「モバイルファースト」という言葉を頻繁に聞くようになり、2016年9月に、モバイルの各種デバイスについてのレポートをGoogleが発表しました。全部で34ページとかなりボリュームがあり、英語版のみでの発表でしたので、ここでは内容をまとめながら日本語に翻訳してみます。
デバイスはどのように使われているか?
デバイス数の増加は人々の世界との関わり方を変えました。ユーザーが必要としているときに情報を提供できるよう、マーケッターはデバイスがどのように使われているかを理解しなければなりません。
このレポートは実際のユーザーの行動から得たデータをもとに、人々がいつ、どのように、どこでデバイスを使っているかを明らかにしています。マーケッターにとっては、ここに書かれている情報は顧客理解に役立つはずです。そして、顧客獲得のための最適なチャネルやデバイスを選ぶ手助けとなってくれるでしょう。
現代では、さまざまなデバイスが市場に多く浸透しています。中でもスマホの利用者(サンプルユーザーの80%が使用)は、タブレット(16%)やデスクトップPC(67%)の利用者数を大きく圧倒している状況です。
「モバイルファースト」な世界
サンプルユーザーのうち、約4分の1のユーザーが携帯のみで生活しています。
これはデスクトップPCしか使わない人の2倍にもあたる割合です。モバイル経由でのマーケティングをしていない場合、4分の1もの潜在的ユーザーを失っている可能性があると言っていいかもしれません。
また、1日のスマホ平均使用時間は3時間にも及びます。デスクトップPCが2時間、タブレットが75分である状況を踏まえると、スマホがいかに重要な位置を占めているかご理解いただけることでしょう。
マーケッターにとっては、適切なメッセージを適切なスクリーンに表示させるために、ユーザーが使っているデバイスを意識しなければなりません。
複数のデバイスが使われている=クロスデバイス
採取されたデータには、ユーザーはスマホやタブレット、デスクトップPCなどのデバイス間をわたり歩く傾向がありました。
20%以上のユーザーが、自宅でデスクトップPCを使いながら別のデバイスを手にしています。このようなデバイス間における流動的な動きは、マーケティングの手法に大きな影響を与えます。顧客があなたのブランドと、1種類以上のデバイスから接触を持っているということは、スクリーンを超えて同じ好印象を顧客に与えなければなりません。
コンピューターの使用時間は夜がピーク
ユーザーがいつデバイスに触れているかを理解することは、マーケティングにおいて重要な意味を持っています。データによると、スマホが1日中使われているのに対し、デスクトップPCは夜の8時が使用のピーク。また、始業時間と思われる朝の8〜9時ごろから、使用率が高まるのがデスクトップPCの特徴です。
デバイスは何に使われているか?
次に、使用目的別にデバイスの使われ方を見ていきましょう。
検索
サンプルデータでは、39%のユーザーがモバイルのみで検索しており、デスクトップPCのみで検索をする人の割合(32%)を上回っています。
とはいえ、28%の人が複数デバイスを使って検索しているため、複数デバイスに合わせた環境を整備する必要があるでしょう。
検索における各デバイスの使用状況としては、モバイルは朝から使用されている一方、デスクトップPCは始業時間と思われる朝の8~9時から使用率が高まります。また、モバイルの使用率は夕方から再び高まり、ゴールデンタイムである午後8時頃にピークを迎えている傾向が出ています。
Youtube
サンプルユーザーの42%が、Youtubeを見るのにスマホのみを使用し、その視聴時間は40分以上にも及びます。
スマホやTVなどの他のデバイスでも見られているため、Youtubeは一日中視聴されているといってもけっして過言ではないでしょう。YoutubeのTVやスマホでの視聴は午後7〜8時頃にピークを迎えている一方、デスクトップPCのピークはランチタイム。このデータから、多くの人は昼休み休憩中にYoutubeを見ていると思われます。
また、デバイスの種類によって見られている動画のカテゴリーが異なるのもポイント。デスクトップPCでは、ファイナンスや自動車といった高関与型のカテゴリーが見られている一方、モバイルではDIYやレビューといった日常的な動画が見られています。
ネットサーフィン
サンプルユーザーのほぼ全員が、1日1回はネットサーフィンをすると答えています。使用するデバイスはモバイルとデスクトップPCで、その割合はともに70%と同等です。マーケッターは、WebサイトはモバイルでもデスクトップPCでも見られていると考えた方がいいかもしれません。
また、ネットサーフィンには複数デバイスを使うのが最近の主流。サンプルでは、48%の人が2つ以上のデバイスを使用しており、コンピューターのみ(25%)とスマホのみ(25%)の割合を大きく凌駕している状況です。この複数デバイスが使われている状況を踏まえ、デバイス間をまたいで情報が共有されることがより重要になってきていると言えるでしょう。
まとめ
- 今やモバイルファーストの世界にある。ネットユーザーの4分の1以上の人がスマートフォンしか使わず、この数はコンピューターしか使わない人の2倍近くの人数にあたる。
- ユーザーは自由にデバイス間を行き来する。ネットユーザーの半数以上が複数種類のデバイスを操り、そのうちの5分の1のユーザーはコンピューターを使いながら別のデバイスも操作する。
- 当事者の所在地が、デバイスの使われ方に影響を与える。最もスマホを使われているのは家、職場、商店である。
- 検索をする人のうち、10人に4人がスマホのみで検索している。
- ネットが最も使われている情報源の1つ。ネットユーザーの半数近くが複数デバイスを使っている。
※このレポートのデータは、アメリカ在住で年齢18〜49のGoogleユーザー(11964人)から収集したものです
ジャンル別 デバイスごとの検索トレンド
