コンテンツマーケティング成功の鍵となる5つの課題と解決策: 起案書テンプレ&外注選びチェックシート公開!
競合他社がマーケティングオートメーションツールを導入したというプレスリリースを見た役員が「マルケトとかいうやつ、いいらしいじゃないか。うちも導入できないか検討してみろ」と言い始めた。
どうやら、魔法のツールで、それを入れるだけで何もかもうまくいき、売上が上がると思っているようだ。
さらに、他社がオウンドメディアを強化してコンテンツマーケティングを開始したということを耳にして、「うちでもコンテンツマーケティングをやるように」とも言い出した……。
こんなワンシーンが企業で増えているらしい。
そこで今回は、この分野に詳しい戦略コンサルティング会社の株式会社フィールドマネージメントの吉本貴志氏とランサーズ株式会社の幸村潮菜氏に取材して、企業がコンテンツマーケティングやマーケティングオートメーションに取り組む際の課題と成功の秘訣をお聞きした。
記事の後半では、フィールドマネージメントが指南する起案書テンプレートと外注選びチェックシートを紹介しているので、自社で取り組む際に活用にしてほしい。
9割の企業が、コンテンツマーケの“検討フェーズ”から1年以上も抜け出せずにいる
さて、冒頭で示したワンシーンは、競合他社の状況を非常に気にする、たとえばナショナルクライアントのような大手に多い。
吉本氏によれば、そのような企業には「競合のあの会社はやっているのに、わが社はやっていないということが許されない空気がある
」という。
あるいは、コンテンツマーケティングのセミナーに参加してきた担当者から話を聞いた事業部長が、「それならうちもやろう」と言い出すケースもあるだろう。
コンテンツマーケティングへの取り組みは、上からオーダーが降ってきて始まる「トップダウン」が、意外と多いのだ。
やることが大筋で決まり、予算も付いたのに、その先が進まず検討フェーズから抜け出せない企業が多い。
マーケティングの担当者としては、トレンドでもあるし、効果がありそうなので、やってみたいという気持ちはある。
コンテンツマーケティングをやることは大筋で決まり、予算も付けてもらえそうだ。しかし、先が進まない、検討フェーズから抜け出せないという企業が多い。
ここで挙げた例は、フィールドマネージメントとランサーズが企業に対して行ったヒアリング調査で出てきたものだ。幸村氏によれば、「コンテンツマーケティングへの取り組みを決めた企業10社のうち9社は、1年たってもまだ検討段階にある
」という。
また、とりあえずマーケティングオートメーションのツールを入れてみたものの、うまく回らないという企業も多い。
コンテンツマーケティングでは、コンテンツの質と量が必要になる。検索エンジンからのニーズに応えるには質の高いコンテンツでなければならないし、ソーシャルメディアごと、セグメントごと、シナリオごとにコンテンツを出し分けるなら、数も必要だ。しかし、ツールはそのどちらもサポートしてくれない。
他のマーケティング施策では、「作って出せばそれで終わり」というものが多い。テレビCMやウェブのキャンペーンもそうだ。しかし、コンテンツマーケティングでは、セグメントごとに少しずつ継続して出していくことができるし、そのほうが効果は高い。運用とPDCAこそが重要なのだが、そのことを理解している経営層は、非常に少ない。
吉本氏は、コンテンツマーケティングが検討フェーズから抜け出せない理由を、次の5つに集約する。
- 提携する会社(ツールベンダーや運用会社など)の名前が知られていないと通らない
- 予算の確定が難しい
- 既存のマーケティング施策との調整がつかない
- 実際に運用できるベンダー選びのノウハウがない
- 社内で人がアサイン(割り当て)されない
この5つの課題をどのように解決すればいいのか。次は、それぞれの理由を掘り下げて整理してみよう。
検討フェーズから抜け出せない5つの理由
検討フェーズから抜け出すために、越えなければならないハードルは5つある。まず、決裁が下りない理由を整理してみよう。
理由1提携する会社(ツールベンダーや運用会社など)の名前が知られていないと通らない
大きな会社ほど、この傾向が強い。取引実績があるか、よほど有名な会社でないと、「そんな知らない会社はダメ」と突き返され続けて、先に進まない。
理由2予算の確定が難しい
予算を決めるためには、投資に対する効果が明確でなければならない。しかし、デジタルマーケティングの経験がないと、予算の妥当性が判断できない。
リードのクオリティを重視する不動産や人材などの業界は効果がわかりやすい。しかし、コンテンツを見てから購買に至るまでのプロセスが長い一般消費材などは、どこに効果があるかわかりにくい。予算の妥当性が説明できないと、決裁は下りない。
