見るゾウ! 知るゾウ! ユーザー像!

Amazonは使うけど、他の通販サイトでは離脱しちゃうシニア。その“心が折れるポイント”とは(第10回)

通販サイトを使うシニア層は、ほんのちょっとでも違和感をもったら、簡単にサイトから離脱してしまう

今回のポイントだゾウ

  • Amazon以外の通販サイトだと、なぜか離脱してしまうシニアは多い
  • 根底にあるのは、ネットを使うことへの不安感
  • 「自分に向いていない(かも)」「ここで買う意味あるの?」と感じたら、すぐ離脱
  • ちゃんと書いてあっても、簡単に読み飛ばす
  • 「思った以上に濃いめの味付け」が、シニア層にわかってもらうには大切

皆さんこんにちは! ゾウ好きのかたわら、都内でパソコン教室を運営したり、ユーザーのお困りごとを企業様にお伝えしたりする仕事をしている、ゾウ好きのモリマミコです。「メイン画像」が「メインがゾウ」と変換されるほどのゾウ好きです。

ここで、最近のゾウニュースを1つ。

沖縄の動物園「沖縄こどもの国」では、1年に1回、園のポスターのセンターになる動物を決める「動物総選挙」があります。今年の総選挙の結果ですが、アジアゾウの“琉美(るび)ちゃん”が3連覇ならず! 来年の干支、犬の“はな”ならまだしも、ホワイトライオンの“セラム”に負けたので、正直ゾウ(超)悔しいです。

今回も「かんたん!おしゃべりユーザーテスト」始まるよ~

さて、前回の「サイト訪問者って、『行動しない』『過去の経験で判断』『興味のないことはスルー』なのよね」に続き、今回も「おしゃべりユーザーテスト」でシニアのWeb行動パターン(実はシニアに限らない)を分析してみましょう。

「おしゃべりユーザーテスト」とは、おしゃべりしながらユーザーを観察する、日常のなかで行う簡単なユーザーテスト。今回ご協力いただいたECサイトは「メガネのまつい」様。ありがとうございます!

ネット通販でサングラスを買う! 白内さんの場合

ふだんはAmazonで買い物をしているという、白内さん(仮名、69歳女性)が教室にやってきて、ひょんなことから、

去年白内障の手術したのよ。すっごいよく見えていいわよ~。世界が明るいわ!

という話になった。

シニア層と接していると、当たり前のように出てくる話題「老人性白内障」。症状としては目がかすむ、白が黄色っぽく見えるなどが挙げられる。

50歳台で約60%、60歳台で80%、70歳台で約90%の人に発症するといわれている(文献によって多少異なる)。つまり、「年を取れば誰にでも起きる病気」だ。

ユーザーテストの対象サイトとして立候補してくださった、店主の松井さんの顔を思い浮かべながら、

術後はまぶしいのでサングラスが必要らしいですね

という話を振ると、白内さんも、

そうよ、そうよ! よく知っているわね!

と盛り上がった。

ところで、術後に使えるアイケアグッズの販売サイトがあるんですが、見てみませんか?

とお誘いをする。強引ing my way

えー、今時は通販でメガネ買えるの? でも、通販でメガネ買うのってなんか不安じゃない?

と最初から不安がる白内さんだったが、まずは「メガネのまつい」のサイトを見てもらった。

眼鏡屋さんに処方箋持って行けば、そのとおりに作ってくれるでしょ。店舗だと、これが安心よね

あと、ネット通販だと、耳にかける部分を微調整してもらえないんじゃない?

インターネットで買うのは、ちょっとどうかしらね~

と、若干否定的な白内さん。

実際にサイトを触っていただくことで、シニア特有のユーザー行動が見えるのか、そして、サイト改善につながる気づきは出てくるのか?

さっそくテストを始めてみよう!

シニア層の行動例1
「自分が対象ではない」と思うと、見る気がなくなる

白内さんにトップページを見せ、

いろいろサングラスがあるので、見比べて、ご自身の状態に合ったサングラスを探してください

と、まず課題を出してみる。

あら、このページ、字が大きくて見やすいわね

でも、このお店、若い子向けじゃないの?

そうなのだ。店主の趣旨は「40代以上の方のアイケアを考えたメガネを」なのだが、トップページに掲載されているのは若いお姉さんの写真なのだ。

うーん、これは、私のような年齢の人向けサイトではないんじゃない?

やはり、写真のインパクトは強いようだ。白内さんはさらに続ける。

「健康な目で見る」っていうキャッチフレーズはいい感じだし、サイトの文字も大きくてわかりやすいわね。

でも、写真のお姉さんは若い人だから、若い人向けなのかな……うーん???

