『ウェブ進化論』で語られなかった大切なこと

さらに可能性が広がるケータイとのクロスメディア

ページ

さらに可能性が広がるケータイとのクロスメディア

真野氏によると、WCMとしてケータイを使ったクロスメディアがおもしろい結果を見せていて、注目しているという。

「日清食品のカップラーメンで『フリーダム』というキャンペーンを実施しました。フタの裏側にQRをコード入れておくと、食べるときに必ず見るので、そこからケータイでウェブサイトにアクセスします。これを分析すると、何時くらいに食べられているのかというデータが取れました。ウェブサイトのアクセスログをマーケティングデータに変えたわけです。これまでだと、広告効果の調査に数百万円、数週間から数か月の期間を必要としましたが、ウェブならリアルタイムでわかります」
さらに、今後はauケータイのトップメニューにグーグル検索が入ったことや、Yahoo!ケータイの「Y!」ボタンでYahoo!検索ページが表示されるようになったことにも注目すべきだという。

「QRコードの普及率は7割くらいですが、使うにはアプリを立ち上げる必要があって、老人には使いづらい。ところが、これからは最初の画面に検索窓がある。メールが打てる人なら検索も使えます。このハードルが下がったことで、ケータイの使い方も大きく変わります。テレビもラジオもリーチ媒体でしかなかったのが、ケータイとのクロスメディアで新たな可能性が出てくるということです」(真野氏)

Web担当者に求められる能力はますます高度なものに

たとえば、会社の情報をウェブで発信するというのは、本来は会社全体のマーケティング活動の一環として行うべきこと。必然的にさまざまな部門とのかかわりや連係が必要となり、Web担当者には広報、宣伝、営業などの知識も求められる。全体を見渡せる人間であることが必要なのだ。しかし、「SEO」「ロングテール」「CGM」「ドロップシッピング」「LPO」「クロスメディア」「Web 2.0」「ワンセグ放送」など、媒体環境やその変化に関するキーワードだけでも無数に存在する。さらに、広告、宣伝、販促、法務、調査、システム、データベースマーケティング……そういった社内の業務も把握しなければならない。そしてもちろんネットのことも。

Web担当者というのは、このように重要な役割なのだが、それがあまり理解されていないことも多い。これからの時代に合わせたWeb担当者の役割を、会社の仕組みとともに再定義する必要があるといえるだろう。

Web担当者にも20%ルールによる意識向上とチャレンジが必要

企業にとって、ウェブサイトとWeb担当者の存在が重要だというのは理解できる。しかし、多くの中小企業で働くWeb担当者の現実は厳しい。ネットとマーケティングについて幅広い知識を持つのはそう簡単なことではない。とりあえずアクセス数を増やすことだけで精一杯というWeb担当者も多いだろう。解決策の1つとして、他社とパートナーシップを結んで社外からスタッフを集めて取り組むという選択肢もある。とにかく、社内にそういう機能を設けることが大事だということだ。しかし真野氏は、Web担当者には高い意識を持ってほしいと願う。

「なぜグーグルがあそこまで巨大になったかという話は、『ウェブ進化論』にも書かれています。その1つが20パーセントルール。新しいことを生み出すために、通常業務とは違うことに20パーセントの時間を使うというものです。それによって、彼らは伸びてきました。

これは、Web担当者も同じです。単に与えられた仕事だけやっていればいいやというのでは、古い企業のまま。そこで『うちの業界でこの商品を売るためにウェブをどう使えばいいか』ということを考え、チャレンジすることが大切です。幅広い知識を身につけるというのもそう。Web担当者が宣伝や広報、営業的な感覚も持たない限り、Web 1.0つまり“ホームページ担当者”からは抜け出せません。ウェブサイトは会社全体のマーケティング活動と強くからみ合っているということを常に意識することが必要です」(真野氏)

★ ★ ★

ウェブサイトは、企業のマーケティング活動の中心であり、あらゆるデータが集約される。それにかかわるWeb担当者は、もはや単なる“ホームページ担当者”ではない。会社全体のマーケティングにかかわっているのだという意識を持つことが必要であり、会社側もそれにふさわしい役割として定義しなければならない。それができた企業は、マーケティングにおいて他社を凌駕できる。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.3』 掲載の記事です。

ページ

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アクセシビリティ
広義には、障害者、高齢者を含むすべての人間が、同じレベルでサービスや機器、施設を ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]