ネットショップ担当者フォーラム

EC事業者団体などが「楽天市場」について楽天と意見交換するアドバイザリーパネルとは?

6 years 9ヶ月 ago

楽天は2月19日、「楽天市場」のサービス向上などを目的に改善活動などを検討・実施する「楽天市場 品質向上委員会」に、EC事業者関連団体など外部有識者で構成するアドバイザリーパネルを設置したと発表した。

アドバイザリーパネルは、EC事業者団体や消費者団体などから6人で構成している。

  • 一般財団法人日本消費者協会 理事 河野 康子氏
  • 一般社団法人ECネットワーク 理事 沢田 登志子氏
  • 一般財団法人日本電子商取引事業振興財団(J-FEC) 代表理事 曽根原 千秀氏
  • 公益社団法人全国消費生活相談員協会 理事長 増田 悦子氏
  • 弁護士法人英知法律事務所 弁護士 森 亮二氏
  • 一般社団法人イーコマース事業協会(エビス) 理事長 吉村 正裕氏
「楽天市場」のサービス向上などを目的に改善活動などを検討・実施する「楽天市場 品質向上委員会」に、EC事業者関連団体など外部有識者で構成するアドバイザリーパネルを設置
アドバイザリーパネルのメンバーなど

楽天は2014年、マーケットプレイスの健全化を目的に「楽天市場 品質向上委員会」を設立。ブランド模倣品といった権利侵害品や偽サイト、商品の品質表示に関する品質管理など、外部団体や行政の協力を得ながら対策を講じてきた。

アドバイザリーパネルの設置は、「業界団体に集まっている意見を吸い上げることで、市場の事業運営に生かしていきたい」(楽天)と説明。野原彰人執行役員コマースカンパニーCOO&ディレクターは次のようにコメントしている。

「楽天市場」はこれまでもより一層の品質向上のために、常に最善を尽くして参りました。この度、2014年に設立した「楽天市場 品質向上委員会」に新たにアドバイザリーパネルを設置し、EC事業者視点、消費者視点、中立的な視点と各方面の方から客観的にご意見をいただくことで、現状の「楽天市場」のサービス内容に満足することなく、より一層の高みをめざし、より開かれた「楽天市場」のサービス提供を目指していきたいと考えております。

同日、第1回となる「楽天市場 品質向上委員会 アドバイザリーパネル」を開催。「楽天市場」の出店規約やガイドライン、今後の課題について楽天が説明した後、アドバイザリーパネルで意見交換が行われたという。

「楽天市場品質向上委員会 アドバイザリーパネル」は定期的に開催する予定。

瀧川 正実
瀧川 正実

【東京】「脱広告依存」「中小ECのメディア戦略」をテーマにしたセミナー3/7開催

6 years 9ヶ月 ago

フューチャーショップは3月7日(木)、「脱広告依存!! 集客できるブログ・SNS・PR…新しい時代のモノの売り方とは? 中小Eコマースのメディア戦略を考えよう 新しい時代のモノの売り方・新しい消費者像を知ることで、未来の売上は変わる」と題したセミナーを東京都内で開催する。

▼セミナー「脱広告依存!! 集客できるブログ・SNS・PR…新しい時代のモノの売り方とは? 中小Eコマースのメディア戦略を考えよう 新しい時代のモノの売り方・新しい消費者像を知ることで、未来の売上は変わる」について

参加費用は無料。スマートニュース本社のイベントスペースで行う。時間は18時から。

本セミナーでは、ネット発のヒットブランド「cheero(チーロ)」(スマホ周辺アクセサリー)、「RAKUNI(ラクニ)」(スマホケースブランド)を生み出したトーモの東知美社長、「ネタフル」管理人 ブロガーであるコグレマサト氏などが登壇。中小EC事業者のメディア戦略やこれからのEコマース戦略などについて講演する。

セミナーの内容

  • 第1講座 前半
    「cheero(チーロ)」ダンボーバッテリーの大ヒットと、iPhoneケースブランド「RAKUNI」が完売続出の理由(株式会社トーモ 代表取締役 東 智美氏)
  • 第1講座 後半 ディスカッション
    テーマ1:「メディア側と共に考える、今ネットで起きている現象からみたこれからのEC戦略」
    テーマ2:「ECサイトとしての「RAKUNI」と「cheero」はどうなの。」
    (トーモ 東 智美氏、ネタフル コグレマサト氏、スマートニュース 鷹木 創氏、フューチャーショップ 稲生 達哉氏)
  • 第2講座
    今からでも遅くない!2019年はブログで仕掛ける! 資産になるブログのつくりかた & クチコミの次にある大事なこと(「ネタフル」管理人 ブロガー コグレマサト氏)

セミナーの詳細

  • 日時:2019年3月7日(木)18:00-21:00(受付開始17:30)
  • 場所:スマートニュース株式会社 イベントスペース(東京都渋谷区神宮前6-25-16 いちご神宮前ビル 2F)
  • 定員:170名(1社につき3名まで)
  • 料金:無料
  • 詳細と申し込みhttps://www.future-shop.jp/session/selection/008324.html
瀧川 正実
瀧川 正実

大塚家具のEC売上高は3億円で昨対70%増

6 years 9ヶ月 ago

大塚家具の2018年12月期決算におけるEC事業の売上高は、前期比69.1%増の3億960万円だった。「Yahoo!ショッピング」「LOCOND HOME」「Amazon」といった外部ECサイトへの出店を強化したほか、自社ECサイトの商品を拡充したことで売り上げが伸びた。

直近2年で出店モールを増やしてきた。2017年6月に「ヤフオク!」、9月に「LOCONDO HOME」、10月には「Yahoo!ショッピング」に出店。2018年は5月に「Amazon」、9月には家具やインテリアのサイト「Laig」で販売を開始した。

大塚家具の2018年12月期決算におけるEC事業の売上高は、前期比69.1%増の3億960万円 EC売上高推移
大塚家具のEC売上高推移(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

大塚家具は2017年、EC事業の強化とオムニチャネル化の推進などを含む「経営ビジョン」を発表。2017年3月には商品紹介サイトとECサイトを統合し、2018年6月には掲載商品を約4500種まで増やした。

EC以外を含む2018年12月期決算は、売上高が前期比9.0%減の373億8800万円。32億4000万円の最終赤字だった。

最大約76億円を調達し、倉庫自動化やブランド再構築に投資

2019年は中国市場を強化する計画だ。2018年12月に業務提携した中国家具販売大手、北京居然之家云地汇新零售连锁(Easyhomeが保有する中国小売ネットワークを活用し、中国市場への参入や、自社ブランドの越境ECを行うとしている。

2019年3月以降、投資ファンドなどから第三者割当増資で約38億円を調達する。また、新株予約権を発行し、すべて行使されれば追加で約38億円を調達することになる。

調達資金は自社物流倉庫の自動化や物流の効率化、店舗改装、ITシステムに投資するほか、ブランドを再構築するためのマーケティングやプロモーションに使う。

渡部 和章
渡部 和章

中小企業へのITツール導入補助金、2019度は上限450万円に拡大

6 years 9ヶ月 ago

ITツールを導入した中小企業に政府が補助金を交付する制度において、2019年度の交付額の上限は450万円に決まった。2018年度の上限額50万円と比べて大幅に増える。補助率は導入費用の50%。

補助金の対象となるITツールは、経理を効率化する会計ソフトや顧客情報を一元管理するクラ ウドシステム、職員間のコミュニケーションシステム、飲食店のセルフオーダーシステムなど。

補助金を受け取れる事業は、中小企業や小規模な飲食、宿泊、小売り、卸、運輸、医療、介護、保育などの事業者。

交付金の下限は40万円に設定されているため、導入費用が80万円未満では補助を受けられない。

ITツールを導入した中小企業に政府が補助金を交付する制度「サービス等生産性向上IT導入支援制度」で、2019年度の交付額の上限は450万円に決まった
中小企業庁が公開した資料(画像は中小企業庁が公開した資料をキャプチャ)

補助金事業の名称は「サービス等生産性向上IT導入支援制度」。補助金の予算枠は、中小企業の生産性向上や販路開拓支援などを目的とした「中小企業生産性革命推進事業」の1100億円に含まれる。政府が2019年度補正予算に盛り込んだ。

渡部 和章
渡部 和章

アマゾン日本事業の売上高は約1.5兆円【Amazonの2018年実績まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

6 years 9ヶ月 ago

アマゾン日本事業の2018年(2018年1~12月)売上高は円ベースで1兆5350億1900万円だった(2018年の平均為替レートを1ドル=111円で換算)。円ベースの伸び率は前期比15.0%増。米Amazonが2月に公表した「年次報告書」などから、2018年のAmazonの日本事業、米Amazonの状況をまとめた。

アマゾン日本事業について

ドルベースの売上高は138億2900万ドルで前期比16.1%増(2017年の日本事業売上高は119億700万ドルで、前の期比10.3%増)。

アマゾン日本事業の2018年売上高推移(ドルベース)
アマゾン日本事業の2018年売上高推移(ドルベース)

2018年の年間平均為替レート(1ドル=111円)で換算すると、日本事業における円ベースの売上高は前期比15.0%増の1兆5350億円となる。

アマゾン日本事業の2018年売上高推移(日本円ベース)
アマゾン日本事業の日本円ベースの売上高推移(年間平均為替レートで円換算)。平均為替レートは、2010年が87円、2011年は79円、2012年は79円、2013年は97円、2014年は105円、2015年は120円、2016年は108円、2017年は112円で換算、2018年は111円で換算

アマゾン日本事業の売上高は直販ビジネスのほか、第三者による販売(マーチャント売り上げ)の手数料収入、定期購入サービスなども含まれる。

アマゾンに詳しい業界関係者によると、全体の流通額のうち約4割が第三者による販売で、手数料収入は平均して第三者の販売額の約10%と考えられるという(こちらをご参照)。

ネッ担編集部ではこの数値を前提に、アマゾン日本事業の流通総額をこれまで推測してきた。2015年は、第三者による流通額は約6200億円、直販による流通額は約9300億円。2016年は、第三者による流通額は7200億円、直販による流通額は約1兆800億円となり、流通総額は少なくとも1兆8000億円規模まで広がっていると推計。

2017年については、第三者による流通額は約9200億円、直販による流通額は約1兆2400億円となり、流通総額は少なくとも2兆円を超えたと推測した。

2018年も同様に流通総額を算出。第三者による流通額は約9594億円、直販による流通額は約1兆4390億円となり、流通総額は少なくとも約2兆4000億円と推測した。

なお、米Amazon、アマゾンジャパンともに流通総額を公表していない。

グローバルの販売状況

総売上高は前期比30.9%増の2328億8700万ドルだった。純利益は同3倍超の100億7300万ドル。

米Amazonの2018年における連結売上高は前期比30.9%増の2328億8700万ドル。2017年の伸び率は30.8%だったため、規模拡大を続けながら高成長を維持している。

売上高の内訳は次の通り。

  • 仕入れ商品などによる製品売上(デジタルメディアコンテンツなど含む) → 1229億8700万ドル(前期比13.5%増)
  • 第三者販売サービス売上など(第三者が販売するサービスに関する手数料売上など) → 427億4500万ドル(同34.1%増)
  • 定期購入売上など(「Amazon プライム」の会員費など) → 141億6800万ドル(同45.7%増)
  • AWS(Amazon Web Service) → 256億5500万ドル(同46.9%増)
  • 実店舗売上(主にホールフーズの売り上げ) → 172億2400万ドル(同197.1%増)
  • その他(広告サービスやクレジットカード契約などの売上) → 101億800万ドル(同117.2%増)
Amazonの売上高の内訳(2018年)
Amazonの売上高の内訳(2018年)。カッコ内の数値は全体売上高に占める割合