理由3既存のマーケティング施策との調整がつかない
既存のマーケティング予算内に収まるのであれば比較的スムーズに進むが、できるだけ早く始めた方がいいので今期からやろうとすると、既存の広告などを削ることになる。その調整に非常に時間がかかり、話が進まない。このため、既存のCMなどのチームが反対勢力となりやすい。
さらに、実際のプロジェクトをうまくまわすためのハードルもある。
理由4実際に運用できるベンダー選びのノウハウがない
コンテンツマーケティングは、作って終わりではなく運用し続けなければ意味がない。しかし、上層部には運用に対するイメージがなく、ツールを入れればできると勘違いしているケースがある。
コンテンツマーケティングにはコンテンツが必要であり、ツールはコンテンツを作ってくれない。にもかかわらずツール導入が目的化していると、結果的にプロジェクトは失敗する。
理由5社内で人がアサイン(割り当て)されない
大企業でも、コンテンツマーケティングにアサインされるのは多くても4人程度、1人ということも珍しくない。人が足りないなら外注を使えばいいのだが、ウェブ関連の外注は単にHTMLを書いてもらうだけという付き合い方が多く、企画する、運用スキームを組む、PDCAを回すといったことができる提携先を探せない。
稟議で通すための企画書テクニック&外注のためのノウハウ
コンテンツマーケティングの取り組みにおける典型的なハードルを5つ示した。言い換えればこの5つをクリアした企画書を書けば、決裁は下りやすく、コンテンツマーケティングのプロジェクトは成功する。
まず、企画を成功させるためのツールとして起案書のテンプレートを用意したので、参考にしてほしい。
さらに、先に示した5つの課題解決の方法を次に示す。
解決方法1上層部にもよく知られている有名会社の名前を前面に出す
使うツールや運用する提携先などを組み合わせ、有名な名前を前面に見せるように工夫すれば決裁は下りやすい。
たとえば、大企業では「マルケト」や「カヤック」の知名度が高い。もちろん、どのツールとどの会社をどう組み合わせて、いかに運用するかという全体の構成は、担当者が考えて作らなければならない。
解決方法2スコープを小さくしてスモールスタートする
いきなり大きな予算を獲得するのは難しいため、スコープを小さくしてすぐに効果を出せる小さな範囲から始めるとよい。
効果測定は、購買をゴールに設定すると効果が出るまで時間がかかるので、コンテンツを見た人数や滞在時間など、すぐに効果が見えるものに設定する。デジタルに詳しくない上層部であれば、それで納得してもらえる。
また、滞在時間が伸びて本当に効果があるのかという質問には、広告換算してGPRでいくら相当という説明でわかってもらえる。換算のロジックは決まったものはないので、使えそうなロジックを自分で組む。海外のコンテンツマーケティングでは、ブランドリフトによりPOSがどのくらい動くという捉え方ができているので、それが標準化されるとドラスティックに動くかもしれない。
さらに疑問を持つのはある程度詳しい人なので、その場合は次のステップや全体の戦略を説明する。
解決方法3他社の成功事例を出して説得する
抵抗勢力とのせめぎ合いでは、思い切ったことができる会社は効果が出ているという事例を見せるといい。
たとえば、テレビCMの効果は認知度を高めることで、その先の検討プロセスへ進めることはできないため、100%認知されている商品にはあまり効果がない。そこで、ある食品会社ではテレビCMをやめて完全ウェブにシフトしたところ、年間2~3億円だったコストは3000万円になり、売上は落ちるどころか微増だった。
また、認知を得た後の消費者とのコミュニケーションによりブランドイメージをリフトアップすることは、認知獲得施策の効果をより上げるので、コンテンツマーケティングはテレビCMの敵ではないとわかってもらうことも有効だろう。
解決方法4ベンダー選びでは具体的な質問をする
コンテンツはどう作るのか、PDCAをどうまわすのか、運用のサポートはどこまでかなど、具体的な質問をして、それにきちんと答えられたベンダーを選ぶ。チェックリストには、たとえば以下のような項目を入れるといい。
解決方法5外注予算を立ててみる
人手不足で先に進まない場合、実際に外注予算を立ててみると、意外と安いことに気付くだろう。会社によっては、想像していた予算の1/10だったということもある。それは、SIerに業務システムの構築を委託した場合の金額をイメージしているためだ。
コンテンツマーケティングの運用を委託するのは、それよりもかなり安い。コンテンツの企画からデータを見ながらの運用、既存コンテンツのフィードバックやコンテンツ制作のディレクションまで含めて3~5人程度でまかなえ、金額的には300~500万円/月程度というところだろう。
