ジェンダー問題への取り組みにおいて、男女同一の採用基準・賃金や育児休暇は増加したが、管理職になる機会は減少か【IBM調べ】
IBM Japanは、IBM Institute for Business Value(IBV)による調査結果として、「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 - 善意は必要だが十分ではない(英文:Women, leadership, and missed opportunities)」を発表した。3月に米IBMが発表した内容を改めて紹介するレポートとなる。
この調査、初めて女性のリーダーシップについて調べた調査として2019年よりスタートし、今回は企業の経営層・管理職・プロフェッショナル2,600名以上から、ジェンダー・インクルージョン(性差の受容)やジェンダー・エクイティ(性差の平等)について回答を得ている。
経営層を担う女性管理職、2019年と比べほぼすべての役職で減少
それによると、前回調査(2019年)と比較して、ジェンダー・フリーの採用選考や女性の育児休業など「ジェンダー・エクイティー」「ジェンダー・インクルージョン」の向上を図るためのプログラムを、多くの企業が拡大していた。具体的には「男女を区別しない採用基準」「女性の育児休暇」「男女同一賃金」といった項目が10ポイント前後増加している。
一方で、経営層を担う女性管理職のパイプラインは、2019年と比べほぼすべての役職で減少していた。
「女性管理職が増えない理由」としては、以下の5つが「思い込み」としてあげられている。男性は「従業員は男性の下で働くことを好む」、女性は「女性はリーダーシップを発揮したがらない」という思い込みが多いようだ。
本レポートでは、ジェンダー・インクルージョンが財務業績の推進要因と考え行動する「先駆的企業(First Movers)」を特定している。先駆的企業は、好調な財務業績(今回の調査で他の組織が報告した平均と比較して、平均で61%も高い収益増加率)に加えて、より強固なイノベーションと、より高い顧客および従業員満足度を達成しており、回答者グループの11%を占めていたという。
先駆的企業は必ず、「女性のキャリア・アップをビジネス上の最優先事項10項目の1つとして挙げている」「ジェンダー・インクルージョンを業績向上の原動力と考えている」「行動意欲が高く、ジェンダー・エクイティーを実現するために企業は変化し続ける必要があると考えている」という特徴があった。またそしてこうした先駆的企業では、経営層に占める女性の割合がその他企業を上回っている傾向が見られた。
調査概要
- 【調査対象】9地域・10業界の企業の経営層、中間管理職、プロフェッショナルの男女(主要な429社からは前回と共通
- 【調査方法】アンケートに加え、女性やジェンダー・ダイバーシティーを推進する組織のメンバーから合計3,100名が参画して、このトピックに関する経験や意見を検討
- 【調査期間】2020年11月~2021年1月
- 【有効回答数】2,687人
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