地域別の売上高は次の通り。Amazon全体の売上高に対して日本事業が占める割合は5.9%。2017年は6.7%だったため、2018年は0.8ポイント下がっている。

  • アメリカ → 1601億4600万ドル(前期比32.9%増)
  • ドイツ → 198億8100万ドル(同17.3%増)
  • イギリス → 145億2400万ドル(同27.7%増)
  • 日本 → 138億2900万ドル(同16.1%増)
  • その他 → 245億700万ドル(同42.9%増)
Amazonの地域別売上高(2018年)
Amazonの地域別売上高(2018年)。カッコ内の数値は全体売上高に占める割合
瀧川 正実
瀧川 正実

「広告主向けアフィリエイト徹底活用講座」3月5日、大阪で開催

6 years 9ヶ月 ago

10月26日、大阪のアシストアップで「広告主向けアフィリエイト徹底活用講座」が開催され、「アフィリエイト再入門講座」を連載中の鈴木珠世氏が登壇する。

「アフィリエイトとは?」といった基礎的な内容から、実務で役立つコツ、やるべきことを運用に沿って解説する。

参加対象はアフィリエイトを利用している通販事業者、過去にアフィリエイトを利用していた通販事業者、これからアフィリエイト広告を利用してみたい通販事業者。運用代行、代理店も参加可能。

イベント名称 「広告主向けアフィリエイト徹底活用講座」
日時 2019年3月5日(火)14:00~16:30(受付開始は13:50〜)
場所 大阪市中央区久太郎町3-6-8 御堂筋ダイワビル8F
アシストアップ株式会社大会議室
定員

15名

参加費 5,000円
主催 e-click株式会社
詳細・申し込み https://peraichi.com/landing_pages/view/dp2qm
内山 美枝子
内山 美枝子

千趣会の前社長・星野裕幸氏が玩具のサブスクリプションEC「トイサブ!」の経営顧問に就任

6 years 9ヶ月 ago

子供用玩具のサブスクリプション・レンタルサービスを手がけるトラーナの経営顧問に、千趣会の前社長・星野裕幸氏が就任した。

玩具レンタルサービス「トイサブ!」「トイサブ!プラス」の事業が拡大期を迎える中、事業基盤と経営基盤の安定化を図るために星野氏の経営経験を生かす。

2月13日、トラーナが星野氏の経営顧問就任を公表した。

トラーナの志田典道社長と千趣会の前社長・星野裕幸氏
トラーナの志田典道社長と星野裕幸氏(写真右)

「トイサブ!」と「トイサブ!プラス」は、顧客が月額料金を支払い、子どもの年齢に応じた玩具を借りるサブスクリプション型のサービス。対象年齢は「トイサブ!」が0~3歳、「トイサブ!プラス」は4~8歳。現在、合計1500世帯以上が利用しているという。

「トイサブ!」の月額料金は1580~4240円。一度に4~6点の玩具が届く。玩具の交換サイクルはプランによって45日、隔月、半年に設定されている。顧客は、レンタル中の玩具を買い取ることもできる。

星野氏の経歴

星野氏は1959年生まれ。1982年に明治大学を卒業後、広告代理店の日広を経て千趣会に入社した。

営業やマーケティングなどに従事した後、1999年にEC事業の責任者として「ベルメゾンネット」の立ち上げを担当。2002年からは経営企画部門において、業務改革やブランディングなどに携わった。

2005年以降は主に新規事業開発やM&Aを担当し、ブライダル事業やカタログギフト事業、ペット用品小売事業会社の買収、中国における通販事業などを手がけたという。

2013年には子育て事業を行う「千趣会チャイルドケア」を設立。2016年に千趣会の代表取締役に就任した。2018年10月、業績不振の経営責任を明確にするため、代表取締役を辞任した。

星野裕幸氏は次のようにコメントしている。

前職の千趣会では、ウーマンスマイルカンパニーという企業ビジョンのもと、通販事業やウェディング事業など、女性を笑顔にするというコンセプトでいくつかの事業を運営してきました。 私は、女性のライフステージの中でも、特に出産~育児というステージが女性の一番大変な時期でもあるとともに、女性の人生の中で一番輝く時期でもあると思います。 そんな時期の女性を一人でも多く応援したいと思い、近年は保育所運営など子育て事業に力を入れてきました。 そうした中、志田さんそしてトイサブという事業に出会い、とても共感し、自分の子育て事業に対する想いを発揮できる機会でもあると感じました。 もっともっと多くの子供たちやご両親を笑顔にできるよう、トラーナの成長をサポートして行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。引き続きより良い、安定したサービス提供に向け、一同邁進してまいります。

渡部 和章
渡部 和章

楽天の組織再編、「楽天市場」は本体での運営に決定。直販事業のDirectは楽天が吸収・合併

6 years 9ヶ月 ago

楽天は2月12日の取締役会でグループ内の組織再編を決議した。「楽天市場」などのEC事業や、旅行予約サイト「楽天トラベル」は楽天が引き続き運営する。直販事業を手がける子会社のRakuten Directは楽天が4月1日付で吸収合併する。

「楽天市場」などのEC事業や、旅行予約サイト「楽天トラベル」は楽天が引き続き運営する
現在と4月1日以降の楽天の組織について(画像は編集部が決算説明会資料からキャプチャ)

楽天は2018年8月、経営効率化などを図るため、グループの組織再編を行う方針を発表した。楽天本体の傘下に「ネット通販」「モバイル」「FinTech」の事業を手がける子会社を置き、EC事業は新設する楽天イーコマース(仮称、当時)が運営する方針を示していた。

今回、「楽天市場」を楽天本体に残した理由として、広報は次のようにコメントしている。

許認可や、現場のオペレーションへの影響の最小化など、事業運営上の観点から、「楽天市場」、「楽天トラベル」などのインターネット・サービス事業は、楽天に集約させることが適切という判断に至ったためです。

「爽快ドラッグ」や「ケンコーコム」を運営するRakuten Directは4月1日付で楽天が吸収合併する。

モバイル事業では、楽天コミュニケーションズの株式を楽天モバイルネットワークが承継。FinTech事業においては、楽天カードと楽天Edyの株式を除く、FinTech事業子会社の株式を楽天カードが承継する。

渡部 和章
渡部 和章

家具メーカーがバズって商品開発? Twitterをきっかけに大きな目玉焼きブランケットを作っちゃったセルタン【読者プレゼントあり】 | Web担当者Forum 特選記事

6 years 9ヶ月 ago

家具の製造メーカーというあまり表に出ない自社の魅力を学生に伝えるため、Twitterで採用アカウントを作った株式会社セルタン

商品の紹介やプレゼント企画、Twitterで聞いた声から商品開発も行ってしまうという。

採用アカウント(@celutane01)ながら広報、営業、商品開発も行い、75000人以上のフォロワーを持つTwitterの中の人、八木健太郎氏と、たまたま取材日に帰国していたベトナムでFacebookアカウントを立ち上げた八木翔氏に話を伺った。(取材日: 2018年12月18日) 記事の最後にプレゼントのお知らせがあります。

※採用アカウント担当は取材時点。現在は休止中。公式アカウント(@celutane00

セルタンの八木健太郎氏(左)、八木翔氏(右)

家具の製造メーカーという仕事の魅力を伝えるために始めたTwitter

――どういったきっかけでSNSを始めようと思ったんでしょうか?

八木(健): きっかけは新卒採用を任されたことでした。セルタンという会社は完全なる製造メーカーなので、我々の名前が世に出ることはありません。

当時から、弊社はおそらく国内でのソファー生産シェア16~17%を占めている日本最大のメーカーですが、学生のさんにはアピールできていないと思っていました。

じゃあその情報をどうやって伝えよう? と考えた結果、学生さんが普段情報を集めているツールを使おうと。

――なぜTwitterだったんでしょう?

八木(健): Twitterではもともと食パンの座椅子が商品単体で盛り上がる環境があったので、馴染みやすいかなと思って始めました。

セルタンの八木健太郎氏(中の人のイメージを守るためオオカミマスク)

フォロワーが増えたきっかけは偶然が重なったこと

――知名度が上がったきっかけはなんだったんでしょう?

八木(健): 最初は採用アカウントとして活動していたんですが、フォロワーが増えるきっかけは3回ほどありました。

1回目は「そらる」さんという、ニコニコ動画の人気アーティストのキャラクターの座椅子を、たまたま製造することになったのがきっかけでした。

その座椅子の製造過程をリアルタイムにTwitterで発信してみたんですが、そらるさんのフォロワーさんがとても盛り上がってくれて、ファンの方と我々が一緒に盛り上がるような環境が偶然できあがったんです。

そのときファンの方の一部がフォローしてくださったことによって、100人から500人くらいに増えました。そこから徐々に増えていったという感じです。

リアルタイムで製造工程を呟いたときのまとめ

――2回目は何だったんでしょう?

八木(健): 2回目のきっかけは鳥です。ある鳥好きの方の家の軒先にツバメが巣を作って、そこからヒナが1羽落っこちてしまったんです。その方がヒナがまた落ちたら危ないからと、巣の下に弊社の食パン座椅子をクッションとして敷いてくれたツイートを偶然見けました。

それで、「使ってくださってありがとうございます。もしよろしければ新しい商品をお送りさせていただきます」という旨を個人的に送ったんですね。そしたらその方が一連のやりとりをツイートしてくださって。

【鳥クラスタになった発端のできごとまとめ】

 

――そこから広まったんですね。

八木(健): 鳥クラスタの方の輪がすごく強くて、一瞬で広がりました。それで、ツバメの話の翌日にはフォロワーが1,000人に。そこから、鳥関係の人に「鳥業界はいいぞ」と誘われ、セルタン採用アカウントも鳥クラスタの仲間入りになりました。

 

――3回目はなんですか?

八木(健): いつもお世話になっているフォロワーさんに「何かプレゼントをしたい」と思って始めたフォロワー1000人キャンペーンです。そのときはフォロワーが1,000人しかいなかったので、より多くの人に届けられるように10人に1人「目玉焼きブランケットS」が当たるイベントをやってみようとしたら、16000RTされてフォロワーがドドッと増えました。

そこからフォロワーの幅が広がり、バズるようなツイートもぽつぽつ出るようになりました。ただ、どのツイートも最初からフォローしてくださっていた方が広めてくれます。

フォロワーが増えても続けているプレゼント企画

――今はもうフォロワーが沢山いますし、10人に1人当たるプレゼント企画って大変ですよね?

八木(健): 大変です(笑)。3,366名の当選者がいたんですが。神奈川の拠点が主導でも、実際の製造は八木(翔)のいるベトナムの拠点でやっているんです。

八木(翔): 一生懸命作りました(笑)。

八木(健): このイベントを締めると数が決まるので、まずは生地から発注して、製造の人員を確保してという流れになります。梱包して送り状を貼るところまでは海外で行って、それを日本に送ってもらいます。いきなり3,000個も郵便局では送れないので、1週間に1,000枚ずつくらいを3週に分けて発送します。

実は普通の毛布と違って目玉焼きブランケットは表と裏の生地以外に3枚の生地でできているので、生地屋さんも大変です(笑)。

 

――正直、プレゼント企画をやってから売り上げはどうですか?