実際に後日、店主の松井さんにトップ画像の趣旨を伺ったところ、「この女性画像ですが、眼病予防の機能性だけでなく、顔にかける物だから、お洒落感も感じさせることを意図しました。サイトはあくまでも50代以上の中高年、健康とお洒落の両方を求める世代を考えています」とのことだった。

しかし実際には、白内さんは、若い人の写真を見たことで、「私向けじゃないかも」と思ってしまったようだ。

シニアは自分を若いと思う傾向があるが、今回の白内さんは、健康目的でサイトを見始めたので、若いモデルよりも「同じ悩みを抱えている同年代」のモデルを求めていたのかもしれない。そこで、混乱してしまったのだろう。

シニア層の行動例2
「このサイトをもっと見続ける価値」を考える

「自分向けのサイト」ではないかも、と感じ始めていた白内さん。「自分に合った商品を探す」前に、サイトを見続けるための「価値」を探し始めた

そのなかで目についたのが「試着展示会」だった。

試着展示会って、何かもらえるのかしら

おお、すごい反応きた。

だって、ふつうの眼鏡屋さんじゃなくて、わざわざ試着展示会に行くんでしょ。何かもらえるような気がするの

と、「試着展示会」をクリック。だが、その先にあったのは過去のレポートのみで、試着展示会でどのようなことができるのか、ノベルティをもらえるのか、「行くことのメリット」は書かれていなかった。

試着展示会って、行くとなにが良いのかしらねー。

そう言った白内さんは、ふと気がついたようだ。

そういえば私、ここがどんなお店なのが全然わかってないかも。このお店のウリはなんなの?

と聞かれてしまった。

トップページと試着展示会のページだけでは、「メガネのまついさんで買うべき理由」を、残念ながら彼女は見つけられなかった。このサイトならではの価値、その店で買う価値がなかった。それなら近所の店舗で十分だ

シニア層の行動例3
「自分が共感できる情報・もの」が欲しい

とにかく、違いが知りたい白内さん。

ふつうの眼鏡屋さんとどう違うのか、わからないわ

私も動物園に行くときには、アジアゾウがいるかいないか、1頭飼いか多頭飼いかの違いをものすごく気にする。違いが気になる、その気持ちわかる!

んー、「機能と選び方」を見たらわかるかしら?

と、白内さんは「機能と選び方」をクリック。さらにページ内にある「術後ケアにサングラス」をクリックしてみた。すると、「お客様からのご相談例」が表示された。

こういう相談例っていいわよね。私の相談したいことにも似ているものね。なんか信頼できる

と読み進める白内さん。まだまだ、

このお店は、信頼がウリなのかしらねえ

と、何がウリなのかを探っている様子だ。瓜売りが瓜売りに来て 瓜売り残し 売り売り帰る 瓜売りの声。心のなかで早口言葉の練習をする私。

そして、ページをひととおり読んだ後、「私の症状に合うメガネってどれかしら」とつぶやきながら、グローバルメニューの「商品一覧」をクリックしてしまった。

最下行に「術後ケアにオススメ」のリンクがあるのだが、目立たず気づかなかったようだ。ガチョーン。

(再掲)

本来ならば白内さんは、「私の症状に合う眼鏡」を知りたいと思っているタイミングで「術後ケアにおすすめな、紫外線・青色光線カットのサングラス」という情報を見つけて、「これね!」とクリックしているべきシーンだ。

しかし、彼女はそれを見つけられなかった。

文字だけのリンクではなく、具体的なサングラスの写真などがあれば、また反応が違っただろう。

ユーザーが求めている「共感できる情報・もの」を、的確な場所・タイミング・見せ方で提示できていなかったのが敗因だ。

シニア層の行動例4
「価格がすぐにわかること」が信頼につながる

残念ながら最適なリンクを見逃してグローバルメニューから商品一覧ページに飛んだ白内さん。

さらに悪いことに、商品一覧ページのカテゴリには「術後ケア」の項目が存在しなかった。

どれをクリックすればいいのかしら

と悩む白内さん。

この手術を受けるのは、だいたいお年寄りよね?

と、写真に載っている人物をてがかりに、目的のメガネを探そうとする。

しかし、選ぶべき「青色光線カットサングラス」は、若いお姉さんの爽やかな写真である。どう考えても、目の手術を受けた人の写真には見えない。

散々悩んだあげく、「これが一番近そうね」と、なんとか正解の「青色光線カットサングラス」をクリック。リンク先の「女性用」商品の紹介画像をクリックし、その商品の詳細ページへ移動した。

どうやら白内さんは、ていねいに書かれた文章は読まず、写真だけを追っているようだ。

そして商品ページでは、

これ、いくらなんだろう? 送料無料だというのは書いてあったけど、肝心の商品の料金が書いてないのよ!

と、すごい勢いでスクロールしだした。サイドバーにあった「10800円以上は送料無料」という情報は、一瞬で確認していたらしい。なんというお得発見眼

女子は、お得とイケメンには一瞬で気づく――それが、私の持論だ。

逆に言うと、料金表示は「サイトを見続けるかどうか」の判断基準として、とても重要だ。料金表示がすぐに見つからないと「だまそうとしているのではないか」「びっくりするような高い値段なのではないか」と、疑心暗鬼を募らせるのだ。

ようやく商品一覧の下で料金が見え、彼女は落ち着きを取り戻した。同時に、「このサイトで買ってもよい」と判断したようだ。「価格がわかること」が、信頼につながるのだ。

そして意外な結末が!?

