Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座アクセス解析を始める前に知っておきたい分析のステップ
アクセス解析を始める前に知っておきたい分析のステップ
とりあえずアクセス解析を始めようとして、すべてのレポートを片っ端から見ていく人もいるかもしれないが、それはあまりよいやり方ではない。
Googleアナリティクスを導入して間もない場合は、いきなり改善活動に活用しようとして、興味本位にさまざまなデータを見て、四苦八苦することになりがちだ。サイトの規模や関わっている関係者の人数などにもよると思うが、筆者は、およそ次のようなステップで解析に取り組むのがよいと考えている。
アクセス解析というと、データを見れば自動的に問題点がわかり、すぐにサイト改善活動に取りかかれると思っている方が多いと思うが、それは早合点だ。
たとえば、会社の会計データ(貸借対照表や損益計算書など)を見たところで、すぐに改善点が見つかるわけでもなければ、改善施策に結び付けられるわけでもない。データはデータでしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。誰が見ても明らかな問題点がデータにはっきり表れている、というようなことは、まずない。
上司からはすぐに結果を出すように求められるかもしれないが、はやる気持ちを押さえて着実なステップを踏んでいく必要があるのだ。会計データにも手順を追った見方があるように、アクセス解析データにも効率よい見方がある。
最初はサイトの現状把握から
あるべき姿としては、そもそもアクセス解析ツールを導入する前に、Webサイトの計測で何を測るべきかという重要業績指標(KPI)を決めたうえで、どのツールを導入すれば良いのかを考える必要があるのだが、現実的には「とにかくGoogleアナリティクスを入れたから、あとはよろしく」というケースが多いのではないだろうか。
なので、分析の現実的なステップとしては、まずは「A. サイト全体の現状把握」を行おう。とは言ってもGoogleアナリティクスが出しているレポートは膨大だ。効率よくデータを活用するためにどこを押さえて見ていけばよいかについては、前項で5つのメニュー群の大分類のところで解説したような流れで見てほしい。この段階では、「ああ、こんなデータが取れるんだ、おもしろいな」というレベルで構わない。
重要業績指標(KPI)を絞り込む
その次の段階では、「B. 重要業績指標(KPI)の絞り込み」を行い、その指標を中心に定点観測を始めるのがよいだろう。
なお重要業績指標(KPI)については、それだけで一大テーマなので、ここでは触れない。アクセス解析だけでなく、あらゆる事業において何を成果指標として、普段追っていくべきかという経営全体の話だ。サイトのタイプ別にどういう指標群を選択したらよいかは、以下の過去記事を参考にしてほしい。
- ECサイトの解析レポート作り方マニュアル
- メディアサイトの解析レポート作り方マニュアル
- B2Bリード獲得サイトの解析レポート作り方マニュアル
- 顧客サポートサイトの解析レポート作り方マニュアル
- ふつうの企業サイトの解析レポート作り方マニュアル
アクセス解析の2つの役割
アクセス解析データの活用には大きく2つの役割があると考えている。
1つは定点観測で、いくつかの特定の重要指標を定期的にチェックして、サイトがうまく運営できているのかを確認する目的で行う。
もう1つは問題発見や課題解決のために関連するデータを集中的に分析して、サイトをよくしていくための活動に役立てるということだ。
定点観測はできるだけ時間をかけないのがコツ
そこで次の段階が「C. 定点観測」だ。定点観測の段階では、いたずらに分析に時間をかけないということもポイントの1つだ。分析する作業を外注する予算がある場合や、専任の分析担当者が割り当てられているような場合は別にして、最初はなるべく作業負荷が少なくなるように心掛けるのがよいだろう。
トレンドから大きく上下に外れる異常値が発生したり、目標値を下回ったりすることがあった場合のみ、時間をかけてその原因を分析すればいい。訪問数が異常に増えたり減ったりといった異常値が出た場合は、その原因を分析して、何が起こっているのか、対処すべき問題なのかどうかを切り分け、必要に応じて対処方法を考え、実施することが必要だろう。
そしてそういった運用が順調にできるようになってきたら、「D. 個別の課題解決型分析」をおこなおう。課題解決や問題発見のためのアクセス解析に着手する。
この課題解決型分析も基本的な型はある。その型に当てはめながら自分のサイトに適用していけばよい。これから各回では、各レポート画面について解説していくことになるが、それぞれ、定点観測型で見るポイントや課題解決・問題発見型の活用の方法を織り交ぜて解説していく。
次回からは、「ユーザー」の代表的なレポートを見ていく予定だ。
筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。
筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール
ソーシャルもやってます!