スマホのみ利用が1.6倍、スマホのみ検索キーワードが7倍、ヤフーの調査にみる検索市場の将来
本誌では、これまでスマホやタブレットの普及による「ユーザーのマルチデバイス化」について何度も取り上げてきた。これからはWebサイトの対応はもちろん、広告による集客施策もマルチデバイスを意識しなければならない。Web担当者に向けてそう伝えてきた。
この主張はいまも変わらないが、ここへ来て無視できないレベルに急拡大している傾向が明らかになった。それが、スマホのみしか利用しないユーザーの存在だ。
今回は、Yahoo! JAPANの検索利用データから、この「スマホにおける検索行動の変化」の傾向について検証する。
※各項目のリンクをクリックすると、調査結果データと解説にジャンプ。
- 1:ユーザー1人あたりのデバイス別平均検索数
- 20~30代ではスマホの検索がPCを上回る。
- 2:ユーザー1人あたりのスマホ平均検索数
- 若年層の検索数が大きく伸長。
- 3:地域別ユーザー1人あたりのスマホ平均検索数
- 平均検索数については地域格差は小さい。
- 4:マルチデバイス化による検索数の増大
- マルチデバイスユーザーのデバイス全体の合計検索数が増加。
- 5:PCとスマホの同時利用傾向
- スマホのみを利用するユーザーが拡大。
- 6:デバイス別検索ワードの重複率
- スマホのみで検索されるワードが急増。
- 7:性年代別スマホのみ利用ユーザー数・比率
- 女性若年層のスマホのみ利用は4割を超える。
- まとめ
- マルチデバイス化とともにスマホのみユーザーの存在についても意識が必要。
20~30代ではスマホの検索がPCを上回る
ユーザー1人あたりのデバイス別平均検索数を年代別に見ると、20~30代では男女ともにPCよりもスマホでの検索数が上回っている。
若年層の検索数が大きく伸長
2013年11月と2014年11月のユーザー1人あたりのデバイス別平均検索数を年代別に比較してみると、すべての年代でスマホでの検索数は上昇している。
特に20~30代の若年層では、伸び幅が大きい。
平均検索数については地域格差は小さい
地域別にユーザー1人あたりの月間平均検索数(東京を1として基準にした際の指数表示)を見ると、地域差はほとんどない。つまり、地方でもスマホを持っている人は、スマホでの検索行動をしているといえる。
マルチデバイスユーザーのデバイス全体の合計検索数が増加
2013年11月と2014年11月の検索数の変化について、以下の2つのパターンで比較を行った。
- ユーザーA: 2013年、2014年ともにPCのみを利用していたグループ
- ユーザーB: 2013年はPCのみ、2014年は複数のデバイスを利用していたグループ
ユーザーAの検索数は、2013年、2014年ともに同程度。ユーザーBについては2点ポイントとして挙げることができる。
1つ目は、2013年時点でユーザーAよりも検索を頻繁に行っていたユーザーであること。もともとPCでの検索を頻繁に行っていたユーザーが複数のデバイスで検索するようになっている。
2つ目は、2014年で複数のデバイスを利用するようになってPCでの検索数は減ったが、スマホやタブレットでの検索数が増えたため、検索数の合計は増加したこと。ユーザーBについて、2014年時点の検索行動のみをユーザーAと比較するとPCでの検索数が変わらずにスマホやタブレッドでの検索数が増えるように見えるが、2013年からの時系列で比較するとPCでの検索数は減り、スマホやタブレットの検索数が増え、合計が増加している。
スマホのみを利用するユーザーが拡大
2013年3月と2014年3月のPCとスマホの同時利用傾向を比較すると、PCだけでなくスマホやタブレットも併用するマルチデバイスユーザーの数は、1.2倍に増加している。
さらに注目すべきは、スマホのみを利用するユーザーは、1.6倍とそれ以上の伸びを見せている。
スマホのみで検索されるワードが急増
2012年と2014年のデバイス別検索ワードの重複率を比較すると、PCのみで検索されるワードは半減、PCとスマホで検索されるワードは3倍に増加、スマホのみで検索されるワードは7倍に増加している。
女性若年層のスマホのみ利用は4割を超える
性年代別スマホのみ利用ユーザー数・比率を見ると、絶対数は30~40代が高いが、若年層でスマホのみを利用する割合は高い。性別で比較した場合、スマホのみ利用の割合は女性のほうが男性よりも高い。
【まとめ】マルチデバイス化とともに“スマホのみユーザー”の存在についても意識が必要
マルチデバイス化が進む一方、デバイスの利用傾向についても大きな変化が起こっている。ユーザーのマルチデバイス化に合わせて1人の人に複数のデバイスで接触し、フリークエンシーをかさねることが重要だといわれてきた。今後は、調査結果5と6で示したように、大幅に増大しているスマホのみ利用ユーザー、スマホのみで検索されるワードについても強く意識しておいたほうがよいだろう。
ユーザーの検索体験は、一歩先に市場が動いているといってもよいかもしれない。
PCなど他デバイスは利用せずにスマホのみを利用するユーザーとどのように接点を持つかという視点では、これまで以上にスマホが利用される状況を考える必要がある。そのようなユーザーの利用シーン、利用場所や時間帯のようなスマホならではの要素を考慮した施策、しかけ作りが重要になってくるだろう。
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