趣味が高じて気づきました。マーケターもクリエイティブの鍛錬が必要です。
こんにちは、テレビ東京の明坂です。
マーケターの方は、広告出稿の際のバナーなどクリエイティブのディレクションをしないといけない機会があると思います。クイックでA/Bテストをしたいときや低予算のときなどには、自分でバナーを作ってみることもあるのではないでしょうか。そこで今回は、Webサイトへの集客プロモーションとして切っても切れないバナー制作など、クリエイティブをテーマにしました。
突然ですが、みなさんの趣味はなんでしょうか。私の趣味の1つは一眼カメラでの写真撮影ですが、その趣味による経験が思いがけずクリエイティブ制作に活きた話から始めたいと思います。
趣味は写真。PDCAをまわして良いものを撮る鍛錬をしています
私は数年前からカメラが趣味で、普段から人物のポートレイト撮影などをしています。その趣味が高じて、今ではテレビ東京の仕事においても番組の場面写真やインタビュー中の出演者を(人手が足りないときに応援として)撮影することがあります。
業務で撮影するからには、少しでも被写体の味を引き出し、印象に残る写真を撮りたい。そう思って、書籍で構図やディレクションの方法などの知識を得たり、撮影した内容を振り返ったりしています。
写真の撮影では、明るさやピントの位置といったカメラの性能をうまく使いこなす要素も重要ですが、さらに重要なものは「構図」だと思います。被写体の位置や背景との関係について、いくつか例をあげてみましょう。
次の写真では、せっかくきれいなスタジオを背景に撮影しているのに、あまりにも被写体の着ている服と背景が同系色すぎて、なんとなくのっぺりした写真になってしまっています。
次は、被写体と背景とのコントラストが効いている点は良いのですが、背景のモニターが邪魔をして、少し目線が散ってしまいそうです。
そこで、少し被写体に寄って、背景のモニターをぼかし、写真右横の大きなモニターを画角から(できるだけ)切ってみると、メインの被写体にのみ目線が行くようになりました。
写真は絵と違って存在するありのまましか撮影できないため、被写体そのものもそうですが、撮影する環境や背景全体に気を使う必要があります。とはいえ、撮影している瞬間に環境の細部に気を使うことはなかなか難しく、撮影し終わった写真の色味を整えたり、レタッチしたりしている時に、あぁもっとこうしておけばな…と後悔することも度々あります。
そういった経験を経て次に活かしていく、いわゆるPDCAをまわすことで徐々に、撮影環境の良し悪しなどへの判断がすぐにできる感覚が養われていくものだと思います。知識もさることながら日々の鍛錬が重要だということです。
あれ? バナー制作と写真撮影で気を付けることって似ているのでは?
本記事を読まれている方は、自らクリエイティブソフトを触らないにしても、バナーやLP(ランディングページ)制作のディレクションをする機会がある方が多いのではないでしょうか。少なくとも、あがってきたクリエイティブへのフィードバックをする機会があるのではないかと思います。
私は実際にバナー制作を行うことがあるので、先日、インプレスから発売されている『思わずクリックしたくなる バナーデザインのきほん』(カトウヒカル:著)という書籍を読んでみました。
すると、写真が限られた枠内でどう表現するかという「構図」が重要であるように、バナー制作も、レクタングル(300×250ピクセル)という限られたサイズの中でいかにして情報を整理するかが大切だとわかりました。そして、昔から多くの商材のプロモーションで活用されてきたバナー制作には、そうしたノウハウがさまざまに詰め込まれているものだと知りました。
本の中では、いろいろな観点で細かくノウハウが記載されていますが、自分なりに咀嚼して重要なポイントを3点上げると以下になります。
- 強弱のメリハリをつけ、伝えたいことを強調する
- 見やすい構図をおさえる
- 目線の動きを意識して情報を整理する
次の画像の左側は、私が以前作った広告用バナーです。バナー制作については素人で、先ほどあげた3点がほぼ守られておらず、「強弱のない長いテキスト」「一番押したいところのわからない文字サイズ」「なんとなく全体的にのっぺりしたコントラスト」、と至らない点がたくさんあります。一方、右側のバナーは、本職デザイナーの制作には到底かないませんが、左側のものよりはマシになったと思います。
マーケターとして、バナーなどクリエイティブを学ぶことは大切だと思います
日頃からバナー作りが業務というわけではありませんが、冒頭にあげたようにクイックにA/Bテストをしたいとき、限られた予算で出稿しないといけないときなど、自分で作れると何かと便利なケースもあります。少なくともディレクションをする上においては、ポイントに沿ってロジカルに判断し、正しい方向に向かえるようになることは良いものを作る際に必ず役に立ちます。
バナーを作る上での重要ポイントは先ほどあげた3点ですが、それら全てにわたって正しく判断し、安定したクオリティを出せるようになるためには、写真撮影と同じく地道な鍛錬が必要です。ただでさえ多忙になりがちなマーケターが、クリエイティブまでやりだしたらいくら時間があっても足りないですし、仕事の範囲を広げすぎず、最も価値の出る業務に集中すべきだとは思います。
しかし、ターゲティングやメッセージングだけでなく、クリエイティブという部分にも理解が深くなれれば、さらに顧客の理解が深まるのではないかと思います。バナーなどのクリエイティブ制作では、顧客の目線を意識して、期待どおりのアクションをしてもらえるように作る、そうした視点が求められるからです。
YouTubeのサムネイル作りなどにも通ずるものがあるのでは?
バナー広告と同様にサムネイルだけでクリックを取らないといけないものとして、YouTubeのサムネイルがあると思います。私は個人の趣味でガジェットを紹介するYouTubeチャンネルをやっているのですが、こちらに関してもバナー制作のノウハウを活用すれば、見やすくて印象に残りやすいサムネイル制作ができると感じました。
次の画像の上部が、『思わずクリックしたくなる バナーデザインのきほん』を読む前に作ったサムネイルで、下部が読んだ後に作ったものです。
写真撮影やYouTubeチャンネル運営については元をたどるとただの趣味ですが、そこでの経験もまた鍛錬の1つとして仕事のスキル育成に活きました。
マーケターは、普段から経営戦略、STP設計、広告配信シミュレーション、KPIモニタリングなど、主に左脳を使った仕事が多い職種ではあります。でもだからこそ、右脳的かつ鍛錬でしか身につかないことに時間を振り分けてみることは、ユニークなスキルをもった人材として自身の価値を高めるためにも、とても有意義なことではないでしょうか。
本テーマやそれ以外についてもくわしく聞きたいことなどあれば、私のTwitterアカウントへリプライをいただければ幸いです。Clubhouseでのディスカッションなどにもお気軽に誘ってください。
あとよかったらYouTubeチャンネル(ていねいな暮らしガジェット)で、今後、バナー作りが上達していく様子もご覧ください。
それでは。
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