いちばんやさしい資料作成&プレゼンの教本(全10回)

「潜在価値」を探って聞き手に価値を気づかせるようなプレゼンを

自分でも気がつける価値を伝えるより、誰かから聞いて初めて気がつく価値を伝えるようなプレゼンをしましょう。

 

 

いちばんやさしい資料作成&プレゼンの教本

 

この記事は、書籍『いちばんやさしい資料作成&プレゼンの教本』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

 

 

 

プレゼンで提供する「価値」には、「顕在的価値」と「潜在的価値」の2種類があります。同じ価値でも、「顕在的価値」では人を動かしづらく、「潜在的価値」こそが人を動かすプレゼンのキモになります。両者の違いを理解して、「潜在的価値」を伝えるプレゼンターになりましょう。

Chapter2 はじめに知っておきたい“プレゼンの本質”
Lesson06 [潜在的価値]
「顕在的価値」ではなく「潜在的価値」を伝えよう

○聞き手が自分でも気づける「顕在的価値」

新発売のある筆記具についてプレゼンするとしましょう。4色のボールペンとシャープペンシルを兼ね備えており、ペンの中心にバランス機能を搭載していて何時間使っていても疲れ知らずという筆記具です。

この筆記具について、たとえば「かばんがかさ張らない」「何時間使っても疲れない」というのは、聞き手が自分で気づける価値です。

「4色のボールペンとシャープペンシルがあれば、ほかの筆記具が必要ない」→「ペンケースがいらない」→「かばんがかさ張らなくて済みそう」となりますし、また、試し書きすれば、「疲れにくそう」ということにも気づけます。〔図表06-1〕

このように、特にプレゼンされなくても聞き手自身が気づける価値を顕在的価値といいます。

▼「顕在的価値」筆記具の事例

聞き手自身が気づける価値を「顕在的価値」といいます。〔図表06-1〕

顕在的価値をプレゼンされても、聞き手はそれほど価値を感じることができません。

○話し手が気づかせる「潜在的価値」

聞き手が自分で気づける顕在的価値に対して、潜在的価値は聞き手自身では気づけません。話し手がプレゼンすることではじめて気づける価値です。

たとえば、「この筆記具を使うことで思考力が高まります」「姿勢が改善されます」と言われたらどうですか?

「え、筆記具でそんな効果があるの?」と思いませんか?

「この筆記具はかさ張らないので、ぜひ常に持ち歩いてみてください。そして、何か考え事があるときは、すかさず紙に書いてみてください。そんなふうに書く習慣が身につくと、思考力が上がりますよ。また、パソコン仕事はどうしても姿勢が悪くなりますよね。パソコン仕事が続くときは、このペンに持ち替えてみましょう。ちょっとした休憩が、姿勢の改善につながります」

同じ商品でも、こんなふうに説明されたら、欲しくなってしまいませんか? このように、話し手によって気づかされる価値を潜在的価値といいます。〔図表06-2〕

▼「潜在的価値」筆記具の事例

話し手がプレゼンすることで気づける価値を「潜在的価値」といいます。〔図表06-2〕

 

機能説明と価値の比較

○プレゼンでは「潜在的価値」を伝える

「顕在的価値」に人を動かす力はありません。プレゼンでは「潜在的価値」を聞き手に伝えましょう。「あなたのプレゼンを聞けてよかった」と聞き手に言ってもらえるような潜在的価値を、ぜひプレゼンに盛り込んでください。

ただし、潜在的価値は人によって変わります。先に「思考力が上がる」「姿勢が改善される」という例を挙げましたが、当然ながら、この2つの潜在的価値を伝えても、心を動かさない聞き手は存在します。その理由は、人によって価値は異なるからです。「思考力が高まる」「姿勢が改善される」の2つの価値は、「健康志向の聞き手」には響くでしょう。

しかし、残念ながら「ブランド志向の聞き手」の心を動かすことはできません。「ブランド志向の聞き手」にとっては、たとえば「このボールペンは、一本数万円するような有名高級ボールペンと同じ工場でつくられているんですよ」といった情報のほうが価値があります。〔図表06-3〕

つまり、潜在的価値は聞き手によって変わるということです。あなたがプレゼンする相手が、どんなことに価値を見いだすのか、そこを明確にできなければプレゼンは成功しません。

潜在的価値は聞き手によって変わる〔図表06-3〕

○「潜在的価値」を知るために欠かせない事前準備

プレゼンを成功させるキモとなる潜在的価値。しかし、潜在的価値は聞き手によって変わります。では、どのように潜在的価値を準備したらいいのでしょうか。

答えは事前準備です。プレゼンをする前に、聞き手に響く潜在的価値を調べればよいのです。いちばん確実なのは、聞き手に直接ヒアリングをすることです。ヒアリングによって聞き手から「潜在的価値」を引き出せたら、それをプレゼンに盛り込みましょう。ヒアリングが難しい場合は、インターネットなどでリサーチしましょう。

プレゼンには、この事前準備が欠かせません。事前準備をしないでプレゼンをするのは、的が見えない状態で矢を射るのと同じことです。それでは矢は的に当たりません。〔図表06-4〕

事前準備をしなかったプレゼン〔図表06-4〕

事前準備によって的がどこにあるのかを調べて、そこに向けてプレゼンという矢を放つから、的に矢が当たる、つまりプレゼンが成功するのです。プレゼンと事前準備はワンセット、と考えてください。〔図表06-5〕

事前準備をしたプレゼン〔図表06-5〕

プレゼンは聞き手が主役です。その主役のことを知ることからプレゼンは始まる、ということです。

  • 著者:髙橋 恵一郎
  • 発行:株式会社インプレス
  • ISBN:9784295006008
  • 価格:1,980円+税

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