ネットショップ担当者フォーラム

誰でも簡単にCM動画を作成できる、1本5万円の動画制作サービス「CM STUDIO」開始

6 years 8ヶ月 ago

スプラシアは、誰でも簡単にCM動画を制作できるクラウドサービス「CM STUDIO」を3月26日から提供開始する。

「CM STUDIO」

「CM STUDIO」では動画制作の知識やノウハウがなくても、Web上で必要事項を選択していくだけで、ベースとなる動画テンプレートが選択され、約70万点の写真や動画、音源の素材などを使用し、15秒または30秒のCM動画を作成できる。画角は16:9、9:16、1:1の3種類。

料金は写真/動画素材、BGM、ナレーション機能込みで1本5万円から。プレビュー確認までは無料。5本で20万円のスモールプラン、10本35万円のスタンダードプラン、20本60万円のプレミアムプラン、オリジナルのテンプレートを利用する月額制プランもある。

サービスや商品の紹介、会社案内や人材募集、ランキングや新着情報などのコンテンツとしての利用を想定している。

内山 美枝子
内山 美枝子

福岡市に「ebisumart」のインターファクトリーが開発拠点、IT人材の採用を強化

6 years 8ヶ月 ago

クラウドECプラットフォーム「ebisumart」を展開するインターファクトリーは3月20日、コワーキング・レンタルオフィス「SPACES 博多駅前」内に新オフィス「福岡開発ラボ」を開設した。東京本社に次ぐ開発拠点として位置付ける。

「ebisumart」の製品力向上に向けて、さらなる開発リソースの確保とIT人材の採用を強化するのが目的。

オフィスはレンタルオフィスの他、コワーキングスペースやイベントスペース、専用バリスタを備えている。この施設を通じて新たな出会いとコミュニティーを形成し、働く従業員の価値創造力を強化させることができると考えたという。

「ebisumart」を展開するインターファクトリーは3月20日、コワーキング・レンタルオフィス「SPACES 博多駅前」内に新オフィス「福岡開発ラボ」を開設
福岡市内に構えた新オフィス「福岡開発ラボ」

福岡市は2014年5月に国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」として指定され、創業支援と雇用創出に向けた積極的に取り組みを進めており、若年層のエンジニアやクリエイターといったIT人材からも人気の都市として注目されているという。

瀧川 正実
瀧川 正実

ショップジャパンも実店舗、テレビ通販企業で進むリアル店舗展開

6 years 8ヶ月 ago

通販ブランド「ショップジャパン」を展開するオークローンマーケティングは、直営店「Shop Japanららぽーと湘南平塚店」を4月18日にオープンする。関東で直営店を開設するのは初めて。

店内には、低反発マットレス「トゥルースリーパー」、腹筋を鍛えられるEMSマシン「スレンダートーン」、キッチン家電、掃除用品、美容家電、日用雑貨などを配置。来店客は店内で商品を体験できる。

通販ブランド「ショップジャパン」を展開するオークローンマーケティングは、直営店「Shop Japanららぽーと湘南平塚店」を4月18日にオープン
直営店「Shop Japanららぽーと湘南平塚店」のイメージ

店舗スタッフは、ショップジャパンの通販番組のシーンを実演するという。また、毎月、季節に合わせた顧客参加型のイベントやキャンペーンなども実施する。

店舗入口には、AI(人工知能)搭載カメラを備えた大型サイネージを設置。サイネージ上でショップジャパンの公式キャラクター「WOW(ワオ)くん」が、顧客に合わせて商品を提案するという。

テレビ通販大手による直営店展開をめぐっては、ジュピターショップチャンネルが阪急梅田駅の商業施設に出店しているほか、ジャパネットたかたも商品体験型店舗「ジャパレクラボ」を福岡市内の商業施設「マリノアシティ福岡」に出店している。

渡部 和章
渡部 和章

EC化率4割超のスニーカー販売「atmos」運営企業が仕掛けるデジタル施策とは | 通販新聞ダイジェスト

6 years 8ヶ月 ago

「アトモス」などスニーカーを中心としたセレクトショップを展開するテクストトレーディングカンパニーは、自社ECを強化する。コアユーザーの囲い込みに向けてスマホアプリの利用促進を図るほか、通販サイトのリニューアルにも着手してスニーカーが好きな幅広い層にアプローチできるサイトとして存在感を高める。

同社は「ナイキ」をはじめとする人気ブランドとのコラボスニーカーを数多く展開しているのが強みで、企業の成長とともにECチャネルの売り上げも伸ばしており、前期(2018年8月期)のEC化率が40%以上EC売上高は40億円強で、自社運営サイトの構成比が過半を占める

スニーカーマニアなどコアなユーザーに向けては、新しい買い物体験を提供する目的で2月1日に同社初のスマホアプリ「アトモスアプリ」を始動。同アプリでしか購入できない商品の展開やアプリ限定ニュースを配信することで付加価値を付けるほか、プレミア商品の抽選機能を実装した。

従来、プレミア商品の販売時は店舗に千人規模で行列ができることもあり、店舗スタッフの負荷などが課題だったため、同アプリを通じて事前に予備抽選を行うほか、本抽選の対象者が指定の時間に店舗近くにいることをアプリ上のGPSで判断。本抽選に参加できる仕組みとし、入店時には“もぎり”機能も用意してオペレーションの改善につなげる

同アプリには4月中旬をメドに会員証機能を持たせる。これまではECだけだった会員システムを実店舗にも段階的に広げ、6月にもECと実店舗のポイント連携をスタート。リアルとネットの相互利用を促すのに加え、顧客分析を強化して提案力を高める考え。

3月1日にはAR(拡張現実)技術を用いたアプリ「アトモスAR」をローンチ。同社が3月4日にナイキの歴代エアマックスを特集したスニーカーブック「ビジブル・バイ・アトモス・エアマックス・マガジン」をプロデュースしたのに合わせて、対象ページに付いたARマークをアプリでスキャンすると商品の説明動画が見られるようにするなど、コアなファンに向けた体験型アプリとして展開する。

AR(拡張現実)技術を用いたアプリ「アトモスAR」をローンチ
商品の説明動画が見られるなどした「アトモスAR」(画像は編集部がサイトからキャプチャし追加)

一方、安定成長に向けてはスニーカーブームが続いているうちに次の一手を打ちたい意向で、「幅広いユーザーへの認知拡大が不可欠」(岡山暢祐ECビジネス事業部部長)とし、ポイントアップキャンペーンなどマス受けする施策を検討しているほか、自社ECのコンテンツも充実させる。

同社では店舗販売員の協力を得て、商品のスタッフレビューやコーディネート提案を強化しているほか、ユーチューブでも「アトモス」の販売スタッフがさまざまなブランドの注目スニーカーを紹介する「アトモスTV」を配信。同動画コンテンツは好評を得ているため、現状の週1回程度から同3回以上の更新を目指すとともに、幅広いユーザー向けの商品提案も増やす考え。

注目スニーカーを紹介する「アトモスTV」(ネッ担編集部が追加)

3月末以降には自社通販サイト「アトモス公式通販」(画像)のリニューアルを実施。コアユーザー以外にも買いやすいサイトを目指す考えで、“パーソナライズ化”をキーワードに、「何を選んでいいか分からないユーザーに対してもスニーカー屋としてしっかりレコメンドしていく」(岡山部長)という。同社ではMAツールも導入し、実店舗の情報も吸い上げて来訪者一人ひとりに最適な提案を行っていく。

リニューアルした自社通販サイト「アトモス公式通販」
自社通販サイト「アトモス公式通販」

また、リニューアルに伴い、プレミア商品のEC抽選会は従来の代引き決済からクレジットカード払いに改める。同社によると、EC当選者に商品が届くのはプレミア商品の発売後となるため、高額な値段がつかないと判断した商品の受け取りを拒否する当選者もいるようで、カード決済とすることで転売目的の購入を防ぐ狙い。

加えて、今回のサイト刷新では従来の大手ベンダーから小回りの利くベンダーに変更。これまで以上に各種施策を迅速に打てるようにし、自社ECの機動力を高める。

同社は今期(19年8月期)もEC売上高は2ケタ増を計画。自社ECを中心に順調に推移しているが、今後は写真撮影といった付帯業務は外部委託を増やし、企画立案や顧客分析に力を注いで自社ECの強化を図る。

通販新聞

「SHOPLIST」が手軽な商品返品施策を採用、ローソンに設置した専用ボックスへ投函

6 years 8ヶ月 ago

クルーズの100%子会社CROOZ SHOPLISTは、ファッションECサイト「SHOPLIST .com by CROOZ」で購入した商品を返品しやすくするため、ローソンが提供する返品サービス「スマリ」を4月1日に導入する。顧客ニーズに合わせた返品手段を提供し、ECサイトのサービス向上を図る。

