新規顧客をみつけるための10の方法――リードジェネレーション入門

#04 見込み客獲得のための展示会/セミナー活用術 ~新規顧客をみつけるための10の方法

庭山一郎(シンフォニーマーケティング) 2008/5/13 10:00 |

[特集]新規顧客をみつけるための10の方法 リードジェネレーション入門

新規顧客をみつけるための10の方法

ネットもネット以外も全部まとめてプランしよう

展示会&セミナー恐怖症から卒業
リアルチャネルで質の高い見込み客をゲット

見込み客(リード)獲得の方法はネットだけではない。「ネットの方がリアルより効率が良い」と言われるが、本当にそうなのだろうか。

B to B企業が見込み客リストを集めるにあたって、最も有効なリアル手法の1つが展示会とセミナーだ。展示会への出展を検討するのにはもちろん、使える/使えないを判断をするためにも、その方法と効率を知っておくことは必ず役立つはずだ。

リアルとネットを組み合わせたマーケティングが必要

日本のBtoBビジネスは、ネットだけでマーケティングを設計するのは難しい。アクセス数やPVを上げることはできてもコンバージョンに結びつかない。メールマガジン登録や資料請求させようとノベルティを付ければ、製品/サービスに興味があるのか、ノベルティが欲しかったのか判別できない見込み客リストを作ってしまうことになる。

見込み客リストを集めるリードジェネレーションの手法は多岐にわたっていて、ネットだと「アフィリエイト」「バナー広告」「検索型広告」、リアルでは東京ビッグサイトなどで開催される展示会(ビジネスショー)などがある。こうした多くの手法の中で、BtoBで最も頼りになるのはやはり展示会である。短期間に「大量」の見込み客リストを収集できるだけではなく、その収集できるリストの「質」が高いのだ。

展示会出展でリードを獲得――実は展示会のリストは質が高い

「展示会で集めたリストは質が悪くて成約率が低い」と思い込んでいるマーケティング担当者は意外と多い。しかしこれはリストの質が悪いのではなく、その後のメインテナンスやフォローがまずくて結果(営業案件や売上)が出せないだけの場合が多いのだ。

展示会で収集できるリストの質が高い理由は2つある。1つは「専門特化」と「レイアウト」だ。BtoBの展示会は「セキュリティ」「食品加工」「工作機械」「半導体製造」などの専門的なテーマで開催され、これに関連した各分野の企業が出展する。しかも、そのなかでさらに同業種、同業態を固めて「レイアウト」する傾向にある。たとえば「セキュリティ」の中でさらに「認証系」のゾーンを作るのである。このゾーンに来た人はすでに二重にも三重にも絞り込まれた有望な見込み客なのだ。

名刺は100%正確な最新情報

2つ目の理由は、そこで「名刺」を収集できることだ。意外かもしれないが、ウェブサイトやテレマーケティングで名刺と同等レベルの情報を収集するのは至難の技である。名刺には「個人名」「会社名」「メールアドレス」などだけでなく、「部署名」「肩書き」「電話番号」「Fax番号」「住所」「郵便番号」「URL」などの情報が印刷してあり、記入ミスもなければ、略式入力や誤字脱字もない「100%正確な最新の情報」なのだ。メールアドレスも、ウェブで登録してもらったリストにありがちなフリーメールではないのだ。

展示会でのリード獲得の心得

  • 精度の低いリストを作らない

    展示会で集めたリストの評価を落としている原因は、「競合企業の名刺」や「自社のグループ企業の名刺」「営業エリア外の名刺」が混入しているといった、リストメインテナンスに関わる部分だ。

    近くに出展している競合企業の社員が休憩時間などに競合企業のブースをのぞくのは当然で、リストに競合が混入することは避けられない。また、日本の展示会へのアジア圏からの来場者は増え続けており、こうした国外の人の名刺の混入も避けられない。

    だから、展示会で集めたリストをそのまま営業や販売代理店に渡すのではなく、一度チェックして、「競合」「自社グループ企業」「営業エリア外」といった見込み客ではない人を排除したリストにしてあげなければならない。マーケティング用語では「マージ&パージ」という工程である。マージとは「名寄せ」でパージとは「競合排除」と考えればいい。

    ここを省略してしまうと、営業部門は以後展示会リストを信用しなくなり、ひいては出展に消極的になるのだ。

  • 名刺1枚7,000円~15,000円
    ブース規模と収集数は比例しない

    展示会に出展して、ここまで質の高い個人情報を、パーミッションを取りながら合法的に収集するコストは、名刺1枚あたり約7,000~15,000円である。これは社員の人件費を除く展示会出展総コストを、収集した名刺の数で割って算出するCPL(Cost per Lead、リードあたりのコスト)と呼ばれる指標だが、他の手法と比較してみると、展示会がいかに数と質のバランスが良いかがわかる。

    ※1 小間(こま)

    出展者に割り当てられる展示スペースの最小単位。複数の小間を購入すれば大規模ブースも作れる。

    展示会に出展していいものかと尻込みをする企業もいるかもしれないが、心配はいらない。どの展示会でも1小間※1から出展が可能だし、小規模での出展なら当日配布するパンフレットやノベルティなども含めた総出展コストを60~100万円以内に抑えられる。なにも20~30小間の大規模ブースだけが出展ではないし、見込み客を集めることを考えれば出展小間数と収集する名刺の数は必ずしも比例しないのだ。

  • 出展展示会の選択は慎重に

    一番の問題は「どの展示会に出展するか」を慎重に選ぶことだろう。展示会はウェブで探すこともできるし(図1)、競合企業の出展状況をニュースやサイトで調べてみるのも参考になる。

    @ITイベントカレンダーIT・製造業関係のセミナー/展示会なカレンダーどのイベント情報
    http://www.atmarkit.co.jp/event/
    BPnetイベント展示会やセミナー情報、集合研修やeラーニングの講座情報を提供
    http://events.nikkeibp.co.jp/
    IDGジャパンITエンジニア向けの展示会、カンファレンス情報など
    http://www.idg.co.jp/expo/
    J-messe見本市・展示会のデータベース
    http://www.jetro.go.jp/matching/j-messe/
    ビジネスクラス・セミナービジネス・IT・ファイナンス分野に特化したセミナー情報
    http://www.bc-seminar.jp/
    図1 展示会やセミナー情報サイトの一例。情報登録が可能なサイトならば、リード獲得にも活用できる。このほかに、新聞社や出版社のサイトの多くはイベント開催のニュースを掲載しているので参考になる。

    展示会のあたりをつけたら、次は主催者が発表している前年度の来場者データが参考になる。来場者の業種、部門、役職などの傾向を必ず確認することだ。来場者の傾向は変化するので、必ず前年の資料を見ることが重要だ。ウェブで公開している主催者もあるし、問い合わせると資料を送ってくれる場合もある。これをサボると当日になって予想とまったく違う来場者を見てがっかりすることになる。

    もっと確実な方法はやはり主催者が公表している前年度の出展企業リストの中から知り合いのいる企業を見つけて直接聞いてみることだ。出展経験者の情報は最も頼りになることは言うまでもない。

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