デバイスによって、検索されているカテゴリーのトレンドは異なります。ここではモバイルとデスクトップPC・タブレットに分けて、よく検索されているカテゴリーを見ていきましょう。
また、全体的にモバイルでの検索数が増えているので、急成長中のモバイルトレンドもあわせてご紹介します。
※下記比率はすべて前年比です。
美容、パーソナルケア
- モバイルにおける検索量:+30%
- モバイルの人気カテゴリー:ネイルケア、ボディーアート(タトゥー等)、ヘアケアー
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:ファッション、アンチエイジング、スパ
- 急成長のモバイルトレンド:化粧方法や化粧品(+50%)、香水等の芳香性商品(+40%)、スキンケア(+35%)
アパレル
- モバイルにおける検索量:+40%
- モバイルの人気カテゴリー:ドレスコーデ、ベビー・子供服、クリーニング(ラウンドリー情報)
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:オーダーメイド服(スーツ等)、特大サイズ服、スーツ・ビジネス服
- 急成長のモバイルトレンド:小さいサイズの服(+80%)、コート(+55%)、寝巻き(+50%)
自動車
- モバイルにおける検索量:+30%
- モバイルの人気カテゴリー:ステーションワゴン、ピックアップトラック、スポーツカー
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:キャンパー・RV、ハイブリッド等の代替燃料自動車、マイクロカー
- 急成長中のモバイルトレンド:ハイブリッド等の代替燃料自動車(+55%)、キャンパー・RV(+45%)、バン・ミニバン(+40%)
電化製品
- モバイルにおける検索量:+40%
- モバイルの人気カテゴリー:カースピーカー、自宅用オーディオイコライザ、ポータブルDVDプレーヤー
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:DVR、HDプレーヤー・レコーダー、ホームシアター・プレジェクター
- 急成長中のモバイルトレンド:自宅用オーディオイコライザ(+80%)DVDプレーヤー(+60%)GPSデバイス(+50%)
ファイナンス
- モバイルにおける検索量:+35%
- モバイルの人気カテゴリー:ATM(現在地付近のATMなど)、銀行情報(現在地付近の銀行など)
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:会計監査、助成金など経済的支援、ファイナンシャルプランニング・マネジメント
- 急成長中のモバイルテーマ:投資(+50%)ATM(+50%)ビジネスファイナンス(+35%)
食品飲料
- モバイルにおける検索量:+30%
- モバイルの人気カテゴリー:宅配ピザ、ファーストフートレストラン、ジュース(ジュースバーなど)
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:レストラン予約、オンライン食料品宅配サービス、加工調理済み食品
- 急成長中のモバイルトレンドのトレンド:加工調理済み食品(+55%)レストラン予約(+55%)オンライン食料品宅配サービス(+50%)
ホーム、ガーデニング
- モバイルにおける検索量:+45%
- モバイルの人気カテゴリー:洗濯方法(シャーペンの汚れの落とし方など)、まくら、子供部屋用家具
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:常備薬戸棚、マットレス、食器洗浄機
- 急成長中のモバイルトレンド:クッション(+85%)キッチン収納(+85%)コーヒーテーブルなどの小卓(+80%)
メディア、エンターテイメント
- モバイルにおける検索量:+20%
- モバイルの人気カテゴリー:映画チケット、ラテン音楽、DVD・ビデオレンタル
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:映画関連情報、オンラインビデオ、ブルーレイディスク
- 急成長中のモバイルトレンド:コミック(+55%)SF・ファンタジー映画(+45%)スポーツスコアや統計(+50%)
旅行(+25%)
- モバイルにおける検索量:+25%
- モバイルの人気カテゴリー:タクシー、目的地探索(付近の娯楽情報)、ディナー
- コンピューター、タブレットの人気カテゴリー:旅行保険、キャンプ、小旅行
- 急成長中のモバイルトレンド:旅行保険(+55%)キャンプ(+45%)航空情報(+40%)
Googeが発表している原文はこちらです
https://storage.googleapis.com/think/docs/twg-how-people-use-their-devices-2016.pdf
さいごに
モバイルファーストを考えるきっかけになり得る、人々とデバイスの関わり方のレポートでした。これを元にご自身のサイトではどのような対策をするのがよいでしょうか。スマホ対応はもちろん、検索対策だけでなく、メルマガなど販促施策にも活用できそうです。
「ECコンサルコラムサイト「ECコンサル」」掲載のオリジナル版はこちら:
デバイスの使われ方とマーケッターが知るべき変化-How People Use Their Devices日本語翻訳版(2016年9月発表)(2016/11/12)
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:デバイスの使われ方とマーケッターが知るべき変化-How People Use Their Devices日本語翻訳版 | アラタナECコンサルがお伝えするECビジネスの課題を解決するヒント
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