「スマリ」は、ECサイトで購入した商品を、ローソンに設置されている返品ボックスに投入するだけで返品が完了する仕組み。ローソンの既存の商品物流網における納品後のトラックの戻り便を活用。専用配送センターから多い日で1店舗あたり約7~8回商品を納品しており、納品後の空いているトラックを活用している。

ECサイトで商品を購入した顧客が返品する場合、返品処理用のPRコードをECサイトで取得する。ローソン店舗の返品専用機にQRコードを読み込ませると、返品用ラベルが印刷され、そのラベルを商品に貼って返品ボックスに投入すると返品が完了する。

「SHOPLIST .com by CROOZ」は、都内のローソン約100店舗で「スマリ」を使った返品に対応する。

CROOZ SHOPLISTは、ファッションECサイト「SHOPLIST .com by CROOZ」で購入した商品を返品しやすくするため、ローソンが提供する返品サービス「スマリ」を4月1日に導入する
「スマリ」を活用した返品サービスの仕組み

クルーズは今後、「SHOPLIST」のユーザビリティ向上に取り組み、ユーザーの満足度とリピート率の向上に努めるとしている。

「SHOPLIST.com by CROOZ」はレディースやメンズ、キッズなどのファストファッションを、まとめて購入できる通販サイト。2012年7月にサービスを開始し、2018年3月期の売上高は約214億円だった。

渡部 和章
渡部 和章

AR+AI搭載のディスプレイで仮想メイク、化粧品ECの課題を解決する中国の技術とは? | 中国ECのテクノロジー・ウォッチ from JD.com(京東商城)

6 years 8ヶ月 ago

中国大手ECサイト「京東商城(JD.com)」を運営する京東集団は、AR(拡張現実)を活用してユーザー自身の顔で仮想メイクを施すことができるタッチパネル式のディスプレイ「AR化粧鏡」を日本の小売市場に投入する。

「AR化粧鏡」は化粧品などを自分の顔で試し、商品の使用イメージを購入前に確認できるのが最大の特徴。ディスプレイ上で何パターンもの仮想メイクを施すことができる。試した化粧品はディスプレイからECサイトを通じて商品を購入できる仕組みになっている。

「AR化粧鏡」は、限られた店舗スペースでの商品陳列、試供できる商品数、顧客のデータ化といった店舗運営における課題を解決するツール。気軽に商品試用の機会を提供することで商品購買の機会拡大に役立つとしている。

「AR化粧鏡」は売り場のカウンター、空港、地下鉄、結婚式場など、さまざまな場所で使用できるという。

「AR化粧鏡」には京東集団が開発したAR技術とAI(人工知能)を搭載。AIを載せたディスプレイがユーザーの顔の特徴を識別し、ディスプレイ上で仮想メイクを施す仕組み。ユーザーの顔の動きに合わせて、メイクも動く。

京東集団が開発したAR技術とAI(人工知能)を搭載したタッチパネル式のディスプレイ「AR化粧鏡」
「AR化粧鏡」の使用イメージ

仮想メイクを施せるジャンルは、口紅、チーク、カラーコンタクトレンズ、アイシャドウ、アイライナー、ファンデーション、マスカラなど。

美顔整形機能もある。美顔、アイメイク、フェイスリフト、露出調整などの整形機能を搭載しているという。仮想メイクを施した画像をスキャンし、ソーシャル上で共有できる機能も搭載している。

「AR化粧鏡」のイメージ動画

中国では京東が運営する実店舗で導入しており、来日した京東の越境ECを担当する「京東Worldwide」総監の李漢青(リーハンチン)氏は、「『AR化粧鏡』は簡単に化粧品を試すことができるツールとして、商品購入に役立っている。日本でもソリューションを販売していきたいが、ローカライズなどでいろいろと工夫しないといけない」とコメントした。

「AR化粧鏡」はスマホアプリ向けの技術を応用

「AR化粧鏡」は、ARを使って商品をユーザー自身の顔で試すことができるメイクアップ機能「AR Styling Station」をタッチパネル式のディスプレイに応用したもの。「AR Styling Station」は京東集団が運営するスマホアプリで提供している。

京東集団が「AR Styling Station」を開発したのは、「メイクアップ製品のネットショッピングは、商品の写真だけで購入を決めなければならず、実際に試して自分に似合うかどうか確認できないことが課題となっていた」(京東集団)ため。

「AR Styling Station」のデモ動画。スマホを通じて商品の試用イメージを確認できる。

「AR Styling Station」には、商品を試した顔写真をSNS上で友だちとシェアできる機能がある。この機能を活用することで、化粧品ブランドはECサイトへの流入を促し、コンバージョン率をアップできるメリットがある。

メイクアップ業界の専門家の協力のもと開発したこの機能は、ネットショッピングの利便性と、化粧品のお試しという実体験を同時に叶えることができる。(京東集団)

瀧川 正実
瀧川 正実

ストライプのオムニチャネル戦略、6年で売上約100億円の事例など「ネッ担フォーラム2019春」の見所

6 years 8ヶ月 ago

ネットショップ担当者フォーラムは、年次の大型セミナーイベント「ネットショップ担当者フォーラム2019春 eコマースコミュニケーションDay」を、東京都中央区日本橋(コングレスクエア日本橋 3階ホール)で4月10日(水)に開催します(事前登録制、参加費無料)。

セミナーは主に2つの内容で構成されています。

  • 主催者セッション:編集部がその時々の業界動向にあわせて企画
  • スポンサーセッション:事業者さんやソリューション企業さんによる講演

全17セッションの予定で、EC・小売企業のオムニチャネル事例や売上アップ事例、業界動向やソリューションなどの最新情報が集うイベントです。今回、編集部がおすすめするセッションを紹介します。

全部は紹介しきれないため、この記事では編集部企画の基調講演やパネルセッションを中心にお届けします(全講演の詳細はイベントページで確認ください)。

デジタルシフトを進めるストライプのオムニチャネル戦略

ポイント!
  • 「EC化率の向上を追わない」ことを決め、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざすストライプの戦略を披露
  • 実店舗の在り方、ECの役割、外部サイトの位置付けなどを通じ、ストライプの「デジタルシフト」戦略を解説

EC化率が2ケタ台に入った2018年。ストライプインターナショナルでは「EC化率の向上を追わない」ことを決定し、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす方針転換を行いました。

今回、その実現をめざすための「デジタルシフト」「オムニチャネル」戦略を、執行役員 グローバルファッション本部 本部長の佐藤 満氏が解説します。

「メチャカリ」「STRIPE CLUB」「smarby」「ストライプデパートメント」、外部ECサイト出店、実店舗。それぞれどのような考え、戦略でビジネスを展開しているのか。ストライプの戦略・事例を知るチャンスです。

大手EC企業の責任者が語る売上アップ事例

ポイント!
  • オイシックス・ラ・大地の売上アップ事例を聞く
  • デジタル時代に紙媒体は有効なのか? その実例・効果を知る
  • ネットと他のメディアはどのように組み合わせれば効果を最大化できるのか

本トークセッションでは、多くのEC企業が課題を抱えている「リピート客の獲得」「休眠顧客の掘り起こし」について、オイシックス・ラ・大地の事例から解決策のヒントを探っていきます。

デジタルを活用したアプローチから、DM活用までのプロセスから効果までを解説。アプローチ手法などマーケティング事例を披露します。

ポイント!
  • 日本参入から6年で売上約100億円に到達したEC事例を知る
  • アンカーの販売チャネル戦略を学ぶ
  • DtoCビジネスを成功させるための考え方、戦略を知る

Ankerグループの日本法人、アンカー・ジャパンは設立から6年目で、年商100億円超の規模まで急成長しました。今回のセッションでは、その成長過程を披露します。

どのような戦略、どんな考えで顧客を掴み、成長を遂げたのか。成長のドライバーとなった「チャネル戦略」(EC販路から実店舗、プライシングなど)「カスタマーサポート戦略」にフォーカスし、Anker流DtoCビジネスを説明します。

事例満載のパネルディスカッション「カゴメ×アンファー」「ボタニスト×よなよなエール」

ポイント!
  • カゴメ、アンファーが実践している売上アップ事例を学ぶ
  • 本音で語る、課題解決のためのアプローチ、その施策効果などを知る

カゴメ、アンファーのパネルセッションでは、①CRM施策②顧客ロイヤリティUP施策③LTV向上、リピート施策④チームビルディング――にフォーカスし、両社の取り組みを本音で語り合います。

