Web広告研究会セミナーレポート

日清、KDDI、モリサワなど有名サイトの舞台裏を担当者が解説、Webグランプリフォーラム(後編)

2017年度のWebグランプリフォーラムを受賞したモリサワ・KDDI・日清の担当者たちが制作秘話を語った
Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

企業Webサイトの担当者たちが、互いのサイトを相互評価してたたえるWebグランプリ「企業グランプリ部門」の受賞企業が、サイトの成果や舞台裏を語るWeb広告研究会のWebグランプリフォーラムが2月6日に開催された。

ポーラ美術館、NEC、資生堂、モリサワ、KDDI、日清など、有名サイトの担当者はどのような考えでサイトを運営しているのかが明かされた。

この記事で紹介している事例

企業BtoBサイト賞 グランプリ受賞――モリサワ
Webフォント+レスポンシブWebデザインでフルリニューアル

株式会社モリサワ コーポレートサイト
http://www.morisawa.co.jp/

さまざまなフォント製品で知られるモリサワは、2015年10月、8年ぶりとなる4回目のコーポレートサイトのリニューアルを実施した。

リニューアルのきっかけは、8年の間に取り扱い書体やソフトウェアが急増し、当時想定していたフローのままでは情報提供が難しくなったことだ。また、PCサイトだけでなく、スマートフォンやタブレット向けの情報発信も急務とされた。モリサワの阪本氏は、リニューアル目的およびサイト強化として、次の3点を挙げる。

株式会社モリサワ
阪本 圭太郎 氏
  • あらゆる閲覧環境での情報発信
  • フォントや書体だけでなく、自社開発商品の訴求力強化
  • 国内外へのブランド浸透

リニューアルされたモリサワ コーポレートサイトは、同社の提供する「Webフォント(TypeSquare)」が使われていることが大きな特徴だ。「Webの閲覧体験には、言うまでもなく文字が非常に重要」だと阪本氏は話す。

具体的には、PCやスマートフォンなどの異なる閲覧環境でも同じフォントを利用できるように、「UD新ゴNT」を基本書体に定め全面的に採用している。

UD新ゴNTは、可読性にこだわったユニバーサルデザインの書体であり、従来は画像にしていたメニューや見出しをWebフォントで表示したことで、デザイン性と読みやすさを両立。よりインパクトを与えたいコンテンツには、基本書体以外のWebフォントをCSSで指定することで対応した。

各デバイスへの対応は、レスポンシブWebデザインを採用。画面の横幅が狭まると、フォントも文字幅の狭いものに変更されるこだわりようで、画面内での情報量を維持するように工夫されている。

WebフォントとレスポンシブWebデザインを採用してリニューアル

統一したブランドイメージで世界に情報発信

Webフォントは、現場の運用効率を上げるため、CMSなどの編集システムと連携させた。あらかじめデザインにあわせたCSSを設定しておくことで、コンテンツ作成者が利用するWebフォントを意識せず効率的に運用できるようにしたのだ。

また、従来は画像として作っていた見出しなどの編集効率が向上しただけでなく、書体を適切に変えることで、読み物コンテンツとしての質も向上できると阪本氏は説明する。

Webフォントが随所に活用されている

課題の1つだった国内外のブランド浸透については、日本語以外にも、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語のWebフォントを利用して情報提供している。共通のサイトデザインのなかで文章をローカライズし、統一したブランドイメージで世界に情報を発信する。

モリサワ コーポレートサイトでは、Webフォントを好きな文章で試すことができる書体見本サービスを提供している。リニューアル後は、カタログ的な見本だけでなく、書体専用のデータベースと連携し、入力した文字を任意の書体で表示できる。一方、サイト全体では文字だけでなく画像や動画も活用して、利用シーンを想起させることにもこだわったという。

Webサイトの表現力と作業効率アップを両立

Webフォントを使うことによって、担当者が本来行うべき情報発信に集中できると話す阪本氏。リニューアルの成果として、「滞在時間10秒延長」「直帰率11%改善」「コンバージョン1.9倍」「総ページ数従来比60%」を挙げ、訪問者がしっかりとコンテンツを消費し、サイトの回遊性が高まってきていると説明した。

Webフォントを使うことで、サイトの見た目だけでなく、検索性の向上にもつながる。見出しやデバイスごとの画像を用意する手間が減るだけでも、サイトの運用効率が上がり、情報発信に集中できる(阪本氏)

企業BtoCサイト賞 グランプリ受賞――KDDI
携帯電話と思い出を振り返る体験コンテンツ

おもいでタイムライン
http://time-space.kddi.com/omoide/index.php
KDDI株式会社
西原 由哲 氏

KDDIの「おもいでタイムライン」は、日本で携帯電話が登場してから約30年間の流向やニュースを、携帯電話の歴史とともに体験できるサイトだ。KDDIのオウンドメディア「TIME&SPACE」のコンテンツの1つとして生まれた。

TIME&SPACEは、auやKDDIのサイトとは区別したキャリアオープンのコンテンツを掲載しており、思わず人に言いたくなるような、生活に役立つ通信やITにまつわる情報を、生活者が読みたくなる切り口で紹介している。

どの通信会社も同じだと思われがちななかで、お客様に選んでいただけるように、お客様に寄り添っている身近な存在でありたいと考えている。オウンドメディアでも、お客様の心を動かすコンテンツをお届けし、期待を超える感動を提供したい(西原氏)

