今さら人に聞けないWebの仕組み

インターネットは遠くても値段が上がらない?世界中の情報が格安で見られる仕組み

インターネットは世界中の人が繋いでるから安い!インターネットの仕組みを基本から解説します。【第1回】

不思議に思ったことはありませんか? なぜインターネットは、遠くの情報を見るのに値段が変わらないんでしょう?

WebだってSNSだって、世界のどこに置いてある情報を見ているかわからないのに、値段を気にせず何の気なしに見ていますね。距離で決まるのだったら、タップする前に「うわ、スペインのサイトか、見るのやめておこう」と考えなきゃいけません。でも、そんなこと考えもしませんよね。

通常、電車の料金は遠くに行けば高くなりますね。大きな費用をかけて遠くまでレールを敷いているのだから、遠くまで乗る人はその分のコストを負担する。当然といえば当然です。飛行機だって遠くまで行くには燃料がたくさん必要。タクシーでも高速バスでも同様です。

今ではLINEの無料通話ばかり使っている人もいてわかりにくくなっていますが、電話料金も距離によって決まるものでした。公衆電話に10円玉をいっぱい抱えて大学合格の報告電話をした経験がある世代の人が近くにいたら聞いてみてください(合格じゃない方の結果だった人もいるので泣かれないように気をつけて)。

では、どうしてインターネットは、遠くの情報を見るのに値段が変わらないんでしょう? 電話は同じような仕組みのはずなのに距離が遠いと値段が上がります。

というわけで、この連載では、もう当たり前すぎて今さら誰も教えてくれなくなってしまったテーマについて解説していきます。そんな昔話、今知ってどうするんだと思うなかれ。やっぱりそもそもの仕組みを知っておくと、Web運営をするうえで役立つことがたくさんあるのです。

多少壊れても大丈夫な強いネットワークを実現せよ!

さて、先ほど説明したようにインターネットは遠くの情報を見るのに値段が変わることはありません。なぜ変わらないのか、身近な電車や電話の料金の仕組みについて考えてみましょう。

電車の線路や電話線というのは、全国津々浦々いきわたるように全部の線を会社が敷いてお客さまに提供しています。遠くまで工事して膨大な費用をかけて作っているのですから、遠くまで使う人からはたくさん料金をもらうのは当然です。

インターネットも、誰かが世界中に回線をひっぱり回して張り巡らせたのなら、遠くの情報に高い値段がかかっても仕方ないかもしれません。

でもインターネットは、みんながちょっとずつ線を引いて、その負担分だけちょっとずつ料金をもらおうという仕組みなんです。

インターネットができる前のネットワークの構造は、1台の大きなコンピュータに他のたくさんのコンピュータがつながっているような仕組みでした〔図1-1〕。「1対多」型のネットワークですね。大昔のSF映画によく登場した巨大コンピュータですね。映画好きの人がいたらぜひ聞いてみてください(話が止まらなくなる可能性がありますが)。

「1対多」型のネットワーク〔図1-1〕

しかし、この「1対多」型のネットワークでは、中央のコンピュータが壊れたら全部がだめになってしまいます〔図1-2〕。

中央のコンピュータが壊れたら全部ダメになる〔図1-2〕

インターネットのルーツは、米国の軍事用コンピュータシステムにあると言われています。中央のコンピュータが壊れてしまって、通信ができなくなったら大問題ですよね。いくつかのコンピュータが壊れても、どこかで回線が切れても、どうにか迂回してつながるような、トラブルに強いネットワークにしたいのです。

どこか壊れても他を通ってたどり着けるネットワーク〔図1-3〕

〔図1-3〕のようにつながったネットワークなら、1台のコンピュータが壊れても、回線が1か所切れても、残った全部のコンピュータどうしがつながることができます。

そんな回線、誰が敷く? いくらかかる?

どこが切れても大丈夫というネットワークは、「一本道」ではなく「網の目状」だということです。でもそんなネットワーク、いったいどれだけの回線が必要で、それを全世界で引き回すのにいったいいくらかかるのか?