モデレーターは、ドクターシーラボや協和のEC責任者を歴任した小原田剛氏。実務者、第三者の目線で、カゴメ、アンファーの取り組みに切り込みます。

ポイント!
  • 熱狂的ファンを抱える2社のブランディングを学ぶ
  • 中小企業でもできるファン作りなどを知る

「ボタニスト」「よなよなエール」には、「ネット発のヒット商品」「ブランディング」「ファン作り」「中小企業」「リアル展開」といった共通点が多い。なぜ2社は中小企業ながら、大企業にも負けないブランド力を獲得できたのか? 「ブランディング」「ファン作り」などの観点から、消費者に支持されるブランド、企業、ECサイト作りのヒントをお届けします。

◇◇◇

駆け足で紹介しましたが、ここの載せたのはほんの一部です。

今回のイベントは、ECサイトを運営している事業者に限定しております。参加者はすべてEC実施企業。横のつながりを強化し、さらなる流通業界の活性化に向けて成長していただく場としても活用してください。

ネットショップ担当者フォーラム編集部
ネットショップ担当者フォーラム編集部

クレカ決済のセキュリティ対策を講じているECサイトは「実行計画」に取り組んでいると自己宣言を

6 years 8ヶ月 ago

クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局・日本クレジット協会)は、カードの不正利用対策などを実施したEC事業者に対して、取り組みの内容をECサイト上で消費者に周知するよう呼び掛けている。改正割賦販売法によって義務付けられたセキュリティ対策の指針を踏まえたもの。EC・通販業界に向けては、日本通信販売協会に周知を依頼した。

同協議会は今年3月、2018年6月1日に施行された改正割賦販売法におけるセキュリティ対策義務の実務上の指針として「実行計画2019」を公表。情報漏えいやカードの不正利用などを防ぐためのセキュリティ対策を規定するとともに、EC事業者が実行計画に基づいてセキュリティ対策を実施した場合には、その旨を自社のECサイト上で宣言するようを求めている。

宣言文の参考例は以下の通り。

  • 「割賦販売法に基づき、クレジット取引セキュリティ対策協議会の定める実行計画に取り組んでおります」
  • 「割賦販売法に基づき、クレジットカード取引のセキュリティ対策に取り組んでおります」
クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局・日本クレジット協会)は、カードの不正利用対策などを実施したEC事業者に対して、取り組みの内容をECサイト上で消費者に周知するよう呼び掛けている
宣言文の参考例

協議会は実行計画を毎年改定しており、今年3月に最新版の「実行計画2019」を公表した。

「実行計画」がEC加盟店に求める対策とは?

「実行計画」ではEC事業者に対し、ECサイト側が顧客のクレジットカード情報を保持しない仕組みを作るか、カード情報を保持する場合には高レベルのセキュリティ対策(PCI-DSS準拠など)を求めた。

EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「Java Scriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

経済産業省はクレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表
EC加盟店における非保持化を実現するセキュリティ措置(画像は「実行計画2019」の概要版からキャプチャ)

また、クレジットカードの不正利用のリスクや、被害の発生状況に応じて、加盟店に対策を講じるよう規定している。対策の具体例は「本人認証(3Dセキュアなど)」「券面認証(セキュリティコード)」「属性・行動分析(不正検知システム)」「配送先情報の確認」の4つ。

リスクが高い商材として指定された「デジタルコンテンツ(オンラインゲームを含む)」「家電」「電子マネー」「チケット」を扱っている加盟店に対しては、上記のうち1つ以上を導入するよう求めている。

また、不正利用の被害が多発しているとカード会社が判断した加盟店は、上記のうち2つ以上の対策を導入する必要がある。

経済産業省はクレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表
非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策(画像は「実行計画2019」の概要版からキャプチャ)
渡部 和章
渡部 和章

EC購入のアパレル商品を「受け取り」「試着」「お直し」する店舗サービス、三陽商会やワールドなどが参加

6 years 8ヶ月 ago

ヤマトホールディングス傘下のヤマトシステム開発は3月25日、アパレルメーカーがオンラインショップで販売した衣服や靴などの試着やサイズ直し、店頭受け取りなどを行える実店舗サービス「Fittingステーション」の運用を開始する。

首都圏の駅ビルなど17か所に店舗を開設。三陽商会やワールド、ライフスタイルアクセントなど5社が利用を予定している。ヤマトシステム開発は2020年度に「Fittingステーション」事業で営業収益3億円をめざす。

ヤマトシステム開発は、アパレルメーカーがオンラインショップで販売した衣服や靴などの試着やサイズ直し、店頭受け取りなどを行える実店舗サービス「Fittingステーション」の運用を開始
「Fittingステーション」の仕組み

アパレルECの課題である試着を行いやすくすると同時に、店頭受け取りのニーズにも対応する。

消費者が通販サイトで買い物をした際に、商品の受け取り場所として「Fittingステーション」を選択すると、指定した店舗で商品を受け取ることができる。店舗で商品を試着した後、その場で返品することも可能。

「Fittingステーション」にはスタッフが常駐しており、商品の保管や引渡し、試着室の提供、サイズ直し、返品の受け付け、発送手続きなどを行う。

「Fittingステーション」は、アパレルのリフォームやリメイクなどを手掛ける、おしゃれ工房、フォルムアイ、リフォームスタジオの店舗で提供する。当初は東京、神奈川、千葉の17店舗で展開。今後、対象店舗を順次増やす予定。

「Fittingステーション」は三陽商会やワールド、ライフスタイルアクセントなど5社が利用を予定している
三陽商会やワールド、ライフスタイルアクセントなど5社が利用を予定している

2018年の実証実験で100人が利用、約4割は新規顧客

ヤマトグループは2018年1月から3月にかけて、「Fittingステーション」の試験運用を東京・アトレ大森店3階のイベントスペースで行なった。実証実験に参加したアパレル企業は7社。

利用者数は約100人で、約75%は女性だった。利用者の約4割は、参加アパレル事業者の商品を初めて購入する新規顧客だったという。

渡部 和章
渡部 和章

バイク用品EC大手「ウェビック」の差別化策――自社独自の「修理保証」「適合保証」でユーザーの不安解消

6 years 8ヶ月 ago

リバークレインは3月19日、バイクパーツやバイク用品のECサイト「ウェビックショッピング」において、一定の条件下で修理や返品交換などを行う保証サービス「ウェビック安心サービス」を開始した。

最大2年間の保証期間を設けた「修理保証」を提供。さらに、適合車種にパーツが取り付けられなかった場合には、ポイントによる補償と返品交換を行う。

修理保証の対象となっている商品は、メーカー保証の有無に関わらず、商品に不具合が発生した場合は納品日から1年間、修理や交換に応じる。同社が発行するクレジットカード「ウェビックカード」の会員は保証期間が2年間に延びる。

リバークレインは、バイクパーツやバイク用品のECサイト「ウェビックショッピング」において、一定の条件下で修理や返品交換などを行う保証サービス「ウェビック安心サービス」を開始
ウェビック安心サービス「修理保証」(画像は「ウェビック」から編集部がキャプチャ)

購入したパーツを、適合保証対象商品である「適合車種」に適切に取り付けようとしたにもかかわらず、パーツが付かなかった場合、販売価格の10%分をポイントで補償する。さらに、無料で返品と交換を行う。

リバークレインによると、バイクパーツやバイク用品を購入するユーザーは、「メーカーで設定する保証期間が短い」「取り付けた後では保証が受けられない」「車種タイプが細かく分かれており、適合と記載のあった商品でも取付ができない」といった不安を持つことが多いという。そういった顧客の声を踏まえ、独自の保証サービスを導入した。

リバークレインの公式サイトによると、2018年12月期の売上高は前期比7.0%増の92億9500万円。

渡部 和章
渡部 和章

「置き配」で再配達削減へ――国交省と経産省が検討会立ち上げ

6 years 8ヶ月 ago

宅配便の荷物を玄関先など利用者が指定した場所に配達する、いわゆる「置き配」を普及させるため、政府は新たな検討会を立ち上げる。「置き配」を実施する上での課題を整理し、関係省庁や業界各社に求められる対応策などを検討する。

検討会の名称は「置き配検討会」。第1回は3月25日に開催する。検討会の委員としてアスクルやアマゾンジャパン、楽天、ZOZOなど大手通販会社が参加する予定。経済産業省と国土交通省、環境省も参加する。

