ネットショップ担当者フォーラム

企業のEC利用率は3割、そのうち海外向け販売経験は5割超、今後はASEAN市場に期待

6 years 8ヶ月 ago

日本貿易振興機構(ジェトロ)は3月7日、海外ビジネスに関心が高い日本企業約1万社を対象とした、海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を公表した。

EC利用割合は3割

国内外における販売において、ECを「利用したことがある」と回答した企業の割合は30.4%。2016年度の前回調査と比べて6.0ポイント高い。業種別では「医療品・化粧品」(57.9%)と「小売」が5割を超えている。

ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 電子商取引の利用の有無(全体、時系列)
電子商取引の利用の有無(全体、時系列)
ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 電子商取引の利用の有無(企業規模別、業種別)
電子商取引の利用の有無(企業規模別、業種別)

ECを「利用したことがある」と回答した企業のうち、「日本国内から海外への販売(越境EC)」を行ったことがある企業の割合は40.3%。前回調査と比べて9.4%ポイント上昇した。

「海外拠点での販売」の経験がある企業は22.8%で、前回調査と同じ割合だった。

「越境EC」と「海外拠点」のいずれか(または両方)を行ったことがある企業は、ECを行ったことがある企業の52.8%(前回調査比5.6ポイント増)を占めている。

ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 電子商取引の利用状況(全体、時系列)
電子商取引の利用状況(全体、時系列)
ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 電子商取引の利用状況(企業規模別、業種別)
電子商取引の利用状況(企業規模別、業種別)

海外ECの「利益・メリットあり」6割

海外向けの販売でECを利用したことがある企業で、何らかの利益・メリットがあると回答した企業は59.7%を占めた。業種別では「医療品・化粧品」が75.9%と他の業種より高い。

「メリットはない」は2.4%、「わからない」は25.1%、「その他」は4.4%、「無回答」が8.3%。

利益・メリットがあると答えた企業の利益は、 「現状、黒字である」が28.7%、「今後黒字転換する見通し」は14.4%、「赤字だが自社ビジネス全体にメリット」は16.6%だった。

「現状黒字である」と答えた企業を事業規模別に見ると、大企業は40.2%、中小企業は26.1%。

ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 海外EC事業の利益・メリット(全体、企業規模別)
海外EC事業の利益・メリット(全体、企業規模別)
ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 海外EC事業の利益・メリット(業種別)
海外EC事業の利益・メリット(業種別)

海外販売先は中国がトップ

海外販売における販売先の国・地域は、中国がトップ。2位以下は米国、台湾、香港、韓国、シンガポールと続いた。

今後3年程度で計画している販売先は、1位から順に中国、台湾、米国、香港、タイ、シンガポールとなっている。

ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 現在の海外販売先と今後の海外販売先
現在の海外販売先と今後の海外販売先

現在の販売先と、今後予定している販売先の回答率を比較すると、新たに進出する販売先としてASEAN各国が目立った。

ジェトロが実施した海外での事業展開に関する実態調査「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 現在の海外販売先と今後の海外販売先
現在の海外販売先と今後の海外販売先

調査概要

  • 調査時期:2018年11月~2019年1月
  • 調査対象:ジェトロのサービス利用企業(=海外ビジネスに関心の高い日本企業)1万4社にアンケートを実施し、3385社から回答を得た(有効回答率33.8%)
渡部 和章
渡部 和章

ピーチ・ジョンがECサイトと実店舗の連動強化――通販に合わせた陳列&体験を提供

6 years 8ヶ月 ago

下着通販のピーチ・ジョンは一部店舗をリニューアルし、公式通販サイトと実店舗の連携を強化する。

リニューアルする一部店舗では公式通販サイトの特集に合わせて店頭の商品を陳列。店内にiPad数台を設置し、顧客が特集ページを閲覧できるようにする。

ECサイトと連動した店舗として、3月8日に兵庫・西宮店がリニューアルオープンした。15日には千葉・船橋店もリニューアルオープンする。

新店舗では、公式通販サイトの特集に合わせた品ぞろえにすることで、顧客の購買プロセスに寄り添った店舗作りをめざすという。

店内の数か所にiPadを設置し、顧客自身が商品の詳細やサイズ、色、店舗在庫などを確認できるようにした。

ボディクリームなどを展開している「PEACH JOHN BEAUTY」の商品を試すスペースも設置。店舗スタッフが商品の使用方法を顧客にレクチャーするなど、店舗ならではのサービスで顧客とのコミュニケーションを強化するとしている。

下着通販のピーチ・ジョンは一部店舗をリニューアルし、公式通販サイトと実店舗の連携を強化する
兵庫・西宮店のイメージ

ピーチ・ジョンは2018年7月、公式アプリを3年ぶりにリニューアル。検索機能の操作性や、動作速度を改善したほか、実店舗で商品バーコードを読み取り、商品情報やクチコミを閲覧できる機能を実装した。購入履歴や商品閲覧履歴などを踏まえて顧客ごとに商品提案を行うなど、パーソナライズ機能も強化している。

ピーチ・ジョンの2018年3月期における売上高は前期比2.8%減の107億9500万円、営業利益は同17.9%増の4億4100万円。

渡部 和章
渡部 和章

LINEトーク上で決済できる機能を「fanp」が開発――チャット完結型決済をLINE Pay連携で実現

6 years 8ヶ月 ago

LINEやMessengerを活用した会話広告パッケージ「 fanp(ファンプ)」を提供するZEALS(ジールス)は3月12日から、「LINE Pay」と連携し、「LINE公式アカウント」のチャット内で決済を完了させる機能の提供を開始した。

この「LINE Pay」決済連携機能のファーストクライアントである「BULK HOMME(バルクオム)」のLINE公式アカウントでは、ユーザーはトーク画面でチャットボットの質問に答えていくだけで購入までを完了できる。LINEアカウント上で「LINE Pay」決済連携機能がサードパーティーに標準搭載されるのはこれが初めて。

「BULK HOMME(バルクオム)」のLINE公式アカウントにおける「fanp」の利用イメージ
「BULK HOMME(バルクオム)」のLINE公式アカウントにおける「fanp」の利用イメージ

SNS広告の閲覧者をLINEやMessengerのチャットボット上へと誘導し、対話形式で商品を販売る「fanp」において、定期通販事業者の活用事例が増加。チャット内で決済が完結するチャットコマースに対する需要が高まっているという。

こうした声に対応するため、「LINE Pay」決済連携機能を開発。LINEのトーク上でタップするだけで購買まで完了する決済体験を実現した。

今後はクレジットカード決済や後払い決済にも対応する予定。通販事業者のニーズに応えるため、決済以外のカート機能や受注管理画面機能も拡充していく。

「fanp」パッケージ内容
  • LINEやFacebook広告からLINEやMessengerのボットに直接集客できる「会話広告」の運用
  • 広告から流入してきたユーザーに対する会話の設計
  • LINEやMessengerのチャットボットの開発
  • ユーザーナーチャリング(クラスタリング・リテンション)の設計
内山 美枝子
内山 美枝子

母の日直前! 金融機関も休業! 連休明けの受注処理はどうする!? ネッ担は10連休できるのか?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

6 years 8ヶ月 ago
ネッ担まとめ

母の日が最高レベルの繁忙期という方も多いのではないでしょうか? 配送も集中します。今年の母の日は5月12日。今年は4月27日から5月6日が10連休です。今のうちからしっかりと対策しておきましょう。

10連休対応を機に社内ルールの見直しを

【10連休】銀行も取引先も休み。元号改定、母の日直前!失敗しないためにネットショップが取るべき準備と対応【2019 GW】 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/190304-gw2019/

まとめると、

  • 今年の4/27(土)~5/6(月)は休日、ATMなど除く銀行などは営業しない
  • さらに5/12(日)の母の日は数日前~当日到着に集中する日
  • 商品、梱包資材などの確保、入金送れ対応の資金の準備をしっかりと。休み中の業務処理も要検

休業する場合でも、「不測の事態」に備えて、例えばスタッフに自宅作業を許可する体制を整えておくこともオススメします。

会社のルール上、自宅作業を許可できないというだけで、対応が連休明けとなっては最悪です。金額間違いとか。在庫設定し忘れた商品が連休中にテレビ放映され、無制限で売れ続けてしまうとか・・・考えたくもないですよね。

