広告代理店の「アドベリ」認知・対策実施率、広告主よりも低いことが鮮明に【モメンタム調べ】

広告代理店の「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」の対策実施率は35%前後。

Momentum(モメンタム)は、インターネット広告代理店(エージェンシー)を対象とした「アドベリフィケーション意識調査2020」の結果を発表した。モメンタムでは、広告主(アドバタイザー)を対象とした調査を2018年、2020年に実施しており、結果の比較を行っている。

「アドベリフィケーション」とは、アドフラウド(広告費用を騙し取る不正広告)、ブランドセーフティ(不適当な掲載場所に広告表示されることによるブランド毀損)、ビューアビリティ(実際に視認できる状態にあった広告比率)に配慮した、“不適切な広告配信を防ぐための広告価値毀損測定の仕組み”を指す。

広告代理店の「アドベリ」対策、実施率は35%前後

まず「アドベリフィケーション」(アドベリ)、およびアドベリフィケーションを構成する「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」という4つの単語について認知を聞くと、エージェンシーの認知率は「ブランドセーフティ」がもっとも高く、53.3%(名称も内容も知っている+名称は知っているが内容は知らないの合計)。逆に「アドベリフィケーション」は36.6%に留まった。

アドバタイザーと比較すると、エージェンシーは全キーワードとも認知率が下回っている。

 
 

実際の「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」施策の実施率(対策をとっている+対策をとっているが今後はとりたくないの合計)を見ると、どの施策も実施率は35%前後だった。実施率においてもアドバタイザーのほうが高い。広告主側はアドベリを気にしているが、広告代理店側はまだまだ相対的に意識が低いと言える。

 
 

売上高の規模別では、大規模事業者ほど認知は高いが実施率は必ずしも正比例しない

これを、売上50億円未満の「小規模」、50億円以上200億円未満の「中規模」、200億円以上の「大規模」と代理店規模別に3つに分け、それぞれで認知率・実施率を比較すると、キーワードの認知率は、売り上げ規模が大きいほど高い。大規模事業者は、各キーワードの内容についても約5割が把握しているが、小規模事業社は8割~9割が内容や単語そのものを認知していなかった。

 

対策実施率も代理店規模にほぼ比例するが、「対策をとっていないが、今後対策をとっていきたい」層は、小規模事業者が20%前後でもっとも高く、中規模・大規模事業者は約10%以下だった。アドフラウド対策、ビューアビリティ対策だと、中規模事業者が「わからない」「今後も対策をとりたいと思わない」の合計がもっとも高いなど、ブレが見られた。

 

アドベリ対策に取り組んだきっかけを聞くと、「アドフラウドやブランド毀損が問題になっているから」がもっとも多いが、大規模事業社では60%を超える一方、それ以外の規模の事業社は約40%と低い。また「取引上で対策をとる必要が生じた」が規模の大小に限らず、約30%~40%と上位だ。

 

逆にアドベリフィケーションに関する対策を行っていないエージェンシーに対して、今まで対策をとっていない理由を聞くと、小規模の代理店では「このキーワードを知らなかったから」が圧倒的に多く40.1%、中規模では「対策方法が分からないから」35.9%が最多だった。「社内で問題になった(議題にあがった)ことがなかったから」「予算がないから」といった声もあるが、大規模の代理店で、これらの理由をあげた会社はゼロであり、アドベリへの危機感に大きなギャップがあると思われる。

 

調査概要

  • 【調査対象】国内のインターネット広告代理店事業の関係者
  • 【調査方法】アドベリフィケーションに関する認知度や対策状況についてマクロミルが調査を実施
  • 【調査期間】2020年6月8日~10日
  • 【有効回答数】257
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