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MA導入3ヶ月で新規獲得3倍と受注率10%UP!Sansanが徹底するマーケティングの『当たり前』

Sansanの石野真吾さんに、MAツールの構築からマーケットを広くとらえたシナリオ設計などマーケティングについてのアレコレをうかがってきました。

おはようございます。アズマです。

今回はもはやド定番となった名刺管理サービス『Sansan』の運営元、Sansan株式会社へ。

超スピードで顧客を獲得し「あ」っという間にグロースしていった感のあるSansanが、実際マーケティングの現場でやってきたこととはいったいどんな施策なのか?

NEXT CMO AWARDでオーディエンス賞も獲得された凄腕マーケター、石野真吾さんに直接アレコレ聞かせていただきました。

インサイドセールス(電話営業)獲得数を2倍に!極端な目標を目の前にまずやったこと

―いきなりですが、Sansanの急な成長を支えたマーケ施策って、実際どんなものだったんですか?

石野さん

―石野
本当にいきなりですね(苦笑) アレですよね?MAとかそっち系の。

であれば…マーケティングプロセスを再構築して受注件数を倍にしよう。という目標をまず決めてからのツール選定という順番での着手でしたね。

僕らが最初に取り掛かったのは『現状の客観的な評価』『効率化可能な部分』の仮説設計でした。

そういって石野さんがお話してくれたのが、以下のような情報構造について。

実は当時のSansanでは、複数のチャネルから獲得したリード情報(顧客候補の連絡先や要望など)がリードデータベース上に散在。同じ人間に対する情報が『登録経路によって複数存在』してしまっている状態だったんだそう。

Before:重複のあるリードDB管理

まずは現状のデータ構造的な課題点を洗い出すために、上記の状態を徹底的に俯瞰・客観分析し、最終的には以下のような形にもっていった。

ということだそう。

After:アドレスユニークなDBとMAツールによる連携管理体制

なんというか、確かにこうして『整理されていなかった頃』として構造を見せられれば重複してしまうのもうなづける。

が、あえてそこから目を逸らさずに向き合って、効率化できる部分はつまりなにか?という一種『誰でも解っているけど ”しかたない” としがちな部分』を徹底的に洗い出すところから着手した…てことですかね。さすが。

―石野
リードデータの精査が行き届かないまま営業活動を行っていたためデータ総量自体はどんどん増え、結果として人間が手作業でやっている部分が非常に多かったんです。

なのでまずはリードデータベースをクリーニングから…といっても、Excelで逐一確認してインポートして…みたいな、すごく泥臭い作業ですけどね(苦笑)
正直何からやったら良いのかよく分かってなかったので。

最終的にデータ総量の20%を削減して、そこからようやく『どこを効率化するべきか?』て考えをスタートさせたイメージなんです。

なんという…

一年前のSansanといえば、既に業界シェアの8割を獲得。契約済みの企業で4,000社を突破していた頃のハズですから、どう少なく見積もってもその営業先リストの精査となると数百万単位になるはず…。

ちょっとさすがに詳細なリード件数までは教えていただけませんでしが、ここで「たくさんあるから無理。いつかやろう」と逃げずに真正面から人力で向き合ったってのは、すごい覚悟ですね。。。

―石野
そうですか?
まぁ確かに大変でしたが、この整理整頓フェーズがあったからこそその先の具体的なアクションを設計できたんだと思っていますよ。

優秀な営業とそうではない営業の差分は何か?目をつけたのはシンプルなタスクリストと「判別基準」だった

―おお。ぜひぜひ、その具体的なアクションプランについて細かく教えていただきたいのですが…

―石野
そんなに特別なことじゃないんです。ただリードが整理されて、人力で作業する部分が減って、結果として「見る余裕」が生まれたんです。

で、注目したのが『優秀な営業』と『一般的な営業』に具体的な行動の差分は存在するのか?でした。

石野さん

―石野
結局、「事前の情報取得」とか「翌日までのお礼メール送信」だとか。あるいは「リードに動きがあった時のフォロースピード」だったりとか。書き出してしまうと非常にシンプルなんですが、そこが大きく違っているということがヒアリングからわかったんです。