八木(健): 赤字ですね。プレゼント企画後に外れて悲しい思いをされた人に対する救済措置として、感謝の気持ちも込めてブランケットの原価販売を行っています。そこで1,600~2,000枚ほど売れるんですが、もちろん利益は出ません。でも、3枚同時に購入していただけると運賃とかでちょっとだけ利益が出るんです。それをTwitterで言ってみたら購入する方の1割くらいは3枚以上買ってくださってビックリしました。

そのほかの商品でもセールを行っていて、そこではもちろん利益が出ます。一連の取り組み含めて赤字です(笑)。

プレゼント企画によって知名度が上がって、採用もうまくいくようになりますし。採用の費用で補填するという感じですね。

3枚同時購入についてのツイート

――なんでずっと目玉焼きブランケットをプレゼントしているんでしょうか?

八木(健): Twitterって世界中で使われているツールですが、小さいクラスタの集まりだと思っています。他のクラスタと交流することってあまりないんです。そういったゆるいつながりのSNSの中に、目玉焼きブランケットという違うつながりをつくることによってクラスタ同士が繋がるのがおもしろいんです。ベトナムで目玉焼きブランケット持ってる人がいて、話ができたらおもしろいじゃないですか(笑)。

Twitterによる商品開発と営業活動

――Twitterから商品開発と話題になりましたが、実際はどんな経緯で商品開発したんでしょう?

八木(健): 目玉焼きブランケットのXLサイズは、「なんで本気で寝れるサイズがないんだ」という声からでした。我々としては、ひざ掛けサイズを作って、お昼寝できるくらいのサイズを作っておしまいのつもりだったんですけど……。生地や作りに関してはめちゃめちゃこだわっているので、暖かさや品質は保証できますが、「むしろ何で目玉焼きブランケットで本気で寝たいの!?」って感じでした(笑)。

実際に買ってみたらほんとにデカい。大きめの猫は黄身部分におさまってしまう。裏面は焦げ目を表現していてかわいいし暖かい。
本当に開発してしまった目玉焼きブランケットXL

――Twitterによって商品開発したものはありますか?

八木(健): セルタン採用アカウントが鳥クラスタになったのを記念して、「鳥関係のものを作るので要望を教えてください」と発信したんです。そしたら、目玉焼きブランケットがあるならラグも欲しいと言ってくださった方がいました。黄身を追加できるようにとか、半熟の面と固焼きの面を分けてほしいという要望で、企画の絵まで書いてくださって開発をおこないました。生地も青島まで行って私が探しました!

Twitterから開発に結び付いた目玉焼きラグと目玉焼きクッション。クッションは片面が半熟、もう片方は固焼きの硬さにこだわったという。

――Twitterの延長で製品ができていくってすごいですね。

八木(健): SNS発生の商品はやっぱり個性的です。世の中大多数の人に売るものに目が行きがちですが、少数の人がとても好むものを作れるというのがSNSですね。

 

――目玉焼きの他にパンの商品も出していますよね。ヴィレッジヴァンガードのECで見かけましたが、これもSNS関係ですか?

八木(健): そうですね。目玉焼きブランケットのXLがバズって品薄になってしまったときがありました。そこで、いろいろな商品をセットにして「バズ袋」としてヴィレッジヴァンガードさんで販売してもらいました。

ヴィレッジヴァンガードさんに紹介されたことによって、ボツになっていたものが製品化されたこともあります。

あとはフォロワーさんが「ソファーやクッション作るならセルタンがいいよ!」って仕事を取ってきてくださったことも(笑)

人の輪に入り込んで、気が付いたら商品が売れるようになっていったという感じですね。採用アカウントなので売るためのアカウントではないんですが、売り上げにはつながっています。

コミュニケーションの取り方

――フォロワーが増えて大変なことは何でしょう。

八木(健): フォロワーが増えたことによって、フォロワーの種類が増えました。そうすると、ファンだけではなく、単なる懸賞として参加する人が増えたので気にしなければいけないことが出てきました。

人が少しでも嫌な思いをしない「おもしろいツイート」という線引きがとても難しいですね。私も何回か失敗をしてますし、回を重ねるごとにノウハウを身につけました。でもいろいろな方に配慮して投稿となると、どうしても更新頻度は下がってきてしまいますね。

――フォロワーとのコミュニケーションはどう取っていますか? 返信頻度など教えてください。

八木(健): たとえば、DMを送ってきてくるお客さんもとても多いです。プレゼント企画で、「当たったー!」と報告してくれる方がいるので。そういう人に対しては極力返信をしています。DMだと他の人が見る可能性も少ないと考えているので、喜んでDMを下さった方がもっと楽しくなるような返信をするように心掛けています。

――ツイートに対するリプライなどにはどう対応していますか?

八木(健): リプライに関しては、返してしまうと「なんであの人だけ」という不平不満が発生してしまうことがあるので、時間を決めて時間内に返信をくれた人には上から返すというように、特定の人にだけ返すようなことがない運営ができるよう気を付けています。

――一気に拡散されたり、フォロワーが増えたりすると好意的ではない人からもリプライが来ますよね。

八木(健): ありますね。200件の中の1件攻撃的な書き込みがあれば、0.5%の人にはそういった思いがあるということには気が付けます。そのうえで、「自分たちはこういう姿勢でどうしていて、こう考えています」と伝えて納得してもらうしかないですね。

海外でのSNS展開

――ベトナム支社でもSNS利用を開始とのことですが、なぜこちらはFacebookなんでしょう?

八木(翔): ベトナムでは、Facebookはほとんどの人がやっていますし、フランクなツールとして使われていて、日本のTwitterに近いです。ただ、拡散力がTwitterより弱いので他の手法を考え中です。

――他の国でもSNS展開は考えていますか?

八木(翔): そうですね。まずはベトナムで試しているという感じです。まだ始めたばかりでフォロワーが1,700人くらいなので。日本と東南アジアでは感覚が違う部分も大きく、まずはベトナムで上手くいけば他の国でもうまく運用していけると考えています。

――ベトナムでも目玉焼きブランケットを盛り上げていこうと考えていますか?

八木(翔): 好まれる家具は国によって違いますが、「目玉焼き」はどこの国にもあるモチーフですし、盛り上げていきたいですね。

ベトナム工場では、目玉焼きブランケットのキャンペーンが終わって注文が入ると、「オプラー(目玉焼き)来たぞ!」って盛り上がります(笑)

――今後の運用としては、どんなアカウントを目指したいですか?

八木(翔): ベトナムでもやはり企業アカウントというと広告ばかりというアカウントがまだまだ多いです。なので、我々のアカウントはお客さんと一緒になってイベントとしてプレゼント企画を楽しもうという姿勢を作っていきたいです。

将来的に目玉焼きブランケットを色んな国で見られたらいいですね(笑)。

セルタンの八木翔氏

家具製造メーカーでも、SNSを通じてエンターテインメントを提供できる

――今後のアカウント運営はどうしていきたいですか?

八木(健): 今まではものを作って売るのが仕事だと考えていたんですが、我々がものを届けられる人は数が少ないんです。ですが、SNSを通じてエンターテインメントを提供できるんじゃないのかと思っています。多くの人が楽しんでくれて、つながりができたらいつか家具が必要になったときに「セルタンの家具を買おう」「セルタンに入社しよう」ということがあるかもしれないと思っています。

多くの人を楽しませたいと語る、八木健太郎氏

八木(翔): 社内でSNSをやるにあたってベトナム社の人と話をしたとき、「家具って本来はいらないものだよね」という話が出ました。1か月3、4万円の給料で暮らしている人からしたら、「食べるもの」「住む場所」「洋服」以外はなくても死なないんです。そんな国で家具を売ろうとしています。でも、お金持ちだけじゃなく、お金がない若い人にも買って欲しい。家具は必要のないものだけど、あったら楽しいという価値を見い出してもらいたいんです。家具や物を売るのではなく、楽しみを売っていきたいとベトナム社の人が言っていました。そのためのツールとしてSNSを使っていきたいです。

目玉焼きとして旗を掲げていきたいという、八木翔氏

――ありがとうございました。

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二村 茜
二村 茜

PayPay、オンライン対応延期/一番使われているのは「何Pay」?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

6 years 9ヶ月 ago

MMD研究所の調査によると利用率トップは「楽天Pay」のようですが、今週もPayPay関連の話題が注目を集めました。

  1. 「PayPay」がオンライン決済への対応延期を発表。導入時期は未定

    「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」への対応延期。「LOHACO」は4月導入予定

    2019/2/8
  2. 乱立する「○○Pay」。2019年1月時点の“キング オブ Pay”はこれだ!【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき、2019年2月4日〜10日のニュース

    2019/2/13
  3. 「楽天市場」の送料無料ラインの統一化方針、店舗の反応は? 今後の焦点は?

    追加の送料が必要となる家具などの大型商品や食品などの冷凍・冷蔵商品は例外となる。今後は送料そのものの全店舗での金額統一もめざすという

    2019/2/12
  4. ネット通販の買い物デバイスはPC、スマホ、次は? 「IoT」時代を前に知っておきたいECの近未来

    クラウド型ECプラットフォーム「TEMPOCLOUD」が創る未来のECの形とは?

    2019/2/12
  5. 楽天が物流代行の関通と資本業務提携、「ワンデリバリー」構想を加速へ

    関通の発行済株式の9.9%を取得。兵庫県尼崎市内にある関通の物流センターを「楽天スーパーロジスティクス」の物流拠点として運営するなど連携を進める

    2019/2/8
  6. 宅急便受け取りの利便性向上へ、ヤマト運輸とヤフーIDの連携促進

    2018年10月に開始した「クロネコID」と「Yahoo! JAPAN ID」の連携サービスの利用を促進する

    2019/2/12
  7. KDDIがスタートしたECモールを含む「スマートマネー構想」とは?

    「au WALLET」を軸に、通信やEC、電気、保険、預金、投資といったサービスをスマホ決済・スマホ金融を中心としてワンストップで提供

    2019/2/14
  8. 置き配バッグで不在時の6割が受取、配送員の96%が利用を希望【1000世帯でOKIPPAと日本郵便が実証実験】

    2018年12月に実施した実証実験の結果を公表。置き配バッグに対する配送員の満足度調査も実施した

    2019/2/8
  9. 不良在庫64%削減も売上は右肩上がりの事例あり! ECの在庫問題を解決する「FULL KAITEN」リニューアル版を取材した

    在庫問題を解決する人工知能(AI)搭載のクラウドサービス「FULL KAITEN(フルカイテン)」の開発経緯、リニューアル版(バージョン2.0)がEC事業者に提供できる価値などについて、フルカイテン社の代表・瀬川直寛氏に話を聞いた

    2019/2/13
  10. メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」が始動、まずは非接触決済サービス「iD」に対応

    「メルカリ」の売上金を使い、約90万店舗の「iD」加盟店で決済できる

    2019/2/14

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    LINEの法人向けアカウント統合は4/18から。その内容は? 課金されないメッセージは?