第1回検討会では、「通信販売と宅配便の再配達に関する調査」の結果や各社の取り組みの事例など踏まえて意見交換する。検討会は非公表で、会議資料は後日公表される予定。

「置き配検討会」は、2018年5月から10月にかけて開催された「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」 で議論された「多様な受取方法の推進」の一環として設置された。

「置き配」は再配達削減が期待できることから、通販業界で広がり始めている。化粧品通販のファンケルや、アスクルの日用品ECサイト「ロハコ」などが実施。楽天も自社配送サービス「Rakuten EXPRESS」で置き配サービスを実施している。

置き配検討会 委員名簿

委員(調整中、3月20日時点)

アスクル株式会社、 アマゾンジャパン合同会社、Yper 株式会社、オルビス株式会社、佐川急便株式会社、株式会社 ZOZO、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社ナスタ、日本郵便株式会社、株式会社ファンケル、株式会社丸和運輸機関、楽天株式会社

オブザーバー

公益社団法人日本通信販売協会

行政

経済産業省商務・サービスグループ消費経済企画室・物流企画室、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課、国土交通省総合政策局物流政策課企画室、国土交通省自動車局貨物課、環境省地球環境局地球温暖化対策課

渡部 和章
渡部 和章

「楽天ペイ」アプリ全面リニューアル/実店舗スタッフの半数が「ECは脅威」【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

6 years 8ヶ月 ago
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    2019/3/15
  6. 印鑑通販の大手ECサイト「ハンコヤドットコム」のサイト内検索改善事例を大公開

    1998年から印鑑のECサイトを運営しているハンコヤドットコムは顧客の買い物体験を向上させるために取り組んだサイト内検索の改善事例を紹介

    2019/3/20
  7. 楽天とアルペンが連携強化、ネットとリアルを連動させたサービスを拡大

    アルペングループのスポーツ用品店401店舗において、楽天の共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」を利用できるようにする

    2019/3/19
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    包括的物流配送サービスを構築する「ワンデリバリー」構想の一環として、「Rakuten EXPRESS」の配送エリアを拡大した

    2019/3/15
  9. 販売スタッフなしのデジタルストアは実現する? ECサイト「&mall」への誘導などららぽーとで実証実験

    店内に設置したデジタルサイネージを通じてアバターが接客を行い、QRコードでECサイトに顧客を誘導する

    2019/3/18
  10. 「○○大学との共同研究」「○○大学との共同研究から生まれた成分」は広告で訴求できる?

    化粧品の場合は要注意! 「大学との共同研究」という表現の考え方(連載第45回)

    2019/3/18

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    フジテレビのサブスク型動画配信サービス「FODプレミアム」が支持される理由。ユーザー拡大のキーワードは「Amazon」だった

    6 years 8ヶ月 ago

    フジテレビが運営する「FODプレミアム」は、過去に放映した名作ドラマ、バラエティ、アニメ、映画などが月額888円(税抜)で視聴できるサブスクリプション型の動画配信サービスだ。最新作や「FOD」オリジナル番組などの配信も行い、利用者は右肩上がり。さまざまな動画配信サービスが浸透するなか、「FOD」はなぜ支持されているのか? その1つの要因にあげられるキーワードが「Amazon」だ。躍進を続ける「FOD」の裏側を取材した。

    フジテレビの動画配信サービス「FOD」とは?

    フジテレビが過去に放送していたテレビ番組やバラエティ、オリジナル動画などをメインにインターネット配信する「FOD」。Web、アプリなどで「いつでもどこでも手元のデバイスで視聴できる」をコンセプトにサービスを展開している。

    事業の柱は2つ。1つは、最新ドラマ・バラエティを放送後から期間限定で視聴できる無料のコンテンツ配信サービス。2つ目が、最新作に加えて過去にフジテレビが制作したドラマ、バラエティ番組、アニメや映画など、数多くの対象作品が月額888円(税抜)で見放題になる定額課金のサブスクリプションサービス「FODプレミアム」だ。

    フジテレビが展開する動画配信サービス「フジテレビオンデマンド(FOD)」
    フジテレビが展開する動画配信サービス「フジテレビオンデマンド(FOD)」

    期間限定で視聴できる無料配信サービスの視聴者を、収益源の柱となる「FODプレミアム」にいかにして移行できるかが「FOD」のビジネスの根幹。そこで大きなハードルとなっていたのが、「FODプレミアム」への登録を行う「会員登録」だった。

    「FOD」は、リモコン操作で簡単にテレビを見たいといったユーザーがメインターゲットとなります。ユーザーがご自身で個人情報を入力しなくても、定額課金サービスを体験できる方法を導入したいと思っていました。(フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 枝根聡樹氏)

    「FOD」は2008年にWebでスタートし、2012年にリニューアル。当時、ガラケーからスマホへの移行期でもあり、手軽に番組を視聴できる仕組み作りを模索していた。そこで採用したのがオープンID戦略だった。

    現在、「FOD」では3大キャリアのキャリア決済、楽天・ヤフー・Amazonなどが提供するIDログインサービスおよび決済サービスを導入している。

    オープンID戦略を取り入れることで新規に個人情報を入力するハードルを下げるようにしました。デジタルを活用する人の購買率、継続率も高い。こうした傾向を鑑みて、オープンIDを使って簡単に登録・決済ができるサービス設計をめざしました。(枝根氏)

    「FOD」ではさまざまなオープンIDのログイン、決済機能を導入している
    「FOD」ではさまざまなオープンIDのログイン、決済機能を導入している

    「Amazon Pay」導入を決めた理由

    ただ、導入したオープンIDにも課題があった。たとえば決済手数料の料率。ある企業ではID決済の手数料に加えて、ポイント原資の負担もあった。

    また別のIDログインおよび決済サービスでは、IDログインサービスと決済サービスの2段階登録という利用者の登録作業が必要となり、コンバージョンへのハードルが高く、離脱につながっていた。

    こうした課題を解決するために導入したのが、Amazonアカウントに登録した情報を使い、Amazon以外の自社ECサイトなどでログインや決済を行えるようになる「Amazon Pay」だった。「Amazon Pay」は2015年のサービス開始から約4年で、利用事業者数は数千社に拡大しており、自社ECサイトからのニーズは高い。

    また、初めて使うECサイトでIDとパスワードの登録を面倒に感じる消費者は増加している。「Amazon Pay」を導入すれば、新たにアカウント開設のために個人情報を入力しなくても、Amazonアカウントに登録されている情報を使って支払い手続きを完了することが可能。IDやパスワードを増やさなくて済むため、ECサイトの利用者にとって利便性が高い。

    そして、導入したECサイトでは、その自社ECサイトを使う顧客に対して次のようなメリットを提供できるとされる。

    • 「Amazon.co.jp」のID/パスワードひとつで買い物できる
    • 住所やクレジットカード情報の入力が不要
    • Amazonアカウントへのログインと注文確定の最短2クリックで決済が完了する

    そのため、「Amazon Pay」を導入したECサイトでは、①新規会員が獲得しやすくなる②CVR(コンバージョンレート)が向上しやすくなる③不正注文が防げるようになる④LTV(顧客生涯価値)が向上しやすくなる――といった効果を期待できる。「FOD」がめざす「使いやすいサイト」作りと方向性が合致した

    フジテレビにとっては手数料も魅力的だった。「Amazon Pay」は初期費用と月額利用料が無料(カート経由で利用する場合は、カート会社での月額費用が発生する場合がある)。決済手数料は物販・サービスの場合4%、デジタル商材の場合は4.5%に設定されている。

    普段、Amazonで買い物する優良なお客さまが「FOD」の会員になってくれます。手数料も他のID決済と比べて低いこともメリットでした。(枝根氏)

    フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 枝根聡樹氏
    フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 枝根聡樹氏

    「Amazon Pay」導入でCVR、LTVが大幅に向上

    「FOD」ではこれまで、オープンIDごとにキャンペーンを行っていたため、単純な比較はできないものの、2018年7月の「Amazon Pay」導入によって「コンバージョン数の増加は大きく改善した。会員の伸び率も大きな変化があり、従来比で約20%向上しました」(枝根氏)。

    新規客の獲得ペースの加速、コンバージョンレートの改善によって思わぬ効果も。「さまざまな指標が改善されたため、リスティング広告など販促キャンペーンが打ちやすくなった投下した予算の新規客獲得効率が上がったため、会員数の獲得ボリュームは2割増しになりました」(枝根氏)と言う。

    フジテレビが最も効果的だったと考えるのはLTV(顧客生涯価値)の劇的な変化だ。サブスクリプション型で提供している「FODプレミアム」の継続利用率が向上したことで、LTVは約14%も改善した。「平均継続期間の伸びが顕著です」(枝根氏)。

