データ活用革命のヒント

CMP導入でCookie同意率が10%のことも。広告効果をどう改善すべきか?

改正個人情報保護法の施行後、日本国内のCMPの導入状況と、導入をする際のポイント、よくある質問に対する回答を紹介する。

2022年4月1日、改正個人情報保護法が施行されました。3月の終わりごろから、私のメールボックスにも、さまざまな企業からプライバシーポリシーの変更通知が届いています。

と同時に、「クッキーの使用に同意しますか?」というポップアップが表示されるWebサイトが増えてきました。

改正個人情報保護法への対応という観点からは、同意管理プラットフォーム(CMP)の導入は必須というわけではありませんが、インティメート・マージャーのクライアント企業でも、改正法対応の一つとして、CMPの導入を行った企業が複数ありました。

日本の改正個人情報保護法の場合、GDPR(EU一般データ保護規則)と比較すると、CMPが必要な場面は限定的です。また、Cookieにデータを保存する際ではなく、個人関連情報と個人情報の紐付けを行うタイミングで同意取得を行っているケースも多いため、国内にフィットした形のCMP導入および導入後の運用をする必要があります。

本記事では、日本国内のCMPの導入状況と、導入をする際のポイントや、よくある質問に対する回答を紹介します。

※個人情報保護法の法律面の詳細については、社内の法務部・相談先の弁護士事務所などにご相談ください。

海外と日本では、CMPの導入目的が異なる

CMP(Consent Management Platform|同意管理プラットフォーム)とは、Webサイトやアプリ上などで、Cookieを活用して得られるデータの同意や管理を行うツールで、主にGDPR対応を目的として海外で導入されていることが多いサービスです。

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インティメート・マージャー」のCookie同意取得バナー(日本国内の法律に準拠)

EUの場合は、1stパーティCookieもGDPRの対象であるため、GDPR施行後からCMPを導入するサイトが増えてきています。

EUをはじめとした海外のWebサイトでは、CMPで取得した同意情報と、Webサイトに設置している各種マーケティング用タグやアクセス解析用タグを合わせて、広告を出し分けたりしています。そのため、Cookieの詳細設定がユーザー自身でできるようになっています。

一方、日本でのCMP導入は少し目的が異なります。個人情報保護法に対応するためではなく、より厳しいレベルで個人のプライバシーを守るため、あるいは海外ユーザーの訪問が多いサイトがGDPRに準拠した対応を行うために導入しているケースが多いように思われます。

個人関連情報の取り扱いにも対応できるかがポイント

CMPを導入する前に、まずは自社サイトでどのようなマーケティングツールやトラッキングシステムが導入されているか、現状を把握する必要があります。

具体的には、サイトに関わるすべてのチームにヒアリングし、タグの洗い出しをします。実際に導入を行った企業の中には、こちらの工程でとても苦労されたところも多くあるようです。

そして、CMPを導入するにあたっては、企業ごとに適切なCMPを選ぶ必要があります。CMPは国内外のさまざまな会社がリリースしており、それぞれカスタマイズができる度合いが違います。また既存のCRMなどの顧客データベースとの連携方法も異なるので、慎重な要件定義が必要です。

特に日本国内サイトでCMPを導入する場合は、GDPRのほか、個人情報保護法における「個人関連情報」の取り扱いにも対応できるサービスを選ぶというのが大事なポイントです。

「個人関連情報」とは、改正個人情報保護法で定義されているデータの種類です。Cookieやそれに紐づくWebサイトのアクセス履歴などが対象になっています。4月から、個人関連情報と個人情報を突合する際は、消費者から同意を取得し、個人関連情報を持っている企業側で同意プロセスを確認し、確認した内容を記録しておく必要があるようになりました。これに類するデータ連携を行っている企業は、個人関連情報の取り扱いにも対応できるCMPを選択しなくてはなりません。

CMPの導入後について

改正個人情報保護法の施行後、CMPが導入されているWebサイトが目に見えて増えてきました。われわれがCMPを導入した企業からよくいただく相談と、導入企業のサイトを見て指摘したポイントを紹介します。

「Cookieの利用同意をしてくれた人が10%程度だった。同意率を上げたい」

CMPを導入すると、同意取得ユーザーだけを対象に、広告タグやトラッキングタグが発火するように設定できます。そのような設定をした企業から多く寄せられる相談が、「タグが発火しなくなったことで広告の効果が著しく悪化した。同意率を上げたいがどうすればいいか?」です。

CMP導入前は100%のデータが使えていた状態から、導入したことで10%(多くても20%)程度になってしまうので、ターゲティング広告のマーク数が減少し、結果として効果が減少してしまっているという状態です。

同意の取得率は、ある程度なら高めることはできますが、100%にはなりません。他のマーケティング手法を検討する必要があります。Cookieを使わない広告の例として、たとえばコンテキストターゲティングやポストCookie対応サービスを検討していただくよう提案することが多いです。

一部のツールだけがCMPの管理対象になっていないか?

CMPは導入した時点で完了というわけではありません。導入後は、新しいツールやタグがWebサイトに設置されるたびに、それらとCMPを連携していく必要があります。

実際にCMPを導入した弊社のクライアント企業でも、一部のマーケティングタグしかCMPの同意情報と連動されていないケースがあります。

他には、Googleアナリティクスのように、アクセス解析にも広告配信(いわゆるGAリマーケティング)にも利用できるツールなどは、どちらか一方の機能だけがCMPの管理対象になっているケースなども散見されます。

CMPは導入してからが本番です。サイト上で意図したとおりにタグが配信されているか、同意情報に連動したデータ活用が行われているか、これらを定期的に確認していただかなくてはなりません。

そういった点では、CMPは「ツールの導入」というよりも、マーケティングツールやアクセス解析ツールでプロセスを作るのに近いかもしれません。導入前に行った検討を導入後も継続して行っていかなくては、望むような効果を得ることはできないのです。

導入後に出てくる新たな課題に備えて

CMPの導入自体は改正個人情報保護法においては必須というわけではありません。そのせいか、導入による影響や導入後のプロセスについては、世の中に発信されていることがまだ少ないように思います。

今後、法律面の変化やその他規制によって、CMP導入の必要性が変わってくることも考えられます。すでに導入した企業も、本格的な運用からまだ数週間しかたっていないため、今後また新しい課題が出てくることも考えられます。

インティメート・マージャーとしては、導入による影響や導入後のプロセスに関する情報発信を積極的に行うとともに、今後もそのような課題を解決しながら、世の中の適切なデータ活用をサポートできればと考えています。

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