中小企業のIT活用、レベルごとに異なる課題。「人材」の次に「コスト」が問題に【東京商工会議所調べ】

経済産業省が策定した「攻めのIT活用指針」をベースに、中小企業のIT活用状況を分析。

東京商工会議所は、中小企業のIT活用の実態を把握するために「IT活用実態調査」を実施した。東京23区内事業者1,259社が回答している。

この調査では、経済産業省が策定した「攻めのIT活用指針」を参考に、IT活用状況を以下の4レベルに分類している。

レベル1:口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い。
レベル2:紙や口頭でのやり取りをITに置き換えている。
レベル3:ITを活用して社内業務を効率化している。
レベル4:ITを差別化や競争力強化に積極的に活用している。

IT活用の目的・きっかけは「業務効率化」、改善活動の積み重ねが重要

まず「自社のIT活用の状況」を聞くと、もっとも対応度が低い「レベル1」が22.7%で、「レベル2」22.6%、「レベル3」44.2%、「レベル4」6.1%となった(無回答4.3%)。これを従業員規模別に見ると、「5人以下」の企業の場合、レベル1+レベル2の合計は51.9%と全体平均より多い一方、レベル4も9.2%と全体平均より多く、従業員規模による差はないと考えられる。

トップダウンにより積極的に活用できているケースも多いと考えられるが、経営者・従業員の年齢で見ると、やはり若い企業ほど、ITを活用している傾向が見てとれる。

なお「経営者のSNS活用状況」を見ると、「経営者みずから投稿し、他人の投稿も見ている」とした企業は、IT活用レベル3~4の割合が61.1%と高かった。これが、「自ら投稿のみしている」「他人の投稿を見ている」「活用していない」だと、4割~5割台まで低下する。やはり経営者自身のIT活用が、企業としてのレベルにも影響している面があるかもしれない。

IT活用の目的・きっかけ

そして「IT活用の目的・きっかけ」だが、IT活用状況レベルにかかわらず「業務効率化」が圧倒的に多い。相対的な差で見ると、「顧客満足度向上」「新商品・新サービス開発」などは、高レベルの企業ほど重視していることも明らかとなった。

「ITの定着に向けた取り組み」では、すべてのレベルで「日常的な改善活動」が最多。相対的な差では、「IT活用の継続的な見直し」「IT活用に関する日常的な情報収集」を、高レベルの企業ほど重視していた。

ITの定着に向けた取り組み

なお今後の課題では、レベル1・2で「IT導入の旗振り役が務まるような人材がいない」、レベル3で「コストが負担できない」、レベル4では「特になし」と、レベルに応じて大きく分かれる結果となっている。

調査概要

  • 【調査対象】東京23区内事業者10,000社
  • 【調査方法】アンケート調査(郵送への返信、メールによるWebフォームへの回答)
  • 【調査期間】2020年10月15日~30日
  • 【有効回答数】1,259社(回答率12.6%)
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