見るゾウ! 知るゾウ! ユーザー像!

オジオバだってインスタ映えしたい! プレシニア以上も食いつくサイトのポイントは?(第11回)

最新のECサイトは、「購入してもらって終わり」でなく「Instagramにアップしてもらって終わり」なのだ

今回のポイントだゾウ

  • 2017年を代表する流行語になった「インスタ映え」
  • 10~20代だけでなく、プレシニア層・シニア層・シルバー層も、“見栄えのいい写真”に、もの凄く興味を持っている
  • ECサイトを見ているときも、“見栄えのいいサイト”に、より興味が向きやすい
  • 自分自身では“見栄えのいい写真”アレンジを思いつかないので、そこまで提案する必要がある
  • 「購入してもらって終わり」ではなく「インスタにアップしてもらって終わり」だと意識しよう

皆さんこんにちは! ゾウ好きのかたわら、都内でパソコン教室を運営したり、ユーザーのお困りごとを企業様にお伝えしたりする仕事をしている、ゾウ好きのモリマミコです。

「印象操作」という文字を見て、インド象に乗っている象使いさんのことを真っ先に思い出してしまったほどにゾウさんが大好きです。

最近のゾウさんニュースと言えば、皆さんもご存じかと思いますが、「市原ぞうの国」のアイドルゾウ「ゆめ香ちゃん」が、沖縄こどもの国のアジアゾウ「琉人(りゅうと)君」にお嫁入りのために沖縄に行ったことですね。2017年ゾウ界10大ニュースに見事ランクインです(私調べ)。

「かんたん!おしゃべりユーザーテスト」、今回はインスタ大好き羽合さん

さて今回も、前回に引き続き、第3回「おしゃべりユーザーテスト」の時間がやってまいりました。「おしゃべりユーザーテスト」とは、おしゃべりしながらユーザーを観察する、日常のなかで行う簡単なユーザーテスト。今回ご協力いただいたECサイトは、「ハワイおみやげ ハワイコーヒーとハワイパンケーキミックスの専門店ハウオリ」さん。本店と楽天店を運営しています。

文字は読みませんが、何か問題でも?

被験者は、インスタ(Instagram)好きの羽合さん(仮名、44歳女性)。過去4回ハワイに行くほどのハワイ好きでもある。

羽合さんは、ネットでよく買い物をしますか?

当たり前ですよ、ネットがないと生活できないです

というかなりヘビーなネットユーザー。さっそくおしゃべりユーザーテストを始めましょう!

まずは、店長の内山さん情報で、今、とても売れているというハワイアンフード「ミナトドレッシングソース」を閲覧。お値段も手頃な「ミナトガーリックシュリンプソース ハワイ土産」の紹介ページを見てもらった。

紹介文のわかりやすさ、分量はいかがですか?

紹介文? 基本、文字は読まないですよ~! 興味がある写真の周りをちょっと読むくらい

老眼にはなっていないとのことだが、写真を見て文字を読むかどうかを決めると言うくらい、羽合さんは文字について後回しの様子だ。

私、ジャケ買いするタイプなの。

写真がちょっとでも怪しかったり、ぼけてたりすると、その時点でまず読まないかな。

うーん、このページだったら買わないです!

なんでですか?

写真を見て、アレンジできる気がしない

アレンジ?

(オレンジ・レンジ? などとギャグりたい気持ちを抑えて)

そうなんです、私、値段も大切だけれども、いろいろアレンジできるかどうかがすごい気になるんです

買いたい気持ちを押し込める「アレンジ」、何度も繰り返される「アレンジ」、君はいったい何者か?!

ECサイトのファーストビューは変化を持たせよう

ちょっと他のページも見ていいですか?パンケーキとか気になる

と、フッターの関連商品一覧から「パンケーキ」のリンクをクリックし、羽合さんはページを移動する。しかし、ページが表示されると手が止まった。

何か気になることがありますか?

さっきのページから移動してないのかと思っちゃった。

あまり変わってないので、ちょっと違和感があったの。

なんか、こういうのって、サイトが手抜きされている感じがするんですよね~

たしかに、同じバナーが画面上部にいくつも表示され、ぱっと見では、先ほどのページと内容が変わらないように見える。ECサイトでページが切り替わってもファーストビューが変化しないのは、ユーザーを不安にさせるのだ。ファーストビューで、どのページを開いたか確認できるよう、変化を意識するのは重要だ。

小さくて読めない文字画像は掲載しない

気を取り直して見進める羽合さん。しかし、操作の手が止まりがちだ。

このフレーバーの説明、画像のなかに文字が入っていて潰れているから、読む気が起きない…

そう、羽合さんは、もともと文字を読む気がないのだ。文字が画像になっていて、かつ、読みづらいため、ますますテンションが下がる。

作り方もわからないし、アレンジもよくわからない…。ちょっと買う気が起きないかも

今日、何回目かの、「アレンジ」の出現である。

「すぐわかる」はテンションあがるっ

これはよろしくない、と感じた私は、サイトを楽天店に切り替えた。

あ、ライオンコーヒーの業務用がある! これ、おいしいのよね。

と食いつく羽合さん。ライオンコーヒーのバナーをクリックすると、商品紹介ページにジャンプ。ライオンコーヒーを持った女性のバストショット写真が表示された。写真ごとに、持っている商品の数が異なっている。

