新しい顧客接点を生むWebプッシュ通知の活用法&ベストプラクティス

新しい顧客接点を生むWebプッシュ通知の活用法&ベストプラクティス――前編:Webプッシュ活用の基本

プッシュによるメッセージ配信をブラウザで実現する「Webプッシュ」を最大限に活かすためのベストプラクティスを紹介
新しい顧客接点を生む
Webプッシュの活用法
Push Notification Best Practices

2016年一番の話題の機能は、Webプッシュ(=ブラウザプッシュ)になりそうです。

Webプッシュは、いままでアプリでしか実現できなかったプッシュによるメッセージ配信をChrome・Firefox・Safariなどのブラウザで実現できるというもの。

アプリがもつ最大の強みの1つ「プッシュによるコミュニケーション」をWebでお手軽に実装できるとなれば、Eコマースをはじめコンバージョンや売上を目的とするWeb担当者にとっては、効果に直結する武器になります。

また、最近メールではリーチできなくなったLINE族などのユーザー層にも有効な手段となり得ます。

さて、この注目のWebプッシュはどのように活用すればいいのでしょうか? またその効果をどう測定すればいいでしょうか?

Webプッシュが効果につながりやすいからといって、無闇にプッシュ通知を乱発してしまうのは危険です。なぜなら、そうすることでユーザーが次第に「Webプッシュ=スパム」という認識をもち、Webプッシュという仕組み自体が衰退してしまう可能性があるからです。

魅力いっぱいのwebプッシュを最大限に活かすためのベストプラクティスを紹介します。

つながるお客さま

つながるお客さま(Connected Customer)

今日、モバイルの普及により、そのトラフィックはPCのトラフィックを大きく越えています。モバイルは、より多くの人々をネットにつなげています。行動スタイルも大きく変わりました。いつでもどこでもWebアクセスが可能になり、人々は朝起きてからから夜寝る時間までつながり続けています。そして、オンラインショッピングはますます当たり前の習慣となっています。

しかし、お客さまの期待に応えているリテーラーはどれくらいいるでしょうか?満足のいく品質や性能のいいモバイルサイトを持つリテーラーは、ごくわずかです。だからこそリテーラーにとってモバイルでつながる時代は新しい可能性であり、ビッグチャンスといえます。

Nielsenの調査によると、スマートフォンやタブレットの所有者のうち、87%の人たちは、なんらかのモバイル端末でショッピングをおこなっています。注目すべきは、お客さまは商品を購入する時にだけモバイル端末を利用するのではありません。店舗を検索したり、値段を確認したり、購入前に商品を調べたり、レビューを探したり、質問を投稿したりと、さまざまな瞬間(マイクロモーメント)に自身のモバイルを利用します。

また、こうしたモバイルの時代には、お客さまの来店だけでは安心はできません。お客さまがわざわざ足を運んだとしても、彼らのロイヤルティを得たことにはならないからです。

Sessionの調査では、お客さまのうち9割は店舗内でモバイルを使用していますが、54%は競合店での値段を確認し、48%の人たちは商品情報を調べます。また57%の人たちは、店舗内でプッシュ通知を活用していない店よりも、活用している店で購入する傾向にあります。

お客さまの購入パターンは、もはや簡単な予測範囲にとどまりません。彼らは、家、カフェ、ゲーム内、電車内、店内のあちこちで、購入に関わるあらゆる行動を取ります。またお客さまは、リテーラーに対して高い要求をします――彼らは、リテーラーに対し、自らの場所を把握させシームレスに追尾し、ニーズを予測し、欲しい商品を欲しいタイミングで届けることを期待します。

この感覚を理解するためには、もはやモバイル端末を小さなPCとして捉えてはいけません。「つねにWebに接続されているお客さまへのリンクとして捉えていく」必要があります。そしてすべての機能――Web、ネイティブアプリ、プッシュ通知、GPS、音声、画像、決済などの機能をフルに活用する必要があります。

本題のプッシュ通知は、これまでオムニチャンネルでの販売戦略の中では見落とされた機能でした。しかし、プッシュ通知を上手に活用すれば、顧客獲得の上での強力なツールになります。お客さまは、毎日、膨大なEメールを受け取っていますが、プッシュ通知であれば、顧客にとって意味のある情報のみを届けることができます。つまり、個人に向けた適切なプッシュ通知なら、彼らへのノイズを減らすことができます。