ネットショップが恐れる10連休が迫ってきました。しかも、母の日が後に控えています。すでに準備しているショップも多いと思いますが、不測の事態に備えて社内ルールの見直しをしておくのがいいですよね。引用文中にあるように、無制限で売れ続けてしまうことって本当にありますから……。

Yahoo!ショッピングは今年もグループの力をフル活用

ヤフー小澤氏が語る「Yahoo!ショッピング&PayPayの2019年戦略」と「2018年の振り返り」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6272

まとめると、

  • 「PayPay」は「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」での決済に対応予定だが時期は未定
  • セール時に検索結果で上位に出るなど、「良いお店」が売れる仕組みを強化する
  • ソフトバンクユーザーへの手厚いプロモーション、「Yahoo!プレミアム」会員向けのポイント5倍施策を2019年も継続

良いお店、良い物流を持っているお店で買ってもらった方がユーザーは満足する。だが、ヤフーはAmazonのように自社で物流もっていない。なので、良いお店が売れる仕組みを強化する。

PayPay対応やソフトバンクユーザーの優遇など、グループの力を使った施策はYahoo!ショッピングの強みですよね。売れるショップをさらに伸ばしていく施策もあるものの、その一方でAmazonや楽天市場が力を入れている自社物流は対応できていません。ここをどうするかが今後のポイントでしょうか。

参考になりすぎる記事。読まなきゃ損

【超実践的】アスクル・オイシックス・バルクオム・ビームスのECリーダーが語るGoogle、Facebook 、LINE活用法 | Agenda note
https://agenda-note.com/conference/detail/id=1128

「直近3年でマーケターが取り組むべきミッションは?」アスクル・オイシックス・バルクオム・ビームスのECリーダーが語ったこと | Agenda note
https://agenda-note.com/conference/detail/id=1133

まとめると、

  • ファッション、日用品、メンズスキンケアとジャンルの異なる3社が、最近の取り組んだマーケティング施策と今後の展望を語った
  • 「広告(検索、ディスプレイ)」「Webサイト」「アプリ」「オフライン」の4つについて取り組みを公開
  • メーカーと小売りの境界、オンラインとオフラインの境界など、いろいろなことの境界が曖昧になってきている

EC/リアル店舗という二項対立だった時代から、O2Oを経て、いまはOMOの時代になっています。「マージ(融合)」することの重要性を、強く感じているところです。データやチャネルは「統合」でいいのですが、「人」によってお客さまに価値を届けるときには、「融合」という考え方がよりフィットすると思います。

─ビームス EC統括部副部長 矢嶋正明氏

個々の施策に関しては記事を読んでください。具体的なので参考になると思います。そして、各社の今後3年間の取り組みについても触れられていますので、自社の方向性を決めるヒントとして読んでみてください。共通しているのはあらゆる分野での境界がなくなるということです。

EC全般

【〈楽天市場492店に聞く〉「送料無料ライン統一化」】 33%が"反対"も47%は"流通総額拡大"見込む | 日流ウェブ
https://www.bci.co.jp/netkeizai/article/5048

利益は減りそうだけど流通量は増えそう。痛しかゆしといったところのようです。

Amazon.co.jpで「置き配」スタート 一部地域で | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/04/news089.html

アマゾンが「Dashボタン」を終了させる理由 ── 実はDashビジネスは好調だった | BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-186439

Amazon、強力な偽造品対抗策「Project Zero」をスタート | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/58369

今週のAmazonの動きのまとめです。Dashボタンで集めたデータは他で活かされるということなんでしょうね。

18年「MakeShop」流通総額、過去最高の1594億円 | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/62901

全国の専門店ECサイトから選ばれるネットショップ大賞R 2018 | Eストアー
https://estore.co.jp/award/2018/

Shopify Japan 1周年記念戦略発表会のトークショーに登壇してきました | note(あさと)
https://note.mu/asato_rili/n/nb7fcc47b83c2

急成長を続けているShopifyとそれに対抗する日本勢。今年はここの動きに注目です。

ECサイトで最も使われたソーシャルログインは「LINE」、2位は「Yahoo! JAPAN」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6279

ショップごとに会員登録するのは面倒ですよね。ソーシャルログインがないだけで避けられてしまうことをお忘れなく。

メルマガ内容のマンネリ化を打破する3つの対策とは?…CVRを高めるメルマガ講座(7) | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/62684

メルマガの送信が作業になったら危険信号です。

今週の名言

理論というよりは、目の前の状況をなんとか打開したい、という試合経験から生まれてきました。

かるた界に誕生した異端の新名人。粂原圭太郎が語る伝統への挑戦。 | Number Web
https://number.bunshun.jp/articles/-/838441

どれだけ学んでも行動に移さなければ意味がないですよね。

森野 誠之
森野 誠之

利用しているポイントサービスは1位「Tポイント」、2位「楽天」、5位に「Amazonポイント」

6 years 8ヶ月 ago

市場調査などを手がけるネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」によると、利用しているポイントサービスの1位は「Tポイント」、2位は「楽天スーパーポイント」、5位に「Amazonポイント」が入った。

ネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」
利用しているポイントサービス

20歳~49歳の男女2000人に対し、小売店やECなどの買い物で貯まるポイントサービスの利用状況を質問した。

利用しているサービスを複数回答で聞いたところ、上位5サービスは「Tポイント」(66.9%)、「楽天スーパーポイント」(54.4%)、「Pontaポイント」(47.9%)、「dポイント」(28.5%)、「Amazonポイント」(25.2%)。

2017年12月に実施した前回調査と比べて変化が大きかったのは、「Tポイント」の2.8ポイント減、「Pontaポイント」の2.4ポイント減、「dポイント」の3.8ポイント増。

男女別・年齢層別で見ると、20代女性を除くすべてで1位は「Tポイント」、2位は「楽天スーパーポイント」。20代女性は「Pontaポイント」や「LINEポイント(LINE Pay)」の利用割合が他の性別・年齢層よりも高い。

また、「Amazonポイント」は男性の20代・30代・40代でそれぞれ上位5サービスにランクインしているが、女性ではランキング上位5サービスに入っていない。

ネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」
利用しているポイントサービス(性年代別)

ためやすいポイント1位は「楽天」

ポイントのためやすさに関する満足度も質問した。1位は「楽天スーパーポイント」(69.2%)、2位は「Tポイント」(55.9%)、3位は「dポイント」。

ネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」
ためやすさ満足度(各ポイントサービスの利用者が“このサービスはポイントをためやすい”と評価した割合)

「ゴールドポイント(ヨドバシカメラ)」は、「利用しているポイントサービス」の順位は10位圏外だったが、ためやすさの満足度は5位(35.1%)だった。

ポイントサービスを利用しているユーザーに、どのような店でポイントをためているかを複数回答で質問した。その結果、1位は「コンビニ」(75.3%)、2位は「スーパー」(62.9%)、3位は「ドラッグストア」(57.9%)だった。「ネット通販」は38.5%で4位。

ネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」
どのような店を利用しポイントをためているか

ポイントサービスの利用者が、今後も利用したいと評価した割合(=リピート意向度)も調査した。1位は「楽天スーパーポイント」(70.6%)、2位は「ANAマイレージクラブ(全日空)」(62.5%)、3位は「JALマイレージバンク(日本航空)」(60.8%)、4位は「Tポイント」(59.9%)、5位は「dポイント」(57.8%)となっている。

ネットエイジアが2月27日に公表した「日本人のポイント活用に関する調査2019」
リピート意向度

調査概要

  • 調査名:日本人のポイント活用に関する調査2019
  • 調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする20歳~49歳の男女
  • 調査期間:2019年1月25日~1月29日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査地域:全国
  • 有効回答数:2000人
渡部 和章
渡部 和章

ライフサポートへの措置命令、何が問題だった? 景表法違反にならないためには?