    「FOD」のサブスクを支える「Amazon Pay」の「Auto Pay」機能

    サブスクリプション型のビジネスを展開する上で、LTVは収益の根幹をなす大きな指標。使いにくさはもちろん、クレジットカードの有効期限切れによる解約も機会損失につながる。

    「Amazon Pay」は「Amazon.co.jp」での買い物時に登録されているクレジットカードの有効期限を更新した場合、その情報が反映されるため、有効期限切れによる解約といった機会損失の回避を期待でき、買い物しやすい環境を提供することができるようになる。つまり、定期購入ビジネス、サブスクリプションビジネスにとっては心強い効果が期待できるというわけだ。

    また、「Amazon Pay」にはもう1つ、サブスクリプションビジネスを支援する大切な機能がある。

    「Amazon Pay」の「Auto Pay」と呼ばれるその機能をECサイトに導入することで、購入者は初回の支払い手続き時に「以降の支払いをAmazon Payで行う」と設定することが可能になる。2回目以降は都度ECサイト上で支払いの手続きをすることなく継続して商品やサービスを注文できるようにするものだ。

    また、「Amazon Pay」の「Auto Pay」を使えば、事業者は「自由に金額やタイミングを設定し、請求することが可能」「顧客へのサービス提供内容に応じて、決済の頻度や金額などのカスタマイズが可能」など、ビジネスモデルに柔軟に対応した決済方法を購入者に提供することが可能だ。

    「FOD」ではこうした機能を活用し、「Amazon Pay」経由で「FODプレミアム」に登録した会員に対して「初回1か月無料」という無料トライアルキャンペーンを実施。会員登録のハードルを大幅に下げることに成功している

    サブスクリプションの根幹はクレジットカード。以前、ケータイキャリア決済がメインだったころは、(ケータイ端末を切り替えるタイミングが多い)2年間で「FODプレミアム」をやめてしまう利用者が圧倒的に多かったんです。そのため、LTVも固定化されていました。こうした状況は現在、劇的に変わりました。「Amazon Pay」経由に関して、初回1か月無料を試したことで、2か月目以降も継続するユーザーがとても増えています。(フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 部長職 野村和生氏)

    「顧客へのサービス提供内容に応じて、頻度や金額などのカスタマイズ」できる「Auto Pay」機能を活用し、「Amazon Pay」でのお支払いを選んだ方には初回1か月無料サービスを提供している
    「顧客へのサービス提供内容に応じて、頻度や金額などのカスタマイズ」できる「Auto Pay」機能を活用し、「Amazon Pay」でのお支払いを選んだ方には初回1か月無料サービスを提供している

    LTVアップのための独自施策、Amazon顧客との高い親和性

    「FOD」ではプレミアム会員向けに、映画やドラマ、バラエティといった番組以外のコンテンツを豊富に取りそろえ、会員のLTV向上につなげている。たとえば以下にあげたコンテンツがその一例。

    • 人気雑誌の最新号読み放題(135種類以上)
    • 電子書籍の購入額の20%分をポイント還元
    • 特定のマンガコンテンツの無料閲覧
    • 見放題対象外の動画や書籍の購入に使えるポイントを定期的に付与
    動画コンテンツだけではなく、雑誌の見放題、電子書籍がお得に購入できる会員サービスも展開する
    動画コンテンツだけではなく、雑誌の見放題、電子書籍がお得に購入できる会員サービスも展開する

    自社の放映コンテンツから、他社のコンテンツまで会員向けに幅広くそろえています。特に「Amazon Pay」経由の会員は電子書籍の購買率が高い。普段、Amazonで電子書籍に触れている顧客が多く、抵抗なく電子書籍を購入してくれるのでしょう。(野村氏)

    フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 部長職 野村和生氏
    フジテレビ 総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 部長職 野村和生氏

    「Fire TV」の「FOD」を対応、リビング視聴ユーザーの獲得につながる

    フジテレビは「FOD」への「Amazon Pay」導入と同時に、インターネットの配信映像などをテレビ画面で視聴できる「Fire TV」利用者向けに、アプリケーションの提供を開始した。

    Amazonが提供するアプリ内課金(IAP)のAPIを活用し、定額課金サービスである「FODプレミアム」の申し込み手続きをアプリ内で行うことができるようにした。「テレビドラマなどをリビングのテレビで視聴したい人向けに展開しています」(野村氏)。

    野村氏曰く、これはデバイス戦略の一環。「視聴者のテレビ視聴が多様化しているので、『FOD』はFire TVに対応することで、ネットでテレビを見る視聴者にアプローチできるようになりました」(野村氏)

    「Fire TV」で「FOD」を閲覧するユーザーは「継続率が高く、たくさんの動画を視聴しています」と野村氏。

    「Amazon Pay」経由の顧客ユーザーが増え、「FOD」は消費者のリビングにすんなり入り込む導線を作ることができました。これは他のオープンIDでは、実現できないこと。こうしたデジタル戦略を進め、「FOD」経由でテレビ占有率を取り戻していきたいと考えています。テレビ番組の持っているコンテンツとしての価値は少しも失われていないことを実感できています。(野村氏)

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    ユーザーのECサイト画面を共有して買い物を支援、サカタのタネが始めたサービスとは?

    6 years 8ヶ月 ago

    植物の種や園芸用品などを販売しているサカタのタネは3月19日、自社ECサイト「サカタのタネ オンラインショップ」において、ユーザーのパソコンに表示されているECサイトの画面をオペレーターが共有し、電話で操作方法をサポートする「画面共有サポート」を開始した。

    オンラインの注文時に発生する疑問やトラブルなどを解消し、顧客満足度の向上をめざす。

    ECサイトの利用者の増加に伴い、操作に関する問い合わせが増加。利用者からは、個人データの登録や注文などの操作について「ネット環境に慣れていないため不安」といった声が多く寄せられているという。「画面共有サポート」機能を導入することで、ネット通販に不慣れな顧客をサポートする。

    植物の種や園芸用品などを販売しているサカタのタネは、自社ECサイト「サカタのタネ オンラインショップ」において、ユーザーのパソコンに表示されているECサイトの画面をオペレーターが共有し、電話で操作方法をサポートする「画面共有サポート」を開始
    「画面共有サポート」のイメージ

    従来は、電話のみで顧客からの問い合わせに対応していたため、オペレーターの対応に限界があった。

    現在、「サカタのタネ オンラインショップ」の利用者のうち、シニア層が50%を占めているという。

    「画面共有サポート」の操作手順

    1. 操作が分からない箇所をパソコン画面に表示したまま、画面左下に表示されている4 桁の「ウェブ接客コード」を取得
    2. 専用電話でオペレーターに連絡し、「ウェブ接客コード」を伝え、電話を切り、折り返し電話を待つ
    3. オペレーターが電話をかけると同時に、パソコン画面に、オペレーターの接続確認が表示され、「はい」を選択すると、オペレーターが画面共有を行いサポートが開始される
    渡部 和章
    渡部 和章

    フリマアプリ「メルカリ」もイメージ検索が可能に。「写真検索機能」を導入

    6 years 8ヶ月 ago

    メルカリは3月18日、フリマアプリ「メルカリ」に、画像から商品を検索できる「写真検索機能」を追加した。スマホで撮影した画像を読み込み、同一商品や類似商品を検索結果に表示する。

    「写真検索機能」を使うには、検索メニューの「写真からさがす」の項目か、右上のカメラアイコンをタップし、探したい商品を撮影する。

    商品検索機能はこれまで「キーワード検索」「カテゴリー検索」「ブランド検索」の3種類だった。

    顧客を対象に実施した機能改善に関するアンケートなどで、「SNSで見つけた服をメルカリで簡単に探したい」「商品名やブランド名がわからずうまく探せない」といった意見が寄せられていたことから、「写真検索機能」を追加した。

    「写真検索機能」には、マシンラーニングやディープラーニングの人工知能技術を活用しているという。サービス開始から約5年間で蓄積した、数十億規模の商品データを人工知能の開発に活用している。

    メルカリはフリマアプリ「メルカリ」に、画像から商品を検索できる「写真検索機能」を追加
    「写真検索機能」のイメージ

    メルカリは2013年7月にサービスを開始。同社によると「メルカリ」の月間利用者数は1200万人以上、総出品数は11億品を超えているという。

    ファッションECサイトに画像検索機能を導入する動きは2017年ごろから活発化。ユニクロ、アダストリア、楽天、クルーズ、マガシークなどもECサイトやアプリに画像検索を実装している。