正しい方向に「プッシュ」する

プッシュ通知は、それぞれのお客さまに向けてターゲティングし、インタラクティブにショッピングを手助けできるメッセージ機能です。

お客さまがオプトインした後は、個人に最適化された情報がデバイスのスクリーンに直接表示され、適切な情報を伝えることができます。プッシュ通知機能を用いて、脈略があり、時間、場所、行動に対して最適なメッセージを送ることができれば、お客さまを購入に向けて強く後押しすることができます。

プッシュ通知の例

お客さまがお店の近くを通りがかると、すぐにスマートフォンのスクリーン上にプッシュ通知が届きます。

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個人に向けた最適化: あるお客さまは、特定の商品ページを過去2週間に3回ほど訪問している

正しいタイミング: 彼女はある店舗の近くを歩いている

成功例: 個人に最適化されたタイミングで、お客さまに適切なオファーを行い、そのまま店舗での購入へ進めます。

プッシュ通知を受け取った時のお客さまの行動

65%: 確認後、興味があれば開く
16%: 確認後、即座に開く
10%: 通知だけを読む
6%: 時間を置いた後に通知を読む
2%: 通知を無視する
ソース: Salesforce Marketing Cloud

最適化されたコンテンツでお客さまを惹きつける

お客さまは、リテーラーに対して自分のニーズを完璧に理解して対応することを求めています。最近の調査では、お客さまのうち78%はパーソナライズされた提案をするショップにおいてリピーターになりやすいことが分かりました。タイムリーに個人にターゲットされたプッシュ通知は、ショッピング・エクスペリエンスそのものを向上させます。ちなみに、プッシュ通知をすぐに読まないユーザーは、全体の8%しかいませんでした。

お客さまの信用を得ることは最大の課題です。関係のないプロモーション情報ばかりを送りつければ、すぐにお客さまは離れてしまいます。逆に、お客さまに向けた特別なメッセージであれば、さらにいい関係が築けるはずです。役に立つ、価値のある情報を提供し続ければ、お客さまはプッシュ通知に必ず応えてくれるでしょう。

正しいタイミングを予測する

プッシュ通知によって、商品購入やリサーチをするタイミングで、適切な情報を送ることができれば、お客さまの購入行動を支援できます。大切なのは、ユーザーがモバイルに触れている正しいタイミングに適切な情報を送ることです。

お客さまがWebサイトで商品を閲覧した後に実店舗に入っていった場合、彼らは購入する準備があると考えます。実際に73%のお客さまがオンラインで商品を調べた後に実店舗で購入しています。

また店内での割引情報のプッシュ通知は、お客さまを購入に向けて後押しします。一方、店舗とは関係のない場所にいるお客さまには、プッシュ通知で新商品の紹介を提供します。お客さまのそれぞれのステージに合わせて、これらのメッセージが用意できれば、より効力を発揮することでしょう。

メルマガ・プッシュの魅惑とは?

お客さまがメールマガジンに登録する理由のひとつは、「割引クーポン」です。しかし、メルマガに比べてプッシュ通知では、「割引クーポン」を理由に登録するユーザーは多くありません。80%のユーザーはクーポンのためにメルマガに登録します。同じくプッシュ通知に登録するユーザーは52%にとどまります。

プッシュ通知に登録する第2の理由は、パーソナライズされた通知を受け取るためです(46%)。お客さまはこれからのセールやプロモーション情報の入手をメルマガに期待している一方、個人にターゲットされた情報や短期的な情報は「プッシュ通知」で受け取ることを期待しています。

メッセージの割り振り方

メルマガの場合、受信箱の中で多くが埋もれてしまう一方で、プッシュ通知は、発送、カスタマーサービス、クーポンの期限など、緊急の情報をより巧みに伝えてくれます。

一部のお客さまはメルマガによる時間に余裕のあるコミュニケーションを求めます。一方で、そのほかお客さまはプッシュ通知での素早いコミュニケーションを好みます。

以下は、メッセージの割り振り方に関するポイントです。

  1. メッセージの緊急度を決める

  2. 想定されるお客さまのEメール/プッシュ通知の推奨度を考える

  3. 緊急度と推奨度でxyグラフにマッピング

  4. 想定されるお客さまに合わせてEメールまたはプッシュ通知のキャンペーンをおこないます

Webプッシュの使い方を解説するこの記事は、3回連載でお届けします。

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