80万点のテンプレで簡単にデザインができる「Canva」は、Web担当者のお役立ちツール!
デザインプラットフォームの「Canva」がこの数年、ありえないスピードで成長を遂げている。2021年9月15日の投資ラウンドで評価額が400億ドル(4.5兆円相当)に達し、米経済誌Forbesでは「世界一成長の速いソフトウェア会社」と綴られている。
日本向けのローカライズの状況や、Web担当者にとってどんな活用メリットがあるのかCanva Japanに話を聞いた。
非デザイナーでもプロ並みのデザインが作れる3つのポイント
Canvaは2013年、卒業アルバム製作のデザインツールとしてオーストラリアの大学生によって生まれた。
一言でいうなら『ノンデザイナーが簡単に素早く、プロのデザイナー顔負けのおしゃれなデザインを作れる魔法のツール』です。グラフィックデザインだけでなく、動画編集やWebサイト制作、ホワイトボード機能などにも対応しています(植山氏)
非デザイナーでもプロ並みのデザインが作れるポイントは次の3つ:
ポイント1テンプレートの豊富さ
SNS用のサムネイルやインフォグラフィック、プレゼン資料など使用目的に合わせて、80万点以上のテンプレートを提供している。
80万件のテンプレートには3種類のパターンがある:
パターン1本国オーストラリアなどで作られたものを翻訳した「ローカライズテンプレート」
テンプレートの英語を翻訳した、日本語対応テンプレートは3万種類以上※ある。しかし、オーストラリア発の食べ物系テンプレートにはピザやハンバーガーが中心で、多様な食文化がある日本では使用に向かないものもある。これを逆手にとり、公式noteでは「残念なテンプレートたち」という記事で紹介されている。
パターン2日本のデザイナーチームが作った「日本オリジナルテンプレート」
2020年からデザイナーを増員。日本オリジナルのテンプレートを作成し、現在は5200種類※を超える。また日本語のフォントも400種類以上に増やした。
日本だと、YouTubeサムネイルやチラシが英語圏より文字が大きくてギラギラしていたり、JIS規格の履歴書が必要だったり、独自の傾向がありますよね。LINEのリッチメニューや、リッチメッセージ(広告クリエイティブ)も含めて、日本ならではのニーズに対応しています。日本では、日本オリジナルのテンプレートのほうが多く使われている現状です(植山氏)
日本独自の文化として特徴的なのが、結婚式だ。日本では、新郎新婦が招待状から座席表、ウェルカムボードまで大量のペーパーアイテムを自作しなければならないケースが多い。そこで、ウェディング用テンプレートを増強。内容と写真を書き換えるだけで統一デザインのアイテムが作れて、画面右上の「印刷する」ボタンをクリックすれば、指定通りの印刷形式・部数で印刷し、ペーパーアイテムを自宅まで発送してくれる。
パターン3Canvaクリエイターが制作したテンプレート
ユーザーがCanvaクリエイターとして、テンプレートや素材を提供・販売できるマーケットプレイス機能も持ち合わせてる。
80万件の豊富なテンプレートはありがたいが、選びきれないユーザーもいるのではないだろうか?
テンプレートを見ているだけで楽しくて、時間があっという間に過ぎる『Canva沼』という現象も起こりがちです(笑)。そこでおすすめなのが、『結婚式 ブルー』のように用途とテーマカラーの複合検索で絞ることです。またCanvaは全ユーザーの行動を分析し、皆さまが使いやすい人気のテンプレートを上位表示しています。気に入った素材には、後で取り出しやすいよう星マークをつけておくのもいいですよ(恵古氏)
ポイント2素材の豊富さ
写真・動画・音声・イラスト・アイコンなど、1億点以上の商用利用可能な素材も活用できる。
ポイント3操作性の簡単さ
ドラッグ&ドロップで直感的に操作できる。また編集権限もURLで付与できるため、コメント機能と併せてクラウド上で共同編集が可能である。
コロナ禍で増すデザインニーズに対応。「世界最速の成長」へ
コロナ禍によるリモートワークの普及から、Zoom背景の作成が爆発的に増えた。また2020年9月〜2021年9月の12か月間では、プレゼンテーション作成数が3倍以上も成長し、毎週600万もの新しいプレゼン資料が作成されているという。
そうしたニーズもあり、2021年9月のラウンドで2億ドル(220億円相当)を調達し、評価額が400億ドル(4.5兆円相当)となった。2021年4月からたった5か月で、およそ3倍の評価となっている。
現在190カ国で、月間アクティブユーザーは8500万人ほど。コロナ禍でリモートワークが増えたことで組織の利用、特にセールスフォースやペイパル、アメリカン航空といったグローバル企業での利用が拡大しました。このあたりが投資家の評価をぐっとあげた要因です(恵古氏)
他のビジネス系メディアでは「アドビの牙城を崩した」「世界で最も価値の高いスタートアップ企業の1社」などと取り上げられているCanva。しかしさらに驚くべきことは、創業者のパーキンズ夫妻がその資産のほとんどをチャリティに寄付していることである。
Canvaのミッションは『あらゆる人がデザインで輝ける社会をめざす』。さらに2つの計画があります。1つ目は『世界で最も価値のある企業になること』、2つ目は『世界で最も良いことをする』。僕が入社を決めたのは、こういった経営陣の社会貢献の理念が大好きだからです(植山氏)
社内でCanvaを活用するなら
近年デザインニーズが増えた影響と、デジタル人材を育てるリスキリングが盛んなことから、Canvaを社内ワークショップに用いる企業もある。
たとえば中小企業のマーケティング支援をしているソウルドアウトは、デジタル広告のバナーやLPなど、クリエイティブの制作依頼が増えたことから、社内のデザイナーの手が回らなくなった。そこで2019年から導入していたCanvaを、次のフローに変更した:
- 非デザイナーもクリエイティブのアイデアを出す「表現力トレーニング」を週1回開催
- デザイナーが作ったテンプレートをもとに、細かい修正は営業担当が行う
すると、制作効率が3.75倍向上したという。
デザイナーの仕事はクリエイティブやブランドイメージを作ることですが、特に代理店では、クライアントからの要望に合わせて細かい修正に忙殺されます。そこにかける時間と労力をCanvaで削減すれば、デザイナーさんが本来の仕事に集中できるのです。また有料プランの『ブランドキット』機能を使えば、ブランドロゴやカラー、フォントもあらかじめ指定できるので、誰が作ってもブランディングからそう逸れない80%ぐらいの及第点のものが作れるはずです(植山氏)
ブランドイメージを大切にした発信を支援したいと考え、昨年12月からスタートアップ企業の支援も始めている。これは、Canva Pro(有料版)の1年間無償提供や、学びの場を提供するもので、初回は196社が当プログラムに参加している。
「とにかくデザインで日本を元気にしたい」という植山氏。今までのデザイン経験や勉強の有無を問わず、簡単にプロ顔負けのデザインが作れるので、1人広報やWeb担当者を助けてくれるツールになることは間違いないだろう。無料プランもあるので、まずは試してみてはいかがだろうか。
【Canva】
https://www.canva.com/
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