6 years 8ヶ月 ago

消費者庁は3月6日、通販サイトで販売したおせち料理7商品において、実際よりも安い価格であるかのように表示したのは景品表示法に違反するとして、ラジオ通販などを手がけるライフサポートに再発防止策を求める措置命令を出した。

景品表示法の有利誤認表示(商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示)に該当すると判断した。

消費者庁によると、通販サイトにおいて記載された「通常価格」と「特別価格」について、「通常価格」の価額は相当期間にわたって販売された実績のないものであり、「歳末特別価格」と称する実際の販売価格が通常販売している価格に比して安いかのように表示していたという。

不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(PDFが開きます)では、最近相当期間にわたって販売されていた価格」か否かの判断基準について、次のように記載している。

一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。

たとえば、通販サイトにおいて、ある商品は「通常価格2万8800円(税別)」から「歳末特別価格2万800円 税別」と記載するなど、「通常価格」について最近相当期間にわたって販売された実績のないものと消費者庁は判断した。

措置命令を受けたライフサポートのクリエイティブの例
措置命令を受けたライフサポートの通販サイトにおけるクリエイティブ例

消費者庁による措置命令は以下の3点。

  • 実際よりも安い価格であるかのように表示し、景品表示法に違反していたことを一般消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講じ、役員と従業員に周知徹底すること
  • 今後、同様の表示を行わないこと

なお、ライフサポートは2015年、根拠がないにもかかわらずラジオ番組内でサプリメントを飲むだけで痩せられるなどと宣伝していたことが景品表示法4条(優良誤認表示)に規定する行為に該当するとして、措置命令を受けている。

景品表示法とは?

不当表示や不当景品から消費者の利益を保護するための法律が「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」。景品表示法は、商品・サービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制。また、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限している。

不当表示は大きく分けて3つの種類がある。

  • 優良誤認表示(商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示)
  • 有利誤認表示(商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示)
  • その他 誤認される恐れのある表示(一般消費者に誤認される恐れがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示)

ライフサポートのケースは有利誤認に該当。商品・サービスの価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は不当表示となる。

消費者庁では、各種資料をまとめた景品表示法用コーナー、「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」(PDFが開きます)などで、景品表示法に関するさまざまな情報を提供している。

瀧川 正実
瀧川 正実

東日本大震災から8年……BCP策定企業は43%、風水害想定のBCPが増加傾向

6 years 8ヶ月 ago

NTTデータ経営研究所は3月8日、東日本大震災の発生後に、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたかを調べた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の結果を公表した。事業継続計画(BCP)を「策定済み」と答えた企業は43.5%、「策定中」は21.4%で、合計64.9%がBCPを策定している。

「策定予定あり」は15.7%、「策定予定なし」は12.3%、「わからない」は7.2%だった。

NTTデータ経営研究所は3月8日、東日本大震災の発生後に、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたかを調べた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の結果を公表
現在の企業のBCP策定状況(n=1,019)

従業員の人数別で見ると、5000人以上の企業は「策定済み」または「策定中」と回答した割合が合わせて約9割に上るのに対し、99人以下の企業では約4割にとどまるなど、小規模の企業ほどBCPの策定率が低かった。

「策定済み」と「策定中」の合計を、企業の所在地域別で見ると、関東が68.9%と最も高い。一方、北海道は51.2%で最も低かった。

九州・沖縄地方は、東日本大震災前は「策定済み」が7.0%だったが、2018年12月時点では33.9%と約5倍に増加。大幅に増えた原因についてNTTデータ研究所は、「2016年4月に発生した『平成28年熊本地震』を受けて、事業継続への取り組みが進んだ結果と考えられる」と分析している。

また、特に西日本でBCP策定率が継続的に上昇していることについて、「発生が想定されている南海トラフ巨大地震への対応や、近年の災害の発生傾向がその背景にあると推察できる」としている。

NTTデータ経営研究所は3月8日、東日本大震災の発生後に、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたかを調べた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の結果を公表
現在の企業のBCP策定状況(n=1,019)<従業員規模別><業種別><地域別><資本金別><年間売上高別>

BCPの策定状況を「策定済み」「策定中」「策定予定あり」と回答した821人を対象に、どのようなリスクを想定しているのか、複数回答で質問した。その結果、「地震(主として直下型地震)」が74.3%で最も多い。2番目は「地震(東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震)」で62.6%。

火災や停電、システムダウンなど、自社設備の停止リスクを想定している企業は、それぞれ約4割だった。

NTTデータ経営研究所は3月8日、東日本大震災の発生後に、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたかを調べた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の結果を公表
現在のBCP(策定済み・策定中・策定予定あり)において想定しているリスクの状況(n=821)

事業継続のための対策に関して、取り組みの内容ごとに策定の有無を質問した(複数回答)。「災害・事故等発生時の体制設置」や「被災・被害状況の確認・連絡手順の策定」など、初期段階の対策は、策定の割合が高い。

一方、設備やシステムを復旧させる手順の策定や、事業リソースの代替案の用意、取引先などの外部との連携が必要な対策は、策定割合が低い。

NTTデータ経営研究所は3月8日、東日本大震災の発生後に、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたかを調べた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の結果を公表
BCP(策定済み・策定中・策定予定あり)において想定しているリスクの経年変化

調査概要

  • 調査対象:NTTコム リサーチ クローズド調査(ビジネスモニター)
  • 調査方法:非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間:2018年12月6日~12月15日
  • 有効回答者数:1019人
渡部 和章
渡部 和章

KDDIグループのEC子会社再編、ルクサとコマースフォワードの合併会社は「auコマース&ライフ株式会社」

6 years 8ヶ月 ago

KDDIグループのEC関連子会社で2019年4月1日付で合併するルクサとKDDIコマースフォワードの新商号が、「auコマース&ライフ株式会社(au Commerce & Life, Inc.)」に決まった。

KDDIグループのEC関連子会社で2019年4月1日付で合併するルクサとKDDIコマースフォワードの新商号が、「auコマース&ライフ株式会社(au Commerce & Life, Inc.)」に決まった
新会社の名称は「auコマース&ライフ株式会社」)

両社は2018年12月13日、ルクサが存続会社となり、KDDIコマースフォワードが消滅会社となる吸収合併方式での合併を発表していた。

事業内容は次の通り。

  • 総合ショッピングサイト「Wowma!」の企画・運営
  • プレミアム・タイムセールサイト「LUXA」の企画・運営
  • 高級レストランの会員制予約サービス「LUXA RESERVE」の企画・運営
  • ワークライフシーンを提案するセレクト雑貨ショップ「LUXA SHOP」 の企画・運営
  • Wowma!内自社物販「ライフデザインセレクション」運営 など

存続会社となるルクサが3月7日に開いた取締役会において、新会社の役員人事も内定。代表取締役社長にはKDDIコマースフォワードの八津川博史社長が就任、代表取締役会長にKDDIの理事でライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部長 兼 UI・UX推進部長の塚田俊文氏が就く。

ルクサの代表取締役会長である村田聡氏は専務取締役に就任予定。4月1日に開く予定の臨時株主総会、取締役会で決定される。

KDDIグループのEC関連子会社で2019年4月1日付で合併するルクサとKDDIコマースフォワードの取締役候補 塚田 俊文 代表取締役会長、八津川 博史 代表取締役社長、桑田 祐二 代表取締役副社長、鴨志田 博礼 代表取締役副社長、村田 聡 専務取締役、田中 裕明 取締役CFO、新津 俊之 取締役、村元 伸弥 取締役(非常勤)、熊谷 健 取締役(非常勤)
取締役候補
瀧川 正実
瀧川 正実

消費増税“キャッシュレス決済で5%還元“”は「深く考えない」が一番【3/6時点の情報まとめ】 | 竹内謙礼の一筆啓上

6 years 8ヶ月 ago

消費増税のキャッシュレス5%還元策(2019年度「キャッシュレス・消費者還元事業」)に、頭を抱えている人は多い。3月6日現在でわかっている情報を整理しながら、今後の対策も含めて解説していきたい。

まず概要から。10月1日から消費税が10%になる(食品関連は軽減税率の対象で8%据え置き)。電子マネー、クレジットカード、スマホ決済など、現金以外のキャッシュレス決済で商品を購入した際に、消費者は5%の還元が受けられる。今、EC事業者のみなさんが気になるのは下記の3点だと思われる。

  • 自分の店は5%還元の対象になるのか?
  • キャッシュレスに向けて何をすれば良いのか?
  • 今後どうなるのか?

