初代編集長ブログ―安田英久

校閲ガールにも教えてあげたい 校閲・校正 8つのツボ

「校閲・校正」という表現は使わなくても、オウンドメディアやメルマガのコンテンツを作る人には大切なことです
Web担のなかの人

今日は、オウンドメディアやメールマガジンのコンテンツ作りの際に、文章の質を高めるための「校閲・校正」のポイントをお届けします。20年の編集者人生で学んだノウハウです。

そもそも「校閲・校正」って何?

ドラマ「校閲ガール」が始まりました。カドカワさんで撮影しているらしいということや、「あんなの校閲じゃない」と本職から突っ込みがあるけどドラマだからいいじゃないかとか、いろんな話がありますね。

さて、「校閲」「校正」とは何でしょうか。

校閲ガールのサイトに、こんな解説があります。

校閲【こうえつ】

文書や原稿などの、内容の誤りや不備な点を調べ、直し正すこと。

一般には、「校正」が日本語としての文章や文字を直すことで、「校閲」が事実関係や論理構成を確認して正すことのように言われることが多いですね。

要は、「正しい・適切な文章になるように」チェックして直すことです。

私は20年以上にわたって「編集」の仕事をしています。本職の校正者さんにお仕事をお願いすることは減り、校閲・校正もほぼ自分でするようになっていますが、本職の人ってすごいです。

何がすごいって、プログラミング書籍のサンプルプログラムで料理のレシピを出力するものがあり、その内容に対して、校正者さんがこんな赤字を入れてきたことがあったという話を聞いたことがあります。

「2人前」とありますが、この分量だと3~4人前になります。また、一般的なレシピと比べて、じゃがいもが多すぎるようです。

編集者はプログラムの正しさや日本語は意識していても、さすがにここまではチェックできませんよね。さすが本職です。

校閲・校正のツボ

さて、「校閲・校正」という表現は使わなくても、オウンドメディアのコンテンツを担当している人や、メールマガジンの原稿を作っている人なら、同じようなチェックはしているはずです。

慣れた人でも見逃しやすい校閲・校正の落とし穴や、効率良く作業するためのポイントなどを、いくつか紹介しましょう。

1回に1つの作業をする

基本中の基本ですね。「文字校正をするモード」と「内容の正しさをチェックするモード」は、脳みそが異なります。

同時に両方をやろうとすると、どこかでどちらかが薄くなり、ミスを発見できずに見落とす可能性があります。

慣れていないときほど、まずは内容をチェックするモードで1回全体を通して、それが終わったら細かい文字表現をチェックするモードで全体を通すなど、「1回に1つの作業に集中する」ようにしましょう。

ミスのそばにミスあり

変換ミスや同音異義語などのミスを見つけたとします。赤字を入れますよね。

問題は、そのタイミングです。

人間、1つのミスを見つけたらそこで安心しがちで、その直後にほかのミスがあっても、見逃してしまいがちなのです。

1つ見つけたら、その周辺にもほかのミスがある可能性があることを忘れずに、気を抜かずにチェックを続けましょう。

連続していないところに注意

文章がつながっているところは問題なくても、連続していない部分ではミスがあっても見落としがちです。

Webコンテンツでいうと、行の折り返しをまたぐ単語・文節ですね。

または、本文の横に流している図版のキャプションも、非連続なので注意が必要な点です。

ほかにも、Webコンテンツでも印刷してチェックしているのならば、ページが切り替わる部分をまたいでいる文章も、ミスを見落としがちです。

大きな文字ほど見落としがち

不思議なものですが、大見出しやキャッチなど、大きな文字の部分ほど、ミスを見落としがちなものです。

雑誌の表紙で、校了の直前になって人名や社名のミスに気づくなんてことも、しばしばあります。

1行目と最終行も見落としがち

これは校閲者さんだとだいじょうぶでしょうけれども、我々のような編集者がやりがちなミスです。

「見出し」「キャッチ」「1行目」「最終行」を、気がつくとスルーしてしまっているというものです。

どうしてそうなるのかわからないのですが、編集者は、そういう習性があるようなのです。私だけでなく、他の編集者にも同じようなことがありました。

あとは、章や記事の最後のほうになると、集中力が切れてミスをスルーしてしまうのも、編集者にはありがちですね。

数字を見落とさない○つのポイント

数字が入っている部分は、意外とミスが起きやすいものです。

たとえば、記事タイトルで「~~をうまくやる7つのポイント」としているのに、本文ではポイントが6つしかないとか、けっこうあるんですよね。

あとは、「その1」「その2」のように連番で解説している部分が、正しく順番になっているかも注意が必要です。チェックしないと、10回に1回ぐらいズレていたり抜けていたりするものです。

「図1」「図2」のように図表番号を付けている場合に、その番号も連番が正しいかをチェックするのは大切です。また、本文から「図2を参照」のように図表参照している場合は、指している先の番号が間違っていないか、必ずチェックが必要です。

書いた人とチェックする人は別にすべし

原稿を執筆した人と、できた原稿をチェックする人は、別であるべきです。

書いた人は中身が頭に入っているので、凡ミスがあっても脳内で自動修正してスルーしてしまいがちです。

校閲ガールの第1話でも「初校と再校は別の人が担当するもの」という話題がありましたが、これも同じことですね。

自動化すべし

この時代に、目と脳みそだけでチェックするのも非効率です。

たとえばWordに貼り付けて[F7]キーを押すだけで、基本的なチェックは自動的にやってくれます(文章校正のオプション設定をちゃんとやるとより良くなります)。

また、Webコンテンツでは、辞書や機械学習をうまく使って、「ここミスしていませんか?」と自動的に指摘するような仕組みを作るという手もありますね(まだ日本語に関して決定版的な仕組みは世の中にないようですが)。

修正前後でどこがどう変わったのかを見やすく示すDiff(差分表示)のプログラムも、うまく使うとチェックを確実かつすばやくできるようになります。

文章のチェックというのは、まだ完全に自動化はできません。でも、自動化の仕組みを入れることで、人間が見落としたものを発見する最後の砦を追加できます。

そういう仕組みをうまく作っていくのが、イマドキの校正だと私は思います。

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