    6 years 9ヶ月 ago

    LINEは4月18日に、法人向けアカウントサービス「LINE@」を「LINE公式アカウント」に統合する。「LINE@」は移行期間を経て9月30日に完全終了となる。

    「LINE公式アカウント」は、月額無料の「フリープラン」、月額5000円の「ライトプラン」、月額1万5000円の「スタンダードプラン」がある。

    「LINE@」の「フリープラン」を利用している企業は、「LINE公式アカウント」の「フリープラン」へ移行。「LINE@」の有料プランである「ベーシックプラン」「プロプラン」「プロ (API)プラン」を利用している企業は、「LINE公式アカウント」の「フリープラン」「ライトプラン」「スタンダードプラン」のいずれかに移行する。

    「LINE公式アカウント」 移行時に選択できる料金プランとルール
    移行時に選択できる料金プランとルール(画像は編集部がLINE公表資料からキャプチャ)

    「LINE@」の「フリープラン」から「LINE公式アカウント」の「ライトプラン」や「スタンダードプラン」に移行した場合、変更月の料金は日割り計算。

    8月19日以降は強制的にアカウントを統合

    「LINE@」と「LINE公式アカウント」の移行手続きは4月18日に開始。8月19日までは利用企業が任意で移行手続きを行える。8月19日までに手続きを行っていないアカウントに対しては、LINEが9月30日までに強制的にサービスを移行するという。

    「LINE公式アカウント」 サービス統合・移行スケジュール
    サービス統合・移行スケジュール(画像は編集部がLINE公表資料からキャプチャ)

    無料メッセージは月1000~4万5000通

    「LINE公式アカウント」は、無料メッセージの月間配信数がプランに応じて1000~4万5000通に設定されている。「ライトプラン」と「スタンダードプラン」は1通3~5円で追加メッセージを配信可能。

    タイムラインへの投稿はすべてのプランで無制限。リッチメッセージや動画メッセージ、音声メッセージ、クーポン機能、チャット(1:1トーク)なども、すべてのプランで利用することが可能。

    「LINE公式アカウント」 料金プラン
    料金プラン(画像は編集部がLINE公表資料からキャプチャ)

    課金対象のメッセージは? されないメッセージは?

    課金対象となるメッセージ種別は、メッセージ配信(ターゲティングメッセージ含む)、Messaging APIの「Push API」「Multicast API」。

    一方、課金対象とならないメッセージ種別は、チャットの送受信、自動応答メッセージ、キーワード応答メッセージ、友だち追加時あいさつ、Messaging APIの「Reply API」。

    渡部 和章
    渡部 和章

    AmazonのSEOで成功するための3つの戦略、競合に差をつけて露出を高める方法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    6 years 10ヶ月 ago

    効果的なSEOを行えば、大量の商品が並ぶAmazon(アマゾン)内で目立つことができます。消費者に誤解を与えない完璧なキーワードを使い、役に立つ商品説明を掲載し、モバイルに最適化していれば、長い目で見てアマゾンで成功を収める可能性が高くなります。

    約半数の消費者が商品検索を最初にアマゾンで行うことは、周知の事実でしょう。アマゾンが強い理由は、アルゴリズムによって消費者に関連性の高い商品リストが確実に表示されるため、購入率も売り上げも高くなるからです。

    ネット通販利用者の58%はアマゾンで検索をはじめる
    消費者がオンライン上で商品検索をスタートするサイト
    ・アマゾン:58%
    ・検索エンジン:20%
    ・各社ECサイト:18%
    ・その他:4%
    (編注:Market Track社の資料を編集部がキャプチャして追加)
    https://markettrack.com/digital-shelf

    オンライン小売事業界を席巻するアマゾンには、成功のチャンスが眠っています。SEO戦略は、アマゾンのマーケットプレイス内で死活問題です。マージンが厳しいアマゾンで、有料検索広告のみを行っても効果は十分ではありません。

    消費者が「選択のパラドックス」を突きつけられている今、販売者は自然に目立つことができる戦略を立てる必要があります。アマゾンはアルゴリズムによって、SEOが強い商品を表示します。期待通りのページランキングではない場合は、アプローチ方法を変更する必要があるでしょう。そのためには、以下のベストプラクティスを参考にしてください。

    アマゾンのSEO戦略1:キーワードが鍵

    SEOで最も重要なのは、大切なキーワードを全面に出した、わかりやすいタイトルをつけることです。商品タイトルを見れば、どんな商品で、誰が生産しているかに加え、重要な特徴がわかるようにしなければいけません。

    たとえば、自然派シャンプーのブランドの16オンスのオーガニックシャンプーのタイトルは以下のようになるでしょう。

    自然派ヘアケアブランド:オーガニックシャンプー、16オンス、アルガンオイル、サルフェートフリー、高保湿

    タイトルを考える際、消費者は人間であることを忘れないようにしてください。アルゴリズムに引っかかるキーワードを含む必要がありますが、読む人が理解できなければ意味がありません。1つのタイトルに情報を詰め込みすぎると混乱を招くため、コンマや区切りを入れて読みやすくすることが大切です。

    入れたいキーワードが1つのタイトルや説明文に収まり切らない時、「Product listing」(編注:Amazonセラーセントラルの商品カテゴリ設定メニュー)のバックエンドに入れることが可能です。Seller Centralのアカウントにログインして、ターゲットオーディエンス、サブジェクトマター、検索ワードなど、5つの別々のセクションにキーワードを入力します。

    消費者には見えませんが、アルゴリズムには引っかかる可能性が高くなります。フロント画面に表示するほど重要ではないキーワードながら、商品に関連のあるキーワードを埋め込むのに重宝します。

    また、商品によっては複数の用途がある場合があります。たとえば、ベビーパウダーは洋服のシミ取りにも使えるため、バックエンドには「油性洗浄剤」や「シミ取り」などのワードを入れます。Seller Centralのそれぞれのキーワードセクションには200ワードまで入力可能なので、活用してください。

    商品のキーワードを考える際、最も重要なのは商品について誤解を与えないことです。誤解があると悪いレビューにつながるだけでなく、アマゾンでの販売を禁止される可能性もあります。「空気注入式プール用巨大おもちゃ」と記載するのであれば、本当に大きな商品である必要があるのです。

    アマゾンのSEO戦略2:充実した商品説明は長期的に有効

    商品説明を書く時は、重要度の高いものから記載しましょう。最も大切な情報は最初に入れ、強いキーワードも冒頭に持ってきます。強いキーワードが入った商品説明はアルゴリズムで引っかかりやすいですが、わかりやすさも忘れないでください。

    説明文は意味が通じなければいけません。商品の使用方法、どんな感触で、どのような働きがあるのかを説明しましょう。これらは特にアパレルやリネンなど、通常は消費者が店舗で確認する商品説明をする際に重要です。

    もう1つ重要なのは、主な特徴を記載する欄です。短く簡潔な文章の中で、商品の良さを知ってもらうチャンスです。商品説明と同様、重要度の高いものから記載しましょう。キーワードを箇条書きにして、一文を短くします。区切りは気にしなくても大丈夫ですが、読みやすい文にしてください。

    アマゾン利用者の多くがモバイルに移行していること考えると、モバイルに対応した説明や箇条書き文章が必要になるでしょう。長い説明文はモバイルでは読めないため、一番大切な情報はすべてのセクションの一番上に記載しましょう。

    アマゾンのSEO戦略3:見た目が極めて重要

    何事も見た目が重要ですが、商品のリスティングも同じです。アマゾンでは商品画像を少なくとも1枚は掲載しなくてはいけません。メインの商品写真は、アマゾンの基準に沿って、白い背景で、1000ピクセル以上の画像が求められます。

    商品掲載に必要な画像は1枚ですが、写真を複数枚掲載することで、商品の理解を深めてもらい、競合から抜きん出ることが可能です。商品の細部がわかるズーム可能な写真や、実際に商品を使用している風景の写真が効果的です。画像内で商品の大きさは80%-85%にしましょう。商品の使用方法を説明した動画も消費者にアピールするツールになります。

    アマゾンで販売する際、SEOに新しいアプローチ方法をいくつか追加すれば、競合に比べて目立つことが可能です。誤解を与えない完璧なキーワードを使い、充実した商品説明を展開し、モバイルエクスペリエンスに最適化していれば、長期的にアマゾンで大きな成功を収める可能性が高くなるのです。

    Internet RETAILER
    Internet RETAILER

    KDDIがスタートしたECモールを含む「スマートマネー構想」とは?

    6 years 10ヶ月 ago

    KDDIは、スマートフォンを軸に「預金」「決済」「投資」「ローン」「保険」などの決済・金融サービスを提供する「スマートマネー構想」に着手した。

    2019年4月1日付で決済事業や金融事業などを手がけるグループ会社を再編。じぶん銀行、KDDIフィナンシャルサービス、ウェブマネー 、KDDIアセットマネジメント、KDDI Reinsurance Corporationの5社を中間金融持株会社「auフィナンシャルホールディングス」の傘下に移管する。

    この5社に加え、KDDIグループのau損害保険とカブドットコム証券を含めた7社の社名を、2019年度中に「au」ブランドを冠した名称に統一する予定。

    KDDIは、スマートフォンを軸に「預金」「決済」「投資」「ローン」「保険」などの決済・金融サービスを提供する「スマートマネー構想」に着手
    決済事業や金融事業などを手がけるグループ会社を再編する

    リアル店舗での買い物時に利用できる決済サービス「au WALLET」を軸に通信やEC、電気、保険、預金、投資といったサービスを、スマホを中心として総合的に展開していく。

    また、「au WALLET アプリ」を4月から段階的に刷新し、スマホ決済サービス「au PAY」を利用できるようにするほか、家計診断やライフプラン診断などの機能も追加する。

    2019年夏以降、「au ID」「WALLET ポイント」「au WALLET アプリ」「au PAY」といったサービスをauの携帯電話ユーザー以外も利用できるように、対象を順次拡大するという。

    KDDIのスマートマネー構想
    スマートマネー構想

    KDDIグループは、通信サービス、コマース、金融、エネルギー、エンターテインメント、教育といった生活全般に関わるサービスを提供している。

    2008年にじぶん銀行を設立、2014年には「au ID」を軸にネットとリアルを融合する「au WALLET構想」を始動。これまで、総合ショッピングモール「Wowma!」や「auでんき」といった生活に関わるサービスも拡充している。

    スマートマネー構想のイメージ動画
    渡部 和章
    渡部 和章

    楽天の国内EC流通総額は約3.4兆円で、伸び率は11.2%【2018年度の実績まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

    6 years 10ヶ月 ago

    楽天の2018年度(2018年1~12月期)国内EC流通総額は前期比11.2%増の3兆4310億円だった。「楽天市場」を中心に2018年度の国内ECの状況をまとめてみた。

    2018年度の決算において国内流通総額の遡及修正があった。2017年度の決算説明では流通総額を3兆3912億円としていたが、2018年度の決算説明会資料では3兆862億円に遡及修正している。他社のECサイトや実店舗などで使える決済サービス「楽天ペイ」(実店舗決済とオンライン決済)の流通額を含まない数値を2018年度から適用したため。

    楽天の国内EC流通総額の推移
    国内EC流通総額の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ブランドアベニュー、ドリームビジネス、ラクー、ビューティ、マート、デリバリー、楽天ダイレクト、カーライフ、クーポン、ラクマ、楽天デリバリープレミアム、Rebates、Raxy、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

    2018年10-12月期(第4四半期)における「楽天市場」のモバイル流通総額(フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレットを含む)比率は70.2%。前年同期比で6.0ポイント上昇している。