量を選んで買えるんだ! こういう、写真見てすぐわかるっていうのが、いいですよね

とちょっとテンション回復する羽合さん。世の中にはたくさんの情報があふれていて、見た瞬間、感覚で理解できないと、じらされていると感じ、他所に行ってしまう人が主流なのだ。

そういえば、先日市原ぞうのくにに行ったときに、推しゾウ「りり花」にバナナを貢いでいたら「じらさないでよ、あなた、バケツにたくさん入っているでしょ」と言わんばかりに、バケツから直接、すべてを持って行かれた。そういうもんだ。じらして構ってもらおうなどという時代は、終わったのだ。

○○映えすると思うと、買いたくなる

続いて、パンケーキのページにもジャンプ。

その瞬間、歓声をあげる羽合さん。

このパンケーキ、超インスタ映えする!これ欲しいかも。インスタ、超やってて。作った後にインスタ映えするかどうかって気になるじゃないですか

なるほど! 羽合さんがこだわっていた「アレンジ」君の正体は、インスタ映えするかどうかの見極めだったのだ! 目から目玉、ひょうたんからゾウ! インスタにアップして、いいねがつくところまでが、彼女たちのお買い物なのだ。

「他のも見る!」と突然やる気を出して回遊する羽合さん。おしゃれ消費は「インスタ映えの提案」が必要だ。インスタ映えするという確信が、「商品購入」ボタンをクリックさせるのだ。

「工夫」「アレンジ」が友達との差別化

続いて見たのは、「パンケーキ」のセール。ここでも羽合さんは前のめりだ。

セールとかは絶対に押さえておきたいし。

アウトレットとか業務用は絶対チェックするの。業務用で量が多くても、ママ友同士で分けたりするから。

こういうおしゃれなものって高かったりするから、どうにかしてお得に買いたいのよね

さらに「雑誌でも紹介された」という説明文が気になったようだ。

『Mart』に載ったんだ! 『Mart』は主婦ならみんな好きな雑誌ですよね~」

雑誌『Mart』(光文社刊)では、さまざまな工夫=アレンジレシピを紹介している。羽合さんが「アレンジ」と繰り返して言っていたのも、この雑誌の影響が強いのだろう。アレンジして、差別化して、インスタにアップできる「わくわく感」がさらなる購入の後押しとなるのだ

あー。これだったら買っちゃう

という羽合さんだったが、ふと写真の横を確認したら「売り切れ」の文字。「でも、家帰ったら探して買っちゃうかも……」と、彼女はるんるんしながら帰っていった。

ユーザー行動まとめだゾウ

ユーザーは、自分自身が賢い消費者でありたいと思っている。「賢い」という言葉の背景には「お得感」があり、「お得感」はつまり、「コスパ」につながっている。

そして「コスパ」は、安くお得に買えた!という「コスト」面から、自分の好みにアレンジできて人に見せられる「パフォーマンス」面にまでつながっている。

この「パフォーマンス」面こそが「インスタ映え」だ。

しかし、ユーザーは商品写真を見ただけでは、感覚的に「アレンジ」を想像できない。アレンジが思いつかなければインスタに載せられないので、「コスパがいい」とは思えない。洋服で言うところの、「着回し提案」に近い。着回し方や小物のアレンジがわかれば、インスタ映えする「賢い買い物」になる。だから、サイト側は、ユーザーに、料金的なお得感だけではなく、パフォーマンスのよさ、つまり、インスタ映えを念頭に置いたアレンジできる「賢さ」を提案する必要があるのだ。

遠足はおうちに帰るまで。買い物はインスタにアップするまで。バナナはおやつに含まれますか、の定番質問で始まる遠足は、「おうちに帰るまで」が鉄則。ECサイトで言うならば、お買い物は「インスタにアップされるまで終わらない」と肝に銘じよう。

さて、今回の羽合さんは、河合さんでもなく花井さんでもなく、そのまんま趣向を凝らさず「はわいさん」!でした(笑)。

【このコーナーに協力いただける、ECサイトさん・企業ホームページさんを大募集!】
~あなたのサイトを無料で「かんたん!おしゃべりユーザーテスト」してみませんか?~

「見るゾウ! 知るゾウ! ユーザー像!」を、いつもお読みいただきありがとうございます。本連載では、「ぜひ、うちのサイトも分析してほしい!」というサイトオーナー様を募集しています。

基本的に、物販などを行っている「ECサイト」または「企業のサイト」が対象です。

  • 自社サイトが、ユーザーからどのように見られているのか知りたい。
  • いまひとつ、自社サイトの構成に自信が持てず、シックリきていない。
  • シルバー層をターゲットに含めたいので、一度チェックしてみたい。

応募いただいたサイトでユーザーテストを行い、記事として公開させていただきます。ぜひご応募ください。

【応募方法】

次の情報を、「editor-tomioka@impressrd.jp」(担当編集:冨岡)までメールください。内容を吟味し、折り返しご連絡させていただきます。

  • 代表者・担当者様のお名前
  • 連絡先(メールアドレス)
  • サイトURL
  • 個人・法人別

※サイト内容やタイミングにより、お採り上げできない場合もあります。ご了承ください。
※記事化を前提としたテストのため、全項目テストやレポートフィードバックを保証するものではありません。
※掲載にあたり、金銭のやりとりは発生いたしません。

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