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Figma×Googleが、デザイン人材育成をサポート! 日本の小中高の学校に教育プログラムを無償提供

デジタル人材育成の裾野を広げていくFigma Japanを取材。学校に無償提供するねらいとは? そして大人は今、何をすればいいのか?

デザインプラットフォームのFigma(フィグマ)は9月29日、Google for Education向けにFigmaが提供する教育プログラムを、日本国内の小中高の学校へ展開することを発表した。今後はGoogleの管理コンソールを使用してFigmaエンタープライズのライセンスを無料で導入、管理できるようになる。

学校に無償提供し、デジタル人材育成の裾野を広げていくFigma Japanにねらいを聞いた。

(左から)Figma Japan カントリーマネージャー 川延浩彰氏、教育機関プログラム・日本担当 石川綾氏、デザイナーアドボケイト Corey Lee (コーリー・リー)氏

小中高で使われているChromebookからFigmaに無償アクセス

文部科学省では2019年から「GIGAスクール構想」に基づき、高速ネットワーク接続が可能なデバイスを生徒一人ひとりに供与する取り組みを始めている。小中学校で使われるデバイスの4割がGoogleのChromeOSであるという。

学校で支給されたChromebookからFigmaを使う子どもたち(提供:Figma Japan)

数年前までデザインツールといえば、高額なソフトウェアを個々のデバイスにインストールし、他の人にシェアするときもダウンロードや送信の手間がかかるのが一般的だった。その状況を一変させたのが、Figmaをはじめとする「クラウドでの共同作業」を可能にしたデザインツールだ。

学校での無償提供拡大を決めた背景について、川延氏は「教育格差がなく、デジタルスキルを伸ばせるのもメリットの一つ」と語る。

子どもたちが学校でFigmaを通じてクリエイティブな発想を形にすることができれば、Figmaのビジョンである『すべての人がデザインにアクセスできるようにする』がより実現に近づきます。

若年層からクリエイティブなツールを使ってもらうことにより、将来の日本経済を支えるスターが育っていくのを、陰ながらお手伝いをしたいですね(川延氏)

Figmaの本国・アメリカでは2022年から同様の教育プログラムが無償提供され、すでに85の学区で数万人の子どもたちが活用している。ブラウザ上で共同編集可能な「Figma」のほか、ホワイトボード機能を備えた「FigJam」は、授業計画からグループ・プロジェクト、学習ガイドにいたるまで、教師と生徒が独自の学習体験を共同で作り上げる場になっているという。

Figmaを活用して子どもが作ったチェスゲームアプリのプロトタイプ

日本への展開について、GoogleのChromeOS EDU & Family担当グループプロダクトマネージャーAndy Russell(アンディ・ラッセル)氏は、次のコメントを出した。

デザインは、デジタル化が進む今日の世界において、基礎となるスキルです。Figmaのウェブベースのデザインツールを教室に導入することで、私たちは、新しい世代の創造性、共同作業、そして機会を促進するお手伝いをしています。

Figmaはパワフルでありながら、クラス全員にとって親しみやすいツールです。私たちは、このプログラムを拡大し、学校や家庭で Chromebook を使っている日本の児童・生徒たちの手に届けることができることをとてもエキサイティングに感じています(ラッセル氏)

巨大なホワイトボードの上でチームワークを楽しむ授業も

2023年4月からパイロット版を導入し、すでに授業で活用している印西市立原山小学校では、美術だけでなく理科、国語、道徳の授業などでFigmaを活用している。同校の松本博幸校長は「教師はFigmaを使うことで、児童からの意見や学習成果をこれまでよりも集めやすくなった」という。

Figma活用のイメージ

日本の教育プログラムを担当しているFigmaの石川氏は授業の様子をこのように話す。

たとえば課題研究でのブレインストーミングでは、Figmaが用意したテンプレートを使って、一人ひとりの意見を出し合い、関連情報や参考文献をまとめ、最後にプレゼンするまでのチームワークを画面上で体験できます。

40人が同じ画面にアクセスしているため、違う班の作業状況も見ることができ、先生も楽しい、生徒も楽しいという好循環で授業が盛り上がっています(石川氏)

Figmaが小学校で、デザインについての授業をしたこともある。子どもたちから届いた感想文には「楽しかった」「もっとデザインを勉強したい」​​​​​​などのメッセージが書かれている。

またFigmaには、教育関係者によって運営されるユーザーコミュニティ「Friends of Figma Japan Educator」がある。約30人が参加しており、その多くはGoogleの教育者コミュニティ「GEG」でもすでに取り組みをしている教職員だという。

Figmaを使いこなしておもしろい授業をしたら、ぜひその手法をシェアしていただきたいです。教育の領域で一人でも志のある先生がコミュニティを広げていってもらえたら、日本の教育は変わっていくと思います(川延氏)

Figma Japan カントリーマネージャー 川延浩彰氏

すでに公立小学校では、プログラミング教育も始まっている。その上、デザインツールまで使いこなすデジタルネイティブな子どもたちが社会に出る日も近い。Web業界にいる私たちは、部下や同僚となる彼らに負けないように、いま何をすればいいのだろう?

今の小学生たちは、高いデジタルスキルが得られると思いますので、私もすぐに追い抜かれるはず。むしろどんどん追い抜いてほしい。まずは大人もツールを使って想像力を働かせてみていただきたいです。

結婚式の座席表やプログラム、紙芝居をFigmaで作った方もいましたね。日頃の業務でも名刺や書類をFigmaで作るとか、メモがわりにFigJamを使うなど、簡単なところからぜひ活用してみてください(川延氏)

Figma Japanのオフィスにて取材を実施した
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