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音声検索への最適化が2021年のSEO計画に与える影響と対策――基本と調査データを押さえる

音声検索はブラウザ検索とは異なる。自社が音声SEOを進めるべきか、音声検索の特性と、音声デバイス利用の調査データをもとに考える
筆者の見解はすべて筆者自身のものであり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SEOのことを専門家でない人に説明する場合、10年前ならば次のように定義できたかもしれない:

SEOとは、「検索」と「文章」の関係を確立すること

しかし現在では、ウェブトラフィックやオンライン購入のかなりの部分が、音声による検索に由来している(参考:2020年のデータ)。ユーザーがSiriやAlexaを利用してコンテンツを探す方法は、ブラウザに検索クエリを入力する方法とは異なるため、そうした音声由来のトラフィックをもっと獲得できるようにコンテンツを最適化した場合の効果も、これまでとは若干違ってくる。

音声検索はブラウザ検索とは異なる

とはいえ「音声由来のトラフィック」は1種類ではない。少なくとも、次の2つは早い段階で区別する必要がある:

  • 音声を文字に変換して検索バーに入力し、検索結果の一覧を得るだけの音声検索

  • デジタルアシスタント型のプラットフォームから特定のコマンドを呼び出す検索行為

ほとんどのコンテンツは、「グーグルの検索バー向け」と「Alexaの音声コマンド向け」の両方に最適化することはできない。そもそも、家庭用スマートスピーカーなどの音声対応デバイスにまったく対応していないコンテンツもある(そうしたデバイスには画面がなく、記事を表示したり動画を再生したりできない)。

音声対応デバイスを操作するオーディエンスにリーチしたいのであれば、音声検索用に最適化されたコンテンツは(既存のSEOとは)まったく異なる選択肢と考えるほうがいいだろう。

すべてのコンテンツを音声検索に対応させる必要はない

音声検索で見つけやすく利用しやすいようにコンテンツを作成することの重要性は、ユーザーによって異なる。画面のないデバイスや音声検索が普及するにつれ、Alexaでの使いやすさから恩恵を受けるサイトやページが出てくるだろう。

たとえばピザ屋のような位置情報に基づくビジネスでは、音声検索で見つけてもらいやすいようにオンラインでのプレゼンスを最適化すれば、実際の客足を増やす大きな機会が生まれる。日々獲得するべきユーザーとしては、

  • SiriやAlexaに「近くのピザ屋を探して」とリクエストするだろうユーザー

のほうが、

  • YelpやGoogleマップにアクセスして「ピザ 出前」とテキスト検索するだろうユーザー

よりも多い。

とはいえ、SEO戦略全体の中心に音声検索のしやすさを据える必要があるとは限らない ―― たとえ音声検索で上位に表示されることで恩恵を受ける可能性が高いサイトであっても。なぜなら、音声はテキスト検索に取って代わるものではなく、補完するものだからだ。

たとえば、Siriはユーザーに試合の最新のスコアは伝えても、試合の模様を詳しく実況することはない。スポーツの実況に興味のあるユーザーに広告を配信するためにページを上位に表示させたい場合、すべてのコンテンツを音声に最適化することは、エンゲージメントを高める最も効果的な方法ではないかもしれない。

しかし、サンドウィッチ小売店への訪問客数を増やしたいのであれば、ユーザーが車を運転中に音声コマンドで「近くのランチスポット」をリクエストしたときに見つかりやすくなるようにビジネスリスティングを最適化して、この目的を念頭に置いたアプローチを採ることはもちろん可能だし、価値があるだろう。

スマートデバイスと音声検索の利用は増えているが、まだ支配的ではない

音声検索は急速に伸びているものの、まだ「広く一般に普及」している段階ではない。現時点で音声検索によって利益を得ているのは、アーリーアダプターたちで、しかも特定の目的があるコンテンツに関して先行者利益を得ているといった状況だ。

音声検索に関する調査データをいくつか紹介しておこう。

  • 2019年にアドビが公開した調査結果によると、スマートフォンで音声制御を利用したことがあると答えた人は全体の85%にもなっており、通常のウェブ検索に音声検索を利用している消費者は全体の約48%だった。

    この調査では、デジタルアシスタントを搭載しているスマートフォンとスマートスピーカーを区別していなかったが、結論に大きな違いはない。

  • この直前に示したアドビの調査では、音声コマンドで最も多かった用途は道案内で、ナビ検索の52%が音声で行われていた。アドビの調査と同様に、マイクロソフトが2019年に公表した調査結果でも、スマートフォン所有者の72%がデジタルアシスタントを利用しており、ナビ検索の65%は音声プロンプトで行われていることが明らかになった。

    Microsoft 2019 Voice report
  • 音声検索についてBrightLocalが実施した2018年の調査では、デバイス別に一般的な用途の内訳を示している。

    • 米国の消費者の58%は、スマートフォンでローカルビジネスを音声検索したことがある
    • 音声検索ユーザーの74%は、少なくとも週に1回は音声でローカルビジネスを検索している
    • スマートスピーカーでローカルビジネスを検索している音声検索ユーザーのうち、76%が少なくとも週に1回検索しており、毎日検索している人は53%に上る
  • OC&C Strategy Consultantsが公開した調査では、スマートスピーカーによる音声でのショッピング2022年までに米国と英国だけで400億ドル(約4兆4000億円)規模の市場に成長すると予測している。

  • 米国の家庭におけるスマートスピーカーの普及率は、2018年から2019年にかけて22%増加し、スマートスピーカーを1台以上所有している家庭は、推定で全体の45%に達するという(マイクロソフト調査)。

    ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて浸透したとはいえ、音声技術の大規模な普及はまだ遅れている。NPRとEdison Researchの報告書「The Smart Audio Report」の2020年版によると、次のような状況だ:

    • 2020年初めの時点でスマートスピーカーを所有している人の3分の1は、これらのデバイスを利用してニュースやエンターテインメントを消費する機会が増えたと回答している。
    • しかしスマートスピーカーを所有していない残りの3分の2の人は、今後6か月以内に音声対応スピーカーを購入する可能性は「まったくない」と回答している。
    • スマートスピーカーを所有せずに音声コマンドを利用している人も約半数が同じように答えている。

    マイクロソフトが2019年に実施した調査によると、スマートスピーカーを所有している人の多くが依然として従来のテキスト検索を行っている。音声コマンド技術を利用できる人のすべてが、あらゆる調査や操作を音声で利用しているわけではない。

    大規模な普及が遅れている一因は、家中にマイクを配置する必要が生じることから、信頼性とプライバシーに懸念が生じており、その問題が解消されていない点にあるかもしれない。スマートスピーカーやスマートフォンに「常に聞かれている」ことが気になるとしているユーザーは、スマートスピーカー所有者の過半数(52%)、スマートフォンの音声アシスタント利用者の過半数(57%)に上る。

    The Smart Audio Report

    ただし、肯定的な見方として、それぞれのデバイスのほぼ同じ数のユーザーは、スマートスピーカーやスマートフォンを製造している企業が自分の情報を安全に保護してくれていると考えて信頼している。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回も、今回に引き続いて、プラットフォームのシェアと、「音声検索」と「音声操作」にSEOはどのように対応すべきか、NAP情報を登録しておくべき先、どこまで最適化するかなどを考えてみる。→後編を読む

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