47%が直帰するご時世に平均ページビューを伸ばすには
47%が直帰するご時世に平均ページビューを伸ばすには
ところで、あるサイトの理想の平均が4ページだとしよう。実際には平均3ページで、あと1ページは伸ばしたいと考えた。平均閲覧ページビューを伸ばすにはどうすればいいだろうか? ここからが解析後の本当に数字を生かす実務である。
まず、なぜ現在の平均が3ページにとどまっているのかを突き止めたい。対策はそこから始まる。
たとえば、10万人で30万PVを得ているサイトがある。この平均はどうやって成り立っているかというと
●5万人は1ページしか見ないで帰る
●5万人は5ページ平均見ている
という現実があって、「5万人が5万PV」+「5万人が25万PV」の合計で、10万人が30万PVという結果ができているのである。
これは現在のホームページの実態にとても近い例だ。早い話、あなたのサイトもこんな風になっている可能性が高い。
現在のサイトは半数近くの訪問者が1ページしか見ていない。私が1年間分析した10億ページビューぐらいのアクセスログについて全体で分析してみると、実に47.1%の人が1ページしか見ていない状況だったのだ。
しかし悲観する状況ではない。改めてこの状況を見ると、
●5万人は5ページ平均見ている
●5万人は1ページしか見ないで帰る
つまり、反対から見れば半分の人は平均5ページも見てくれている。平均5ページ見るというのは、サイトの作りがぼろぼろではそうはいかない。もっと多くの人がすぐに帰ってしまっていても不思議ではないのだ。
こう考えよう。「現在のサイトは悪いものではない。しかし、今は1ページで帰る人が多いために平均が下がっているのだ」と。このサイトを伸ばすには2つの方向性がある。
●すぐに帰らない人をもっと集める
●すぐに帰る人を引き止める
すぐに帰ってしまう人を引き止めるべきか
すぐに帰らない人をサイトにもっと集めるには、サイトの内容に合ったニーズを持った人を集める、ということだから、適切なキーワードを選んでSEOをするのが最も良い。
今回強調したいのは、半数近くいる「すぐに帰ってしまう人」だ。この人たちがもう1ページ見てくれたら、たちまちサイトのページビュー数は50%アップになる。しかし、そんなことが本当にできるだろうか。問題は「すぐに帰る人」がどんな人かだ。ここからは、量としてのアクセス解析から、質を見定めるアクセス解析になっていく。
すぐに帰っても惜しくない人、というのもあるだろう。自社の製品などにはまるで興味がないのに、たまたまリンクをクリックして来ただけの人。関係の浅いキーワードで検索したのに、たまたまこのサイトが表示されてしまった人など。
よくあるのは、B2Bサイトなのに、主婦や子供たちばかり来ているサイトだ。業販の会社がそんなことでは成果は出ようがないから、半数が帰ってしまっていると言ってもぜんぜん惜しくないのである。逆に、この人たちを引き止めるために努力するのは徒労と言うほかない。アクセス解析結果の量だけで判断していては対策は的外れになりかねない。
一方、すぐに帰ってしまう訪問者が、顧客にならない人ばかりかというと、そんなことは決してない。重要な見込み客が多数訪れているのに、入り口ページが不適切ですぐに帰らせてしまっているとしたら、大きな商機損失となる。多くの人を追い返すタイプのページやファイルとして、ニュースリリースのページやPDFなどが挙げられる。ニュースリリースは往々にして行き止まりになっているため、せっかく良いニーズで訪れた人でもみんな帰らせてしまう場合がある。
PDFも、テキストの属性を持っているので検索エンジンは高く評価するファイルだが、それが入り口になると95%の人がすぐに帰ってしまうことが知られている。
直帰率を計算して改修するページの優先順位を決める
こうした問題のある入り口ページを発見しよう。多くの人が入り口にしているのに、ほとんどを帰らせてしまうページを見つけて直せば、短期間に多くの訪問者をサイト内で巡回させられるようになる。
発見の方法は、再びアクセス解析のデータから。まずは「多く入り口になったページ」のリストを見る。次に「1ページで帰ってしまったページ」のリストを見る。この両方のデータから
1ページで帰った回数÷入り口になった回数=直帰率
という計算をしよう。双方のデータをエクセルにペーストして、URLで突き合わせて一括計算すれば非常に楽だ。
1ページで帰ってしまうことを「直帰」と呼ぶが、入り口ページごとの「直帰率」に対応したアクセス解析ツールなら使いやすい(図4)。
この直帰率を見ると、恐ろしくなるような数字が並んでいる。40%、50%はざらで、多くの人を集客しているのに、80%、90%帰らせてしまっているというページがずらりと見つかることも少なくない。「これじゃ、全然ダメじゃないか!」と思わず叫んでしまうWeb担当者も多いだろう。
平均で47.1%が直帰しているのだから、あなたのサイトにもこうした、多くの人を帰らせる入り口ページが多く存在すると考えられる。
直帰者のニーズを見定めれば対策優先順位が決まる
これを見つけたら、次はいよいよ質の吟味だ。このページを入り口にして訪れていた訪問者は、すぐ帰っても惜しくない人であったか、それともぜひ呼び止めないといけない人であったか。
多くの人が入り口としているページで、直帰率が60%を超えるようなページが20ページ見つかったとしよう。入り口となる回数が多いページほど悪影響が強いので、回数が多い順に、1ページずつを対象としてアクセス解析してみよう。製品情報のトップページが1000人を集めていたとして、直帰率が65%あるすると、直帰者は650人。これは大きな問題である。
製品情報のトップページだけを対象に解析すると、このページには、
●どのサイトのリンクから訪れていたか
●どんなキーワードで訪れていたか
という、このページが入り口になった「動機」を見て取ることができる。ユーザーの訪問動機が大切なものだと思われたら、ぜひともページを改修して帰らせないページに作り替えなければならない。
時には「関係ないキーワード」ばかりで、あまり顧客になりそうもない人たちが集まっているページだとわかる場合もある。この場合は、直帰率が高くても別段惜しくはないという形なので、優先順位を下げていいだろう。
ページによっては、リンクでも検索でもない「直接、このページにアクセスした」人が多いこともある。それはお気に入りやブラウザの履歴から訪れたリピーターと考えられる。リピーターが直帰しているなら、リピーター向けのメッセージを強め、もう製品情報をひと通り見たことのある人でも関心を持てるように、より詳しい情報ページを追加していくと良いだろう。
見たいものを口に出して訪れる訪問者を想定して興味を引く
直帰率の高いページで、訪問者を帰らせないようにするにはニーズに合致するリンクを設置することだ。
「住宅ローン 金利」といったキーワードで多くの人が訪れているなら、誰だって「住宅ローン金利の知識はこちら」ぐらいのリンクは必要だとわかるはずだ。ところが実際のページには、「戻る」「NEXT」などといった、興味を引かない文言のリンクしかなかったりする。
今や検索などから来る人は、自分の見たいものがはっきりとある。そういう人は、「戻る」のような「サイトの構造を示すだけ」でニーズとは関連しない文言のリンクはクリックしない。キーワードやリンク文言が、訪問者の見たいものだと仮定して、それに沿ったリンクを書くことが大切である。自分が見たいものを口に出してお店に来てくれるようなものなのだから、そうしたお客様のニーズに応えられないようでは困るのである。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.3』 掲載の記事です。
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