    2018年度は四半期ベースで2ケタ成長を維持し、通期で2ケタ台の成長率を維持した。

    2018年度の国内EC流通総額の四半期ベースの推移

    • 2018年10~12月期(第4四半期) 前年同期比12.9%増の9836億円
    • 2018年7~9月期(第3四半期) 前年同期比11.3%増の8612億円
    • 2018年4~6月期(第2四半期) 前年同期比10.0%増の8113億円
    • 2018年1~3月期(第1四半期) 前年同期比10.1%増の7749億円
    楽天の国内EC流通総額の推移 国内EC流通総額の四半期ベースの推移
    国内EC流通総額の四半期ベースの推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    なお、売上高にあたる売上収益は初めて1兆円を突破。売上収益は1兆1015億円(前年比16.6%増)だった。

    楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリューは4.6兆円

    楽天エコシステム内において会員の価値を示す「メンバーシップバリュー」は2018年10-12月期(第4四半期)で4.6兆円。前年同期比で10.5%増。

    楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリュー
    楽天エコシステム(経済圏)のメンバーシップバリュー(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    楽天カード決済比率は拡大

    「楽天市場」流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大しており、2018年12月時点で59.4%まで伸びた。

    楽天カード決済比率
    楽天カード決済比率(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    重点ポイントは物流

    楽天は最後の大きな難関である物流事業に大きな力を注いでいる。それが「楽天市場」の流通拡大につながるだろう。

    決算説明会でこう話した三木谷浩史社長。楽天スーパーロジスティクスの拡大で独自の物流網を構築するとし、その一貫で外部の3PL事業者との資本提携も進めていると説明した。

    楽天は2月7日、物流支援を手がける関通と資本業務提携契約を締結したと発表。兵庫県尼崎市内にある関通の物流センターを「楽天スーパーロジスティクス」の物流拠点として3月から運営する。

    楽天独自の自社配送サービス「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率は19%まで拡大。楽天の直販のほか、「楽天市場」出店者の一部商品なども扱っている。

    「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率
    「Rakuten-EXPRESS」の人口カバー率(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    また、置き配サービス(不在時に指定の場所に届けるサービス)なども始めている。

    楽天のアセットを活用した独自の配送サービス
    楽天のアセットを活用した独自の配送サービス(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    決算説明会では1月の「新春カンファレンス」で説明した「送料無料ラインの全店舗統一」構想にも触れ、「いくら以下が送料無料になるとは言えないが、一定金額を購入した場合は送料がかからないようにする。統一的な料金を採用することが、消費者の利便性に寄与できる」(三木谷社長)と話した。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    越境ECで売れる秘訣は「商品体験」と「顧客視点のサイト構築」。その成功事例を公開

    6 years 10ヶ月 ago

    越境ECで商品を売るには、まずは現地の消費者に、商品の魅力を知ってもらうことが必要だ。そのためには、現地でどのようなプロモーションを行えば良いのだろうか。また、継続的に商品を売るための、“顧客視点”のECサイトや物流体制とは、どのようなものか。

    日本の地域食品の海外展開や物流支援などで多くの実績を持つテロワール・アンド・トラディション・ジャパンとGMOシステムコンサルティングが、海外でファンを獲得する方法や、越境ECを成功させるポイントを解説した。

    越境ECのフローに“体験”の要素を組み込む

    店舗やリアルの販促イベントなどを活用し「商品体験」を通じて顧客と接点を作る。そして、その顧客とのつながりによって最終的に収益化を行う。越境ECを成功させるには、こうしたコンセプトを持つことが重要だと考えています。(GMOシステムコンサルティング 渡邉氏)

    GMOシステムコンサルティング株式会社マーケティング部 部長 渡邉浩平氏
    GMOシステムコンサルティング株式会社マーケティング部 部長 渡邉浩平氏
    SIer、ECベンチャー、事業会社などを経てGMOシステムコンサルティングに参画。金融機関向けのソリューション営業を経験したのち、ECサイト構築のコンサルティングや提案活動、新規事業企画に従事。現在は「ecOrigins」の立ち上げからプロダクトマーケティングや事業開発を担当

    渡邉氏は、越境ECで売り上げを伸ばすには、まずは認知獲得のために「商品を体験してもらうこと」が重要だと指摘する。当然ながらECサイトを見ただけでは商品の質感や味、匂いなどを実感できない。たとえどんなに良い商品でも、海外の消費者に商品の良さが伝わらなければ、日本から商品を買ってもらうのは難しい。

    商品の魅力を知ってもらうための鍵になるのが「商品体験」の機会を作ること。体験を通じて消費者の共感を生み出し、現地での認知を広げることが、越境ECの第一歩だと考えています。(渡邉氏)

    こうした考えに基づき、GMOシステムコンサルティングは、クライアントの越境ECの事業戦略を設計する際、プロセスに「体験」の要素を組み込む。例えば、商品体験会を現地で開催して新規顧客を獲得。また、既存顧客をイベントに招待してリピート購入やインバウンド消費につなげる

    私達の考える越境ECのプロセス
サービス→体験→継続(ファン化)魅力/利点の設計
・ユーザインサイト理解
 試食会などの体験会、アンケート単品訴求のみならず面での訴求など
・ユーザ起点サービス設計(EC/物流/配送)
リレーションシップ
・プライスパッケージ
 各国のユーザ目線に立った商品品揃え(目利き)、料金設定
・コミュニケーション
 体験会開催/ユーザ会/生産者ツアー
エンゲージメント
・リピート利用
 継続割引、会員ランクなどのインセンティブ
・レコメンド
 利用状況に応じた適切なコミュニケーション
    越境ECのプロセスに「体験」の要素を組み込む

    台湾で顧客を獲得した商品体験イベントの事例

    海外で顧客を獲得するには、どのような商品体験イベントを開催すれば良いのか。商品体験イベントの具体的な方法について解説したのは、GMOシステムコンサルティングと提携し、越境EC支援サービスを共同で展開している、テロワール・アンド・トラディション・ジャパン(T&Tジャパン)の二瓶氏だ。

    T&Tジャパンは、日本全国の地域特産品や伝統食品の生産者らが、共同出資によって設立した会社。「商品の価値を伝える」ことを掲げ、ブランド管理や正しい価値訴求と顧客創造のために、国内外でさまざまな販促イベントを行っている。埼玉県越谷市に物流センターを持ち、在庫管理や出荷、365日体制での受発注にも対応。地域特産品などの海外展開支援にも多くの実績を持つという。

    株式会社テロワール・アンド・トラディション・ジャパン(T&T JAPAN) 代表取締役 二瓶 徹氏
    株式会社テロワール・アンド・トラディション・ジャパン(T&T JAPAN) 代表取締役 二瓶 徹氏
    2015年、地域伝統食品製造業者等と共同出資による法人を設立し代表に就任。生産者主体の組織が卸や商社機能をはじめ、国内外の物流のハンドリングまで持ち、直接取引を行いながら「ソーシャル・ビジネス」を展開。その他、東京家政学院大学非常勤講師、日本フードシステム学会理事、日本農業賞審査委員等を歴任

    二瓶氏は、台湾で実施した商品体験イベントを紹介した。

    そのイベントは日本の高付加価値な地域食品の認知拡大と新規顧客獲得を目的に、調理実演と試食、即売会を兼ねたもの。山椒や醤油、うどんの生産者が来場者の前で、醤油の伝統製法を説明したり、山椒の実を石臼で挽いたりして、食材の品質や物作りへのこだわりを現地の消費者に伝えた。

    搾りたての醤油を使った料理などを来場者に食べてもらい、美味しさを実感してもらう。そして、その場で商品を販売し、越境ECサイトで継続購入できることも説明した。

    二瓶氏によると、台湾の富裕層は質の高い日本食に対する関心が高く、イベントでは1セット約10,000円の干し柿が400セット以上売れたと言う。

    このイベントは、高所得者が多数加入している会員制コミュニティを対象に行った。コミュニティを運営する現地企業と提携し、会員に対するサービスの一環としてイベントの場を設けたという。

    どんなに良い商品でも、店頭に並べておくだけでは海外では売れません。年1回でもいいので、生産者が自ら現地に足を運び、商品の品質や物作りへのこだわりを、五感を通じて現地の消費者に直接伝えることが大切です。また、商品の価値に共感し、説明してくれる現地企業と提携することも必要でしょう。「体験」を通じて顧客との接点を作り、継続的な関係性の中で「そのお店で買いたい」というファンを増やすことが重要です。(二瓶氏)

    フランスで山椒の認知拡大に取り組んだ事例

    T&Tジャパンはフランスでも商品体験のプロモーションを行った。そのプロモーションは、フランスの大手経済紙が年1回、パリ市内の美術館を貸し切って開催する非公式のイベントで、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオール、エールフランスなど世界的なブランドの関係者に対し、岐阜県高山市産の山椒をはじめ、数品目をPRした。

    イベント会場では石臼を惑星に見立てたオブジェを作り、その場で山椒を石臼で挽きながら、山椒を使った軽食を提供した。「フランス人の食に対するイメージに合わせて、山椒という食材の見せ方を工夫した」(二瓶氏)。

    イベントに参加した目的は、フランスで一般には流通していない、香りが良い日本の地域食品を、まずは感度の高いインフルエンサーに知っていただくこと。しかし、世界的なブランドの関係者が集まるイベントを選んだ理由は、それだけではない。

    フランスは香水の消費が盛んな国で、香りに対する興味が強い。そのため、例えば、山椒を使った香水などができれば、現地で食材の噂が一人歩きし、商品の認知が広がっていくと考えました。その国の文化や消費スタイルに合わせて、プロモーションの場所や方法を選んでいます。(二瓶氏)

    T&Tジャパンは、フランスでも現地企業とパートナー契約を結んでいる。この事例で紹介したイベントでも、会場コストなどはすべてパートナー企業が負担しているという。

    まずは自分たちが自分たちの商品の価値を理解することが重要。理解しているようでしていないケースが多い。そうすることにより、現地のパートナー企業と価値を共有することができ、現地で効果的に消費者の嗜好に合わせたプロモーションを行うことができます。これは海外で顧客を獲得する秘訣です。(二瓶氏)

    なぜ今、越境ECなのか?

