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MA使い方上級編。Marketoで仮説データをいれてシナリオ設定したまとめ

MAの実践的な上級者向けのエントリーってまだ少ないんですよね。というわけで、マルケトの稲垣さん、大里さんに仮想シナリオをもとにレクチャーしてもらいました。

導入企業も多く出てきたMA。機能紹介や実績を紹介するエントリーの数も増えてきましたが、『こんな条件の時には、こんな設定で進めると良いよ』っていう各ツールの各論に入ったレベルで書かれている上級者向けエントリーってまだまだ全然少ないんですよね。

というわけで、今回マルケトの稲垣さん、大里さんにご協力いただき、詳細な設定部分や事前に知っておくと理解がスムーズだよってところをこちらが用意したデモデータをもとにレクチャーいただきました。

講師:稲垣 亮太さん
株式会社マルケト シニアアカウントエグゼクティブ
2014年9月よりマルケト日本法人立ち上げに5人目・最初の営業担当として参画。現在は人材業界・金融業界・スタートアップ担当として、様々な業界のマーケティングオートメーションの取り組みを支援。運営社会貢献プログラム Marketo Engaged 担当を兼務で運営中。

講師:大里 紀雄さん
株式会社マルケト カスタマーサクセス部ビジネスコンサルタント
Googleアナリティクスを軸としたコンサルティングや、プライベートDMPの構築に長年従事。
多様な規模、業種のお客様にMarketoで成果を出していただけるよう支援を行なっている。

今回の仮説検証の目的は、マーケターの方に、実際に導入したらこんなことするんだよということを「仮説事業」と実際にありそうな「仮想シナリオ」を使って、知っていただくことを目指しています。

そして、何の事業をベースに考えるか?によっても大きく前提が狂ってしまうため、今回は複数店舗をまわす大きめカーディーラーを想定してみました。設定は以下の通り。

  • 仮想事業:全国に複数店舗を持つカーディーラー
  • 商材:2,000種の自動車(新車想定)
  • DB:顧客DB、購買DB、商品DB、店舗DBがある想定
  • 条件:顧客DBと購買DBは連携されていない前提

上記のような(実業務を行う上ではややシンプルすぎますが)DBを持っていると仮定し、こんなことできるかな?と設定した検証項目が以下です。

実際の検証項目

  1. 連携されていないDB①②をそれぞれ取り込んで自動で名寄せできるか
  2. DM受領後に来店したことをエンゲージメント加点対象にできるか
  3. 最終購入日から1,000日後、1,730日後の顧客を自動抽出・メール送付できるか
  4. 来店当日の20時に『来店感謝メール』を配信することができるか
  5. 『来店感謝メール』を開封した顧客に別途クーポンメールを送付できるか?上記のクーポンをもって来店したかしないかを判別できるか
  6. 『来店感謝メール』未開封の顧客にのみ翌月同日に別途クーポンメールを配信できるか
  7. クーポンメールを開封したけど来店しなかった顧客を自動抽出 ⇒ それぞれの「最終購入車型」にあわせた内容のメールを配信できるか


と、あるあるだけど普通にやったらちょっと面倒くさそうな内容をメインに条件を設定してみました。

ちなみに今回の記事ではMarketoについて書いていますが、他のMAツールでも同様の内容を検証しています。そういった中で上記の検証項目を決定しました。

で…結果は?

各検証項目それぞれ、割とシンプルに実現可能でした。

ただし、名寄せについては、メールアドレスを主キーにしなければいけないので、初期のDBに一部加工を施すという対応が必要でしたので後程詳しく紹介します。

他社のツールだと実現が困難だった購買履歴等の連携もカスタムオブジェクトという機能を使い、割とスムーズに連携できました。

また、来店など外部データと連携する際の絞り込みはMarketo内のデータ値変更をトリガーにして絞り込み条件を指定できたり、各種設定もシンプルに実装できました。

一方で、一部前提となる知識によって理解が変わるようなクセや利点もありましたので、以下それぞれ設定時の留意点として解説してみます。

顧客データの名寄せは基本メールアドレスベースで

顧客の情報が複数DBにまたがっていたりする場合、その情報の紐付けはメールアドレスをキーにしています。今回の検証1のような「連携されていないDB間の名寄せ」は各DBにメールアドレスがあることが前提になります。

業務上こっちのDBでメアド持てない!』みたいな場合は名寄せされないため、別途プライベートDMPなどを用いて、データを整理しておく必要があるみたいです。

最初の取り組みでは大変かもしれませんが、顧客とエンゲージメントをはかるためには、大切な準備の1つかなと感じました。

それぞれの顧客の最終購入日を指定するには?

