企業サイトの震災関連の「特別な対応」調査データ: 80%が5月に入っても継続
株式会社セラクは、3/13~3/30と4/4~5/9にそれぞれ企業・公的機関の100サイトを調査し、サイト上での特別な対応の状況をまとめた。
初期:3月13日~3月30日の対応状況
85%のサイトで何らかの特別な対応
85%のサイトが何らかの特別な対応を行っているという調査結果となった。この85%には「ニュースリリースを掲載しただけ」などの通常運用の範囲での対応は含まれていないため、大多数の企業が、この震災に対し個別に対応を検討し実施したことが伺える。
61%のサイトでメインビジュアルなどを変更
ウェブサイトでの情報掲載についての具体的な施策としては、61%のサイトでトップページへの「お見舞い文の掲載」をしていた。具体的にはトップページのメインビジュアル部分を中心に、華美なビジュアルイメージを差し替えてお見舞い文とした事例が多く目についた。
業種別においては、特に百貨店、鉄道、航空など公共性の高い企業においてはほぼ例外なく、相当のスペースを用いてお見舞いを掲載していた。
特別枠の設置は60%
通常のリリース情報やバナー枠とは別に「震災関連情報を目立つように掲載する特別枠」を用意し、営業情報や関連情報などを告知、あるいは告知ページへの誘導を行っていたは60%あった。
特に実店舗を持っている企業においては、営業時間や停電の影響など、直接的に最も業務内容に関連する項目をまとめて掲載していた事例が目立った。
一方、残り40%においては、細かく情報発信することはせず、「営業時間はお電話でお問い合わせください」としている企業や、お見舞い文は掲載するものの、情報発信そのものについて通常のリリースやお知らせの範囲内で情報を掲載するにとどまったサイトも存在した。
その後:4月4日~5月9日の対応状況
GW明けでも8割が特別対応を継続
上記3項目に関して、各サイトがその後どのような対応を取り、またどのタイミングで平常時の運用に戻していったのかを継続的に追跡調査したものが、以下のグラフとなる。
二次調査の初期(4月4日の週)には、「特別な対応」を取っている企業が震災直後よりも増加し、最大95%のサイトが平常運用を超えた対応を行っていた。
その後、特別対応を終了するサイトがいくつかあるものの、5月に入っても80%がその対応を継続していることがわかる。
震災対応としてウェブサイトの情報発信について、特別な対応の実施
3月12日の震災発生翌日から3月末までの初回調査において、85%のウェブサイトが「何らかの特別な対応」を行っていたが、その後の追跡調査では、「何らかの特別な対応」を行った企業が4月4日時点で95%まで増加した。
これは、震災直後の混乱時期に対応が間に合わなかったと思われるサイトや、他社の対応内容を見てから自社での対応を検討・実施したサイトなど、震災からある程度の時間を経てから対応を取ったサイトが10%程度あったことが理由と考えられる。
その後、特別な対応をやめ、通常運用に戻すサイトが少しずつ出てくるも、5月9日のゴールデンウィーク明け時点でも80%が特別な対応を継続させており、震災から2か月が経過した現在でも多くの企業が「まだ震災の影響が残っている」と考えている現状が伺える。
レイアウトやメインビジュアル、バナーを変更してのお見舞い文の掲示の実施
特別な対応の具体例として最も多かった対応がトップページへの「お見舞い文の掲載」だが、この数値も前回調査時の61%から、4月4日時点で79%まで増加している。
この対応についても5月9日時点で59%の企業が対応を継続させており、自社のプロモーションや宣伝的な告知よりも、被災者への配慮や社会的責任を見た目でわかりやすく表現することを優先させていることがわかる。
営業時間や募金情報、関連情報の案内等のための特別枠の設置
特別な対応の具体例として次に多かった「特別枠の設置」対応だが、こちらも同様の傾向が見られた。
5月9日時点における各企業サイトにて、震災関連の情報を新たに発信する機会は震災直後に比べ確実に減少しているものの、まだ震災関連の情報は優先的に区別して掲示しておくべき、と考える企業が半数近く存在している。
その他のデータ
公共交通機関のサイトでは大規模な差し替え
3月13日~3月30日の初期調査では、6%と少ないケースではあるが、ページごと差し替えを行ったり、どのページにアクセスしても震災情報を掲載する特定のページにリダイレクトさせる対応を取ったサイトも存在した。
そのほとんどが公共交通機関のウェブサイトであったが、特に、鉄道関係においては、停電の影響による運行情報を取得しにアクセス過多の状態が続いたことが背景にあり、インフラまで巻き込んで対応を図ったものと思われる。
その後4月4日~5月9日に調査した時点でこの対応を継続しているのはわずか1%にとどまっており、ほぼ通常の運用に戻っている。
36%のサイトではケータイからは情報を得られず
こちらも3月13日~3月30日の初期調査のデータだが、モバイル(携帯電話)については、大きく対応が分かれる結果となった。
何らかのモバイル対応サイトが用意され、情報が取得できるようになっていたのは合計で64%と過半数を超えるが、PCサイトと同様の情報が取得できるところまで情報を掲載していたのは、28%にとどまる。
比較的対応力が高かったのは鉄道、百貨店、駅ビル・ファッションビル、通信キャリアであり、特に百貨店、駅ビル・ファッションビルにおいては、主要ユーザー層への対応として、平時から携帯サイトの運営に長けているという背景があると思われる。
なお、モバイルサイト対応については、PCサイト以上にCMSやシステム的な制限が多いためか、必要以上のページ遷移が発生していたり、「営業時間については、メニューの○○の項目をクリックしてください」など、遷移フローについてテキストで誘導をかけている事例も少なくなかった。
- 調査主体: 株式会社セラク WEBソリューション事業部
- 当資料における調査結果については、あくまで調査時点のものであるため、そのウェブサイトの中長期的な取り組みや考えを示すものではない場合があること、また時間の経過によって状況が変わっている可能性があることを予め了承いただきたい。
- 当調査はあくまで、ウェブサイトにおける情報発信の取り組みのみを調査対象としており、募金活動や復興支援、被災者支援などの企業活動そのものを評価するものではない。
- 調査期間:
- 初期調査:3月13日~3月30日の間、順次
- 二次調査:4月4日~5月9日
- 調査手法: 対象Webサイトを目視で確認、サイトから閲覧・取得できる情報のみを対象とした。
- 調査対象サイト: 合計100社・機関(株式会社セラクが任意に選定)
- @nifty
- au
- BIGLOBE
- JRバス関東
- JRバス東北
- JR東海
- JR東日本
- KDDI
- NTTドコモ
- NTT東日本
- OCN
- So-net
- UQwimax
- そごう
- みずほコーポレート銀行
- みずほ銀行
- ゆうちょ銀行
- ららぽーとTOKYO-BAY
- りそな銀行
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- 京成百貨店
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- 東武バス
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