これらを順に追って解説してきたい。

キャッシュレス・消費者還元事業の制度詳細
消費者還元の仕組み(画像は経産省が公表したキャッシュレス・消費者還元事業にかかる説明会資料からキャプチャしました)
キャッシュレス・消費者還元事業の制度詳細
キャッシュレス・消費者還元事業の制度詳細(画像は経産省が公表したキャッシュレス・消費者還元事業にかかる説明会資料からキャプチャしました)

自分の店は5%還元の対象になるのか?

還元対象は“中小の”小売店

最初に「自分の店は5%還元の対象になるのか?」という問題。政府案によると5%の還元を受けられるのは「中小の小売店」限定。「中小ってなんだよ」と思われるかもしれないが、今回のキャッシュレス・消費者還元事業では下記のように定められている。

  • 資本金5,000万円以下の企業。ただし、売上高が多い事業者は対象外
  • 大手チェーン店、ガソリンスタンド、外食、コンビニは還元率2%
  • 百貨店、大企業は対象外

具体的に言えば、近所の金物屋さんで、PayPayでバケツを購入した場合は5%の還元が受けられる。しかし、大手企業の直営のホームセンターで、PayPayでバケツを買った場合は還元が受けられないことになる。

「うちは大手じゃないから5%還元だ!」

そう思うかもしれないが、現時点では断言できない。資本金5,000万円以下でも、売上高が多いと還元策の対象外となる可能性は十分に考えられる。もちろん「大企業並みの売上」なので、年商の基準は500億円とか1,000億円あたりの数字にはなると思うが、そのくらいの売上規模のある中小企業の小売事業者、通販事業者、EC事業者は還元策の対象外になる可能性があることは理解しておいた方が良いだろう。

そもそもネット通販は対象なのか?

お役所は「さまざまな業種・業態を対象にしている」と言うが、ネット通販については3月6日現在、正式に政府から対象になったという公表はない。ただ、「インターネット通販も中小・小規模店なら対象になる予定で、サイト上にそうした表示をすることが検討されている」(読売新聞オンラインから引用)といった報道もある。

ネット通販が対象になる可能性は高いようだが、仮に対象となった場合、今度は“モール”がどのような扱いになるのかが問題となる。「楽天市場」や「Amazon.co.jp」などのショッピングモールに出店しているネットショップ、どのような扱いになるのかわからないのだ。

たとえば、「楽天市場」に出店している店舗を、「楽天市場」という「大企業」と捉えて還元から完全に外すのか。それとも、「楽天市場」の看板を掲げた「チェーン店」とみなして2%還元にするのか。はたまた「中小企業」として5%の還元をさせるのか。今後の政府の発表を注視したいところである。

「モールに出店しているネットショップは還元ナシかよ!」

そう思った人もいるかもしれないが、そんなに慌てる必要はない。そもそも消費税が増税されると節約志向が高まり、eコマースの売り上げは伸びる傾向にある。つまり、5%の還元の有無に関係なく、最安値で商品が買えるネットショップは増税と不景気には強い商売なので、増税の影響は受けにくい

加えて、増税にともない各モールでポイント還元セールを行う可能性が高いので、仮にモールに出店しているネットショップがポイント還元の対象から外されたとしても、売り上げに大きな影響はないと思われる。

10月1日には「楽天市場」が携帯事業に参入するので、消費税増税と同時に「楽天市場」が大きなセールやキャンペーンなどを仕掛けることが予想される。そのような背景を考えると、仮に「楽天市場」に出店しているネットショップが5%の還元策の対象にならなかったとしても、出店者は慌てる必要はない。

ただし、モールに出店しているネットショップが5%の還元の対象になった場合は、支払い方法や決済システムなどが大きく変更されることが予想される。10月1日までにドタバタな状況が続くことが考えられるので、モールの担当者を通じてしっかり情報収集しておいた方が良いだろう。

キャッシュレスに向けて何をすれば良いのか?

カード決済は必須

ネットショップ、実店舗を問わず、カード決済の導入は必須となるだろう。設備投資に補助金が出る場合があるので、政府や銀行、商工会議所などの情報は収集しておいた方が良い

また、ネットショップの場合、カード支払いが増えることで銀行振込や郵便振込、代引きやコンビニ払いが減る可能性が考えられる。受注管理のスタッフを最少人数で回せるようになるかもしれないので、質の高い受注管理ソフトの導入が急務と言える。

実店舗とネットショップを併用している企業は、カード決済に加えて、スマホ決済とSuicaや楽天Edyなどの電子マネーも取り入れた方がいいだろう。特に今回は利用限度額に規制がかかるので、少額を対象としたスマホ決済と電子マネーが主流になることが予想される

キャッシュレス・消費者還元事業の制度詳細   キャッシュレス決済端末の支援について
キャッシュレス決済端末の支援について(画像は経産省が公表したキャッシュレス決済端末の支援についてのチラシデータをキャプチャしました)

スマホ決済はどうすれば?

「どのスマホ決済を採用すればいいのか」とよく質問されるが、政府はキャッシュレスの決済会社に対して一定のポイント還元の上限を設けると明言している。つまり、スマホ決済会社が大きなポイント還元策を行っても、それを使う金額に縛りが入ってしまうので、ポイント還元の競争は想定よりも弱いものになると考えられる。

「楽天Payがポイント10倍なら、PayPayは20倍だ!」という血みどろの競争が少なくなると、消費者側も「どのスマホ決済で支払っても還元率はそんなに変わらないよね」という判断を下すようになるだろう。事業者は、最終的には主要どころのPayPay、楽天pay、Amazon Pay、LINE payの4社のどれかを導入しておけば問題ないと思われる。

また、支払いの際に買ったその場で5%の還元分を値引いても良いことになったので、スマホ決済会社による顧客の囲い込みができなくなることも、競争軟化の要因になりそうである。

なお、高額商品には1回あたりの決済額に上限が設けられる。まだ金額は確定していないが、おそらくスマホ決済や電子マネーで数千円~数万円、クレジットカードで10~30万円あたりが1回の決済額の上限になるのではないかと予想している。

今後、どうなるのか?

最後に「今後どうなるのか?」という問題だが、「キャッシュレス5%還元は思いのほか盛り上がらない」というのが筆者の予想である。当初は景気対策としてキャッシュレスの還元策は盛り上がると予想していたが、想定していたものよりも規制が厳しく、増税による消費低迷を打開するほどの影響力はないと思われる。その理由は下記の3点だ。

  • ポイント還元に限度額が設けられたことで、高い還元率が生まれなくなり、キャッシュレスによる支払いの魅力が薄まってしまう
  • 高額品の決済額に上限があるため、還元されるポイントが少額になり、高所得者が積極的にキャッシュレスで高額品を買わなくなってしまう
  • 買いたい商品を多く取りそろえる大手企業が、還元対象から外されるため、消費そのものが喚起されにくくなる

多分、そんなに盛り上がらない

政府としては、2014年の増税後に発生したような消費の冷え込みを回避したいという思いがあり、キャッシュレスによるポイント還元策を打ち出したという背景がある。しかし、今年度の還元に使える予算は2,798億円しかなく、むやみやたらにポイントを還元してしまうと、すぐに予算を使い切ってしまう。だから、政府は大企業を対象から外して、インパクトの少ない中小企業に絞り込んだ。その結果、消費者にとって魅力に乏しいものになってしまった。

冷静に考えれば、中小の店舗でわざわざキャッシュレスで買い物をする消費者は少ない。品ぞろえが悪く、ほぼ定価で販売している店で5%の還元を受けるより、品揃えが豊富で半額以下で売られているAmazonで購入したほうが、還元が0%でも買いたくなるのが消費者心理というものである。さらに高額品の決済には規制がかかるとなると、還元される金額の魅力は薄れてしまい、消費意欲をかきたてられるほどのイベントにはならないことは容易に想像がつく。

また、この還元策は2020年6月末で終了予定なので、逆にキャッシュレスによる還元策が盛り上がり過ぎてしまうと、終了後はその反動で景気が急激に冷え込む恐れが出てきてしまう。そうなると、7月に開催される東京オリンピックの盛り上がりに水を差しかねない。「キャッシュレスの5%還元は盛り上がり過ぎても困るし、ぜんぜん盛り上がらないのも困る」というのが政府の本音ではないだろうか。