Marketoで、「最終購入日から1,000日後」といった日付を指定したい場合、『今日を軸にした指定方法』を使って対応することができます。

『今日を軸にした指定方法』と言われると「?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、以下のように考えます。

  • 最終購入日から1,000日経過した顧客を絞り込みたい
  • となると『今日』は対象顧客の最終購入日から考えて『1,000日後』となる
  • なのでまず『今日から起算して過去1,000日間』の購入顧客を絞込み
  • さらに『今日から起算して999日より以前に購入した人』を条件追加
  • これで『購入日から1,000日が経過した人』に対し『自動でフィルタが適用される』

※最終購入日が「本日から999日より過去」かつ「本日から1,000日以内」の顧客を指定した場合

直感的には「最終購入日+1,000日の顧客」と考えがちですが、慣れてしまえば扱いやすい考え方です。導入前に知っておくだけでも、ツールの理解度はぐっと進みやすくなるかもしれません。

メール開封後の来店をトリガーとする場合は『期間の設定』がミソ

例えば検証項目2のように『DM受領後に来店したことをエンゲージメント加点対象にする』といったトリガーを設定するのであれば、メール開封イベントに期間の設定を行うのが良いとのこと。

具体的に何日以内に設定するかはシナリオの特性や各マーケターの好みや方針によるとのことですが、例えばこんな感じ。

  • 今日から起算して10日以内にDMを開封した
  • かつ最終来店日カラムが更新されたユーザー

こうしておかないと、極端ですが3年前にDMを開封して来店した顧客も対象になってしまい、本来意図している絞り込みができなくなるということがあるからです。

冒頭で記載しましたが、Marketoの場合DB内のデータ値変更そのものを絞込みの条件にできるため、このあたりは便利ですね。

シナリオ・実業務・取得できるデータのバランスで最適な設定を

今回レクチャーいただいた大里さん、稲垣さんによれば、Marketoは「大人のレゴブロックみたいなもの」とのこと。

目の前で見せていただきましたが、割と簡易なスクリプトで、複雑なシナリオでのメール配信の自動化設定ができたりと、Marketoを使いこなすことで業務効率化に大きく貢献できそうでした。

一方で、自由度が高い分、教育・引継コストが余計にかかってしまう場合もあり、注意が必要そうでした。

当たり前の話ですが、想定しているシナリオ、保持しているデータ、実業務の内容など前提となる条件は導入企業の数だけ存在します。

なので、シナリオや実業務の業態、クセ、人員、取得できるデータのバランスを見て最適な形で組み立てて設定を行うことが、何よりも重要なんだそう。

無数に存在する設定パターンや機能を全て理解する必要なんてどこにもなく、知りたくなったらユーザーフォーラムやユーザーコミュニティで『直接聞けてしまう』というのもまた、直接現場に立つ人間にとっては嬉しい仕組みですね。


以上

Marketoで仮説データをいれてシナリオ設定したレポートをお送りしました。参考にしていただければ。

柿沼 洋介 by 柿沼 洋介
株式会社デルフィス・インタラクティブ、デジタルオペーレション局チームリーダー。 WEBサイト制作会社にてキャリアスタートのはずが、サイト制作はそこそこに、アクセス解析ソフトの販売、セットトップボックス運用など「制作じゃないほう」担当。その後、ファッションブランドにてEC・企業サイトの運営、WEBマーケ、基幹システム等のシステム企画、売上分析等のデータの活用などを経験。現職では、LINEビジネスコネクト開発・DMP開発等のシステム開発プロデュース、データ分析基盤等新規のシステム企画など「最先端のITを使うと何ができるか」を幅広く探求中。

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