Step 4-4 スマホファースト時代のSEO施策_前提知識
Web担ビギナーの目次を知りたい方はこちら
クイズ
- 「SEO施策では、検索結果で上位表示を目指せばよい」。この考え方は〇でしょうか?
結論からいうと、「〇」とはいえません。SEO(Search Engine Optimization)は、ユーザーの検索ニーズにマッチするコンテンツとサイトを用意して、ターゲットユーザーにリーチ(reach)することで、上位表示が目的ではありません。Webマーケティング手法の1つだといえます。
「検索」という能動的な行為を行うユーザーを自社サイトに導き、最終的にはユーザー、提供企業の両者それぞれの目的を達成させるために、SEO施策を行います。単なる検索結果で上位表示を目指すことだと考えると、間違ったSEO施策を行う可能性があるので注意しましょう。
- SEO施策では、検索結果で上位表示を目指せばよい
4-4では、SEO施策を立案する前におさえておきたい意識やポイントを紹介します。
Google検索の仕組み
現在、検索エンジンといえばGoogleの一強です。SEO対策といえば、Googleへの対策と考えてよいでしょう。では、そもそもGoogle検索の仕組みはどういうものでしょうか? とても簡単に紹介すると、①クロール、②インデックス、③SERPs(検索結果)で成り立っています。
- クローラーというソフトウェアが、さまざまなWebサイトを巡ってコンテンツを集めます。これをクロールと呼びます。
- クローラーが取得したコンテンツを解析し、検索エンジン用のデータベースサーバーであるインデックスサーバーに保存します。これをインデックスと呼びます。
- 検索クエリ(ユーザーが検索したときのワード)の結果をSERPsに表示します。このとき数百の要素によりランキングが決まって1位からページが並びます。
Googleの進化
こうした仕組みをもつGoogleの検索エンジンは、検索するユーザーの利便性などを考慮し、クローラーやコンテンツを解析するアルゴリズム(順位を決めるためのプログラム)などで、進化を続けてきました。たとえば最近では、次のような進化がありました。
- クローラーの進化:クローラーの進化によって、たとえば以前は理解されないといわれたJavaScriptも、現在ではほぼ問題なく理解されます。また、従来はクローラーへの配慮として、動的URLを避ける場合もありましたが、現在ではさほど意識する必要はなくなっています。
- スマホファーストへの変更:Googleは2018年4月からMFI(モバイルファーストインデックス)を開始。現在では、大半のサイトはMFIに移行し、インデックスと評価の対象がスマホサイトになったので、SEO施策もスマホに注力することが必須になりました。
- アルゴリズムのアップデート:検索を行うユーザーにとって有益な結果を表示できるように、検索のアルゴリズムは何回もアップデートを繰り返してきました。特に最近では「コンテンツの質」が重視されています。そこで重要になる視点が、E-A-T(専門性・権威性・信頼性)とYMYL(Your Money, Your Life:健康や金銭に関するジャンル)です。たとえば、わかりやすい例でいうと、医薬品のサイトに、権威ある医学雑誌に掲載された教授の専門的なコメントを掲載したコンテンツがあったり、日本医学会のような信頼性の高いサイトからリンクされていたりすれば、質の高いコンテンツだとGoogleは判断します。この質が担保できないと、アップデートの際に評価が下がるという現象が起きやすいです。
こうしたGoogleの進化をふまえて、さまざまな視点からSEO施策を行います。なかでも、Web担ビギナーのユーザーに必ず押さえておいてほしいポイントが次の点です。Step 4-4ではこの点について概要を紹介します。
- ユーザー本位のスマホサイトをしっかり作る
- 検索ニーズを理解し、ニーズに合わせたコンテンツを作る
ユーザー本位のスマホサイトをしっかり作る
先にも紹介したように、最近のアップデートとして重要なのが「スマホファースト」です。そこで、PCとは異なる、スマホならではの特徴を「画面」「外部要因」「検索ニーズ」といった項目から考えてみましょう。
画面
PCとスマホで最も違うのは画面です。スマホは縦長で画面が小さく、スクロールをしてWebページを読み進めます。こうした特徴に配慮したUI(ユーザーインターフェース)を作る必要があります。また、不安定なモバイル回線だからこそ、サイトでの表示速度も重要になります。スマホ端末でも使いやすく、そして早く快適に操作できるサイトを目指し、ユーザーの目的を迅速に達成できるようにしましょう。