複雑なルールに嫌気がさして消費者が還元策に乗ってこないことも考えられる。売り手側はキャッシュレスの支払い体制を整えた方が良いのは確かだが、その後に関しては情報収集さえ怠っていなければ、あまり深く考えず、流れに身を任せるぐらいの対応でちょうど良いのかもしれない。

まとめ

さて、今後の対策を整理しよう。

  • キャッシュレス支払いはネットショップ、実店舗ともにやっておいた方が良い
  • 自分の店がキャッシュレスの5%の還元策の対象になるのか、情報をまめに収集しておいた方が良い
  • 5%還元の対象になった場合は、ホームページ、ブログ、SNS、新聞折込チラシ等で徹底的にアピールするべし
  • 仮に対象にならなかったとしても、限度額が決まっていて、なおかつ中小企業しか対象にならないため、自社の売上を脅かすような消費のインパクトにはならない。慌てる必要はない

まだまだ未確定な情報が多いので、現時点では判断が難しい。4月には詳細が政府から発表される予定なので、その情報が入り次第、また報告していきたいと思う。

竹内 謙礼
竹内 謙礼

EC事業者などに政府が求めるカード決済のセキュリティ対策とは? 経産省が「実行計画2019」改定

6 years 8ヶ月 ago

経済産業省は3月4日、クレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表した。ECなど非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策など、追加項目を盛り込んだ。

「実行計画」は、2018年6月1日に施行された改正割賦販売法におけるセキュリティ対策義務の実務上の指針となる。定期的に改定されており、経産省が今回公表したものは「実行計画2019」。

経済産業省はクレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表
「実行計画」における対策の3本柱(画像は「実行計画2019」の概要版からキャプチャ)

「実行計画2019」では、主に以下の4点を改定した。

1. クレジットカード情報保護対策

新たな脅威への警戒とセキュリティ対策への継続的な取組の推進。たとえば、EC加盟店における漏えい事案の傾向などを踏まえ、自社システムの定期的な点検やその結果に基づく追加的な対策の実施。

2. クレジットカード偽造防止による不正利用対策

非接触ICカードにおいて一定金額を超える取引については、原則、接触IC取引のオフラインPIN入力とすること(ただし、オフラインPIN機能環境に対応できないカード型などでサインを要求する場合はこれを許容する)。

3. 非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策

  • 3Dセキュア(本人認証)の取組強化の一環として、利用者のパスワードの登録率向上のほか、カード会社がリスクの高い取引を判定する「リスクベース認証」導入を推進すること
  • セキュリティコードの多数回連続エラーの際には取引不成立とすること
  • 属性・行動分析の定義・有効性などを明記

4. その他

加盟店におけるセキュリティ対策の見える化の更なる周知(IC加盟店は実施中、EC加盟店は2019年度より実施予定)

「実行計画」がEC加盟店に求める対策とは?

「実行計画」ではEC事業者に対し、ECサイト側が顧客のクレジットカード情報を保持しない仕組みを作るか、カード情報を保持する場合には高レベルのセキュリティ対策(PCI-DSS準拠など)を求めた。

EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「Java Scriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

経済産業省はクレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表
EC加盟店における非保持化を実現するセキュリティ措置(画像は「実行計画2019」の概要版からキャプチャ)

また、クレジットカードの不正利用のリスクや、被害の発生状況に応じて、加盟店に対策を講じるよう規定している。対策の具体例は「本人認証(3Dセキュアなど)」「券面認証(セキュリティコード)」「属性・行動分析(不正検知システム)」「配送先情報の確認」の4つ。

リスクが高い商材として指定された「デジタルコンテンツ(オンラインゲームを含む)」「家電」「電子マネー」「チケット」を扱っている加盟店に対しては、上記のうち1つ以上を導入するよう求めている。

また、不正利用の被害が多発しているとカード会社が判断した加盟店は、上記のうち2つ以上の対策を導入する必要がある。

経済産業省はクレジットカード決済のセキュリティ対策をまとめた「実行計画」の改訂版を公表
非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策(画像は「実行計画2019」の概要版からキャプチャ)
渡部 和章
渡部 和章

ABCマートのスマホアプリが約1年で350万DL、実店舗とネットの連動強化

6 years 8ヶ月 ago

靴の小売店「ABC-MART」を展開しているエービーシー・マートの公式アプリのダウンロード数が、2018年3月のリニューアルから約1年で350万DLに達した。アプリ開発を担当したフューチャーアーキテクトが3月7日に公表した。

2018年3月のリニューアルでは、実店舗とオンラインストアで共通ポイントがたまる会員証機能などを実装。店頭で商品バーコードを読み取ると商品詳細を確認できる機能、店舗や商品を「お気に入り登録」できる機能なども追加した。

経済産業省が公表した『通商白書2017』で越境ECに対する国内企業の課題感が示された 越境ECにおける課題
2018年3月のリニューアルで、実店舗とオンラインストアで共通ポイントがたまる会員証機能などを実装した

さらに、商品の在庫情報を店舗スタッフが接客中に確認できるスマホアプリ「s NAVI」を開発し、2018年12月に全店に提供したという。

「s NAVI」は、フューチャーアーキテクトが開発したクラウド型のオムニチャネル戦略支援システム「OmnibusCore」を使い、全店舗とEC、メーカーの在庫情報を共有している。

エービーシー・マートは、2019年2月末時点で国内991店舗、海外286店舗を展開している。「店舗・ECの連動による顧客利便性の向上」「店舗・EC・メーカーの在庫情報の共有によるチャンスロスの極小化」「メーカーとの双方向連携による業務の効率化」を重視し、店舗とECの販売力の底上げや、店頭の品ぞろえと商品調達力の強化に注力しているという。

エービーシー・マートのIR情報によると、2017年2月期時点で同社のネット通販売上高は毎年30%以上で成長し、EC化率は単体売上高の5%弱。単体売上高は1789億円だったため、EC売上高は80億~90億円規模だったとみられる。

渡部 和章
渡部 和章

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6 years 8ヶ月 ago
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    消費者がアパレルを試着した際の写真をアプリでシェアし、ECサイトの販売促進に活用できる。写真を投稿したユーザーにはインセンティブが支払われる。

    2019/3/5

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    広告などの「No.1表示」は好印象?それとも悪印象? 購買意欲の喚起につながる?

    6 years 8ヶ月 ago

    マクロミルはこのほど、商品やサービスの広告などに「No.1」「第1位」「世界初」「日本一」などと表示する、いわゆる「No.1表示」に関する消費者意識調査を実施した。20~69歳の男女計1000人に対し、「No.1表示」に抱く印象や、購入意欲への影響などを質問し、結果をまとめた。

    「No.1表示」への接触頻度を聞いたところ、「週に何度も見聞きしている」は36.0%、「月に数回見聞きしている」は35.5%、「過去に何度か見聞きしてたことがある程度」は16.7%、「ほとんど見聞きしたことがない」は11.8%。月に数回以上の頻度で「No.1表示」に接触している消費者は7割を超えた。

    「No.1表示」を見聞きしたとき、対象の商品やサービス対して抱く印象を聞いた。「好感を持つことが多い」は16.8%、「好感を持つこともあれば、不快感を持つこともある」は54.1%、「不快感を持つことが多い」は13.6%、「特に何も感じない」は15.5%。

    「No.1表示」を見聞きしたとき、対象の商品やサービス対して抱く印象
    「No.1表示」を見聞きしたとき、対象の商品やサービス対して抱く印象

    5割以上が「交換を持つこともあれば、不快感を持つこともある」

    「No.1表示」を見聞きした際に、どのような印象を持ったか「好印象」と「悪印象」それぞれで質問した(複数回答)。

    好印象の上位5項目は「人気がある」(27.0%)、「流行っている」(25.1%)、「期待できそう」(22.2%)、「宣伝が上手い」(21.0%)、「勢いがある」(20.6%)。

    「No.1表示」を見聞きした際に、どのような印象を持ったか「好印象」と「悪印象」それぞれで質問
    「No.1表示」を見聞きした際の好印象について

    「悪印象」の上位5項目は「信ぴょう性に欠ける」(41.6%)、「うさんくさい」(40.8%)、「売り込まれているように感じる」(37.5%)、「押し付けがましい」(31.5%)、「企業の自己満足」(24.3%)だった。

