あらゆるチャネルで一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを実現するための近道とは
一貫したカスタマーエクスペリエンスを実現するためには、Webサイトの制作プロセスの効率化・最適化が鍵となる。今回は、アドビならではのソリューションを紹介しよう。
アドビは、カスタマーエクスペリエンスコンファレンス2015において、ソリューション コンサルタントとしてデジタルマーケティングツールを提案している磯田 義雄氏が登壇し、カスタマーエクスペリエンスを最適化するAdobe Experience Managerの実際を、デモを交えて紹介した。
消費者行動調査から明らかになった、ビジネス阻害要因
テレビ/新聞/雑誌を見てWebサイトで調べる人は88.3%、店頭で気になった商品をWebで調べる人は52.3%。……これは、アドビ システムズが日経BPコンサルティングに委託して、2014年10月に実施した消費者行動調査の結果から見えてきた姿だ。
多くの人がマス→デジタル、リアル→デジタルの行動をしていることが分かる。また、Webサイトで以下のような問題のある体験をした人は、「たまにある」を含めるといずれも60%以上だった。
- ページによって情報が矛盾
- 他のメディアと情報が矛盾
- 詳細な商品情報のリンク切れ
- デザインに統一感がない
- 古い情報が残っていて混乱
- 問い合わせなど必須の機能がない
さらに、このような問題のあるサイトでは、62.6%の人がサイトを離脱してしまうという調査結果になっている。認知から購買に至るまでの流れの中で、Webでの体験が悪いために広告投資が無駄になってしまうということだ。
この機会損失を避けるには、「さまざまな経路で自社と接するお客様に対し、チャネルに応じた、タイムリーな、統一感のあるエクスペリエンスを提供する」ことが必要だ。しかし、多様なチャネルにコンテンツを展開している場合には、これを実現するのが難しい。
問題のあるカスタマーエクスペリエンスは機会損失につながる
機動的な対応のために、制作プロセスを効率化
では、一貫したエクスペリエンスを提供できるようにするにはどうすればいいのか。それを解説するにあたって磯田氏はまず、アドビの提供するサービスを紹介した。
アドビは、デジタルマーケティングにおける3Mを提唱している。コンテンツ制作(Make)を担うのがAdobe Creative Cloudで、運用(Manage)と計測・効果検証(Measure)を行い、収益化に貢献するのがAdobe Marketing Cloudである。これにより、多様なコンテンツの制作から展開までのリードタイムを短縮し、高速なPDCAサイクルを実現できる。
カスタマーエクスペリエンスに関連するのはAdobe Marketing Cloudで、以下の8つのソリューションが含まれる。
- Adobe Analytics:さまざまな顧客接点のデータ分析
- Adobe Target:テスト/検証を重ね、顧客に応じた情報提供
- Adobe Experience Manager:顧客体験を最適化するコンテンツとアセット管理
- Adobe Media Manager:オンライン広告の効果予測と投資の最適化
- Adobe Audience Manager:幅広いデータを統合させ高度なセグメントを作成
- Adobe Social:ソーシャルメディアの管理とビジネス貢献の可視化
- Adobe Campaign:幅広いシナリオにのっとった個客対話の管理と自動化
- Adobe Primetime:動画配信からコンテンツの収益化までを全てカバー
セッションでは、このうちAdobe Experience Managerについて、デモを交えて紹介された。Adobe Experience Managerには、「Sites」「Apps」「Assets」「Communities」などの機能がある。アドビでは、ページなどメッセージ表現の単位をコンテンツ、そこに含まれる画像などの素材をアセットと呼ぶ。Adobe Creative Cloudで作成したアセットをクラウド経由で社内のエクスペリエンス管理システムのストレージと連携し、Adobe Marketing Cloudで配信するという流れになる。
Adobe Experience Managerの「Assets」では、ひとつのマスター画像からサムネール画像が自動的に作成されるなど、さまざまなサイズや形式の画像が提供される。これらのアセットを使い、テンプレートを使用してターゲットに合わせたコンテンツを生成するため、すべてのチャネルでイメージやエクスペリエンスが統一される。Photoshopなどの使い慣れたツールとの連係も可能で、アセット管理画面から直接Photoshopを呼び出すこともできる。
また、画像などのアセットをデジタルアセット管理(DAM)システムに追加すると、メタデータが自動的に割り当てられ、検索属性に基づいた共有可能なコレクションが作成される。メタデータには「有効期限」という項目もある。例えばタレント写真などで、使用できる期間が決まっている場合、ここに有効期限を登録しておくと、その写真がどこのコンテンツで使われていて、誰がダウンロードしたかもメタデータから分かるので、期限切れになる前に警告のメールを送るといったこともできる。
コンテンツの管理は、Adobe Experience Managerの「Sites」で行う。Adobe Creative Cloudに繋いでアセットを呼び出し、変更して格納すればWebページが変更される。レスポンシブデザインのページをGUIで確認しながら作成できるほか、iPadでも使えるUIなどが用意されている。さらに、プロジェクトという概念があり、関連するサイト、アセット、チームメンバー、ワークフローなどをグルーピングして簡単にアクセスすることができる。その他、アプリのコンテンツ管理や配信の仕組み(Adobe Experience ManagerのApps)との連係なども可能。メールにコンテンツを利用でき、パーソナライズされた内容を制作画面で確認することもできる。
コンテンツ制作ツールとマーケティング管理ツールの連係で、より管理しやすく
さまざまなチャネルで一貫したカスタマーエクスペリエンスを実現
多様なチャネルでのカスタマーエクスペリエンスの一貫性を確保するために必要なのは、以下の2つだ。
- デジタルアセットとコンテンツの共有
- サイト内、SNS上の行動やオフラインの属性から、訪問者をセグメント化して連携
ここまで紹介してきたAdobe Experience Managerは①を実現するものだが、Adobe Marketing Cloud全体では、セグメント化のためのソリューションやコアサービスと連係し、PDCAを回す。
顧客のセグメント化には、以下のようなデータを使う。
- Webアナリティクスデータ
- オーディエンスデータ
- キャンペーンリスト
- CRMデータ
そのために、Adobe AnalyticsやAdobe Audience Manager、Adobe CampaignといったAdobe Marketing Cloudのソリューションと、外部のCRMを連係させる。得られたセグメントは、Webコンテンツの出し分けだけでなく、広告やメール、コンタクトセンターなどにも使うことができる。
一貫したエクスペリエンスを提供できるようにするには、このようにクリエイティブ素材を社内で共有し、コンテンツをユーザー行動に合わせて最適化するのが大切であり、そうしたことに対応できるシステムを構築するのが重要なのだ。
コンテンツやアセットが多様なチャネルで共有されると同時に、セグメント情報を共有するのが重要
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