配、レビューやフィードバックなどの送付がなあなあになってしまい、次の作業が滞ってしまう。こういったことが積み重なると、必ずスケジュールが伸び伸びになってしまうものだ。

制作会社に余力があれば気長に付き合ってもらえることもあるだろうが、そうでなければ「それ以降の対応は難しい」とラインを切られてしまうかもしれない。こうした事態を避けるためにも、仮でもいいので、必ず各作業のスケジュールをあらかじめ決めておくのが大切だ。スケジュールを決めずにずるずると時間が延びるのと、あらかじめ決まったスケジュールがあったうえで必要に応じて予定を変更するのとでは、大きな違いがあるのだ。

BAD CASE (4)
あとから値切られたあげく追加工数分の支払いを渋られる

困ったクライアント

少しでも安くしたい発注側の気持ちはわかるが、制作会社にも譲れる部分と譲れない部分がある。事と次第によっては、「法律に訴える」ということにも発展しかねない。また、この種のゴタゴタはその後のビジネスに決して良い影響を与えない。

制作会社の立場からすれば、提供したサービスついて適切な対価を求めるのは当然である。頭ではわかっていても、理想と現実が異なることはままあり、金銭の受け払いのときにこそ顕著にあらわれる。あとから価格交渉で揉め、想定外の追加工数分の支払いを渋りたくなることもあるだろう。これは制作会社との信頼関係やパワーバランスなどにもよるので、決定的な解決策はないのが正直なところだ。1つの結論としては、制作会社との打ち合わせに決裁権を持つ上長や担当役員を同席させ、落としどころを探ることである。

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