やりっぱなし「PDDD」のデジタル施策など無意味、PDCAを回す本来の目的を明確にせよ!
ネット広告やデジタルマーケティング施策はPDCAを回すべきだけど、PDCAが回らず、PDDD(やりっぱなし)の状態になっていませんか?
特にネット広告やデジタル領域では、PDCAを回して改善をおこなっていくことが重要です。この記事では、PDDDになってしまう問題点を挙げ、PDCAを回していくためのコツを紹介します。また、記事末では、もっと詳しくデジタルマーケティングについて学びたい方のために本記事を執筆したアドビシステムズ井上氏のセミナー情報も掲載しています。
PDCAを回すには? ネット広告とPDCAの強みを再確認
PDCAを回していくためのコツを紹介する前に、ネット広告・デジタルマーケティングの強みとPDCAを回すメリットを確認していきます。
ネット広告・デジタルマーケティングの強みは、さまざま挙げられますが次のようなことでしょう。
- さまざまなテクノロジーを使って最適な人に最適なメッセージを届けることができる
- 活動の成果を計測できる = お客様の反応を数値化できる
- その数値を活かしてPDCA、テスト、カイゼンができる
活動の成果を計測して、数値化せずに報告することのは、ただの活動報告であり、自分の仕事の価値を示せていません。
また、PDCAを回すことは、次のようなメリットがあります。
- 目標とする成果を伸ばせる
- 学びから長期的に正しい方向、より良い方向を明らかにできる
- 学びを社内にフィードバックすることで、+αの価値を示せる
デジタルの世界では、調査・経験・勘・机上での設計ではなく、お客様の反応に基づいて、より適切なコミュニケーションを判断・改善できます。それを実施せずに、広告を出稿して終了のPDDD(やりっぱなし)では、ネット広告の良いところを使いこなせていません。
ただ、現実としては前述したとおり、実施することでいっぱいでPDCAができていない。やりたいけど、どうしてよいかよくわからない。など、PDDDになってしまっていることが多いのも事実でしょう。
PDDDに陥りやすい理由
ネット広告を使うことが目的になっているから?
さて、なぜ、マーケティング施策のPDCAが回らず、PDDD(やりっぱなし)になってしまうことが多いのでしょうか。主な理由としてあげられるのは、次のようなことでしょう。
- やることが目的で、実施後の成果目標が曖昧
- そもそも施策の計測ができていない
- 実施した結果の比較(良い悪い)ができない
- 人数が少なく、実施だけで目一杯
上司や事業部から軽い感じで振られたり、代理店から提案されてなんとなく施策が始まったりしていませんか。たとえば、次のようことです。
- 「残りの予算でネットのプラン作っておいて」と事業部から依頼される
- 「流行っているらしいから、とりあえずこれやってみよう」と上司から言われる
そんな状況から始まり、気づけば実施、修正、次の企画もスタートしなければいけないと、予算も増えず、負のサイクルになっていたりするのではないでしょうか。
PDCAを回していくためには「広告を入稿して終わり」という考え方から「広告を開始してからが本当のスタート」という考え方に変えていくことが重要です。
そのうえで、上手く回していくコツは次のようなものがあります。
目的を明確にする
「ネットを使うこと」が目的になっていませんか? これは「手段」であり、「目的」ではありません。施策を始める段階で計測、PDCAまでをセットとして考える
実施する前に「目的」を決め、「計測」、「PDCA」のスケジュールと予算を含めた設計する必要があります。施策を行うときは、自社を含めたビジネスやマーケティングの大きな視野からスタートし、課題・目的を基にただ単に「使う」のではなく、「課題・目的」を解決・達成するために何を、どのように使うか、そして何を計測するか、を定めなければいけません。
たとえば、予算金額・目的によっては、ウェブサイトの改善など、他のデジタルマーケティングを行うほうがいい場合もあります。または、リアルの活動など別の施策を選択したほうが効果が高い場合もあります。