    「No.1表示」が購買意欲に影響するか聞いたところ、「かなり影響する」は5.5%、「やや影響する」は37.5%で、合計43.0%が影響すると答えた。「あまり影響しない」は42.5%、「まったく影響しない」は16.6%
    「No.1表示」を見聞きした際の悪印象について

    「購買意欲に影響する」43%

    「No.1表示」が購買意欲に影響するか聞いたところ、「かなり影響する」は5.5%、「やや影響する」は37.5%で、合計43.0%が影響すると答えた。「あまり影響しない」は42.5%、「まったく影響しない」は16.6%だった。

    年齢層別では20代が「かなり影響する」「やや影響する」と答えた割合が高く、合計で54.9%だった。

    「No.1表示」が購買意欲に影響するか聞いたところ、「かなり影響する」は5.5%、「やや影響する」は37.5%で、合計43.0%が影響すると答えた。「あまり影響しない」は42.5%、「まったく影響しない」は16.6%
    「No.1表示」の購買意欲への影響

    調査概要

    • 調査名:「No.1表示」の広告等に関する意識調査
    • 調査主体:マクロミル
    • 調査方法:インターネットリサーチ
    • 調査対象:全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
    • 割付方法:平成27年国勢調査による、性別×年代の人口動態割付/合計1000サンプル
    • 調査期間:2019年2月13日(水)
    渡部 和章
    渡部 和章

    EC利用世帯は39%、支出額の平均は月1.2万円[家計の消費実態把握調査2018]

    6 years 8ヶ月 ago

    総務省が公表した「家計消費状況状況調査(2018年)」によると、2018年におけるネットショッピング利用世帯(2人以上の世帯が対象)の割合は39.2%だった。2017年と比べて4.9ポイント高い。

    利用世帯割合の月次推移を見ると、2018年はすべての月で35%を超えている。12月は44.4%(前年同月比6.2ポイント増)で、月次で過去最高となった。

    総務省が公表した「家計消費状況状況調査(2018年)」 2018年におけるネットショッピング利用世帯(2人以上の世帯が対象)の割合は39.2%
    2008~2018年におけるネットショッピング利用世帯の割合の推移(資料は総務省公表の資料からキャプチャ)

    1世帯当たりのネットショッピングの月間支出額は平均1万2610円(名目増減率19.1%増)。

    項目別の支出額は、「旅行関係費」が3083円、「食料」が1721円、「衣類・履物」が1409円、「教養関係費」が1298円、「家具・家電」が1024円、「保健・医療」が620円、「贈答品」が535円、「保険」が502円、「その他」が2420円。

    総務省が公表した「家計消費状況状況調査(2018年)」 項目別の支出額
    項目別ネットショッピングの支出額、名目増減率および名目寄与度(資料は総務省公表の資料からキャプチャ)
    渡部 和章
    渡部 和章

    ECサイトで最も使われたソーシャルログインは「LINE」、2位は「Yahoo! JAPAN」

    6 years 8ヶ月 ago

    フィードフォースが2月26日に公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」によると、ECサイトで最も多く利用されたソーシャルログインは「LINE」だった。

    Webサイトにソーシャルログイン機能を実装するASPサービス「ソーシャルPLUS」を使い、「LINE」「Yahoo! JAPAN」「Facebook」「Twitter」「Google」のソーシャルログインを実装しているECサイトを対象にソーシャルログインの利用状況を調査した。調査期間は2018年2月から2019年1月。

    その結果、利用割合がもっとも高いのは「LINE」で49.8%。2位以下は「Yahoo! JAPAN」が24.9%、「Google」が11.6%、「Facebook」が9.8%、「Twitter」が3.9%だった。

    フィードフォースが公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」
    利用ベースで利用割合がもっとも高いのは「LINE」

    フィードフォースは「LINE」の利用割合が高い理由について、次のように分析している。

    最近のECサイトでは、商品の値下げ通知や発送完了のお知らせなど、商品購入に関わる重要な情報をLINEでタイムリーに通知するため、LINEログインによるID連携を促すケースが増えています。ユーザーにとっても利便性が高いため、LINEログインを利用するユーザーは今後も増えていくと考えられます。

    ECサイトに実装されているソーシャルログインの内訳(調査期間は2017年~2018年)は、「LINE」が35.3%、「Facebook」が20.8%、「Yahoo! JAPAN」が20.7%、「Google」が12.9%、「Twitter」が10.3%。

    フィードフォースが公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」
    実装ベースでのソーシャルログインの内訳

    「ファッションEC」「化粧品EC」「食品EC」の3つのジャンルのECサイトについて、実装されているソーシャルログインの内訳を調査した(調査期間は2017年~2018年)。

    フィードフォースが公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」 ファッションECサイト
    【ファッションECサイト】実装ベースでのソーシャルログインの内訳
    フィードフォースが公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」 化粧品ECサイト
    【化粧品ECサイト】実装ベースでのソーシャルログインの内訳
    フィードフォースが公表した「ソーシャルログイン利用状況調査2019」 食品ECサイト
    【食品ECサイト】実装ベースでのソーシャルログインの内訳

    3ジャンルすべて1位は「LINE」で、割合は約30~40%。2位以下は「ファッションEC」「化粧品EC」「食品EC」でそれぞれ異なる。

    「ソーシャルPLUS」を導入している全サイトを対象とした調査(調査期間は2018年2月~2019年1月)では、最も利用されたアカウントは「LINE」で56.1%。2位は「Yahoo!JAPAN」で18.4%となっている。

    ユーザーがソーシャルログインを利用する際のデバイスは、モバイルが89.5%だった。

    【調査概要】

    「ソーシャルPLUS」を導入している全サイトを対象に、2018年2月~2019年1月の期間で実施。該当期間のソーシャルログインの利用回数は3008万回、利用ユーザー数は955万人。

    フォードフォースの公式サイトによると、「ソーシャルPLUS」の導入実績は200社を超えている。

    渡部 和章
    渡部 和章

    あなたのECサイトで「カゴ落ち」を引き起こす、5つのよくある間違いとその解決方法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    6 years 8ヶ月 ago

    ネットショッピングの利用者が、カートに商品を入れたのに結局購入せず、サイトを離脱してしまうことはよくあります。カゴ落ちを招いてしまう、よくある間違いと修正方法をご紹介します。

    オンラインで購入する時のプロセスを考えてみましょう。商品を選んで購入ボタンを押す。すべてが一瞬で終わります。とてもシンプルなことです。では、購入を諦めざるを得ない状況とはなんでしょう? それは以下のような状況です。

    • 不必要な登録を強いられる
    • 入力フォームが長くて煩雑
    • 割引オプションがない
    • 使いたい支払方法がない
    • 読み込みに時間がかかる、ネットワークダウン、リンク切れ、ページエラーなど、技術的なトラブル

    他にもさまざまな原因が考えられるでしょう。ECビジネスを成長させたいのであれば、このような愚かな間違いを修正し、最新の技術も取り入れていかなければなりません。カゴ落ちにつながる最も重要な間違いと、その回避方法をご紹介したいと思います。

    ① 直感的でないサイトナビゲーション

    ECの世界で最も重要な要素はなんでしょうか? それは、利用者にスムーズなナビゲーションを示すことです。言い換えれば、購入に至るまで消費者を立ち止まらせないことです。言うまでもないことですが、404エラーや長い読み込み時間は、消費者の離脱につながります。

    では、どうすれば良い?

    このようなトラブルは、多くのEC事業者が「うちはすべてうまく行っている」と思い込んでいることから起こります。過信してはいけません。10人に別々の時間帯で、あなたのWebサイトで買い物してもらってください。プロに頼んでフィードバックを収集し、建設的な批判を広い心で受け止めてください(それがとても重要です)。ECサイトは消費者が必要なものを見つける場所であって、サイト運営者が消費者にとって一番の場所だと信じていても意味がないのです。

    ナビゲーションメニュの例
    ナビゲーションメニューはすべてのビジネスに共通して重要

    ② 煩雑なチェックアウト

    多くのユーザーはチェックアウトページで初めて、長くて時間のかかる入力フォームを目にします。欲しい商品を一生懸命探した後に、チェックアウトページが煩雑だと、カゴ落ちにつながります。

    では、どうすれば良い?