そして見えてきたのが『成績が良い人ほど抱えているリードの数が少ない』という事実でした。

なんというか、経験を積んだ優秀な営業さんって「リードの温度感(ホットなのかコールドなのか)」の判別をつけるのが上手くて、だからこそホットな所への手厚いフォローが獲得率に寄与しているって分かってきたんですよ。

なるほど。言われてみればまさにその通り。

この事実に基いてSansanが実際に行った施策が、以下のようなものだったそう

  • データ上「すぐに商談に繋がらないコールドなリード」と判断されたものは一旦レポート画面から削除
  • 裏側で自動メールによって関係を繋げ、リードがメールを開いてリンクをクリックするとホット状態に
  • ホットな状態のリードへのフォローが行われなければ、今度は営業側にアラート発報

なんともシンプルですが、これにより受注率はなんと10%も向上。シレッと言ってますがとんでもない数字です。

つよい。

効率化を進めればマーケットはシュリンクする。自動化することの本当の意義

―凄いですね。やはりキチンと整理して自動化と効率化を実行するというのが大事なんでしょうか?

―石野
そう…とも言えますが、それだけじゃ駄目だと思っています。
確かに効率化を行っていけば無駄はなくなっていくんです。が、そのまま進める”だけ”となってしまえば数字はいずれ小さくなってしまいます。

打てる施策の幅は効率化すればするほどシュリンクするんです。

石野さん

―石野
あまりに省力で作業することに特化してしまうと、もう新しい発想は生まれにくくなっていきます。

なので、僕らは『新しいことを考えるアタマを使う。そのための時間を作る』くらいのスタンスでMAなどを活用しているんです。
例えば今日本郵便と取り組んでいるオフラインDMの効果測定実験…なんかもそうですね。

そう言って石野さんが教えてくれた日本郵便×Sansanの取り組みは以下のようなイメージの新規マーケティング施策。これまたシンプルですが、面白いです。

  • 品質の良い紙でなるべく開封してもらいやすく作ったシンプルなDMを用意
  • 限定ホワイトペーパーがダウンロードできるユニークURLを全DMに付与して送付

※詳細情報は先日ITpro Marketingで公開されてたのでこちらもチェック!

オフラインDMというレガシーな手法に対し、これまた「誰でも思いつくけど面倒(高額)すぎて誰もやらなかった 1 to 1 マーケティング」を実行してみた。といったところでしょうか。

実際の開封率もかなり高かったらしく、既にいくつもの実績がある日本郵便とSansanのコラボである以上、近いうちに多用されるマーケティングツールになるかも…?ですね。

いやそれにしても、オフラインDMでもって1to1な施策打ってみるとか…たしかに業務に忙殺されてたら考えることもできないでしょうね。。。(たとえ暇でも思いつく人は少数でしょうが)

―石野
デジタルやアナログというのは手段のひとつで、MAなどのツールを使うのも手段のひとつ。
つまりMAはターゲティングと顧客接触のタイミングを計れて最適化できるツールと考えることができれば、やれることの幅はいっきに広がっていきます。

まとめ:インタビューを終えて

さて、今回で3回目を迎えたデジマラボの「マーケター行脚」シリーズ、いかがでしたでしょうか?

Sansan石野さんの目標を立て、面倒から逃げず、効率化とその先を見据えたスタンスは一見「ごく普通な当たり前」の思考に見えます。が、見て知るのとやってみるのとの間に横たわる巨大な溝たるや…。 毎度毎度のことですが今回も心のどこかに火を入れてもらいつつ、若干凹んだりもしたアズマなのでした。

デジタルとアナログを分ける必要などなく、デバイスも体験もまたいだ超クロスチャネルな施策思考など、僕らもぜひマネしていきたいですよね。

それでは!

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