どのサングラスを選んでいいのかわからない白内さんは、なかなか商品一覧の商品写真をクリックしない。しかも、バリエーション別のガイドのところは読み飛ばしている。

ようやく1つのサングラスをクリックし、詳細ページを読み始める。自分に合うか、いろいろと考えているようだ。

私の顔の形でも合うかしら

サイズとかも書いてあるのね。でも、自分の顔が何センチとかわからないわよねえ

サイズの下には「自宅で試着サービス」のボタンが、バナーのように大きく配置されている。

試着できるのね! 通販は試着できないと思ってたけど、こういうやり方もあるのね

試着サービスのリンクをクリックすると、専用ページに移動する。試着の特徴や手続き方法の説明があり、このページから申し込む形だ。ページに下に試着できるサングラスの商品一覧もある。

しかし、落とし穴があった。白内さんは覚えていないのだ。自分が確認して価格もチェックしたのが、どのサングラスだったのかを……。

サイト内で見ていた商品の情報を引き継いで、ここでわかりやすく表示してくれていればいいのだが、残念ながらそういう仕組みはない。

先ほどまで見ていたサングラスがどれなのかわからなくなった白内さん(と私)は、ここで力尽きた。

ユーザー行動まとめだゾウ

ここまで見てきたなかで、シニア層の行動例として、以下のようなものがあった。

  • 「自分が対象ではない」と思うと、見る気がなくなる
  • 「このサイトをもっと見続ける、価値や意味」を考える
  • 「自分が共感できる情報・もの」が欲しい
  • 「価格がすぐにわかること」が信頼につながる

では、具体的にどう対処すればよかったのだろうか?

顧客モデル=ペルソナを作る

ゾウさんにも個性がある。バナナが好きなゾウさん、人懐っこいゾウさん、お茶目なゾウさん、などなど。人間もいろいろ要望がある。

主な顧客ゾウをきちんと作成し、その顧客がどう考え、どう探すかをきちんと考え、見える形で、顧客モデル(ペルソナ)を作ることが必要だ。

商品一覧はペルソナに沿って構成する

「メガネのまつい」サイトの「目的で選ぶ」商品一覧は、「ふだん使い」「旅行・レジャー」「運転・ドライブ」の3つで構成されていた。

しかし、今回の白内さんのニーズは「術後ケア」であり、そうしたニーズのための導線は考えられていなかった。

ペルソナに沿って、利用シーン、目的、アイテムの分類などを、いま一度見直すべきだろう。

キャッチコピーはペルソナに刺さる言葉にする

シニアユーザーは自分のお困りごとについて、正確とは言えないものの、いろいろな情報を持っている。そのため、ほんわかした言葉では突き刺さらない

たとえば、健康食品のチラシとかを見ると、これを見事に突き刺してくるラインアップあるいはセールス表現が多いのに気づくだろう。シニアユーザーの願望・不安・ひっかかる点などを、的確かつ細かくフォローしている。そういう商品群・キャッチコピーに突き刺され慣れた世代には、ふわっと曖昧な“ほんわか表現”では伝わりにくいのだ。

今回の例でいうと、「白内障の手術後、まぶしいと感じるようになった、そんな方は」というところだろうか。

シニア向けなら画像を大切にする

「ウリがわからない」――白内さんはしきりに言っていた。

しかし、サイトをよく読むと、

  • 鯖江のオリジナルフレーム
  • こだわりのレンズ
  • オリジナル商品

など、商品の強みはちゃんと書かれていた。しかし、文字で書かれているだけでは、シニアは読まないのだ!

大切なことだからもう一度。「シニアは文字を読まない」と思ってくれて構わないよ、ワトソン君。

読んでほしいなら、読んでほしい文字だけ大きくするなど、工夫が必要だ。また、特徴的なキーワードを写真に入れるなどすると、見た瞬間にわかっていいだろう。

もっと自社の強みを出そう!

シニアは意外と刺激に慣れ切っている。

テレビでも、お涙頂戴や感激する番組は見られても、淡々と進む番組は視聴率が上がらないらしいことから、それがわかる。

デザインでもキャッチコピーでも、思った以上に濃いめの味付けをしないと、シニア層には届かないのだ。

◇◇◇

さて、本日の主人公は、白内障を乗り越えたから「白内さん」! そのまんまやんかー! ひねりも何にもないですね。

そのくらい、動物総選挙でアジアゾウの琉美ちゃんがセンター取れなかったのが悲しいのです。ゾウファンの皆さまには、こちらの本を紹介してマイクを置きます。

ではまた!パオーン!

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