業界の枠を超えてさまざまな企業と協力

そんなコンテンツの1つとして、おもいでタイムラインは企画された。企画のヒントは、卒業アルバムの巻末に当時流行っていたモノやニュースが載っているのを見かけ、見事に脱線してしまい、、「30年のケータイの変遷とともに、思い出を振り返る体験型コンテンツは、お客さまも楽しんでいただけるのではないかと考えた」と西原氏は話す。

おもいでタイムラインのコンテンツは、時代ごとの携帯電話の機種を軸として、懐かしい思い出を振り返る「ファッション」「出来事」「音楽」「流行語」「映画」などで構成されている。

コンテンツ制作は業界の枠を超えて進められ、社内部署やグループ会社はもちろん、報道機関や競合キャリアの協力も得て、素材や画像、動画などが集められた。

多数の企業と協力してコンテンツを制作

おもいでタイムラインをきっかけに派生した企画も生まれている。

2016年5月には、携帯電話700機種を図鑑形式で紹介して歴史を楽しめる「auケータイ図鑑」を立ち上げ、数多くのメディアに取り上げられた。

「auケータイ図鑑」を見た人からさまざまなコメントが寄せられたことから、その熱量を可視化したいと考え、2016年7月には「みんなのケータイ図鑑」が立ち上げられた。auユーザーから引き出しに眠っている昔の携帯電話の写真を送ってもらい、思い出として掲載。また、古い携帯電話に眠った写真などのデータを蘇生するリアルイベントも開催した。

さらに、2016年12月にはBEAMSとコラボし、カルチャーを創ってきた携帯電話とファッションを同時に楽しめるタイムラインを公開している。

さまざまな企画誕生の背景

今後の展開について西原氏は、「お客様に寄り添っている身近な存在であり続け、心を動かすコンテンツをお届けすることは変わりがない」と語る。

また、2017年2月からハリウッド映画化10周年のトランスフォーマーとコラボしたクラウドファンディング企画「au×TRANSFORMERS PROJECT」も始動しており、目標金額の100万円を大きく上回る3,200万円以上の支援を得ている。今後もこれらのようなお客さまに寄り添うさまざまな企画をしていきたいと話した。

プロモーションサイト賞 グランプリ受賞――日清食品
企画から公開まで約3週間、消費者の声を受けたスピードキャンペーン

日清食品ホールディングス株式会社
安武 雅之 氏

日清食品の和風カップ麺「日清のどん兵衛」は、1976年に発売されたロングセラー商品。しかし、若者たちの間では「うどんやそばは自分たちより上の年代の食べ物」というイメージがあり、自分たちの食べ物だと思ってもらう必要があった。

そのため日清食品では、若者に向けて、「テレビCMの一新」「テレビCMとYouTubeの連動」「渋谷駅のどん兵衛専門店開設」「プレゼントキャンペーン」などの施策を行ってきた。しかし、これだけでは十分に若者に届いた実感がなかったと安武氏は話す。

一方で、「若者に日清のどん兵衛についてもっと話してほしい」と感じているなかでSNSに目を向けると、「レンチンどん兵衛」や「どん兵衛油そば」などの食べ方が話題になっていた。日清食品では、そのなかでもタレントのマキタスポーツ氏が「どん兵衛にお湯を入れて10分待って食べると美味しい」と紹介したことが話題となっていることに注目した。

SNSの話題はスピードが命だと考える日清食品は、2015年11月25日から話題となっていた10分どん兵衛について、12月8日に企画を提案。12月14日には撮影に入り、12月17日にサイトを公開した。

食品のキャンペーン企画はレシピ紹介が定石だ。実際、どん兵衛には「どんばれクッキング」というレシピコンテンツもあるが、今回の企画は、話題の発信元であるマキタスポーツ氏がラジオで「日清食品は10分どん兵衛を知っているのか」と話題にしたことを受ける形で企画された。

そうして完成したのが、「日清食品は10分どん兵衛のことを知りませんでした」というお詫び文が掲載された、マキタスポーツ氏とどん兵衛担当者の対談コンテンツだった。

お詫びから始まる10分どん兵衛の特設サイト

対談の内容は決め込まずに、ガチンコ対談で進められた。これも、従来にはない企画のユニークな点だったと安武氏は話す。

また、対談企画であれば動画コンテンツも考えられるが、「動画には視聴してもらうためのシナリオが必要でリアリティに欠けること」「撮影から3日以内に公開するには、動画は編集に時間がかかること」が、テキストコンテンツにした理由だった。

台本なしのガチンコ対談。10分どん兵衛の実食もその場の流れで急遽決まった

若者の会話につながる企画をスピード展開

10分どん兵衛のサイトを公開した結果、Webニュースで大きく取り上げられ、Twitterでの話題量が3.8倍となった。また、無関心だった若者がどん兵衛に興味を持ち、実際に試して品質の良さに気づくきっかけとなり、施策直後の週末にはどん兵衛が売り切れる店舗も出てきたと安武氏は説明する。

売り上げにもつながり、キャンペーン実施後の2016年1月と2月の売り上げは、前年と比較して150%を達成した。

日清食品はその後、10分どん兵衛を皮切りに、さまざまな企画を立ち上げ、2016年の1年間で12本の施策を行っている。

若年層の興味が多様化するなかでは響くポイントもさまざまです、一貫性にはこだわらずに、多様な切り口で話題を提供しています。トータルでどん兵衛が話題になっていってほしいと考えています(安武氏)

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