    購入に必要な最低限の情報のみを必須にして、それ以外は選択制にしましょう。不必要なデータを要求すればするほど、消費者はカートの商品を放棄する傾向になります。入力フォームをシンプルに、また、わかりやすいステップにしてみてください。

    FacebookやTwitterなどのSNSアカウントを使ったログインができるようにすることや、「Google Pay」などの支払方法を導入するのも良いでしょう。

    良いチェックアウトページの例(メールアドレスを入れるだけ)
    良いチェックアウトページの例

    ③ モバイル戦略の欠如

    ほとんどの消費者はスマートフォンを所持し、スマートフォンからオンラインショップを探し、商品をカートに追加しています。デスクトップPCでオンラインショッピングをしていた時代は終わったのです。

    ECサイトはマルチデバイスに対応することが当たり前になりました。そうしないと、カスタマーエクスペリエンスが台無しになり、購入につながらないからです。

    では、どうすれば良い?

    あなたのECサイトに来たことのあるユーザーが再訪した際、過去の行動の続きができるようにしてください。特にカートに追加された商品を表示できるようにしておけば、購入プロセスは確実にスムーズになります。

    ④ 不明確な配送情報

    この他にカゴ落ちの原因となるのは配送料金と配送時間です。もしあなたのECサイトが、ギリギリまで配送料金は発送日を知らせていないとしたら、多くを失っていることになります。せっかく商品を選んで購入を決意してくれたのに、送料が高かったり、発送まで時間がかったりすることを最後の最後に知らされたら、ユーザーはがっかりするでしょう。

    では、どうすれば良い?

    ユーザーを失望させないために、最初から情報を開示しておきましょう。ユーザーが郵便番号や居住国を入れれば、配送コストが表示されるツールを見たことはありませんか? そのようなツールを商品ページや配送時間のページに導入すれば、リスクを減らすことができます。

    ⑤ 限られた支払方法

    事業者が最適な支払方法を選ぶのは簡単ではありません。しかし常に消費者のことを考えてください。支払方法の選択肢が少ないと、カゴ落ちにつながる可能性が高くなります。

    海外向けにも販売している場合は、特にその傾向が強いでしょう。支払に関する慣習が各国で違うからです。支払方法が少ないと消費者にストレスを与え、満足度も下がり、カゴ落ちを招いてしまいます。

    では、どうすれば良い?

    支払代行業者と組んで、複数のオプションを提供しましょう。そうすれば、ECサイトの支払方法を増やすのは簡単なはずです。

    ◇◇◇

    成功しているEC事業者は、常に消費者のニーズを最優先させます。上記の5つの提案を実践すれば、安心感と良い結果がもたらされるでしょう。

    Internet RETAILER
    Internet RETAILER

    「ZOZOTOWN」の今――“ZOZO離れ”報道では見えない課題や強みを通販専門紙が解説 | 通販新聞ダイジェスト

    6 years 8ヶ月 ago

    ゾゾは、プライベートブランド(PB)「ゾゾ」のつまずきなどを理由に2019年3月期は初の減益を見込むなど苦戦している。一方で基幹のゾゾタウン事業は、採寸用スーツの方針転換による波及効果の期待薄を除けば好調を維持している。PB展開に隠れて若干見えづらかったゾゾタウン事業の現状と、一部のブランドから三行半を突き付けられる原因となった有料会員サービス「ゾゾアリガトーメンバーシップ」の方向性を探ることで、改めてゾゾの強みや課題が見えてきそうだ。

    若年層開拓し売場が活性化

    ゾゾタウン事業の商品取扱高は、直近3年間を見ると2016年3月期が1461億円(前年比31.2%増)、17年3月期が2050億円(同40.3%増)、18年3月期が2629億円(同28.3%増)で、3カ年平均の成長率は約33%と大きく伸ばしてきた。

    この間、同社では幅広いジャンルの新規ショップを誘致したことや、対象ブランドの商品が数千円引きで買えるブランドクーポンの実施、16年11月に始めた最大2カ月後の支払いが可能な「ツケ払い」サービスなどが事業拡大に貢献。また、古着を扱うゾゾユーズドの成長も取扱高の底上げに一役買った。

    今期もゾゾタウン事業の取扱高は25.5%増の3300億円を目標とし、新規ショップ増やブランドクーポンの効率運用、新たに始めたセールイベントや有料会員サービス「ゾゾアリガトーメンバーシップ」による押し上げ効果を見込む

    ZOZOの2018年4~12月期(第3四半期)における商品取扱高
    ZOZOの4~12月期(第3四半期)ベースの商品取扱高推移。2018年4~12月期における商品取扱高は、前年同期比19.3%増の2350億3000万円(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャし追加)

    新規ショップについては、年間150ショップの誘致を計画していたが、第3四半期までに約170ショップが新たに出店。通期ではショップ数が1300程度まで伸びそうな勢いだ。

    同社ではユーザーニーズに合わせて新規ショップの誘致を進めているが、とくに「ツケ払い」サービスの導入で若年層の開拓に成功アクティブ会員の平均年齢は33.2歳だが、年齢分布では20歳前後の層がピークとなり、これまで同社の成長をけん引してきた大手セレクトショップなどを好む年代だけでなく、若年層が「ゾゾタウン」の活性化に寄与している

    当該層は実店舗で商品を見なくてもネットで上手に買い物を楽しむユーザーが多く、こうした動きに合わせて品ぞろえも変化。「楽天市場」などの総合ECモールを主戦場にしてきたEC発の低価格ブランドが増え、平均商品単価は下落傾向が続いてきた

    ただ、顧客年齢層が偏りがちなファッションECモールにおいて、「ゾゾタウン」は何年も前からサイトを利用する30~40代を中心とした優良顧客に加え、EC発ブランドが目当ての若い層が新規流入。年代に合わせた買い物ができる売り場として機能している

    今後も幅広い層に向けた全方位的な品ぞろえを目指すのに加え、靴やバッグ、アクセサリー、インテリア、コスメといった専門カテゴリーの営業チームも立ち上げており、ファッションと親和性の高い領域をカバーするECモールとして存在感を高めたい意向だ。

    ZOZOの2018年4~12月期(第3四半期)における商品取扱高 過去1年以内に1回以上購入した「年間購入者」
    過去1年以内に1回以上購入した「年間購入者」は、2018年10~12月期時点で807万3672人(ZOZOSUITのみを購入した顧客は含まない)(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャし追加)

    セールイベントを春と夏に実施

    同社は出店ブランドが打てるプロモーションなどの手数を増やしている。これまで取扱高拡大に貢献してきたブランドクーポンも昨年から出し方を変更。従来は1日に1種類のクーポンだけで、利用できるのも1回だけだったが、1日に発行するクーポンの種類を増やし、割引額の異なるクーポンであれば1日に複数枚使えるようにした

    エントリーするブランドにとってもスケジュールや回数の縛りがなくなり、正価品の初速やセール品の消化率向上など、販売戦略に合わせて活用できるようになった

    また、今期は新しいセールイベント「ゾゾウィーク」を開催し、取扱高を押し上げている。これまでは、アパレル店頭のセール期に合わせて冬と夏に大型セールを実施してきたが、グローバルでは中国の独身の日や米国のブラックフライデーなどが一大商戦となっていることもあり、ファッションの実売期に当たる5月と11月にセールイベントを実施した。

    「ゾゾウィーク」はツイッターによるキャンペーンや1時間ごとに目玉商品を投入する企画も行うなどイベント色を出したほか、事前にティザーを上げて新規ユーザーの取り込みを図ったことで、新たな売り上げの山が作れたという。

    一方、昨年秋には広告事業をスタートした。広告メニューのひとつ「ゾゾアド」は検索系広告で、「ゾゾタウン」内の検索窓で例えば「ニット」などと検索すると、対象商品が一覧表示されるが、一番上と真ん中、一番下の部分にPR商品が表示される。

    ZOZOは昨年秋に広告事業をスタートした
    検索広告「ゾゾアド」の検索広告。赤枠が広告部分(画像は編集部がキャプチャし追加)

    取り扱い商品の多い「ゾゾタウン」で他社商材に埋もれず商品をPRでき、しかもユーザーの検索に合わせて表示されることから費用対効果は高いとしており、正価品の販売が伸びるケースも出てきているようだ。