天文学的な予算がかかることになるのは目に見えています。

そこで、米国は「自力で回線を全部引く」という考えを捨てました。全世界の大学や研究所は多くのコンピュータを持ち、ネットワークを持っています。それらをつなぎ合わせた方がよほど安上がりで素早く、ネットワークを構築できるということわけです。

〔図1-3〕で見たネットワークは、実は各点が1、2本の線を伸ばしているだけです〔図1-4〕。これならそれぞれが引かなければならない回線は短いし、コスト負担は小さくて済みます。回線を準備する専門業者「プロバイダ」も登場しましたが、初期投資が少ないので、多くの会社が参入することができ、あっという間に世界が網の目のネットワークにつながっていったのです。

隣とさえつながっていれば世界とつながる〔図1-4〕

複雑に見えるネットワークも、1次プロバイダ、2次プロバイダ、3次プロバイダを除くすべてが1本の線だけで組み立てられています〔図1-5〕。

複雑に見えるネットワークも1本の線だけで組み立てられている〔図1-5〕

真ん中の大きな点が1次プロバイダです。これらがインターネットエクスチェンジなどで互いにつながっているので、どのプロバイダと契約したユーザーでも、別のプロバイダのユーザーとつながることができます。

複数の2次プロバイダが1次プロバイダにつながり、複数の3次プロバイダが2次プロバイダにつながり、各プロバイダに多数のユーザーがぶらさがっている。現在のインターネットはこのような仕組みでできているのです。

1つずつの点は1つのコンピュータとは限りません。企業のLANかもしれません。企業のLANからは1本程度、全体を代表する線が外部に伸びてプロバイダにつながっているので、企業の中のパソコンは世界中とつながることができます。

この企業は契約しているプロバイダが決めた料金を払っていますが、このプロバイダは、他のプロバイダにつながる部分の費用しか負担していないので、料金はずいぶん安上がりです。海外の情報を見ても、距離が長くて料金が高いということはないのです。

みんながばらばらに引き回した回線が、どうしてつながる?

たとえば、ノートパソコンの電源ユニットは、各社によって異なるので、「違う会社の部品は使えない」のが普通です(全部のメーカ・機種で使い回しができたら良いのに…)。

これがJIS規格となると違います。規格があるって素晴らしいですね。別々に買ってきたボルトとナットがぴったり合う! こんな気持ちいいことはありませんね。

インターネットは世界中の人や企業が同時発生的に、ものすごい勢いで回線を引いてできあがりました。しかし、電源ユニットのように各社がそれぞれの規格で作ったのではなく、世界中の機械が同じ規格で情報を送り出すからです。

全く別の国、別のメーカの機械と会話できるのは、同じ言葉で話すからインターネットが世界中どこでもつながるのです。

ということで、次回はこの規格や言葉のようなもの、についてご案内しましょう。

猛烈なスピードでインターネットが普及していく様子を体験した筆者

筆者は1994年、大阪のデザイン会社にいたのですが、東京で創業したプロバイダから依頼されて、大阪のアクセスポイントをやることになりました。若いカナダ人のエンジニアが来て、会員のアクセスを受けるモデムを壁一面に積み上げていきました。まだインターネットのことを何も知らなかった私たちは、ただぽかーんとその様子を見ていました。

私はなぜかその担当者、ということになったのですが、何を担当するのか社長もわからず、私は毎日、そのモデムの山を眺めて過ごしていました。

まだ会員が少ないので、モデムがめったに稼働しません。ごくたまに1番のモデムが少しの間ぴこぴこっと光って、消える。しばらくしてまた1番のモデムが光って消える。また光る。これをずっと眺めているうちに、モデムの光が人の話し声のように見えてきました。コンピュータの向こうに人がいる、ということを実感した瞬間でした。

何か月かするうちあっという間に会員が増え、全部のモデムがほとんど光りっぱなしになりました。猛烈なスピードでインターネットが普及していく様子を眺めることができました。

第2回は12月公開予定

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