「テスト」の要素を入れ、大きく、小さくテストを繰り返す
違う仮説を元にした別のメッセージの広告クリエイティブを追加する。新しいメディアを試してみるなど、すべての予算を1つの広告で設計しするのではなく、一部を違う形で小さくテストをしてみるというのもPDCAの1つです。しっかりとしたリソースの確保する
上記にあげた予算だけでなく、チームとして確実にリソースを確保することが重要です。また、テストなどを専門に行う人材・チームを持つことを含めて上司・経営者が考えるべきではないでしょうか。
広告だけじゃない! 受け皿となるページも含めた全体設計のなかでPDCAも考える
TVCM、雑誌広告などは、広告単体でもある程度成り立ちます。しかし、ネット広告の場合、広告だけで目的をほぼ達成できることもあれば、広告はあくまでデジタルコミュニケーションを行うためのきっかけで、受け皿となるページやサイトで「伝える」「行動を促す」といった設計が必要なこともあります。
また、広告だけで目的がほぼ達成できたとしても、そのバナー広告をクリックした先のウェブページやランディングページ、そこからの導線を含めて設計しなければ、本当の目的を達成できないばかりか、お金をかけて広告を出したにもかかわらず、お客様の期待を裏切ってしまうかもしれません。
広告やウェブサイトなど全体として、どうお客様に知っていただき、経験をしていただくか、導線・体験(Experience)をうまく設計、構築して、お客様のニーズに応じて改善していくことが重要なのです。
そして、広告と受け皿となるページを組み合わせたPDCAを実施し、テストも必要になってきます。
6月に開催される講座で私が担当するコマでは、こうしたことを具体的な事例を交えてもっと詳しい説明をしていきます。さらに各社の状況に合わせたワークショップを通じて「今」と「これから」に使える考え方を身につけていただきたいと思います。
2014年に1兆円を超えたインターネット広告費、1兆519億円
記事の最後に、日本のインターネット広告費の現状をまとめておきます。ネット広告やデジタルマーケティングの全体像をとらえるために活用してください。
電通が公開している「2014年日本の広告費」を見てみると、総広告費が3年連続で増加(前年比102.9%)しています。
6年ぶりの6兆円に回復したことも大きく影響していますが、2014年のインターネット広告費は初めて1兆円超え、1兆519億円(前年比112.1%)と増加しました。まだ、テレビメディア広告費の1兆9,564億円には及ばないものの、2004年にはラジオ広告費を上回り、2006年には雑誌広告費を上回り、そして2009年に新聞広告費を上回って、毎年確実に増加しています。
インターネット広告費を押し上げた理由の1つに、従来の個別メディアの枠を買うといったバナー広告から、スマホやタブレットの領域で伸びている検索連動型広告や、RTBと呼ばれるリアルタイムの入札形式など新しいアドテクロジーを利用した運用型広告が伸び、5,106億円を占める状況になったことが挙げられます。
こうした広告運用型の新しい広告やアドテク(アドテクノロジー)では、他のメディアで一般的だった既存の枠を購入して、同じようなクリエイティブを掲載する、という考え方は通用しません。
「メディア ✕ ターゲット ✕ メッセージ ✕ 受けページ」これらを組み合わせた複雑な設計が必要になってきます。
実施するときは、一気に展開するのではなく少しずつ範囲を広げ、ステップアップしながら、さまざまな試みをスタートさせることが重要になってきます。また、将来は運用型広告のような仕組みが、TVやOOH(街頭広告)などでも同様に使われるかもしれません。
現在のネット広告、デジタルマーケティングだけでなく、将来の「デジタルが当たり前の世界」に向けて、個人だけではなく組織としてPDCAを回して、ラーニングを積み重ねて準備・最適化をしていかなければ、ならないのではないでしょうか。
本記事の筆者アドビシステムズの井上氏が具体的な例を示しながらさらに詳しく解説するセミナーが開催されます。
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