    渡部 和章
    渡部 和章

    スマホアプリ決済「楽天ペイ」を刷新、クレカやEdyなど決済手段を1つのアプリに統合

    6 years 8ヶ月 ago

    楽天は3月18日、スマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」のリニューアルを実施、「楽天Edy」「楽天キャッシュ」「クレジットカード」「楽天ポイント」などを統合し1つのアプリで利用できるようにした。

    楽天はスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」のリニューアルを実施、「楽天Edy」「楽天キャッシュ」「クレジットカード」「楽天ポイント」などを統合し1つのアプリで利用できるようにした
    「楽天Edy」「楽天キャッシュ」「クレジットカード」「楽天ポイント」などを1つのアプリに統合

    楽天では、グループのフリマアプリ「ラクマ」では「ローソン」「ファミリーマート」など実店舗での支払いにも利用できる「楽天キャッシュ」に、売上金を手数料無料でチャージできるようにしている。

    リニューアルしたアプリでは、「ラクマ」売上金に加え、「楽天カード」でチャージした「楽天キャッシュ」を個人間で送り合うことができるようにした。

    楽天はスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」のリニューアルを実施、「楽天Edy」「楽天キャッシュ」「クレジットカード」「楽天ポイント」などを統合し1つのアプリで利用できるようにした
    新アプリのイメージ

    また、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」機能をメインメニューに搭載。「楽天ポイントカード」を同一アプリ上でメインメニューの1つとして表示し、「楽天ペイ(アプリ決済)」と「楽天ポイントカード」の両サービスに加盟する店舗で手軽に「楽天スーパーポイント」をためるようにしている。

    楽天グループのスマホ決済対応か所数は全国で約300万。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    質の高いカスタマーサービスでLTVを向上させるために必要な4つの視点 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    6 years 8ヶ月 ago

    カスタマーサービスは、ショッピングエクスペリエンスを成功させるための鍵。質の高いカスタマーサービスを行えば、長期間に渡って消費者と良好な関係を築くことができます。

    カスタマーサービスは個別対応の要素が多いため、店舗の選択や顧客ロイヤルティ、最終的にはLTVにまで影響をおよぼします。消費者中心主義を推進し、思いやりの文化を持ち、テクノロジーを活用している小売事業者が競争力の高い市場で生き残っている理由をご説明します。

    カスタマーサービスの領域を見ると、ほとんどの要素は以下の4つのカテゴリーに集約されます。

    1. 消費者
    2. スピード
    3. 思いやりの文化
    4. テクノロジー

    「消費者」自身と「スピード」は消費者に起因するもので、残り半分の「思いやりの文化」と「テクノロジー」は小売事業者に起因するものです。今回は、集中すべきこの4つのカテゴリーについて、詳細を交えながらご説明します。

    1. 消費者

    前提:今時の消費者は、買い物、購買、カスタマーサポートのあらゆる面で高い期待を抱いています。2018年7月にインターネットリテイラー社とトルーナ社が発表した調査結果を見れば明らかです。「なぜアマゾンで買い物するのか」と聞かれた消費者の79%が、「質の高いカスタマーサービスが理由」と答えました。アマゾンにとってカスタマーサービスが重要ならば、どの小売事業者にとっても同様のはずです。

    調査結果によると、「良い」もしくは「とても良い」とレビューする消費者の満足度は総じて高くなっています。小売事業者がまず目指すべきは、カスタマーサービスのスタッフとやりとりがあった顧客のうち、10人に6人が少なくとも「良い」というレビューを残すことです。カスタマーサービスが休む期間に関しては、5人に4人が「気にしない」と答えているのは、小売事業者にとって安心材料でしょう。

    しかし、現代の消費者は販売チャネルを気にしていません。そのため、小売事業者にとっては安定したサービスを提供するのが難しくなりますが、常に忙しく動き回っている消費者のニーズに応えていく必要があります。

    「わかりました」が正しい答え。

    消費者は質問がある場合、誰にでも通用する答えではなく、素早く個別に対応してくれることを望んでいます

    セルフサービスでも、人間が介在するカスタマーサポートでも、消費者は自分のやり方を求めています。常に「オン」の状態にある現代社会では、消費者ニーズに応えるために必要な情報をいかにコストをかけずに提供するか、模索しなくてはいけません。

    カスタマーサービスを利用する消費者は、待ち時間も、能力の低いカスタマーサービススタッフも毛嫌いしています。オンライン通販利用者の53%が「カスタマーサービスに連絡した際に長時間待たされるのは問題だ」と感じ、38%が能力の低いカスタマーサービスのスタッフに腹を立てています

    消費者対応において、テクノロジーが占める割合が大きくなった結果ともいえるでしょう。セルフサービスと人を介在させるサービスの間をフレキシブルに往来しながら、個人ごとのニーズに応えつつ、利益目標を達成していく必要があります。

    2. スピード

    前提:多くの消費者は時間を節約するためにオンラインで買い物をします。ですから、情報提供から素早い発送まで、どの点においても効率を求めているのです。

    すべての小売事業者は、発送も含めて非の打ち所のないカスタマーサービスを目標とするべきです。約15%の消費者が発送の遅延や注文商品に関するコミュニケーション不足を体験しています。数字は比較的低いですが、満足度が高い場合でも、消費者とのコミュニケーションを密に取り、苛立たせないことが今まで以上に重要なのです。

    小売事業者が素早い発送を行うようになると、消費者もスピード配送に慣れてきて、少なくとも1度は以下のような経験をしています。

    • 3人に1人が店舗やサイトからの同日配送の商品を注文したことがある
    • 43%は発送を早くするために追加料金を払ったことがある
    • 58%は発送情報が不足、もしくは発送までに時間がかかるため注文しなかった

    3. 思いやりの文化

    前提:コストのかからないセルフサービスに頼る小売事業者もいますが、サービスを差別化の要因と考えて、困難な道を選んだ事業者もいます。その場合、スタッフとトレーニングと価値基準を総合的に高めることになります。

    どのように消費者と関わりたいかは事業者が決めることです。たとえば私自身も、返品方針に例外を作ってもらったり、傷のついた商品を引き取ってもらったり、期限切れのクーポンを使わせてもらった経験があります。このようなイレギュラーな選択をすることで、売上に影響が出るかも知れませんが、消費者に好印象を与えることができ、その価値は計り知れないのです。

    アマゾンはこの手法を長年採用し、消費者が問題を発見した時、彼らが一切質問しなくても解決されるような仕組みを作っています。このやり方こそアマゾンが顧客満足度で毎年上位に食い込む理由であることは間違いないでしょう。事業者にとっても消費者にとってもわかりやすいプロセスを作り、消費者を思いやって正しいことをすることが大切です。

    「オンラインのカスタマーサービスで苛立つポイント」(n=1,610/複数回答可)
    出典:インターネットリテイラー/BizRate Insiteds(2018年7月)

    4. テクノロジー

    前提:小売事業者はビジネスモデルや顧客層を考慮し、より良いサービスを提供するために新しいテクノロジーを活用していくでしょう。

    カスタマーサービスにおいて重要なテクノロジーは、AI(人工知能)で、Gartner社は「2020年までに4分の1のカスタマーサービス対応がバーチャルアシスタントやチャットボットになる」と予測しています。2017年には2%だったことを考えると、非常に大きな変化です。FAQ作成から商品プロフィール、個別の消費者対応、保証や返品プロセスまで、さまざまな場面に対応するアプリケーションが出てきています。

    AIがカスタマーサービスのすべてを取って代わるわけではありませんが、消費者の苛立ちを軽減し時間を節約することはできるでしょう。信頼できるオートメーションに頼れば、24時間年中無休で働いてくれます。自動でFAQを作成してくれるようなツールを使って最適化すれば、単純な質問はツールに任せて、より複雑な問題だけをエスカレーションすることも可能になるでしょう。

    Eptica社の最新の調査によると、64%の消費者は「自動チャットボットでも苦にならない」と答え、50%以上が「質問への回答にボイスアシスタントが使われても喜んで受け入れる」と答えました。

    不安定な経済状況の中、コストカットが流行し生き残るためにはお金を貯めておくことが必須になっています。とは言え、テクノロジーのおかげで素早く、高い満足度を実現することが可能になっています。そうなれば、人件費も下がり、消費者な望む一貫したサービスを同時に提供することができるでしょう。

    もちろん、テクノロジーがどんなに発展しても、完璧なものはありません。消費者からの不満も出てくるでしょうし、軌道に乗せるまでに時間もお金もかかるでしょう。小売事業者は試行錯誤しながら、テクノロジーを駆使して、ブランド価値を高め、カスタマーエクスペリエンスを向上させていくことが大切です。

    Internet RETAILER
    Internet RETAILER

    ハンコ業界No.1のECサイト「ハンコヤドットコム」のサイト内検索改善事例を大公開

    6 years 8ヶ月 ago

    1999年から印鑑のECサイトを運営しているハンコヤドットコムは、印鑑以外に販促物や印刷系など約40サイトを運営している。顧客の需要や要望に応じて都度、ECサイトを自社で制作してきた。印鑑は1人ひとりの要望に合わせて製造するオーダーメイドが中心で、今必要に迫られて買いに来たという目的買いが多い。商品の特性上、欲しい商品まで最短で辿り着くことが望ましいが、取り扱う商品点数やカテゴリー数が多く、スマホが主要デバイスとなりスクリーンが縮小する中で、こうした課題をハンコヤドットコムはどのように解決したのか?