たとえば、次図は画面周りの最適化として重要なナビゲーション設計例です(カテゴリ一覧ページ)。スマホは画面が小さいのでナビゲーションが割愛されがちですが、ユーザーにとって必要な導線をしっかり置きましょう。
外部要因
SEOでは、被リンクを「外からの人気のバロメーター」として評価する傾向にあります。ただ、スマホではリンクを張るのが容易ではありません。そこでリンクがなくてもTwitter、Instagram、LINEといったSNSやYouTube、または他サイトから、自社の商品やサービス、ブランドなどが話題になり、言及されるようになること(サイテーション)や指名検索が増えること、つまりブランド訴求が重要になっています。
検索ニーズ
PCでの検索がメインだった時代には、検索ニーズを、「インフォメーショナル(知りたい、悩み解決型)」「トランザクショナル(購入、資料請求など取引型)」「ナビゲーショナル(社名、サービス名など)」に分けることができました。一方、スマホの時代では、「4つのモーメント(瞬間)+合致するコンテンツ」に分けて検索ニーズを捉えることができます。
では、スマホ時代の検索ニーズについて、次の節で少し詳しく解説しましょう。
検索ニーズを理解し、ニーズに合わせたコンテンツを作る
スマホ時代の検索ニーズは、「Know:知りたい瞬間」「go:行きたい瞬間」「do:やりたい瞬間」「buy:買いたい瞬間」に分けることができるとGoogleは提唱しています。それぞれの瞬間に合わせた結婚情報サイトの対策例が次図になります。
たとえば、「結納 服装」といったキーワードで検索されていれば、「結納でどのような服装をすれば良いかを知りたい」という検索ニーズがあるわけですから、Webコンテンツではその答えを用意しておきます。それでは「結納 服装」でECサイトの結納用の服装の商品ページは対策できるでしょうか? その言葉で検索してみてください。1位から10位は全て記事です。つまり、ユーザーのニーズが「知りたい」の場合、合致するコンテンツ(記事)でないと対策は難しいのです。
では、あなたが担当しているサイトのターゲットユーザーの検索ニーズは何でしょうか? 誰に、何を提供しているWebサイトかに応じて、想定できる検索ニーズは異なります。ターゲットユーザーの検索ニーズをふまえて、検索クエリになり得るキーワードをテキストに盛り込んで、ニーズと合致するページを作ってみてください。
とはいえ、キーワードは、本文中にたくさん書いてあれば良いわけではありません。また、「タイトル部分(ソースコードのtitle部分)にキーワードを入れるとSEO効果がある」と従来はいわれてきましたが、現在は検索結果で「目を惹く」効果は期待できるものの、上位表示の観点では昔ほど効果はありません。あくまでも、「コンテンツがニーズを満たしていること」「そのページでユーザーの目的が達成できること」が重要であることを忘れないでください。
SEO実施の流れ
さて実際にSEOはどのようなステップで進めていくのがいいでしょうか? リニューアルを前提として、図式化してみます。サイトごとにやることは違いますが、たとえば大規模なデータベース型サイト以外の大半のサイトは、おおむね次図のような流れで進めることができます。
4-4で、SEO施策を考える際の前提知識として、意識してほしいポイントを紹介しました。4-5では、SEOを取り入れたBtoBサイトリニューアル事例を紹介します。
- ポイント
- 4-4 「スマホファースト時代のSEO施策_前提知識」のポイント
- SEOとは、ユーザーの検索ニーズにマッチするコンテンツとサイトを用意して、ターゲットユーザーにリーチ(reach)すること
- SEO施策では、ユーザー本位のスマホサイトをしっかり作ることが重要
- SEO施策では、検索ニーズを理解し、ニーズに合わせたコンテンツを作ることが重要
- やってみよう
- 検索ニーズの4つのモーメント「know」「go」「do」「buy」のうち、自社サイトのモーメントはどれがあてはまるのか、考えてみましょう。
- もっと学び、成長するために
- Googleが提供している、次のドキュメントをまずは読んでおきましょう。
「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」(https://developers.google.com/search/docs/beginner/seo-starter-guide?hl=ja) - また、次の本が参考になります。
『いちばんやさしいスマートフォンSEOの教本』江沢真紀、他:著 インプレス:刊
ソーシャルもやってます!