    日本から海外への越境ECの市場規模は、年々拡大している。経済産業省の調査によると、2017年時点で日本から中国への販売額は約1兆3,000億円、日本から米国への販売額は7,000億円だった。2020年には、中国と米国への販売額の合計が約3兆5,000億円程度に拡大すると予想されている。

    国内で越境ECに注目が集まる理由として、渡邉氏は、日本の生産年齢人口が減少していることなどから、内需の劇的な拡大が見込めないことに言及。海外から日本への訪日観光客が増加していることや、世界的に日本食レストランが増えていることなどを挙げ、日本の食品や製品への注目が高まっていることを指摘した。

    アジアの人口ボーナス/オーナス
生産年齢人口(15~64歳)インドネシア/インド/フィリピンはボーナス期が継続
日本のみならず、香港/タイ/中国/韓国も人口オーナス期入り
    日本の生産年齢人口動態は経済にマイナス(人口オーナス)であることが、越境ECに注目が集まる要因と渡邉氏は指摘する
    訪日外国人の増加2015年に政府目標である2,000万人を超えた
    二瓶氏は、訪日外国人の増加でインバウンド需要が拡大していることや、世界的に日本食レストランが増えていることなどを挙げ、日本の食品や製品への注目が高まっていることを指摘した

    越境ECにおける商品訴求のポイント

    二瓶氏は、さまざまな国で日本食の販売を支援してきた自身の経験を踏まえ、「越境ECで商品を売るにはマーケットに合った商品を選定した方が良いが、必ずしもそうではない」と強調する。それは、多くのメーカーはすでに商品を持っているため、プロダクトアウトで売ることになるためだ。その場合は「相手国の消費者の嗜好や関心事に合わせ、訴求方法を変えることで、同じ商品であっても多様な魅力を伝えることができる」(二瓶氏)と言う。

    越境ECにおける商品訴求や仕組み作りのポイントとして、次の4点をあげた。

    ① “面”での訴求

    単品訴求では限界がある。複数の商品を共通の価値でくくって展開することにより、訴求力が上がる。越境ECの場合はサイトで商品の物語をしっかり伝える。

    ② 数量限定とカウンティング

    例えば地域食材などは、年間を通じて一定量を供給できるわけではないが、その時しか供給できないことをネガティブに捉えるのではなく、希少性を訴求することで購買意欲を高める

    ③ シンプルな商流と物流(時間・鮮度・コスト)

    商社や代理店などの介在者をできるだけ減らす。国内では路線便や小回りの利く物流センターを活用することでコストを抑え、現地企業と直接取引し、適正価格を実現する。国や地域によって配送の事情も違うため、物が顧客にしっかり届くように、現地の物流会社をどこにするか選定することも重要。

    ④ Webとリアルの場の融合

    商品を売る上でWebだけでは限界がある。常設店がなければ、年1回程度でも相手国で顧客を対象にしたフェアを開催するなど、リアルの接点を持つことが必要。それがインバウンド需要にもつながる。

    越境ECの成功に必要なサイト構築、物流、プロモーションを一貫支援

    GMOシステムコンサルティングは、ECサイト構築やWebシステムの開発などを手掛けるシステムベンダーだ。近年はEC支援事業にも注力しており、越境ECにも対応が可能なクラウドECパッケージシステム「ecOrigins」を提供しているほか、越境ECの戦略立案やプロモーション支援なども手掛けている。

    GMOシステムコンサルティングとT&Tジャパンは共同で、越境ECのワンストップサービスを提供している。ECサイトの構築から販売戦略の立案、物流、関税や検疫、現地でのイベント開催、イベント後の顧客フォローまでワンストップで支援している。

    越境ECサービスモデル
現地リアル企画
ノウハウ、スキームの活用。商品の選定や現地イベントなどターゲット顧客の選定、イベント実施後のフォローアップなど。
ECサイト
ECサイトは各国ごとの文化、特性を意識したデザイン・販売機能をGMO-SCより提供。スモールスタートとしてLP活用したサイト
構築を実施。
T&T社による物流サービス(在庫、関税、検疫など)
シンプルな商流と物流(時間・鮮度・コスト)(介在者は少なく、路線便活用、小回りの利くセンター活用→適正価格実現)
    GMOシステムコンサルティングとT&Tジャパンが連携し、越境ECのワンストップサービスを提供

    ECパッケージシステム「ecOrigins」は、ECに必要な機能は標準機能として備わっており、個別に必要な機能はオプション機能を設定することで柔軟にカスタマイズできるという。

    システム利用料は、売上高に応じてライセンス利用料を支払う「サブスクリプションモデル」。そのため、越境ECを開始した直後など、売上高が少ない時期は費用負担が少なく、スモールスタートが可能となる。システムは拡張性があるため、事業の成長に合わせて大規模なECサイトとしても使えるという。また、クラウドインフラや決済代行サービス、オンライン広告などは、GMOインターネットグループ企業と連携してサポートする。

    越境ECプラットフォーム:ecOrigins イーシーオリジン
スモールスタート
クラウドでスケーラビリティも両立。ご提供料金もスモールスタート
スピード重視
標準機能+設定にてサイト構築可能。カスタマイズに制約なし
ワンストップサービス
インフラからアプリまでグループや他社サービスとも連携。現地プロモーション、物流/配送も
    「ecOrigins」の3つの特徴

    講演の最後、渡邉氏は「GMOシステムコンサルティングはGMOインターネットグループやT&Tジャパンと連携し、日本企業の越境ECの成功を後押しする」と強調した。

    私たちが何よりも重視しているのは、商品の価値を海外に伝え、新規顧客の獲得を支援すること。そして、売り上げを継続的に伸ばすことです。GMOインターネットグループのグループ会社やT&Tジャパンと連携し、商品の企画から物流、現地のプロモーション、販売支援まで、越境ECに必要なことを一気通貫で提供し、日本企業の越境ECの成功をサポートします。(渡邉氏)

    渡部 和章
    渡部 和章

    メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」が始動、まずは非接触決済サービス「iD」に対応

    6 years 10ヶ月 ago

    メルカリの完全子会社で金融事業を手がけるメルペイは2月13日、スマホ決済サービス「メルペイ」の提供を開始した。

    NTTドコモが運営する非接触決済サービス「iD」に対応。フリマアプリ「メルカリ」のユーザーは、「メルカリ」の売上金を使って「iD」加盟店で買い物ができるようになる。

    「メルペイ」は現在、iOSのみに対応している。「メルカリ」をiOSアプリで利用しているユーザーは、「iD」に加盟しているコンビニや飲食店、ドラッグストア、家電量販店、レジャー施設など約90万店舗において、「メルカリ」内で取引した売上金を使って決済できる。

    メルカリは2017年11月、金融関連の新規事業を行うことを目的に100%子会社のメルペイを設立した。

    メルカリの2018年6月期連結業績における流通総額は、前期比48.1%増の3704億円。2018年7-12月期(中間期決算)の流通総額は2459億円だった。

    フリマアプリ「メルカリ」を展開するメルカリの2018年6月期連結業績における流通総額
    流通総額の推移(画像はIR資料からキャプチャ)

    フリマアプリで競合する楽天の「ラクマ」は、売上金をオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」にチャージできる機能を2018年7月に開始。「ラクマ」での商品販売による売上金は「楽天キャッシュ」を通じて、「楽天市場」「楽天トラベル」といった楽天グループのサービス、楽天が提供する決済サービスの導入店(コンビニなど)などで利用できる。

    渡部 和章
    渡部 和章

    オンワードがギフトカタログの大和を買収、ECなどとのシナジーを見込む

    6 years 10ヶ月 ago

    オンワードホールディングスは2月8日、ギフト商品やギフトカタログの企画制作を手がける大和を完全子会社化すると発表した。相互の販路や経営資源を活用することで相乗効果の創出を図る。

    大和の全株式を投資ファンドのTMCAP2011投資事業有限責任組合から買い取る。取得日は3月1日の予定。取得価額は非公表。

    オンワードは大和の主要取引先である百貨店や有名ブライダル企業に対する営業活動において、大和との協力体制を構築する。

    また、オンワードグループのファッション商品を大和の販売チャネルで展開するほか、大和がオンワードのECサイトなどを活用するとしている。

    大和は1940年創業(設立は2015年)。ギフト商品やギフトカタログの企画制作、ギフト商品の管理や加工物流、出荷などを手がけている。

    2018年6月期の売上高は前期比11.6%増の156億900万円。当期純利益は同33.0%減の3億3100万円だ。

    オンワードホールディングスの2018年2月期における国内EC売上高は、前期比37.9%増の189億3700万円だった。海外事業は同22.7%増の13億3200万円。

    グループのデジタルトランスフォーメーション実現に向け、グループのEC事業やデジタルマーケティング事業を担う完全子会社「オンワードデジタルラボ」を3月1日に設立する。

    代表取締役社長には、オンワードホールディングスの村田昭彦常務が就任する予定(現職と兼任)。村田氏は2018年1月まで、アパレル企業のベイクルーズでEC統括を務めていた。

    渡部 和章
    渡部 和章

    ヤフーが平成30年7月豪雨で被災した愛媛県宇和島市を物販などで支援

    6 years 10ヶ月 ago

    ヤフーは2月12日から、愛媛県宇和島市の復興支援を開始した。宇和島市では2018年7月の豪雨により、住居や事業所の浸水や倒壊、農地の崩壊や冠水など、広範囲にわたる被害が生じた。死者13名、農業関係の被害件数は約8,000件、被害総額は約210億にのぼった。

    今回の取り組みは「エールマーケット」での特産品の販売、「災害に係る情報発信等に関する協定」の締結、「Yahoo!ネット募金」での募金開始の3つ。

    「エールマーケット」でブラッドオレンジ商品を販売

    宇和島市の主力商品は温州(うんしゅう)みかん。ポンカンや河内晩柑(かわちばんかん)の出荷量も多いが、今回販売されるのは「JAえひめ南のブラッドオレンジジュース」(税込 3,800円)、「ブラッドオレンジ “タロッコ” 5kg(税込 2,800円)」、「ブラッドオレンジ “モロ” 5kg」(税込 2,800円)の3商品。

    イタリア生まれ、愛媛育ちのブラッドオレンジを搾ったジュース
JAえひめ南のブラッドオレンジジュース 720ml×2本 愛媛県より産地直送
    「エールマーケット」は東日本大震災をきっかけに2011年12月に誕生した「復興デパートメント」が母体。東北の商品を販売していたが、2018年10月に対象地域を全国に拡大した

    宇和島市では約10年前からブラッドオレンジの出荷を始め、現在は出荷量も安定してきた。

    ブラッドオレンジはまだまだ生産量は少ないが、産地を担う若い人たちの希望の光になればと思っている。被害が多かった地域には180名の農協組合員がいるが、そのうち40名が新規就農者。この地域の被害を非常に心配したが、今回ヤフーの支援を受け、ニューフェイスのブラッドオレンジを世に送り出すことができ、感謝している。(えひめ南農業協同組合 代表理事組合長 黒田義人氏)

    宇和島のブラッドオレンジ
    ブラッドオレンジはその名の通り、血のように真っ赤な果肉が特徴。ジュースは色つきが良い「モロ」と、甘みが強い「タロッコ」という2つの品種をミックスしたもの

    2018年7月の豪雨に関連し、ヤフーではすでに3,500万円の寄付や5.9億円の募金、物品支援などを行っているが、今回のような販売支援は宇和島市が初めて。

    「災害に係る情報発信等に関する協定」の締結

    「災害に係る情報発信等に関する協定」とは、ヤフーと自治体が連携し、災害時に自治体や地域住民が必要とする情報発信を強化することを目的としたもので、すでに多くの自治体が協定を結んでいる協定締結済み自治体一覧はこちら

    「Yahoo!防災速報」アプリを通じて避難所の開設などの情報を発信できるほか、災害時にアクセスが集中することが多い自治体のサイトのキャッシュサイトをヤフーのサーバー上で表示し、アクセスを分散する。オリジナルサイトで情報が更新されると、コピー側でも情報が更新される。

    宇和島市とヤフーの連携 災害協定で災害時の情報発信を強化
    災害協定により「Yahoo!防災速報」アプリで自治体からの緊急情報を発信できるほか、キャッシュサイトの表示で自治体のサーバーダウンを抑制する