    ハンコヤドットコムが抱えていた課題

    印鑑の通販サイト「ハンコヤドットコム」を運営するハンコヤドットコムは、2018年12月に東証マザーズに上場したAmidAホールディングス傘下のEC企業。同じくAmidAホールディングス子会社のAmidAは、Webマーケティング事業を手がける。

    「ハンコヤドットコム」の商品の企画・開発から集客・サイト運営を担うのがAmidAで、ハンコヤドットコムは商品の製造・梱包・出荷・カスタマーサポートを手がける体制となっている。

    「ハンコヤドットコム」の運営体制
    「ハンコヤドットコム」の運営体制

    AmidAとハンコヤドットコムは「ハンコヤドットコム」以外にも約40ものECサイトを運営しており、印鑑から名刺、封筒、のぼり、表札など33カテゴリー、20万SKUを扱う。商材の中心は、注文に対して1つひとつ商品を製造するオーダーメイド品。消費者は、膨大な商品の中から、材質、サイズ、書体など、さまざまな条件を考えなければ目的の商品を探し出せないため、どのようなものを買って良いのか商品購入までの手順が分かりづらいという課題を抱えていた

    「ハンコヤドットコム」ユーザーが商品を購入する流れ
    「ハンコヤドットコム」ユーザーが商品を購入する流れ

    マーケティング面を担当するAmidAではこうしたユーザーエクスペリエンス(UX)に関する課題に対し、各サイトで簡単に目的の商品を探し出す方法として、約40サイト共通の商品データベースを構築。材質、サイズ、書体など、消費者の複雑な検索条件に適した検索結果が表示できるようなサイト内検索システムの導入、およびチューニングを実施した。

    この改善過程などについて、AmidA取締役兼マーケティング事業部部長の森龍彦氏、改善提案などを行ったビジネスサーチテクノロジ(BST)の代表取締役社長である川邉雄司氏が語り合った。

    AmidA取締役兼マーケティング事業部部長の森龍彦氏(写真左)と川邉雄司ビジネスサーチテクノロジ代表取締役社長(写真右)
    AmidA取締役兼マーケティング事業部部長の森龍彦氏(写真左)とビジネスサーチテクノロジ代表取締役社長の川邉雄司氏(写真右)

    「ハンコヤドットコム」が実施した3つの改善

    森龍彦AmidA取締役兼マーケティング事業部部長(以下、森):ハンコヤドットコムは1999年からさまざまなドメインでECサイトを運営してきました。見た目は同じようなECサイトですが、都度、開発・構築する人が異なったので、裏側やデータは統一できておらずバラバラの状態。CMSで作っていればデータも整理できたかもしれませんが、数年前までCMSを使わずにスクラッチで20サイトくらい構築し、運営していました。そのため、印鑑が売れる繁忙期である3月や4月に、1日1回くらいECサイトが止まってしまうような状況。その度にエンジニアがECサイトを立て直して稼働するような状態で運営を続けてきていました。

    AmidA取締役兼マーケティング事業部・森龍彦部長
    AmidA取締役兼マーケティング事業部部長・森龍彦氏

    川邉雄司ビジネスサーチテクノロジ代表取締役社長(以下、川邉):ビジネスサーチテクノロジはこうした状況を改善するために、3つの提案を行いました。1つ目が「ハンコヤドットコム」だけではなく、他のサイトも含めた約40サイトを対象に、サイト内検索で1つの検索プラットフォームを作成して情報提供を行う改善提案です。

    川邉雄司ビジネスサーチテクノロジ代表取締役社長
    ビジネスサーチテクノロジ代表取締役社長・川邉雄司氏

    川邉:恐らく、大きなデータベース(DB)の統合プロジェクトみたいなことをやろうと思うと大変な作業になります。僕らが提案したのは、DBは各ECサイトでバラバラでも、もう1つ各サイトのハブになるような検索用のDBを作り、それをうまく活用してナビゲーションを見せるといった改善提案です。

    2つ目は指名買い、キーワード検索の改善です。キーワード検索をする消費者は、欲しいものをある程度イメージされています。こうした購買意欲が高い消費者に対し、きちんとナビゲーションできるキーワードサジェストの機能実装を提案しました。

    3つ目は、カテゴリー一覧もターゲットにすること。キーワード検索は購入意欲が高いユーザーが多いのですが、訪問という母数で見るとカテゴリーから探すユーザーが圧倒的に多いリアル店舗でいう特定のカテゴリーの商品を並べた「棚」を、ECサイト上でも再現しました。

    「ハンコヤドットコム」のサイト内検索。カテゴリー検索も多く、「印鑑」を選択すると、さまざまな印鑑が一覧表示されるようにしている
    「ハンコヤドットコム」のサイト内検索。カテゴリー検索も多く、「印鑑」を選択すると、さまざまな印鑑が一覧表示されるようにしている

    :「ハンコヤドットコム」のお客さまは、比較的、目的の商品の用途は明確なんですよね。使用イメージははっきりしている。だけど、商品名がわからない――そんな商品が多い。そんな時にどうやって探せばいいのか?という課題を、カテゴリー一覧で解決しようと。探し方がわからない人たちに対するアシストを、サイト内検索で提供しているのです。

    ビジネスサーチテクノロジーが行った3つの提案
    ビジネスサーチテクノロジーが行った3つの提案

    コンバージョンレートは5倍にアップ

    川邉:ビジネスサーチテクノロジのサイト内検索サービスを「ハンコヤドットコム」に導入したところ、大きな改善効果を出すことができました。サイト内検索を利用したユーザーと、Webサイト全体のユーザーの比較になりますが、コンバージョンレートは約5倍1セッション当たりのPVは約4.6倍もサイト内検索利用者の方が高い直帰率は約42%少ない結果になりました。

    改善実施後の効果
    改善実施後の効果

    :サイト内検索を使うユーザーは、ある程度、能動的という側面があるので数字に反映されやすいところはあると思いますが、それを含めても、購入意欲の高いサイト内検索利用者をいかに逃がさないかというところが数字で表れたと思います。最短で目的の商品までたどり着くようにサイト内検索周りを改善したからこそ大きな改善数値が生まれました。こうした設計にしなければ、見込み客を逃がしていた可能性がありますから。

    川邉:キーワード検索を利用するユーザーに対しては、ゼロ件ヒットを防ぐ改善を進めました。サイト内検索結果の該当が0件になってしまっているキーワードは何かを精査し、それがヒットするように改善する積み重ねですね。あとは検索の評価。1検索あたりのPV数を注視しています。キーワードによっては1検索あたりのPV数がすごく高いケースがある。欲しい商材は決まっていてサイト内検索で探すけれど、検索結果の1ページ目で見つからないため次から次へとページを移動しているんだろうなという仮説を立てる。こうしたデータを見ながら、当社では検索の評価をしています。

    :印鑑は製品自体にあまり違いが出しにくい商材のため、ECサイトの利便性が重要になってくると思うんです。サイト内検索の精度やゼロ件ヒットを無くすといったほんの少しの使い勝手の差の積み重ねが、最終的なコンバージョンレートの差に影響してくると考えています。印鑑はあまりリピート商材のように見られないのですが、「ハンコヤドットコム」でのリピート購入は多いんですよね。お客さま的に、印鑑は手続きの関係上、どうしても買わなきゃいけない商材。でも、材質や書体など買い物を終えるまで間にいろんな煩雑さがあり、印鑑購入はフラストレーションがつきまといます。それを買いやすく、使い安いECサイトにするといった小さな改善が、コンバージョンにつながってくるんですよね。