ただし、それを受託してくれるサービスベンダーは、実はあまりない。人手がかかる部分でもあり、ツールベンダーや広告代理店は手を出したがらない分野だからだ。それを、クラウドソーシングを使ったサービスで提供する会社がある。
- 上層部にもよく知られている有名会社の名前を前面に出す
- スコープを小さくしてスモールスタートする
- 他社の成功事例を出して説得する
- ベンダー選びでは具体的な質問をする
- 外注予算を立ててみる
コンテンツマーケティング運用をお任せできる「ランサーズ for Business」
クラウドソーシングは、発注する企業が各個人と契約する必要がある。このため「大量に発注したい」や「複数種類の業務がある」という場合は、複数人に依頼しなければならず、発注側の手間が大きい。これを解決するサービスがランサーズ株式会社が提供する「ランサーズ for Business」だ。
ランサーズといえば、クラウドソーシングのサービスとして知られており、一般的には「フリーランスに仕事を発注できる場。ただし、結果の責任は発注側が持つ」というイメージではないだろうか。
しかし、「ランサーズfor Business」では、プランニングから依頼相手の選定といったコンサルティング、さらに案件のプロジェクト管理まで依頼できる。
たとえば、ウェブ制作に必要なコーディング、コンテンツや記事の作成、バナー制作などのディレクションをランサーズが行うことで、一括で発注可能となる。さらに、ランサーズに登録しているプロッフェショナルな人材のスキルや得意分野を熟知しているランサーズ自身のプロジェクトマネージャーがディレクションを行うことで、品質や納期に関するクライアントの不安も解決できる。
ランサーズfor Businessについて、幸村氏は次のように説明する。
「現場のエグゼキューションをサポートしていて、マーケティング戦略との乖離を感じることがありました。ウェブやコンテンツを言われたとおりに作りますが、これを誰に対して作るのか、作ったものが本当に届いているのかを検証するプロセスが抜け落ちたり、全然わからなくなったりしてしまうことがよくあります。
マーケティングの全体戦略に応じてやったほうが効果が出るにもかかわらず、制作したけれど成果が出ないのは不本意でした
」(幸村氏)
ただし、制作の請け負いがメインであるランサーズが、いきなりマーケティング戦略の策定からお手伝いしますというのも無理がある。そこで、おもにB2Cマーケティングのコンサルティングで実績のあるフィールドマネージメントとタッグを組んで、サポートの内容を拡充した。
吉本氏は、その背景を次のように説明する。
「ナショナルクライアントなどのマーケティングを長く手がけてきましたが、そもそもマーケティングの理解自体が、日本ではまだ進んでいません。
デジタルマーケティングやコンテンツマーケティングといった、新しいマーケティングにはほとんど手を付けられていない企業がまだたくさんあるのです。それでは競合に負けてしまうので、新しいマーケティングをやりましょうと提案したかったわけです。
そのとき、先進的なデジタルマーケティングの実務をやっているランサーズが、戦略などの上流部分にまでビジネスを広げたいということだったので、一緒にやりましょうという話になりました
」(吉本氏)
「ランサーズ for Business」に依頼するメリットは、大きく2つある。
- 戦略から実務まで一気通貫
- しがらみがないので最適なソリューションを提案
「戦略部分からコンテンツ制作までとおしてやってほしいというニーズは、クライアントも非常に強く感じている
」(吉本氏)。つまり、そこが分断されて失敗した経験があるということだろう。
たとえば大手広告代理店などもマーケティング戦略からデジタルマーケティングまでをカバーするが、デジタルの実務は別の会社に再委託するケースが多い。また、どうしても重視したいチャネルがあり、マス広告に偏りがちだ。もちろん、フィールドマネージメントが考える全体戦略でも、必要であればオフラインの施策を企画する。しかし、しがらみなく、最適なソリューションを提案できることが「ランサーズ for Business」の特長だ。
コンテンツマーケティングを通すための起案書テンプレート
コンテンツマーケティングの業者選びに失敗しないためのチェックシート
記事で紹介した、フィールドマネージメントが指南し、ランサーズ内でも実際に活用している、コンテンツマーケティングを通すための「起案書テンプレート」と「業者選びに失敗しないためのチェックシート」のPDFが以下のページでダウンロードできます。
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