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SEという異性人の生態/書評『ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学』

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『ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学』

評者:森山 和道(サイエンスライター)

顧客が望んでいるのは、素晴らしい技術を使ったシステムではない
使えるシステムを構築するためのノウハウを、軽い文体で解説

『ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学』の書籍画像
  • 岡嶋 裕史 著
  • ISBN:978-4-334-03444-3
  • 定価:740円+税
  • 光文社新書

システムエンジニア(SE)とは、業務上はプログラムを書くプログラマの上に位置する職業だ。顧客の要望を上級技術者がとりまとめた要件定義書をもとに、技術者たちが理解できる言葉でシステムの具体的設計図を書き、プログラマに実際のプログラムを書かせるのが仕事である。プロジェクトマネージャとか、さまざまな肩書きを持っていることもある。

本書は、SEと付き合う必要がある人、あるいはSE本人たちのための本だ。開発系の人と運用系の人の違いやSEが働いている組織、業務手順を理解させることを目的としている。文体は軽く、気軽に読める。SEや業界関係者を揶揄する表現が多いので、逆に関係者達は頭に血が上るかもしれない。

著者は「SEとユーザーにもっとも足りないものはコミュニケーションである」と指摘する。SEはご用聞きでもなければ魔法使いでもない。対等なビジネスパートナーだ。業務スキルと技術スキルはシステム開発の両輪。できるだけお互いの仕事内容や事情を理解していれば、コミュニケーションはうまくいくはずである。

だが現実の情報システム構築現場では、SEの仕事を始めとしたさまざまな部分をブラックボックス化し、良くも悪くも開発会社に丸投げしてしまっていることが少なくない。システム開発側もそれは同様で、ユーザー実務や利便性を本当の意味で思考してシステムを組んでいるかというと、まったくもってそうでもなかったりする。

結果、どんなことになるかというと、みんなそれなりにマジメに仕事をやってはいるのだが、できあがったシステムは、マトモに考えたら絶対に作らない、誰も使わない、使いにくいものになってしまうことが少なくない。使えないシステムに心当たりがない人のほうが少ないだろう。情報システムに対する悪口を言いたくてたまらない人達も多い。だが、いまや情報システムはそこらじゅうにあふれている。情報システムと無縁で暮らせる人はゼロだ。

発注側は良い製品ができさえすれば、中の工法など理解していなくてもいい。だが、システム開発のポイントくらいは互いに共通言語で理解しあえるようになっているほうが、世の中、もう少しハッピーになるはずだ。著者は、情報システムに関する言葉が出てきたら概要だけ鵜呑みにするのではく、効能と副作用を理解できるようにしようと呼びかけている。ただ、顧客側が短時間で勉強して必要事項を吸収するためには良い教科書が必要だろうが、それもまだ数が少ないのではないだろうか。IT業界がもっと成熟してくれば、その手のテキストも増えるのだろうか? なかなか難しそうだが。

いずれにせよ、みんなが自分たちの関わった情報システム、広く言えば仕事を愛せるようになればいい。この本を読んでいて、なんとなくそんなことを感じた。

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