    Yahoo!ネット募金での募金開始

    「Yahoo!ネット募金」において宇和島市復興支援のための募金をあらためて開始する。宇和島市復興支援の募金は「被害額350億円を超えた宇和島の復興のため、いま、もう一度支援を届けたい」というプロジェクトで開設し、寄付金は主に被災した農家、現地で復興支援活動をするNPOなどの団体への支援に使用される予定。

    ヤフー 社会貢献事業本部長 妹尾正仁氏、宇和島市長 岡原文彰氏、えひめ南農業協同組合 代表理事組合長 黒田義人氏
    (左から)ヤフー 社会貢献事業本部長 妹尾正仁氏、宇和島市長 岡原文彰氏、えひめ南農業協同組合 代表理事組合長 黒田義人氏

    昨年7月の豪雨はかけがえのない市民の命、水、柑橘をはじめとする生業の礎を失い、希望のすべてを摘み取られるような瞬間だった。その後、国内外の多くの方々の支援をいただき、いま復興のスタートラインに立ったところ。災害の発生から7か月。まだまだスタートラインということで、今回のヤフーの支援はありがたい。復興に向けてのスタートダッシュが切れると思っている。(宇和島市長 岡原文彰氏)

    内山 美枝子
    内山 美枝子

    不良在庫64%削減も売上は右肩上がりの事例あり! ECの在庫問題を解決する「FULL KAITEN」リニューアル版を取材した

    6 years 10ヶ月 ago

    売れる商品は在庫を増やし、不良在庫や過剰在庫は早期に減らしたい」。小売企業やEC事業者が抱える在庫問題を解決するのが、人工知能(AI)搭載のクラウドサービス「FULL KAITEN(フルカイテン)」だ。もともとフルカイテン社が運営するECサイトが抱えていた不良在庫などに関する在庫問題を解決するために自社開発したシステムで、在庫問題が原因で幾度も倒産しかけた窮地を「FULL KAITEN」で脱したというエピソードもある

    在庫で悩んでいるEC事業者の手助けをしたい――。こんな思いで「FULL KAITEN」をリリースしたのは2017年11月。導入事例として、不良在庫を1年間で64%削減し、売り上げを右肩上がりで伸ばしている企業もある。「FULL KAITEN」の開発経緯、そして2019年2月に提供開始したリニューアル版(バージョン2.0)がEC事業者に提供できる価値などについて、フルカイテン社の代表・瀬川直寛氏に話を聞いた。

    在庫問題で倒産しかけた経験を生かして開発した「FULL KAITEN」

    フルカイテンは2012年の創業(当時の名称はハモンズ)から約6年間、ベビー服のEC事業を手がけていた。「FULL KAITEN」はもともと、自社のEC事業で大きな課題となっていた“在庫の適正化”を実現するため、社内で開発した在庫分析システムだった。

    瀬川社長はECサイトを運営していた当時について、「在庫管理に失敗し、キャッシュフローの悪化を何度も招いた」と振り返る。在庫管理に失敗するたびその原因を分析。在庫問題を未然に防ぐ仕組みを1つひとつ考案し、機能開発を積み重ねることで「FULL KAITEN」の原型を完成させたという。

    ECサイトを運営していたときは、3回ほど資金繰りに行き詰まって倒産しかけたことがありました。その原因はすべて、在庫管理に失敗したためです。(瀬川社長)

    フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏
    フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏

    瀬川社長が経験した1度目の倒産危機は、「取扱アイテム数を増やせば売り上げは増える」と考え、勘と自信を頼りにさまざまな商品を多めに仕入れてしまい、不良在庫が大量に発生したことが原因だった。このとき、「過剰在庫」「不良在庫」に分類された商品をリアルタイムに把握し、速やかに削減する仕組みの必要性を痛感。これが「FULL KAITEN」に搭載されている「在庫削減機能」の開発につながった。

    2度目の倒産危機の原因は、売れそうな商品を大量に仕入れたものの、計画通りに売れず、不良在庫が積み上がったこと。この経験から、在庫の適正化を実現するには、仕入れる前の販売予測が重要だと学んだ。そして、現在の「FULL KAITEN」に実装されている「仕入れ最適化機能」を開発したという。

    この仕入れ最適化機能を用いて売れ筋商品を集中的に仕入れるようになった瀬川社長は、売れ筋商品を数多く売りさばくため、送料無料化やクーポン配布などの施策を多頻度で実施。その結果、売り上げは伸びたものの粗利率が大幅に下がり資金繰りが悪化、3度目の倒産危機に直面した。この経験から、粗利を増やすことを意識して販促計画を組み立てることの必要性を痛感し、「FULL KAITEN」に実装されている「売上増加機能」を開発したという。

    瀬川社長が、自社のEC事業が抱えていた在庫問題を解決した「FULL KAITEN」の外販を始めたのは2017年末。「私たちと同じように在庫問題で悩みや課題を抱えている事業者は多いはず。そうした企業さんの力になりたい」。こうした思いを実現するため、2018年9月にベビー服のEC事業を売却。自社事業をクラウドサービス「FULL KAITEN」に一本化した。

    提供する3つの価値は「在庫削減」→「仕入れ最適化」「売上増加」の好循環

    「FULL KAITEN」はバージョンアップを重ね、AI(人工知能)搭載のクラウドサービスとして小売企業やEC事業者に利用されている。

    在庫にフォーカスしたシステムは一元管理システムや在庫管理システムがありますが、「FULL KAITEN」はそのどちらでもなく、在庫の分析・削減・適正化を支援するシステムという位置付けです。“販売予測や現在庫数などを考慮して在庫の善し悪しを分析”し、販売面と仕入れ面で素早い経営判断を下すのに役立つよう分析結果をわかりやすく可視化するのが特徴です。(瀬川社長)

    「FULL KAITEN」は、「(不良)在庫を削減する」機能だけでなく、「仕入れを最適化する」、そして「売り上げを増加させる」という、小売事業の好循環の構築をサポートする機能も持つ。

    会社単位での在庫分析に加え、倉庫単位や実店舗単位での分析(過剰在庫、不良在庫などの評価)も可能。たとえば、実店舗だと、店舗にある在庫が過剰なのか不良なのかの判断を現場で下すことはなかなか難しい。ですが「FULL KAITEN」の分析結果があれば、在庫の善し悪しがSKUレベルでわかるようになります。(瀬川社長)

    多くのネット通販企業に加え、小売り企業も関心を寄せる「在庫削減機能」の概要、その機能を活用することで導入企業が得られるメリットを瀬川社長が詳しく解説する。

    「FULL KAITEN」は2月にバージョン2.0をリリース。AIアルゴリズムの改善による予測精度の向上など、大幅な機能拡充などを行った(「FULL KAITENバージョン2.0」のイメージ動画)

    全SKUを不良在庫・過剰在庫・フル回転在庫に自動分類

    「FULL KAITEN」の特徴の第一は、すべての在庫を「不良」「過剰」「フル回転(適正)」に自動分類すること。毎日、在庫数や販売予測の結果を踏まえて在庫を分類し直している。これにより、削減すべき不良在庫や過剰在庫をSKU単位であぶり出すことが可能だ。

    適切な在庫回転率や最適な在庫の数は商品ごとに異なります。ですから、さまざまなデータと複数のアルゴリズムを使って、SKU単位で「不良」「過剰」「フル回転」のどの分類に該当するかを判定しています。これにより、どれが不良在庫なのか、どれが過剰在庫なのかが一目瞭然になりますから、在庫状況の推移を毎日見ていれば、「そろそろ、この在庫は削減しないといけない」といった経営判断を素早く正確に下すことができます。(瀬川社長)

    フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 在庫の状況を「適正」「過剰」「不良」を判定する
    在庫の状況を一覧できる画面。SKU単位で全在庫を自動分類することで、在庫の「量」だけでなく「質」も把握できる

    「不良在庫」の増加に気付く仕組み

    「FULL KAITEN」では、不良在庫・過剰在庫の推移などがグラフで表示されるため、在庫状況が「悪化しているのか」「改善しているのか」といった実態を把握しやすい。

    初めて「FULL KAITEN」の計算結果を見た導入企業の多くは、不良在庫の多さに驚きます。しかし、大事なのは計算結果をスポットで見ることではなく、毎日の時系列で追いかけること時系列で見なければ増加や減少などの傾向がわからないからです。

    そのため「FULL KAITEN」は毎日の計算結果を時系列でグラフ表示しています。グラフの動きを見ていると、「不良在庫」が増加傾向にあることをいち早く察知できます。たとえば、在庫全体の金額がそれほど変わってないのに、不良在庫の金額がどんどん増えているとしたら危険信号。倉庫の中が不良在庫ばかりになって売り上げがガタッと減る事態に陥らないよう、不良在庫の削減に手早く動かないといけません。(瀬川社長)

    フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 SKUごとに不良在庫の推移などがグラフで表示できる
    不良在庫の推移を示す画面。在庫の危険な増加傾向をいち早く察知できる

    「不良在庫」を削減する仕組み

    「不良在庫」を減らすには、その商品をセールなどで売り減らす、または売り切ることが必要になる。その際、セールでの価格設定が課題となる。

    「FULL KAITEN」は、セール対象商品をリストアップするだけでなく、売価設定をサポートする機能も搭載しているという。

    在庫削減したい商品を選択した後、売価を設定する画面に移ります。この画面では、上代や過去の最低売価、粗利率や値引率などを参照しながら売価を一括変更できます。こうして作成した商品リストをCSVでダウンロードし、ECサイトの管理画面でアップロードすれば、在庫処分のためのセール価格へと手間なく変更できます。

    「楽天市場」であればスーパーセールのタイミングに不良在庫の削減策をぶつけると大きな削減効果を得られますし、実店舗でも年に数回の大きなセールで不良在庫削減を行うと効果的です。当社のクライアント企業では、「FULL KAITEN」導入から1年も経たずに不良在庫を64%も削減した事例があります。そのクライアントは不良在庫をそれだけ削減しながらも売り上げは過去最高を更新中です。(瀬川社長)

    フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 売価設定の画面。「不良在庫」を売り切るための売価設定をサポート
    売価を設定する画面。値引や粗利の「率」または「額」を基準に売価を一括入力できる

    過剰在庫を増やさない方法と売上UPの流れを作るための考え方

    不良在庫を一時的に削減しても、また増えてしまっては真の在庫改善にはつながらない。ダイエット前の体重にリバウンドすることを避けるのと同様、不良在庫が増えない仕組みをつくるためには、「不良在庫の予備軍である過剰在庫をコントロールすることが最も大事」と瀬川社長は指摘する。

    とはいえ、どうコントロールすればよいのか。それには「過剰在庫」がどうして生まれるのかを理解する必要がある。瀬川社長によると、その発生パターンは主に3種類あるという。

    1つ目は、売れ筋商品(フル回転在庫)の売れ行きが悪くなり、過剰在庫に落ちてくるパターン2つ目は、新商品が想定したほど売れずに、在庫が積み上がって過剰在庫に分類されるパターン。そして3つ目は、不良在庫をセールなどで処分した結果、在庫ステータスが「不良」から「過剰」へと一時的にランクアップしてしまうパターンだ。

    この発生パターンに応じて、それぞれ過剰在庫を減らす方法が異なるという。

    「FULL KAITEN」は、すべての過剰在庫を発生したパターンごとに分類します。過剰在庫になる直前が「不良在庫」だった商品は、放っておくとまた不良在庫に戻ってしまう可能性が高いので、セールやイベントなどを通じて在庫を削減する継続的な取り組みが必要です。一方、過剰在庫になる直前が「売れ筋」や「新商品」だった場合には、まだ商品力がありますから、特集ページを作ったりメルマガで販促を行ったりして、販売のテコ入れを図ることが有効です。