    750社以上が使うビジネスサーチテクノロジのサイト内検索サービス

    ビジネスサーチテクノロジは、コーポレートサイトのほか、ECやポータルサイトのサイト内検索を手がけている。主なクライアントはコーポレートサイトでは雪印メグミルクやサントリーホールディングスなど、ECサイトだと、メガネスーパー、タビオ、カインズなど。750社以上に導入実績がある。サイト内検索「probo(プロボ)」、ECサイト内検索「probo EC(プロボイーシー)」を中心としたサービスを提供している。

    豊富なサイト内検索サービスの導入実績を踏まえ、サイト内検索を利用するユーザーと、非利用ユーザーのコンバージョンの違いを次のように説明する。

    サイト内検索ユーザーと、それ以外のユーザーのコンバージョン率を比較すると、大体3%から8%違います。これはどのサイトも概ね同様の結果となります。(川邉社長)

    サイト内検索利用者と非利用者によるCVRの差異
    サイト内検索利用者と非利用者によるCVRの差異

    ポップリンク利用者のコンバージョン率は2.4倍

    次に、川邊社長は「ポップリンク」を導入したメガネスーパーの事例を解説した。

    メガネスーパーが運営するECサイトでは、検索窓にキーワードを入れると、キーワードサジェストと合わせて、キーワードに該当した商品画像や情報が表示される。メガネスーパーの場合、コンタクトレンズを求めるユーザーなど、定期的に購入する既存ユーザーが多く、ユーザーがすべてのキーワードを入力しなくても、サジェストされたキーワードと画像から商品ページにたどり着くようにしている。

    キーワードを入力するとサジェストされたキーワードや商品画像と情報が表示される
    キーワードを入力するとサジェストされたキーワードや商品画像と情報が表示される

    メガネスーパーにおける導入効果は、サイト全体と比較して、ポップリンク利用者のコンバージョン率は約2.4倍サイト内検索ユーザー利用者数が128%に増加検索利用者のPVは約4倍だった。

    メガネスーパーさんはコンタクトレンズのECなので、ほとんどが目的買いで、且つ買う商品が決まっている。欲しいときに、すぐに商品へたどり着けることが大事です。ECサイトの売り上げを伸ばすには、「ちょっとの差」が重要。それは、決済手段、配達速度、サイト内検索を通じた購入までの導線……なんでもいいので、少しの差がコンバージョンにつながると川添さんはおっしゃっています。

    メガネスーパーさんでは、キーワードサジェストと同時に、キーワードに該当した商品が検索窓の下に表示されるナビゲーションが大きな特徴。ピンポイントで欲しいものが決まっている消費者は、いちいち検索結果から商品を探すという手間が省ける。こうした使い勝手の良さを「ポップリンク」で提供しています。(川邉社長)

    メガネスーパーでの導入効果
    メガネスーパーでの導入効果

    ランキングコンテンツを実装

    ビジネスサーチテクノロジは2018年12月、Webサイトにランキングコンテンツをタグの設置で実装する「ポップランキング」の提供を開始した。ECサイトにおけるランキングコンテンツは、スタッフの手によって更新されるケースが多い。これを商品データと売上データ等を組み合わせることで、自動で更新できるようにした。

    「ポップランキング」のイメージ
    「ポップランキング」のイメージ

    あるECサイトにランキングコンテンツを導入したところ、サイト全体のユーザーと比較して、ランキングコンテンツ利用者の直帰率が下がり、1セッションあたりのページ閲覧数、コンバージョン率、売り上げは高い実績を残した。

    ECサイト内のランキングは魅力的なコンテンツであるものの、手間と時間といった運用上の課題が大きな壁となる。「ポップランキング」は、売り上げのみを軸としたランキングだけではなく、商品属性やカテゴリー、購買情報などさまざまな軸を組み合わせてランキングを表示することができる

    ランキングコンテンツを導入したECサイトの効果

    サイト内検索が売り上げに貢献することは事実。ただ、サイト内検索そのものを再検討するのはハードルが高いという方も多いでしょう。まずは実際にナビゲーションの改善で効果が出るか、「ポップリンク」であれば既存の検索窓で試していただけます。

    また、コンテンツ施策を検討されているのであれば、おそらく今まで手動で更新していたランキングコンテンツの自動運用は是非ご検討ください。サイト内だけでなく広告やメルマガのLPにも、「ポップランキング」はタグを貼るだけで自動更新できる多軸のランキングコンテンツの実装が可能です。

    自社のリソースは有限。専門的でシステムが絡むような施策は、我々のような外部リソースの活用が重要だと考えます。我々にとっても、我々のサービスを一般ユーザーが便利にお使いいただき、お客様企業の売上増加、また、お客様ご担当者様の業務効率化と評価に貢献できたらと考えています。(川邉社長)

    石居 岳
    石居 岳

    楽天とアルペンが連携強化、ネットとリアルを連動させたサービスを拡大

    6 years 8ヶ月 ago

    楽天とアルペンは3月18日、楽天グループのポイントサービスなどで連携を強化し、ネットとリアルを連動させたサービスの拡大をめざすと発表した。

    4月1日から、アルペングループのスポーツ用品店401店舗において、楽天の共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」を利用できるようにする。顧客が「楽天ポイントカード」または「楽天ポイントカードアプリ」を店頭で提示すると、買い物の金額に応じて「楽天スーパーポイント」が貯まる。

    オリジナルデザインの「アルペングループ 楽天ポイントカード」を各店で無料で配布。「アルペングループ 楽天ポイントカード」を買い物で使用した顧客には、「楽天ポイント」に加え、アルペン独自のポイント「アルペンポイント」も付与する。

    楽天とアルペンは、楽天グループのポイントサービスなどで連携を強化し、ネットとリアルを連動させたサービスの拡大をめざすと発表 オリジナルデザインの「アルペングループ 楽天ポイントカード」
    オリジナルデザインの「アルペングループ 楽天ポイントカード」

    2社は連携強化の一環として、5月6日から6月2日まで、「アルペン楽天市場」でエントリーした上で、アルペングループの実店舗で5000円以上の買い物をした顧客を対象に、「楽天ポイント」500ポイントを付与するキャンペーンも実施する。

    アルペンは2004年8月から「楽天市場」に出店している。「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2018」では「総合賞」を受賞した。

    楽天が運営するゴルフ場予約サイト「楽天GORA」では、2005年2月からアルペングループのゴルフ場の予約を行える。2014年には、アルペングループが運営する一部のゴルフ場で、「楽天GORA」アプリや専用カードなどを提示するとサインレスでチェックインできる「楽天チェックインサービス」を導入するなど、連携を強化してきた。今後、アルペングループのすべてのゴルフ場で「楽天チェックインサービス」を利用できるようにするという。

    楽天とアルペンは今後も各種サービスで連携を深め、楽天の顧客基盤を生かしてアルペンのECや実店舗への送客を図るとしている。

    渡部 和章
    渡部 和章

    クレジットカード連動の顔認証決済サービスの実証実験を始めるNECの取り組みとは?

    6 years 8ヶ月 ago

    日本電気(NEC)は3月18日、顔認証技術を使ったクレジットカード決済サービスの実証実験を開始すると発表した。

    NECグループの社員向けの福利厚生施設「NEC芝倶楽部」において、飲食サービスの支払い手段として独自の顔認証決済サービスを導入した。実証実験の期間は3月18日から4月19日まで。

    カメラ機能を搭載したスマートフォンなど使い、事前に撮影・登録した利用者の顔の画像と、クレジットカード情報をシステム上で連携。「NEC芝倶楽部」で飲食代を支払う際、レジカウンターに設置したカメラで顧客の顔を撮影し、事前に登録した顔の画像と照合することで本人確認を行うという。

    日本電気(NEC)は顔認証技術を使ったクレジットカード決済サービスの実証実験をスタート
    顔認証決済サービスの利用イメージ

    飲食店を利用した顧客は、現金やクレジットカードなどを使わずに支払いを済ますことができる。

    実証実験では、NECの生体認証「Bio-IDiom(バイオイディオム)」の中核技術である顔認証AIエンジン「NeoFace」を活用した。「Bio-IDiom」は、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響など、NECの生体認証の総称。

    日本電気(NEC)は顔認証技術を使ったクレジットカード決済サービスの実証実験をスタート
    顔認証決済サービスの利用までの流れ

    NECは実証実験を通じ、実店舗における認証性能や、運用負荷の評価と検証を行う。利用者の利便性や安全性の向上を図るとともに、顔認証決済サービスの普及拡大を推進するとしている。

    また、今回の実証事件の成果などを生かし、NECの決済ソリューション「マルチサービスゲートウェイ」のオプション機能として、顔認証決済サービスを2019年内に開始する予定。

    渡部 和章
    渡部 和章
    確認済み
    8 分 51 秒 ago
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