安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

うまく仕事が進む“良いクライアント”の“賢い発注”3つの実例

安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

[特集] 安く! 早く! を実現するサイト制作の発注マニュアル
賢い発注のやり方&失敗するやり方 制作会社とのうまい付き合い方教えます

賢い発注はウェブサイト制作の正しい理解から
こんなクライアントは嫌だ!
制作サイドのホンネから知る“成功する制作の進め方”

ユーザーを引き付ける魅力ある企業サイト、思わずため息がでるキャンペーンサイトなど、ウェブでは多くの成功事例を見ることができる。しかし、外から見ると美しく見えるプロジェクトも、紆余曲折を経て達成されることがほとんどだ。スムーズに進む案件の方が少ないといってもいい。なぜこうもスムーズに進まないのか? ネットビジネスの基本であるウェブサイトの制作は、どのように進むのか、うまく進めるためにはどうしたらよいのかを、成功例と失敗例から理解していこう。

上手く仕事が進む賢い発注3つの実例

前回の記事でも述べたように、製造業とサービス業、両方の性質を備えるようになってきているウェブサイト制作だが、ここ数年は特にサービス業の色彩がより濃くなってきている。前回の記事では、困ったクライアントのダメな発注の実例をいくつか示した。

今回は、熱意のある制作会社にやる気を出し、力を発揮してもらえる「よいクライアント」の姿をいくつか紹介しよう。

GOOD CASE ①
技術知識がなくても明確なビジネス目的をもっている

ウェブサイトは技術が先行してしまうキライがあるが、なにより目的(ゴール)が大切である。明確な目的を持っていると仕事が進みやすいことは、多くの人が経験済みだろう。たとえ話でいえば「東京から北海道に行くのに、東海道新幹線に乗ってもダメ」ということである。飛行機、新幹線、電車、自動車などどのような乗り物を利用できるかが「予算」や「スケジュール」にあたる。大切なのは、北海道というゴールに向かって進んでいけるかどうかだ。とすれば、目的なきウェブサイト制作は「あてのない旅」とイコールである。旅行ならばあてがなくても過程を楽しめるかもしれないが、ウェブサイト制作ではそうノンビリとはしていられない。

そして発注側としては、明確な目的が決まっていさえすれば、ゴールへのよい道筋を考える際に制作会社から効果的なアドバイスや助力を受けられるということを覚えておこう。自分たちにウェブや技術についての基礎知識がなく、ウェブでどんなことができるかということや技術的な話が一切わからないとする。何もおかしな話ではない。制作会社はウェブのプロだとしても、発注側はそうではないので、専門的な技術知識がないのは当たり前である。発注側として大切なのは、ビジネス上の目的をはっきり決めて伝えることができるかどうかであって、それを解決するのがウェブのプロである制作会社であり、彼らの腕の見せどころなのである。

目的をはっきり決めることができるかどうかと、技術的な知識の多寡に相関はない。むしろ中途半場にウェブの知識があると、偏った知識に引きずられてしまうことにもなりかねない。

GOOD CASE ②
決裁権がある人がWeb担当である

ウェブサイト制作では、見積書や請求書の承認といった大きな決裁だけでなく、日々のコンテンツ追加や更新、素材請求などこまごまとした決裁が必要となる。Web担当者がどのぐらいの決裁権を持っているかが、このような日常的なやり取りのスムーズさに大きく影響する。

まったく決裁権がない場合、極端にいえば素材を1つ用意するにも上長の決裁を仰がなければならない。しかも上長が多忙だったり協力的でなかったりする場合、決裁に1週間や10日は平気でかかったりするから大変だ。これは制作会社側の努力でカバーできる問題ではなく、Web担当者本人、あるいは組織体制として取り組むべきものだ。

こういったことから、ウェブサイト制作を進めるうえで、Web担当者の決裁力がどのぐらいかは重要な問題である。もし決裁権がほとんど与えられておらず、日々の業務に支障をきたすようであれば、上長や担当役員と話し合う機会を持ち、現状の問題点を伝えて改善してもらうようにしよう。

GOOD CASE ③
既存サイトの状況をはっきりと把握している

リニューアル案件では、まず目的に照らして既存サイトの問題点を洗い出すことからはじめるのが一般的だ。非常に稀な例だが、企業のWeb担当者のなかにはサイトの現状をほとんど把握していない人がいるから驚く。逆にいえば、担当者がきちんと現状を把握している場合は仕事がスムーズに進みやすいということである。

しかし、大規模なリニューアルを行う場合、上長や担当役員もプロジェクトに関わることが多いが、そういった人たちも既存サイトの状況がきちんと見えているとは限らない。「敵は身内にあり」とはよくいったもので、リニューアル計画自体に意義を唱えたり、決裁を得る際に「壁」となって立ちはだかったりするかもしれない。しかし、組織の中で上の立場になればなるほど、会社全体の業績はどうか、他のプロジェクトとのシナジーはどうかなど、より大きな視点でウェブサイトを見ている可能性があるため、一概に良し悪しを論じることはできない。

ひとまず、Web担当者と制作会社が一丸となって、既存サイトの問題点とリニューアルの必要性を上長や担当役員に訴えることが大切といえそうだ。

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