    まだ定価で売れるポテンシャルのある商品を、セールで値引き販売してしまうのはもったいないすべての過剰在庫を一律にセールで処分するのではなく、商品ごとの事情を踏まえて打ち手を変えて、過剰在庫をコントロールすることが重要です。(瀬川社長)

    フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 過剰在庫が発生したパターンごとに分類することで、商品ごとの事情を踏まえて在庫をコントロールすることができる
    過剰在庫の推移を表すグラフ。過剰在庫が発生したパターンごとに分類することで、商品ごとの事情を踏まえて在庫をコントロールすることが可能になる

    最新バージョン「2.0」を提供開始。リニューアルした「FULL KAITEN」がこれからめざすもの

    2017年末に販売開始した「FULL KAITEN」の従前版(バージョン1.0)導入社数は、2018年末時点で23社。アパレルや雑貨、家具、インテリア、ゲームソフトなど、SKUが多い小売企業やEC企業、メーカーなどが導入している。なお、導入に適した事業規模として、月商1億以上が目安になるという。

    瀬川社長によると、「FULL KAITEN バージョン1.0」の提供を開始してから1年間は、社内の人材が限られていたこともあり、営業を本格的には実施していなかった。それでも多くの問い合わせが寄せられ、ミズノなどの大手企業から「楽天市場」の上位店舗まで、EC企業・実店舗ともに商談はスムーズに進んだという。

    小売と卸の両事業を経営している企業から、メーカー直販のような事業形態まで、すべての小売企業の在庫問題を解決することができます保有している在庫が「過剰在庫」なのか「不良在庫」なのかを毎日チェックすることが、小売事業を健全に運営するための近道です。「FULL KAITEN」は在庫を意識した経営をするために大きな力を発揮します。ちなみに、「FULL KAITEN」の契約が決まるまでの訪問回数は平均1.4回。導入は、ほぼ即決で決まることが多かったです。(瀬川社長)

    フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏
    「モノを扱うすべての企業の在庫問題を『FULL KAITEN』は解決できる」と話す瀬川社長

    フルカイテン社は2018年6月、第三者割当増資で総額1億2000万円の資金調達を行い、次期バージョンの開発を加速。そして2019年2月、機能・性能・操作性を大幅に改善するとともに、予測アルゴリズムの精度を向上させたリニューアル版(バージョン2.0)をリリース。これを機に本格的な拡販に乗り出した。

    リニューアル版「FULL KAITEN」の初期費用は50万円から。ネットショップ一元管理システムや基幹系システムなどとのデータ連携は、1~2カ月の開発期間で完了するという。月額利用料は月商に応じた従量課金制をベースとしており、月間27万円からとなっている。

    “新バージョンのリリースにあたり、機能やUIなどのプロダクト面だけでなく、カスタマーサクセス要員などサービス面でも体制を強化できました。特許出願中の在庫問題解決テクノロジーも搭載した新バージョンで、小売業界の宿命的課題でもある在庫問題に深く切り込んでいきます。(瀬川社長)

    フルカイテンが掲げるミッションは「在庫問題を解決する」こと。瀬川社長は、「FULL KAITEN」の開発・提供を通じて個別企業が抱える在庫問題の解決を追求していくその先に、根深い社会問題の解決に自社のテクノロジーが貢献している未来像をこう語る。

    在庫問題は、世界中の小売企業やメーカーが抱えている課題です。まずはその課題を、「FULL KAITEN」で解決していきたいです。そして、不要な商品をできるだけ作らない世界になるといいですね。余計な商品を作ることは、廃棄問題や生産資源である森林伐採など、さまざまな問題を引き起こします。在庫問題を解決することは、私たちの子や孫の世代に、よりよい地球を残すことにもつながるのではないかと思っています。(瀬川社長)

    【関連リンク】

    渡部 和章
    渡部 和章

    乱立する「○○Pay」。2019年1月時点の“キング オブ Pay”はこれだ!【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    6 years 10ヶ月 ago
    ネッ担まとめ

    続々登場する「なんとかPay」。お店のレジにも決済手段のロゴがありすぎて、逆にどれが使えるのかわからないほど。その中で使われるのは、ポイントが貯まるものでした。

    「○○Pay」を使う理由はポイント獲得

    QRコード決済で最も使われているのは「楽天ペイ」、次いで「PayPay」。認知度トップは「LINE Pay」 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/6200

    ファミリーマート/自社スマホ決済「ファミペイ」7月開始、1000万DL目標 | 流通ニュース
    https://www.ryutsuu.biz/it/l020152.html

    「ゆうちょPay」提供は5月から ゆうちょ口座の利用者向けに | ITmedia NEWS
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/04/news087.html

    まとめると、

    • MMD研究所の調査によると、QR決済で使われているのは「楽天ペイ」「PayPay」「LINE Pay」の順
    • 使う理由は「ポイントが貯まる」「会計が早い」「キャンペーンで気になった」など
    • 今後も「ファミペイ」「ゆうちょPay」などの登場が予定されている
    スマートフォン所有者のQRコード決済サービス利用状況(n=887)
出典:MMD研究所
    スマートフォン所有者のQRコード決済サービス利用状況(n=887)
    出典:MMD研究所

    今年4月からはKDDIのQRコード決済「au PAY」がスタート予定。また、CtoCアプリ「メルカリ(Mercari)」との連携が想定される決済サービス「メルペイ(Merpay)」のリリースも予想されます。

    「PayPay」はオンライン決済にも対応する予定で、まずは「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」に導入されます。

    「au PAY」の支払いは携帯電話料金の請求にひも付けられ、チャージなどの手間をはぶく設計になる見通し。ポイントプログラム「WALLET ポイント」との連携で、KDDIグループのECモール「Wowma!」にも好影響が出る可能性も。

    ネットショップ担当者フォーラムメルマガより

    引用文はピックアップした記事からではないですが、今後はさらに「○○Pay」が増えて、カオスな状況になりそうです。ショップ側は導入の手間と手数料に悩み、ユーザーはどれがお得なのかわからず、提供側は普及させるのが大変……と、誰もが困るこの状況。いつまで続くのでしょうか。

    関連記事

    コミュニティは育てるもの

    無印、楽天、@cosmeのマーケティング戦略から学ぶ!ファンや共感を生みだす「コミュニティ」の作り方 | GLOBIS 知見録
    https://globis.jp/article/6846

    対アマゾン時代の小売業のあり方とは?~無印・楽天・@cosmeの「リアル店舗」「EC」での愛され続けるコミュニティ作り | GLOBIS 知見録
    https://globis.jp/article/6847

    まとめると、

    • アットコスメにおけるコミュニティの特徴は「熱狂しないこと」。熱は低い方がコミュニティが長続きする
    • ぎゅっと集まって熱量が高まる場をつくり、それが解散したらまた別のメンバーで集合・解散を繰り返すと、いつの間にか信頼関係で結ばれたネットワークができていく
    • 拡大戦略をとると中身が伴わず、コアな人から離れていってしまう

    僕自身は今までのことを振り返って「ああ、俺、秀逸だったなぁ」と思うポイントがいくつかあるんですけれども(笑)、その1つに、事業計画はすべて(売上等の)数字でなくユーザーの伸びで書いていたというのがあります。「ユーザーが何人になったらこういうアクションを取る。それまでは1年でも2年でも待つ」と、明確に書いていました。結局、そこの時間を待てるかどうかが肝なのかなと、僕は思います。

    ─アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO 吉松徹郎氏

    前編からの引用ですが前編だけでも役立つ話が満載です。コミュニティは無理に作ろうとすると絶対に上手くいかないので、じわじわと育てていくしかありません。育ってからも急成長させようとするとこれまた失敗します。ずっと支えてくれるファンの人たちの集まりがコミュニティ。変にコントロールしないことが重要です。

    Amazonによる書店革命

    アマゾンの『買い切り方式』は『再販制度』廃止への礎となるのか?いやむしろ新たなビジネスモデルを! | Yahoo!ニュース 個人(神田敏晶)
    https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20190204-00113234/

    まとめると、

    • アマゾンジャパンは出版社から書籍を直接購入して販売する「買い切り」方式を年内にも試験的に始めると発表した
    • 書店が減っても新刊本が増えているのは「取次」からの「前金制度」があったため
    • Amazonの最大の強みは、売れない本を流通する必要がないこと

    『電子書籍』の登場により、誰もが書籍を販売できるという出版社となった。従来の印税10%から、Kindleの印税は70%という破格の印税の出版社の登場だ。Amazonは、『出版社』、『流通』、『書店』の機能をマルチで掛け持ちするような複合的な事業へと育った。

    印税が10%→70%とというだけで、売れる本がどこから出てくるかというのが想像できます。「でも、電子書籍だけでしょ?」と思っていると、店頭のサンプルを読んだらそのままKindleで買えたり、ちょっと高めの紙の本で買えるようになる……なんてビジネスモデルも考えられますよね。本が売れないのはAmazonに代表されるネット書店のせいだけではなく、旧来からの仕組みのせいということなんでしょう。

    EC全般

    アマゾンの処分取消訴訟 司法関係者も当惑、度重なる「閲覧制限」申請 | 通販新聞社
    https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=4510

    これは本当におかしい。何がしたいんでしょうか? こういうことがあるから不信感が芽生えてしまうわけで……。

    置き配バッグで不在時の6割が受取、配送員の96%が利用を希望【1000世帯でOKIPPAと日本郵便が実証実験】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/6205

    ドローンを使った定期配送サービスを始める楽天の挑戦 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/6206

    宅配ロッカーは効果薄なので、置き配とドローンがどうなるかがポイント。

    あなたの通販・EC業務は「改元」に対応しましたか? 【対応例&チェックリストあり】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/6188

    EC業務だけに限らない改元問題。早めに対応しましょう。

    ライトオンがゾゾ撤退へ EC事業の大半を占めるもZOZOARIGATOに反発 | WWD JAPAN
    https://www.wwdjapan.com/788339

    ZOZO比率が高いところも撤退。自社サイトで売れるようになるのはなかなか大変ですが、どうなるでしょうか?

    日本のeBay社員第一号に聞く!越境EC売れ筋商品と独自サイトの失敗しない作りかた | ECzine
    https://eczine.jp/article/detail/6365

    食べ物は難しいけど生ものではない「お菓子・スナック系」は非常によく売れるというのは面白い。

    メルカリ、上期は44億円の最終赤字 「黒字化急がず、流通額増やす」 | ITmedia
    http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1902/07/news121.html

    国内は黒字なので……ということなのでしょうか。上記のeBayの記事と関連して読んでみてください。

    今週の名言

    人気のあるうちに実力をつけてねって。人気は続かないから。

    演劇青年から声優界のレジェンドへ 神谷明が語る「アニメブーム」と後輩たちへのエール | Yahoo!ニュース
    https://news.yahoo.co.jp/feature/1219

    神谷明さんと言えばアラフォー世代の男性は毎日声を聞いていたようなイメージがありますよね。その神谷さんの言葉が身に沁みます。一瞬の人気で勘違いしないで、地道な努力を続けられる人が生き残ります。

    森野 誠之
    森野 誠之
    確認済み
    43 分 15 秒 ago
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