45%の企業が生成AIを利用。電子メールや資料作成など日常業では80%超が効果を認識【JIPDEC/ITR調べ】

リスクは「機密情報の漏えい」と「ハルシネーション」。倫理的問題も。

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は、「企業IT利活用動向」に関する調査結果を発表した。従業員数50名以上の国内企業の役職者1,110人が回答している。

DXの取り組み内容、ランサムウェアの感染経験有無などについても質問

まず「生成AIの利用状況」を聞くと、「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」29.1%で、合計45.0%の企業がすでに生成AIを利用していた。「一部のプロジェクトやチームで試験的に利用され、効果を検証している」26.3%もあるため、今後も利用拡大する見込みだ。

あわせて生成AIの利用企業に「生成AIの活用効果」を聞くと、「日常業務の効率化」で「非常に効果が出ている」45.2%、「ある程度効果が出ている」38.8%と回答しており、8割超が電子メール文や資料作成、データ入力、調査などの日常業務で生成AIの活用を実感していた。「分析・レポート作成」79.6%がそれに次いで多く、「文章の要約・翻訳」「会議の効率化」「マーケティング」などでも一定の効果が見られる。

業務における生成AIの活用効果

一方で「生成AI利用のリスク(不安や懸念点)」を聞くと、利用企業では「社内の機密情報(個人情報含む)が生成AIに入力され、それが外部に漏えいする」59.9%が最多。また特定部門で利用している企業では「生成AIが出力した偽情報や誤った内容を信じて業務に使用する」59.1%で、いわゆるハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)に対する懸念が大きかった。

生成AIの利用におけるセキュリティ/プライバシー上の懸念点

次にDX(デジタルトランスフォーメーション)を実践している企業に対して、具体的な取り組み内容とその成果を聞くと、社内の業務や働き方に関する「内向きのDX」で最も取り組みが進んでいるのは「業務のデジタル化・自動化」52.1%が最多。以下「ワークスタイルの変革」36.3%、「意思決定の迅速化・高度化」33.3%が続く。

顧客向けの新たな製品やサービス、マーケティングなど「外向きのDX」では、「顧客体験や顧客接点のデジタル化」30.9%、「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」29.4%が上位だ。

DXの取り組み内容と成果の状況

また、「ランサムウェアに感染したことがあるか」を聞くと、全体の48%が該当。侵入経路については、「メールやその添付ファイル」28.3%、「VPNやネットワーク機器の脆弱性」20.8%、「リモートデスクトッププロトコルの悪用」19.9%が上位だった。技術的対策はもちろん、従業員へのセキュリティ教育なども継続的に必要と推察される。なおシステムやデータを復旧できなかった企業は25.9%だった。

ランサムウェアの侵入経路

調査概要

  • 【調査対象】従業員数50名以上の国内企業に勤務しIT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者
  • 【調査方法】ITRの独自パネルに対するWebアンケート形式
  • 【調査時期】2025年1月17日~24日
  • 【有効回答数】1,110人(1社1名)
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