    正価品の販売比率向上に向けては欠品対策を重視する。売り上げ上位品番や入荷後すぐの商品などを対象とした欠品率をKPIに設定。欠品しそうな商品のアラート機能などを活用してブランドとのコミュニケーションを高めることで正価販売比率が上がってきているようで、結果的に客単価も下げ止まりの傾向にあるという。

    価格表示を変更ゾゾ離れ収束か

    昨年12月に始めた有料会員サービス「ゾゾアリガトーメンバーシップ」も新たな成長のけん引役に見込むが、同サービスを巡っては一部のショップが退店するなどの副作用も出ている

    「ゾゾアリガトー」は年額3000円か月額500円を支払うと「ゾゾタウン」での購入金額がゾゾの負担で常時10%割引となり、ユーザーは割引額の一部か全額を購入者の判断で寄付できる仕組みで、10%割引をフックにした集客力強化と、寄付という社会貢献を両立するサービスだ。

    ところが、常時10%割引のインパクトは大きく、事前の説明が不十分だったこともあり、ブランド価値の低下を嫌う一部のアパレル企業が「ゾゾタウン」からの退店を決めた。同社によると、1月31日時点で販売を見送っているショップは全体の3.3%に当たる42ショップで、昨年の商品取扱高ベースでは1.1%であることから、業績に与える影響は少ないと見ている。ただ、ショップから届いている声の大半が「割引表示は何とかならないのか」という内容であるため、2月26日から割引価格の表示パターンをショップが選べるようにした。

    ZOZOは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の有料会員制割引サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」の会員特典価格の表示方法を一部変更
    価格の表示パターンを出店者が選択できるようにした(編集部が追加)

    デザイナーズブランドや海外ブランドなど常時値引きに反発するショップもあって各種メディアの“ゾゾ離れ”報道が続いているが、一方で有力アパレルの首脳陣の中には、消費者とのタッチポイントとして「ゾゾタウン」の必要性を強調する発言が出始めるなど、“大人の対応”をする企業が多い印象だ。

    とは言え、一連の騒動を受けてリスク分散の必要性を感じた企業は多いはずで、自社ECの強化や他のECモール活用など、“ゾゾ依存”からの脱却に舵を切るショップは増えそうで、同社はこれまで以上に各ショップとの意思疎通を図る必要がある。

    全方位型の品ぞろえを目指す中で一定数のショップが欠けるのはマイナスでしかなく、ゾゾの営業部門には「参加するかしないかの権限はないのか」というショップの声も届いていることから、サービス内容のチューニングは検討課題という。

    今後も、“いつでも全商品10%引き”というサービスの分かりやすさを継続するのか、同社の有料会員サービスのあり方に注目が集まるが、ゾゾタウン事業は成長を支える屋台骨であるだけに、慎重な判断が求められそうだ。

    通販新聞

    パーソナライズDMでCVRは20%UP、ECユーザーへの小冊子DMでレスポンス10%UP――ディノス・セシールのDM活用法

    6 years 8ヶ月 ago

    ディノス・セシールが実施している、パーソナライズされた情報を届けるダイレクトメール(DM)が、日本郵便主催の「第33回 全日本DM大賞」のグランプリを受賞した。カゴ落ちから最短24時間以内にDMを送る「カート落ちDM」と、画像認識の人工知能を活用した「小冊子 DM」によって、コンバージョン率やレスポンス率が向上したことなどが評価された。

    ディノス・セシールが取り組んだ施策は2つある。

    1つ目は、ECと紙をリアルタイムで連携させた「カート落ちDM」。カゴ落ちした顧客に対して、カゴ落ちから最短24時間以内に、顧客ごとに内容を最適化したDMを印刷・発送する仕組みを実現した。

    「ディノスオンラインショップ」で顧客が商品をカートに入れた後、購入に至らなかった場合、顧客データや検討中の商品の情報を吸い上げ、それらの情報をDMの内容に反映する。

    「カート落ちDM」を送付した顧客のコンバージョン率は、「カート落ちDM」 を送らなかった顧客群と比較して約20%向上したという。

    ディノス・セシールが「EC」と「紙」をリアルタイムで連携させたCRMを2018年4月から本格運用
    「EC」と「紙」をリアルタイムで連携させたCRMの仕組み

    2つ目の施策は、画像認識の人工知能「#CBK scnnr」を活用した「小冊子 DM」。顧客が購入した商品に似た商品を着ている写真を、Instagramの投稿コンテンツの中から抽出し、顧客ごとにパーソナライズした小冊子に反映させて発送した。人工知能やユーザーコンテンツを活用し、カスタマイズされたDMの制作を自動化したことが特徴だ。

    「小冊子DM」の施策によって、Webの顧客層のレスポンスが約10%向上したという。

    顧客が購入した商品に合わせて掲載内容を変える小冊子「Like it!」
    顧客が購入した商品に合わせて掲載内容を変える小冊子「Like it!」の中面イメージ

    ディノス・セシールは、カゴ落ち対策の重要性が高まっていることや、メール開封率が低下していることなどを受け、2018年からこうした施策を本格的に運用している。

    渡部 和章
    渡部 和章

    北欧、暮らしの道具店が送料無料を廃止して全国一律570円へ変更、理由は「配送会社の運賃値上げ」

    6 years 8ヶ月 ago

    クラシコムは3月4日、日用品や雑貨などを販売するECサイト「北欧、暮らしの道具店」の送料無料を廃止すると発表した。

    現在は注文金額が合計1万5000円以上で送料無料だが、4月1日午前10時以降は、注文金額にかかわらず送料を全国一律570円にする。契約中の配送会社が運賃を大幅に値上げしたことを受け、送料の改定を決めた。

    近年、配送会社による運賃値上げが相次ぐ中、クラシコムも値上げの要請を何度も受けていたという。2019年1月に実施された運賃の値上げは、同社の予想を超えるほど大幅だったとしている。

    通販・EC業界では近年、配送費用の値上がりを受け、送料無料を廃止したり、送料を実質値上げしたりする動きが目立つ。

    2018年3月から5月にかけては、セブンネットショッピング、ディノス・セシール、ファンケル、ベルーナ、ニッセン、オルビスといった大手通販会社による、送料無料の廃止や送料の値上げが相次いだ

    2019年もこうした傾向は続いており、タワーレコードは3月4日に送料無料を廃止。工業用間接資材の通販を手がけるMonotaRO(モノタロウ)も2月下旬、送料が無料になる注文金額のラインを、従来の「3000円以上」から「3500円以上」に引き上げた。

    渡部 和章
    渡部 和章

    ECプラットフォーム「TEMPOCLOUD」活用セミナー 3月20日 東京・虎ノ門で開催

    6 years 8ヶ月 ago

    NHN SAVAWAYは3月20日、同社がこの春リリースする新しいプラットフォーム「TEMPOCLOUD(テンポクラウド)」をテーマにしたセミナーを開催する。

    第1部ではNHN SAVAWAYでTEMPOCLOUD事業部 事業部長を務める安達友昭が、「新しいECビジネスプラットフォームTEMPOCLOUDとは?」と題して「TEMPOCLOUD」の活用法を解説する。

    第2部ではフレイバ・プロジェクツ 代表取締役社長の髙木 勝氏が「ECと実店舗、更にその先にある購買体験とは?」をテーマに語る。第3部は個別相談会。

    これからECを始める企業、実店舗のある企業、オムニチャネルを検討中の企業、BtoCに挑戦したいBtoB企業、BtoBに挑戦したいBtoC企業などが対象。参加は無料(事前登録制)。

     

    開催概要

    名称 次のステージへのECプラットフォーム
    「TEMPOCLOUD」活用編
    日時 2019年3月20日(水)15:00~17:30(受付開始 14:30〜)
    会場 虎ノ門ヒルズ22階 NHNセミナールーム
    NHN SAVAWAY本社(地図
    定員 50名
    参加費 無料(事前登録制)
    主催 NHN SAVAWAY株式会社
    詳細・申し込み https://commerce-star.com/form/seminar/special/tempocloud_190320/
    内山 美枝子
    内山 美枝子
    確認済み
    8 分 52 秒 ago
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