CMSはWebビジネスを加速させることができるのか? | 鈴与シンワート+ジゾン
セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn」(2011年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
Web担当者Forumでも、これまで製品レビューやその導入効用について数多く取り上げてきたCMS。ウェブサイトを運営するうえでなくてはならないツールの1つとなっているが、今後はその役割が広がり、さらに重要度を増す。英国生まれの日本育ちCMSとして注目される「HeartCore」の販売と導入支援を行う鈴与シンワートの松田高明氏とジゾンの神野純孝氏は、今後のCMSが担う役割について講演を行った。
多くのCMSのなかでビジネス用途に耐えられるものはほんのわずか
最初に登壇した鈴与シンワート 情報サービス事業本部 企画推進室 部長の松田高明氏は、CMSを取り巻く現状について紹介した。
「CMSはウェブの運営に欠かせない
」と言いつつも、現状ではまだまだ未導入の企業は多い。企業ウェブサイトが今後増えることも考えるとその市場は成長性が見込まれる。これを裏付けるように、「今後もっとも成長率が高いITソフトウェア市場」として、EIPや仮想化を抑えてCMSがトップだという調査結果もある。
松田氏は、その状況を踏まえつつ「今後のCMSには、単なる効率化やコスト削減だけでなく、PDCAやサイト分析、SEO支援、多言語対応など、さらに多くの役割が求められる
」と語る。Wikipediaによると、世界で「CMS」と名の付くシステムは1200ほど存在する。しかしながら、日本企業での利用に耐えられ、かつビジネスユースで候補として挙げられるものは多くないと話す松田氏は、ビジネスユース向けCMSの1つとして「HeartCore」を説明する。HeartCoreは2002年に英国で開発され、その後、日本独自の機能を加え進化を遂げた製品で、世界3000社以上で利用される実績を持つ。国内でも160社以上が導入(2012年1月現在170社以上)しており、鈴与シンワートでもその構築、導入、運用をサポートしているという。
これからのCMSに求められる4つの役割
続いて登壇したジゾン 代表取締役社長 兼 CEOの神野純孝氏は、ウェブサイトを「売れる営業」にするという視点から、これからのCMSに求められる役割として次の4つを挙げた。そして、これらを満たせる製品でなければ、将来は“使えないツール”になってしまうという。
- 大手検索サイト(Googleなど)の攻略
利用者が求めるコンテンツを検索したときに、自社サイトのページが3ページ以内に表示されるか。 - 自社サイト到着後の攻略
サイトに訪れた利用者が必要なコンテンツをすぐに見つけることができるか。 - 自社サイト内誘導の攻略
利用者を商品購入や店舗への誘導、会員申し込みなどのアクションに導くことができるか。 - ソーシャルメディアとの連携
FacebookやTwitterなど、ソーシャルメディアとのシームレスな連携ができるか。
まず、検索エンジンの攻略。これは散々言い尽くされてきたことだが、現在のウェブサイトへのアクセスは検索エンジンが鍵になっている。ここ数年でソーシャルメディアも台頭してきたが、検索エンジンからの集客が重要であることに変わりはない。検索してウェブサイトを見つけ、サイトにアクセスするという流れが多くのユーザーの行動パターンだ。逆に、検索結果に正しく表示されなければ、ウェブサイトの存在意義はないとも言える。
SEOが重要視されているのはそれを証明しているわけだが、神野氏は「わざわざSEOコンサルティング業者や制作会社に高いコストを払ってやってもらうのは疑問
」だとする。SEO施策にもいろいろあるが、ウェブサイトの最適化(内部施策)であれば、CMSを使って自動化できるというのだ。
次に、ユーザーがサイトに到着してからの攻略。神野氏は「ユーザーは自分が求めるコンテンツに4~6クリック(サイトによっては1~2ページ)以内にたどり着けないと離脱してしまう
」という調査データを引き合いに出し、いかにユーザーに情報を探す手間をかけさせないかが重要であるとする。
「うちは4階層しかないウェブサイトだから大丈夫というWeb担当者がいました。しかしそれは誤解です。“トップページから”たどったときは4階層かもしれませんが、ほとんどのユーザーは各製品のページに検索エンジンから直接到着します。ある商品ページを訪問したユーザーが、別の商品ページまで5クリック以内で移動できるでしょうか
」(神野氏)
ユーザーごとに合わせたページで売上に結び付ける
「売れる営業」というからには、売上を上げて初めてその目的が達成される。単にPV数を増やすことが目的となっているケースもあるが、何をコンバージョンとするかが重要だ。企業のビジネスなら、売上またはそれに値する価値を得てこそウェブサイトの活性化と言える。
神野氏は、売上に結び付くしくみについてAmazonを例に説明した。「Amazonには共通のトップページというものが存在しません。ユーザーごと、端末ごとに微妙に異なります。1人ひとりに対して違った見せ方をするパーソナライズが、現在の主流です。お客さまごとに最適な商品を提案する。Amazonが成功している理由はここにあります
」(神野氏)
HeartCoreでも、ランディングページを最適化する機能を備えている。これは、たとえば検索エンジン経由でユーザーがアクセスした際に、検索語に基づいてページの内容を微妙に変えるというものだ。HeartCoreは、ソーシャルメディアとの連携も含めて先に示した4つの役割をこなすことが可能で、さらにGUIで簡単に編集できる機能、スマートフォン/モバイル対応(ページの自動変換)、基幹システムとの連携など、他の多くのCMSが備える機能も押さえている。
一方、その弱点として挙げたのは、機能が多過ぎて管理画面が複雑であるということ。これは、多機能性とのトレードオフとして当然だが、これはユーザーの要望に合わせてカスタマイズができるという。
「CMSの運用は、お客さまごとに千差万別です。基幹系との連携が必要か否かなど、必要とする機能はお客様ごとに異なります。こういった現象はCMSならではものですが、ならば管理画面をカスタマイズしてもらうこと前提にすればよいと考えました。ですから入れてすぐには使えませんが、逆に将来“使えないツール”にはならない製品です
」(神野氏)
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