ファッションAI『カブキスキャナー』の精度がすごい!新たなEC体験の可能性を感じた
突然ですが、日々の生活の中で「人工知能すげーー!」って感じる瞬間って、正直ほとんどないと思います。
が、着実に生活の中に入ってきています。人工知能の活用の中でもホットな分野の一つがファッション分野。
今回紹介するのはファッションコーデを自動解析してくれるカブキスキャナーという人工知能。
- 写真を送るとファッションを自動解析
- 類似商品をサジェスト
- ファッションコーデまでサジェスト
なんてことをしてくれます。
カブキスキャナーは、#CBKや#CBK magazineなどのファッションメディアを運営するニューロープが開発。数百人単位のモデルのスナップ写真を学習させているそう。
そんなカブキスキャナーの精度、気になりますよね。ということで、まずはカブキスキャナーを実際に使ってみます!
タグ付け、スコアリング、高精度なファッションAIカブキスキャナー
撮影した画像を送って、どのように解析、結果が返ってくるのか、試してみます。
ということで、今回はデジマラボのメンバーの写真を使ってみます。
APIを叩いてみると、こんなJSON結果が。
{
"bounding_box": {
"bottom": 0.89426696,
"left": 0.36884803,
"right": 0.61675334,
"top": 0.5773932
},
"category": "bottoms",
"labels": [
{
"name": "パンツ",
"score": 0.9872995
},
{
"name": "スキニー",
"score": 0.94593155
},
{
"name": "デニム",
"score": 0.94064605
},
{
"name": "インディゴ",
"score": 0.81148225
},
{
"name": "ジーンズ",
"score": 0.6760706
}
]
}
// 省略
おー、それっぽいのが返ってきた! 座標と、その座標に写り込んでいるものが何であるのか、スコアが返ってくるみたいですね。
ちなみにこちらの結果もみてください。
{
"bounding_box": {
"bottom": 0.6016126,
"left": 0.397672,
"right": 0.59761995,
"top": 0.33692026
},
"category": "tops_2",
"labels": [
{
"name": "ロゴ",
"score": 0.89946824
},
{
"name": "Tシャツ",
"score": 0.8382351
}
]
}
Tシャツのロゴまで認識してる!
どうやら着ている服をそれぞれのパーツで認識して、カテゴリ、タグ付け、スコアリングまでしてくれているようです。
実際に人工知能が認識している範囲を可視化してみるとこんな感じ。
めっちゃ正確……!
精度、かなり高そうです。
前置きが長くなってしまいましたが、実際にこれらのデータを元に、写真のファッションに類似した商品などをサジェストしてくるのが、カブキスキャナーなんです。
これ、ビジネスでの活用範囲がかなり広そう。ちなみに、カブキスキャナーの学習データは女性スナップ写真がメインなので、女性の画像にはより詳細なJSONデータが返ってきます。
実際にどうやってビジネスと組みあわせるのか、すごく気になります。
そのあたり含め、さっそくお話を伺ってみましょう。
酒井さん、よろしくお願いいたします。
スナップ写真ビッグデータを学習した人工知能、カブキスキャナーの威力
―高い精度を持つファッション人工知能カブキスキャナー、開発のきっかけはなんだったんですか?
ニューロープは人工知能を開発する以前から、300人ほどのモデルのスナップ写真が並ぶメディアを運営していました。
ユーザーはそこでお気に入りのスナップ写真を見つけたら、類似商品を提携ECサイトで購入できるんですが、この類似商品を紐付ける部分を人力でやっていたんです。
人力だといつまでも工数がかかってしまうので、スケールしにくい。そこを人工知能で自動化しよう、というのがカブキスキャナー開発のきっかけです。
といってあっさりと話していただきましたが、カブキスキャナーには1年半もの開発期間がかかったんだそう。
そこまで踏み出せたのは、人力の時点でスナップ写真によるサジェストがビジネスの観点で効果をだせていたからですよね。
そうですね。ユーザーは普段から自分の気に入ったファッションコーデを参考に買いものをしているので、#CBKや#CBK magazineからのCTRはかなり高いんです。
さきほど工数の話をしましたが、人力だとどうしてもスナップが公開されてから類似アイテムを紐付けるまでタイムラグが生じてしまいます。これもシステム化した理由のひとつですね。機会損失があったんです。
自動化させることで、より早く、ユーザーに適した類似商品を写真のスコアリングの結果からサジェストすることを実現、ということですか。
そんな便利なカブキスキャナーですが、自社メディアだけでなく外部解放もしているんだそう。
すでに、ECサイトやメディアから多くの問い合わせをもらっているらしいのですが、実際どれくらいの導入コストがかかるのか、気になるところ。
ファッション×チャットボットのビジネスインパクトがすごい
―カブキスキャナーの技術的、金額的コストはどれくらいなんでしょうか。
メディア向けには無料で提供しています。ECさんも、かなり抑えられたコストでご導入いただけます。技術的には、数カ所にタグを追加するだけで、様々なリコメンデーションを導入できます。
ビジネスモデルとしては、売上貢献分を手数料としていただく、成果報酬のスタイルを取っています。
APIとしても使っていただけるんですが、その場合は 1リクエストあたり10円からになります。月間リクエストが多ければ1リクエスト1円というような価格帯になってきます。
メディア向けが無料というのが驚き……!
APIは1リクエスト1~10円とのことですが、以前人力で行っていたときは100円のコストがかかっていたんだとか。10分の1、100分の1でなおかつ、それが早く正確にできるとなると、お金にするとすごい効果をうんでそう。。
この導入コストで、技術的な負担もほとんどない、ということもあり、さまざまな業界から問い合わせをいただいているらしいです。
導入事例としては、カブキスキャナーを利用したチャットボットがあります。ユーザーがチャットから写真を送るだけで、ファッション解析・ファッションコーデをしてくれる、という感じですね。
チャットボットは、人ではなく人工知能であることで、相談するユーザーの心理的な負担をなくしてくれます。
人に相談するという点で課題を抱えているぽっちゃりさんたちにフィットしそうだと、ぽっちゃりさん向けにビジネスをなさっているアパレル数社からお問い合わせをいただいたりもしました。
ボットだから、ぽっちゃりした体系の方も気軽に相談できる、お店にいかなくても写真だけで探している服をサジェストしてくれる。
これって、チャットボットと人工知能だからこそ提供できる価値で、使い方次第では提供できるサービスはいくらでもありますよね。
カブキスキャナーが与えるビジネスインパクト、ひしひしと感じます。
カブキスキャナーがアパレルECのユーザー体験を変えていく
―いろいろな可能性を秘めてそうですが、今後の展開はどのようにお考えでしょうか?
アパレルEC市場って、毎年10%強、伸び続けているんです。
人工知能を駆使して新しいユーザー体験を提供しながら、そのアパレルEC市場を取りにいきたいと思っています。
お店に行って、服を選ぶ。これが常識でした。
これからは人工知能によって、写真を送るだけなど、ほとんどコストをかけずに直感的な商品探しや、自分に最適な商品が簡単に見つかるんです。
テクノロジーがますます日常に浸透してる感、ワクワクします!
ファッション人工知能のカブキスキャナー、ただただ驚かされた取材でした。
酒井さん、お忙しい中ありがとうございました!
「BITA デジマラボ」掲載のオリジナル版はこちらファッションAI『カブキスキャナー』の精度がすごい!新たなEC体験の可能性を感じた | BITA デジマラボ2017/10/04
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