電通デジタルコラム特選記事

ウェブアクセシビリティについて、多く寄せられる質問にまとめて答えます!【後編】

2024年4月1日の改正障害者差別解消法により、ウェブアクセシビリティに関する関心が高まっています。取り組み方を説明します。
ウェブアクセシビリティについて、多く寄せられる質問にまとめて答えます!後編

2024年4月1日の改正障害者差別解消法の施行を前に、ウェブアクセシビリティに関する関心が高まっています。電通デジタルにも多くの質問や問い合わせが寄せられています。本記事では、インフォアクシア 代表 植木真氏と電通デジタル 千葉順子が、これまでに多く寄せられた質問に答えます。後編は、ウェブアクセシビリティの取り組み方について説明します。

電通デジタルコラム特選記事

ウェブアクセシビリティについて、多く寄せられる質問にまとめて答えます!【前編】

2024年4月1日に施行される改正障害者差別解消法の概要と、ウェブアクセシビリティのガイドラインについて説明します。
電通デジタル4/9 9:305100

Q1:ウェブアクセシビリティは一度確保したらそれで大丈夫でしょうか?

ウェブアクセシビリティはセキュリティーやプライバシーと同じで、ウェブサイトを提供し、コンテンツを更新し続けている限り永遠に続く課題であり、問われる品質ですので、「一度対処したら終わり」というものではありません。

Q2:ウェブサイト内の全ページでガイドラインに準拠しないといけませんか?

もちろんウェブサイト内の全ページでJIS規格やWCAGに準拠するのが理想ですが、数千ページ、数万ページあるようなウェブサイトの場合、全ページで準拠するのは現実的ではありません。

アクセシビリティは「0か100か」ではありません。まずできるところから始めて、少しでも多くのページのアクセシビリティを高めていく、そのウェブサイトを使える人を増やしていくということが望ましいです。

世界を見渡しても、数千ページ、数万ページの大規模なウェブサイトで、全ページ100点満点のアクセシビリティを確保できている企業は見たことがありません。

全ページ準拠を目指しつつも、まずは使えるお客様を増やす、機会損失をなくす、ビジネスチャンスを増やしていくという観点から、優先順位をつけて実施していくことが現実的です。

Q3:ページに優先順位をつけて取り組む場合、ページビュー数が多いページから始めた方が良いのでしょうか?

優先順位が高いのは、ウェブサイトの目標を達成する上で重要なページです。ショッピングサイトであれば、ショッピングカート、支払い関連ページなどは重要度が高いでしょうし、その前段階の商品情報検索や商品詳細ページなども重要なはずです。

ウェブサイトごとにビジネスのゴールを設定して運用しているはずですから、そのゴールを達成するために重要なページに優先的に取り組むとよいのではないでしょうか。

また、アクセシビリティに取り組んでいくのであれば、「ウェブアクセシビリティ方針」ページを用意して、ユーザーが困りごとを報告したり、不具合を指摘したりできるフォームにリンクしておくとよいと思います。

Q4:ウェブアクセシビリティの状態を自動で診断してくれるツールはありますか?

無料で手軽にチェックできるツールはあります。ただ、ツールで自動的にチェックできる項目は、全体の20~30%ぐらいしかありません。

仮にチェックツールで100点満点だったとしても、残りの70~80%は人間が目視したり、支援ツールを使ったりしてチェックする必要があります。その結果として、多くの問題点が見つかることもよくあります。

そうした点に注意した上で、まずはできることから始めるという意味では、チェックツールでエラーが出ない状態を最初の目標にするというアプローチは十分にありです。

Q5:ウェブアクセシビリティの審査や認証を行う公的な機関や組織はありますか?

JISについては第三者機関が認証を行う規格もありますが、JIS X 8341-3はそのような規格ではないので、特定の認証機関はありません。WCAGやISOについても同様です。

WCAGやJIS X 8341-3の実装方法、達成基準を理解している人であれば、企業のウェブ担当者自身や、制作・運用を担当している制作会社が審査(診断)を行ってもかまいません。

もし第三者の目で検査してもらいたい場合は、そうしたサービスを提供している専門の事業者に依頼してもよいでしょう。電通デジタルでも、審査(診断)サービスを提供しておりますので、ぜひご相談ください。

Q6:PDFファイルや動画など、どうしても対応できないものがあるのですが、どうしたらいいですか?

いずれの場合も、どうしても対応できない場合は、方針や試験においては対象外扱いにするという選択肢もあります。しかし、完璧でなくてもよいので、出来るかぎりアクセシビリティを高める工夫をすることをお勧めします。

PDFファイルにもいろいろな種類があります。Wordなどで作ったシンプルなテキストメインのPDFファイルであれば、見出しのタグ付けをするなどウェブページと同じ要領でアクセシブルにすることはできます。

動画の提供にはYouTubeを利用する企業が多いと思いますが、動画をアップロードするだけで、音声認識技術を使って自動的に字幕をつけてくれる機能があります。自動的に付与される字幕は、日本語でもかなり精度が高く、漢字や固有名詞などを微修正するだけできちんとした字幕が用意できますので、ぜひ取り組んでほしいと思います。

Q7:ウェブアクセシビリティ確保ができていないと何か罰則がありますか?

日本国内では、アクセシビリティに問題があるからというだけで、罰則はありません。

例えば、アメリカでは近年、年間で4,000件を超える提訴が起こっていて、企業が賠償金や和解金の支払いを命じられるケースも出てきていますが、日本国内に関しては、障害者差別解消法が施行されたことで、企業が提訴されたという事案は聞いたことがありません。

海外諸国では、企業にもウェブサイトのアクセシビリティ確保を求める法律が整備されつつありますので、グローバル企業の場合はビジネスを展開している国や地域の法律などによる要求事項を確認しておくことをお勧めします。

Q8:AIが進歩すれば、ウェブアクセシビリティをすべてAIが自動で確保してくれる可能性はありますか?

その可能性は十分ありますが、現在、AIが人間の代わりにウェブサイトのアクセシビリティ確保をすべて行うことはできません。AIが進歩するためには、現在のウェブサイトをクロールして、情報を取得し、解釈できるようにしておく必要があるでしょう。それはすなわち、アクセシビリティを確保するということです。アクセシビリティを高めたウェブサイトが増えることで、AIの進歩も加速するかもしれません。

Q9:ウェブアクセシビリティ方針を公開したいのですが、試験結果も一緒に公開しないといけませんか?

ウェブアクセシビリティ方針と試験結果はまったく別のものです。同時に公開する必要はありません。

ウェブアクセシビリティ方針とは、「私たちのウェブサイトは、このガイドラインのこのレベルで準拠すべく、アクセシビリティを高めることに取り組んでいます」という目標であり、意思表明、宣言のようなものです。現状どれぐらい準拠できているかは関係ありません。

一方で試験結果は、その時点でどれぐらいのページが、どのレベルで準拠できているかを客観的に示すデータです。完全に準拠していなくても、一部しか準拠できていなくても、公表することができます。

同じページを対象にして定期的に試験を行ったり、対象ページを段階的に追加していったりするなどして、新しい試験結果を追加して公表していくことができれば、継続的に取り組んでいるという企業姿勢を示すことにもつながるでしょう。

 

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B2B / LP / アクセシビリティ / アップロード / クロール / タグ / ページビュー / リンク
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